きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2018年度 予算案の焦点⑦ 文教 「自然減」で教職員定数減

2018-01-30 16:55:54 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2018年度 予算案の焦点⑦ 文教 「自然減」で教職員定数減

2018年度の文教関係予算案は4兆428億円(17年度比23億円減)です。
義務教育の教職員の長時間労働を改善するため、小学校の英語専科教員1000人を毎年の予算で決まる「加配定数」で配置します。現場の教員らの強い要望に応えたもので、3年間で計4000人を配置する予定です。中学校の生徒指導員も50人増やしますが、少子化などに伴う「自然減」を差し引くと教職員定数は2861人の減となります。



「教育のつどい」の開会全体集会=2017年8月、岡山市

少人数学級や抜本増触れず
「働き方改革」として勤務時間管理の徹底や業務改善を進めるとしていますが、授業時数の縮減を進めるための教職員定数の抜本増や少人数学級には触れていません。
教職員の業務軽減のため、外部人材を拡充します。スクールカウンセラーは700校増の2万6700校に配置。スクールソーシャルワーカーは2500人増の7500人とします。教員に代わってプリントの印刷などを手伝うスクールサポートスタッフを3000人配置し、部活動指導員は4500人配置します。いずれもフルタイムではなく、週に1、2回数時間勤務を「1人」と数えています。
愛国心など特定の価値観を国家が押し付けると批判が強い「道徳」の授業を実施するため、教科書代などに35億円を計上しました。
20年度から大学入試センター試験に代える「大学入学共通テスト」のため、プレテストを実施します。
国立大学の基盤的経費である運営費交付金等は17年度と同額の1兆971億円。うち103億円を3類型に分けて再配分します。イノベーション(技術革新)創出など、財界の要望に応える人材を育成する大学に重点配分し、大学間の競争と選別を強めています。
私学助成は1億円増の4290億円。うち私立大学への経常費補助は2億円増の3154億円です。定員割れの大学に対する補助金減額を強化する方針です。私立高校の経常費助成は12億円増の1034億円です。




給付型奨学金2万人余支給
給付型奨学金は2万人増の2万2800人に月2万~4万円の支給を計画。しかし、条件を満たす非課税世帯の子どもだけで1学年約6万人いるため、抜本的な拡充が必要です。
無利子奨学金は条件を満たす53・5万人(1・6万人増)に貸与します。有利子奨学金は5・8万人減の75・7万人です。
大学の授業料減免は、国立で4000人増の6・5万人、私立で1・3万人増の7・1万人にします。
総選挙で強調した教育の無償化は、19年秋の消費税増税後に実施するかどうか検討するため、18年度予算案には含まれていません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月30日付掲載


教職員の業務軽減のための、外部人材の拡充は嬉しいことです。教職員定数の抜本増が求められます。
給付型奨学金を対象者も、もっと拡充してほしいものです。
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2018年度 予算案の焦点⑥ 社会保障 6年で1.6兆円抑制

2018-01-29 10:37:40 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2018年度 予算案の焦点⑥ 社会保障 6年で1.6兆円抑制
社会保障関係費は、高齢化などによる自然増の伸びを毎年5000億円以内に抑える安倍政権の方針を至上命令として、概算要求段階から1300億円削減した32兆9732億円(2017年度比4997億円増)を計上しています。自然増削減は安倍政権下の6年間で1・6兆円に上ります。
安倍政権の「全世代型社会保障」の本質が、国民全般に痛みを与える社会保障改悪にほかならないことが鮮明になっています。



