波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

思いつくままに

2010-11-17 10:20:34 | Weblog
二人のじい様の会話が聞こえる。
A「最近、面白いことでもあったかね。」B「そうだな。この年になると若いときと違って、誰も声をかけてくれる人もいないし、自分で何かするのも億劫になるし、何も面白いことはないなあ。」A「しかし、元々私たちはどんな人であっても、何も持たないままでいたんだし、誰もいなかったんだから、そのことを思えば、今の私たちは別に不思議では
無いのではないのかなあ。」B「だけど、この間珍しいことが起きたんだ。」A「何だ。
何だ。その珍しいことってのは」B「まあ、あわてるなって。もう暫く前のことなんだが、いつも行っているジムでトレーニングしていたんだ。そしたら、隣から声をかける人がいたんだ。まさか自分のことではないと思っていたんだが、聞いていると私に話しかけているんだ。見ると、中年のお姉さんなんだ。色々トレーニングのことを聞かれているうちにお茶でも飲もうと言うことになって、時間を決めてお茶したんだよ。」
A「へえーそんなことがあったのか。で、どんな話をしたんだ」B「メールアドレスを教えてくれって言うからアドレスの交換をして、別れたのだが、その後、休みの日は何をしているかとか、どこかでゆっくり話をしないかとか、誘ってくるようになってね。
この歳ではのこのこ出かけていくのも、どうかと思って、ジムでお会いしたら又お話しましょうと、はぐらかしていたんだ。そしたら、ぷつんとメールも来なくなったんだ。」
A「でも、ジムでまた会うこともあっただろう。何か話は無いのかい。」
B「それが不思議なことに、その後、一回も会うことも無いし、姿も見たことが無いんだ。今から思うと夢のような気がするくらいだよ。」A「お化けじゃあるまいし、ただ時間がずれているだけで、そのうち又会うこともあるだろうよ。」B「でも彼女。何が目的だったんだろう。話し相手なのか。それとも、私に何か目的でもあったんだろうか。今でも時々、あれはなんだったんだろうなと思っているんだよ。」A「まあ、あまり深く考えてもしょうがないだろう。少しでも楽しい、心のときめいた時間が持てただけ良かったじゃあないか。」
やっと、ここに来て気温も平年並みに下がり、紅葉も色を増してきている気がする。
今年の冬はどんな冬になるのだろう。健康だけが気がかりに日々ではあるが、気持ちだけは明るく、暖かく過ごして生きたいと思っている。