波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

音楽スタジオウーソーズ    第37回

2015-02-24 11:42:46 | Weblog
世の中には男と女しか存在しない。そして同じ人間である。然し私は小さいころから男女の違いをあまり考えたことは無かった。確かに姿かたちは違っていても行動することや考えることは同じであり、自分がこう思えば人もこう思うだろうという安易なそして単純に考え、夫婦であれ、兄弟であれ、家族ならなおさらに同じ考えでいるのだと単純に考えていた。然し年齢を重ね歳を経る語とにこの考えは間違いで、どんなに親しい家族でも、
否家族だからこそ、考えることやすることが違うのだ。まして男女であれば同じ人間でもすることなすことは違うのが当たり前で、違わないのがおかしいのだということを次第に自覚するようになっていた。
そして違えばこそそこに存在価値があり、お互いに足らざるを補い合い、助け合っていくことが出来るのだということを認識するようになったいた。
田中は長い夫婦生活で妻がどんな事を考えて一緒に生活をしているかということを考えたことは無かった。ただぼんやりと女は男に従ってくれるものだという先入観で生活をしていた気がしていた。それは職場でも同じだし、何処の世界でも男性優位の歴史の中で支えられてきたと思うことに何の疑問も持ったことは無かった。然し現実の生活の上ではいつの間にか女性優位の状態が築かれつつあり男性の優位性は次第に弱まりつつあることに気づいていなかったことになる。それは女性の生命力に明確に証明され女性の寿命は男性の年齢をはるかに超えて7歳も伸びていることでも分かるのだ。
そして女性はどんな環境におかれても生き抜いていく力があり、世界の果てまで行って
一人で生きている姿をTVでも紹介しているのも見ても分かる。
「あなたが誰と何をしていても今更何もいうつもりは無いの。だけど私と一緒に住んでいることもあまり意味が無いことも良く分かったの。だから離婚したいと思っているの。」
気持ちが悪いほどに冷静である。全てを悟ったかのように声を荒立てることは無い。
それだけに田中にはその言葉が不気味だった。
そしてその妻の言葉に言い訳をする気持ちも無かった。A子のことについては何もいう気は無かった。
妻は最後に行った。「私もこれから田舎に帰って母と食らうつもりだけど生活費はかかるので、慰謝料だけはお願いします。」そして離婚状をおいた。
そして数日後田中が帰宅すると家の中はすっかりがらんと荷物が整理されてなくなっていた。

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