年金・医療・福祉の充実を訴えて座り込みをする人たち=2017年12月13日、厚労省前

診療報酬抑制 医療経営打撃
自然増抑制の柱の一つが、18年度に同時に改定される診療報酬と介護報酬の抑制です。
医療の公定価格である診療報酬は、全体で1・19%引き下げます(本体部分プラス0・55%、薬価部分マイナス1・74%)。診療報酬のマイナス改定は2回連続です。
医療費抑制のために、急性期の患者に対応する「7対1病床」(患者7人に対し看護職員1人)の入院基本料の診療報酬を、「10対1病床」の水準まで引き下げることを狙っています。「7対1病床」は全病院の一般病床の4割を占めており、引き下げは医療経営に深刻な打撃を与え、地域の医療崩壊を加速する危険があります。
前回改定時(15年度)に過去最大規模の引き下げを行い、事業所に深刻な打撃を与えた介護報酬は、今回0・54%の微増です。介護労働者の労働条件の抜本改善のために、現場が求めている報酬の大幅な引き上げとは程遠い内容です。




生活扶助減額3年間で5%
安倍政権は、生活保護の生活費部分にあたる「生活扶助費」を、10月から3年間かけて段階的に最大5%引き下げようとしています。扶助費が増額される世帯も一部あるものの、約7割の世帯は減額されます。厚生労働省は、18年度に15億円、20年度までの3年間で160億円の減額を見込んでいます。
都市部に暮らす夫婦・子2人世帯(1級地のー)の場合、現行の月額20・5万円が10月には20・2万円になり、20年10月以降は19・6万円まで減らされます。減額の総額は年間10・8万円に達します。少子化を「国難」といいながら、子育て支援に逆行する“弱者いじめ”です。
厚労省は、物価が上昇しているにもかかわらず、年金支給額の据え置きを前提に予算案を組んでいます。18年度は、年金から天引きされる介護保険料と後期高齢者医療の改定年にあたり、ともに引き上げが予想されています。年金の手取り額が減ることになれば、高齢者の暮らしがますます圧迫されます。
安倍政権は、待機児童対策として保育の受け皿整備を前倒しするとしているものの、目標が低すぎるうえ、中身も基準の低い企業主導型保育の推進などが柱。「企業主導による多様な就労形態等に対応した保育の支援」に17年度比388億円増の1701億円を計上しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月27日付掲載


入院病棟の看護職員の配置数の基準を減らすことは、本当に必要な看護ができなくすること。
生活保護の生活扶助費を減らすことは、健康で文化的な生活を脅かすことになる。
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2018年度 予算案の焦点⑤ 公共事業 大型化 6年連続増額

2018-01-28 11:26:57 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2018年度 予算案の焦点⑤ 公共事業 大型化 6年連続増額
2018年度予算案の公共事業関係費は5兆9789億円(17年度予算比26億円増)で、6年連続の増額となりました。その中身は、安倍晋三政権がうたう「生産性向上」「競争力強化」に重点を置いたものです。請負金額10億円以上の工事が増加しており、公共事業のいっそうの大型化が進められています。


外環道の工事現場=東京都練馬区

都市環状道を財投で前倒し
「効率的な物流ネットワークの強化」として2283億円(5%増)を計上するほか、財政投融資(財投)1・5兆円を充て、三大都市圏環状道路建設の前倒しを狙います。住民の立ち退きや環境破壊などの問題があり住民から反対の声が出されている、東京外かく環状道路を含みます。JR東海リニア中央新幹線整備に向けた17年度の融資1・5兆円は終了しましたが、国土交通省関係の財投は17年度とほぼ同規模の3兆3981億円(7%減)です。
整備新幹線は17年度と同じ755億円ですが、地方負担金や運輸機構の予算を加えた事業費は3480億円。32%、850億円の増額です。北陸新幹線の金沢-敦賀間を重点化し910億円増額しています。
首都圏空港等の機能強化は155億円(1%増)です。羽田空港では20年のオリンピツク・パラリンピック東京大会などに向け、飛行経路を都心上空ルートに変更し発着数を増やすことが計画されています。ルート変更によって落下物の危険や深刻な騒音被害が予想され、住民は強く反対しています。
国際コンテナ戦略港湾等の機能強化は855億円(2%増)です。


