波紋

一人の人間をめぐって様々な人間関係が引き起こす波紋の様子を描いている

白百合を愛した男    第87回

2011-04-23 10:54:44 | Weblog
北京で営業班チームと技術班チームに別れる。営業班は上海経由で広州へ技術班は武漢から大連へと向かう。何しろ日本と違って広くて大きい、それでも象の尻尾ぐらいしか見えないかもしれない。営業班は上海でも一日を移動日として休息日とした。町を散策すると空から白い綿のようなものがしきりに落ちてくる。良く見ると柳の木から落ちる花の芽のようでそれが綿のようにふわふわと散っている。中国はこの時期(6月)が一年で一番良い季節とされ、人々の顔も和やかだ。夕方早めの夕食後「上海技芸団」の演技を鑑賞する。はじめて見る演技であったが、そのやわらかい身体能力の高さと長い訓練の上に完成されたその演技の高さに感動を覚える。やはり10億を超える国民の中から選ばれた人たちでなければ生まれないだろうと思われるもので、なんの華やかさも無い中にも真剣に演技をしている姿は立派と言わざるを得ない。
広州は南の商業都市であり、アジアの中心都市でもある。年に一度の広州で開かれる「貿易展覧会」には各地からビジネスマンが集合し大きな取引が行われている。
我々の行く先はその市外から遠く離れた郊外の工場視察である。そこでチャーターしたタクシーに乗り100キロ近く行かねばならなかった。メーターなど無いポンコツタクシーは乗ったときから不安であったが、案の定、途中でえんこし、車を乗り換えてやっと目的地に近い町へ到着。そこで一泊となる。夕方散策を兼ねて数人で歩いていると、日本では見られない漢方薬の店を見つけた。入ってみると、全く見たことも無い草木を始め、動物の内蔵を含めた、身体の部分を乾燥したものや、ビン詰めにしてある。聞いてもそれが何に効果があるのか、さっぱり分らないが、殆ど客の姿も見られない。
ホテル(大飯店)には我々以外に客は無く、テーブルに出されたコップもテッシュでよく拭かなければ使えないような感じで、何とか夕食を済ませる。早めに各部屋へ別れて休む事になり、何時の間にか寝ていると,突然大きな怒鳴り声で目を覚まされた。
全く何が起きたのか、分らないが、階下から中国語での怒鳴り声とガチャガチャとする大きな音がしている。出て行くわけにも行かず、すっかり目は冴えて眠ることも出来ず、不安な気持ちで外をうかがっていたが、やがて静かになり、ホッとする。それは何の騒ぎで何があったのかは全く分らないまま朝を迎えた。何しろ我々意外には客のいないホテルで全く不気味である。又言葉があまり通じないところでは何があってもおかしくない。