波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

  パンドラ事務所   第八話   その3

2014-05-02 12:03:31 | Weblog
婆さんの話は続く。何しろ話好きでそれはストレス発散であり、ある意味楽しみなのかもしれない。「それで話が済んだと思っていたら、ある日わたしがその時世話になった議員さんから電話があったんだよ。選挙の時やなんかで封筒はりやビラはり、その他お手伝いをしていたこともあって、私の事をお母さんお母さんと言ってくれて頼りにしてくれるもんだから、わたしもそのきになっていたんだがね。時々電話をよこして今日は寿司でも食べに行きませんかと誘ってくれたんだよ。そんな訳でその日も迎えに来てくれた車で寿司屋へ行き、好きなものを食べなさいと言ってもらってご馳走になってそれで帰るのかと思ったら、その先生が急に態度を変えて「一言言いたいことがあるんだけど言わして貰っていいか」と言い出したんだ。私は少し驚いたけど
何も悪いことをした覚えもないので、「何でも言いなさい」と言ったら、立ち上がって「このくそ婆、お前が余計な事を言ったから俺は恥をかかされたんだ」と言ったんだよ。
私は何の事だかわからなくてね。その場はああそうかい、それは悪かったね。と言って終わったんだけど、良く考えても心当たりはないし、何で私がそんな事を言われなきゃあいけないのか、それからそのことが頭を離れなくてね。夜もゆっくり寝られないんだよ。」
私は話を聞きながら、大変なことに巻き込まれるんじゃないかと心配になってきた。余計な事を言わないで帰りたかったが、このままほっとくわけにもいかない。
「もう少し詳しく話を聞かないとよく分からないけど、もう一度話をゆっくり聞かせてもらえませんか。」と落ち着かせた。
「私が先生に電話でお願いしたのはその近所の婆さんが具合が悪くなって、子供たちもおろおろしているだけだったから、見るに見かねて病院の世話と施設のお願いをしたときだけだったんだよ。だからそれが先生に迷惑をかけたとしか考えられないんだけど、それが悪かったのかねえ。」「それだけじゃあなさそうですね。」「そういえば、その時先生はもうその婆さんとはかかわり持ったり、付き合ったりしないようにしなさい。余計な世話も焼かない。そんなことも言ってたわ。」「そうですか。それは何か意味がありそうですね。」青山はしばらく考え込んだ。まだ何かありそうだ。もう少し状況証拠を調べたほうがよさそうだ。
「他にも何か聞いたこととかありませんか。」と聞いてみる。
すると、また考え込んでいたが、「そういえば、その後病人は退院して家で療養しているんだけど、その子供が家に来てね、あまり騒がないでくださいと言ってきたよ。私は腹が立って、
何を騒ぐことがあるんかねといいかえしたけどね。」

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