2018年度予算案に含まれる大型開発
(カッコ内は2017年度予算比)
物流ネットワークの強化(三大都市圏環状道路など)2283億円(5%増)
大都市圏環状道路等の整備加速(財政投融資)1.5兆円
国際コンテナ戦略港湾等の機能強化855億円(2%増)
整備新幹線755億円(同額)
首都圏空港等の機能強化155億円(1%増)
国土交通省資料から作成


ダム建設以外 水害対策減額
近年多発している洪水被害を受け、水害対策の推進に3927億円(3%増)を計上しています。これにはダム建設費1640億円(122億円増)が含まれており、その他の水害対策予算は減少しています。
災害時における人流・物流の確保は4252億円(6%増)です。その中身は三大都市圏環状道路以外の高速道路整備が3765億円(7%増)と大半を占めます。
インフラ老朽化に対応する戦略的な維持管理・更新の推進は4472億円(4%増)。南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策等の推進は17年度から1億円減の1621億円を充てます。土砂・火山災害対策の推進は768億円(2%増)です。
防災・安全交付金は1兆1117億円(1%増)です。頻発する風水害・土砂災害や大規模地震・津波に対する防災・減災対策や老朽化対策など、地域における取り組みを支援するとしています。しかし、地方自治体からの要望に対して約6割しか配分されておらず、十分ではありません。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月25日付掲載


国際競争力の強化などの名目で、高速道路や港湾などの整備の予算が計上。
もともと財力のあるとことに、さらに予算をつぎ込むのでなく、生活道路や災害対策など、本当に必要なところに予算をつぎ込むべき。
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2018年度 予算案の焦点④ 雇用 「生産性向上」に助成

2018-01-27 11:32:39 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2018年度 予算案の焦点④ 雇用 「生産性向上」に助成

厚生労働省の2018年度予算案・社会保障関係費のうち雇用関連は17年度予算から2・6%増の444億円(一般会計)です。安倍晋三政権による「働き方改革」の実行を掲げ「生産性向上」に重点を置いています。
「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」は855億円(17年度比247億円増)です。非正規雇用労働者の処遇改善を実施した事業主を支援するキャリアアップ助成金などを拡充します。



職場に向かう労働者ら=東京都内

長時間労働につながる危険
安倍政権は通常国会で「働き方改革」関連一括法案(8本)の成立を狙っています。その中で「多様な就業形態の普及」として「ブリーランス」やテレワークなどの在宅勤務、副業・兼業の拡大を掲げています。テレワークや副業・兼業は使用者の労働時間管理責任が後退して、長時間労働につながる危険性があります。
予算案は「柔軟な働き方がしやすい環境整備」に7・5億円(0・7億円増)を充て、テレワークの導入支援や副業・兼業を普及・促進するといいます。
長時間労働の是正は247億円(57億円増)です。生産性を高めながら労働時間短縮磯毒に取り組む事業者等を支援するといいます。
長時間労働の是正には労働基準法を事業主に守らせる労働基準監督官の増員が欠かせません。雇用者1万人当たりの監督官の数がドイツ(1・89人)やイギリス(0・93人)など諸外国と比べて日本は0・62人と少なく、十分でないことは厚労省も認めています。監督指導体制の強化等は23億円(12億円増)。OB活用などにより監督指導体制の強化を図るといいますが、十分な額ではありません。時間外および休日労働協定(三六協定)未届け事業場に対し、適法な三六協定の締結に向けた相談・支援を新たに行うとしています。


厚生労働省雇用関連予算案主要事項
(カッコ内は2017年度予算比)
同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善855億円(247億円増)
長時間労働の是正や安全で健康に働ける職場づくり317億円(61億円増)
うち「長時間労働の是正」247億円(57億円増)
うち「過労死等の防止」143億円(53億円増)
柔軟な働き方の環境整備7.5億円(0.7億円増)
生産性向上、賃金引き上げの支援688億円(361億円増)
うち「生産性向上に資する人材育成の強化」417億円(309億円増)


