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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

許すなロックアウト解雇⑤ たたかってこそ明日はある 日本IBMの労働者たち

2015-10-23 17:48:08 | 働く権利・賃金・雇用問題について
許すなロックアウト解雇⑤ 日本IBMの労働者たち
作家 田島一

たたかってこそ明日はある

業績評価から「ロックアウト解雇」に至る経緯を追ってきたが、「退職強要・自主退職、解雇への一里塚」として組み込まれている同社の「賃金減額」制度も、ブラック企業の典型とも言えるものである。

違法な減給制度
就業規則を変更して導入した本制度によると、業績が低位に評価されれば、自動的に賃金は減額となり、賞与をふくむ減額率が最高で15%にも達する。この減額は毎年おこなうのも可能で、不利益は将来にわたって累積されることから、労働者が絶望し、自ら辞めるのを待つ「地獄の掟(おきて)」と呼ぶのが相応(ふさわ)しいだろう。
2013年からの大幅な賃金減額者は2000人におよぶと推測され、かなりの人が退職に追い込まれたのではという。懲戒処分の場合でさえも、労働基準法では賃金の総額の10%を超えてはならないとされているのに、耳を疑ってしまう。これにはいま、9人の組合員が、違法な就業規則の変更に基づいてなされたリストラの手段としての減額は無効と、差額賃金の支払いを求めて東京地裁で争っており、年末に判決の予先だって、9月8日の夕に、「許すなロックアウト解雇!日本IBM本社前包囲行動」が土砂降りの雨のなかで東京都内で持たれ、駆けつけた600人の支援者が集会後に人形町までデモ行進をおこなった。
小田川義和全労連議長はあいさつで「IBMは日本での労働法制改悪の先導役を自任していると言われているが、安倍政権もIBMも労働者を使い捨て、心ある国民や社員の言葉に耳を傾けない。非人間的とも言える経営姿勢に強く抗議し、勝利するまでたたかいぬこう」と呼びかけた。



ロックアウト解雇をやめよと日本IBM本社前に集まったJMJU組合員と支援者たち=9月8日夜、東京都内

大きなヤマ場に
生熊茂実JMIU(全日本金属情報機器労働組合)委員長は、「こんな解雇がまかり通ったら大変だ、IBMぜひ勝ってくれと全国から熱烈な支援が寄せられている」ことを紹介し、「これから来年春にかけてが大きなヤマ場」であり、「一日も早い解決のために、皆さんの一層のご支援を」と訴えた。
今回、日本IBMの事件を追い、とりわけ印象に残ったのは、米国と財界の求めに応えて安倍政権が進める「解雇自由社会」の先兵として突っ走る一外資企業の異様さと、困難を抱えながらも、揺らぐ「巨象」に身を挺(てい)して抗する労組の皆さんの姿であった。
ひと握りの層に富が集中し格差と貧困にあえぐアメリカ社会に、この国は追随してはならない。「戦争法阻止」で老若男女が新しい共同のうねりを巻き起こしたように、日本社会を壊そうとする者に立ち向かう人々への、国民的規模での支援の必要を痛感した。この暴挙を、圧倒的な世論の力でストップさせなければと思う。
降りしきる雨に打たれながら、巨大なビルに向かって突き上げる拳を目にして、私の胸中を駆けめぐったのは、「たたかってこそ明日はある」という言葉だった。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月19日付掲載


恣意的な賃金差別で、労働者が嫌になって自ら辞めるように導く。懲戒処分以上の賃金の減額は許されない。
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