賃上げ支援は設備投資等に
「生産性向上、賃金引き上げのための支援」として688億円(361億円増)を計上しています。253億円(38億円増)を充て賃上げに取り組む中小企業・小規模事業者を支援するとしています。しかし、助成を受けられるのは、賃上げだけでなく生産性の向上に資する設備投資等を行った企業です。17年度から行われていますが賃金は伸び悩んでおり、賃金を引き上げるには思い切った中小企業支援が必要です。
生産性向上に資する人材育成の強化に417億円(309億円増)を計上しています。IT分野の人材育成の強化などで安倍政権が打ち出した「第4次産業革命」に対応します。
過労死等の防止に143億円(53億円増)を充て、過労死等に関する調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体への支援などを行うとしています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月24日付掲載


長時間労働是正のための予算が増額されることは良いことです。その確実な実施のためには、労働基準監督官の増員が欠かせません。
賃金引き上げのためにも、中小企業への思い切った支援が求められます。
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2018年度 予算案の焦点③ エネルギー・中小企業 原発輸出 項目ずらり

2018-01-27 11:12:00 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2018年度 予算案の焦点③ エネルギー・中小企業 原発輸出 項目ずらり
2018年度のエネルギー関連予算は「重要なベースロード電源」と位置付けた原発を将来にわたって維持し、海外に輸出するための項目が並びます。

交付金を盾に再稼働へ圧力
「原子炉の安全技術の強化」に35・6億円を計上。立地自治体に交付する「電源立地地域対策交付金」に822億円を盛り込みました。再稼働するための審査を終えてから9カ月たっても稼働しない場合、交付金を減額するよう交付規則が16年4月に改定されました。交付金を盾に早期に再稼働を迫る圧力を強めています。
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉に179億円を盛り込みました。一方でフランスが進める高速炉の技術開発に51億円を配分。破たんしている核燃料サイクルに固執しています。
次世代原子炉と位置付ける「高温ガス炉」の研究開発に15億円を計上しました。政府は高温ガス炉を30年までにポーランドで建設することを目指しています。
政府は「固有の安全性を有する」と触れ込みますが、従来の原子炉と同様に、処理できない放射性廃棄物を生みだします。
原発輸出を進めるため、海外原子力施設の使用を支援する人材育成に予算を割り当てています。日立製作所が英国で原発を新設する事業に、政府が債務保証することを検討しています。政府が主導して原発輸出を推し進めるための予算措置がとられています。



廃炉が予定されている高速増殖炉「もんじゅ」



中小企業対策「稼ぐ力」強調
中小企業対策費として1771億円(17年度比39億円減)を計上しました。一般会計予算総額に占める割合は0・18%であり、過去最低を更新しました。
中小企業の「抜本的な生産性向上」を強調しています。「地域中核企業・中小企業等連携支援事業」に162億円を計上しました。「地域経済における稼ぐ力の好循環の実現」を目的とする地域未来投資促進法に基づく事業で、「稼ぐ力」のある一部の企業に偏った支援です。17年度補正予算に革新的なサービス開発などの支援に1000億円、IT設備導入に500億円を盛り込みました。地域経済や雇用を支える小規模事業者を支援する予算が不十分です。
17年度当初予算に240億円を計上していた商工中金への予算を18年度は見送りました。商工中金は中小企業にたいする金融の円滑化を図る政府系金融機関で、民間金融機関が貸しにくい小規模事業者にたいして融資を行っています。予算計上の見送りは17年の商工中金による不正行為を踏まえた措置です。
中小企業の事業承継を支援するため69億円を計上。17年度補正予算に販路拡大を支援する小規模事業者持続化補助金に100億円を盛り込みました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年1月20日付掲載


「次世代原子炉と位置付ける「高温ガス炉」の研究開発」と言っても、原発に変わりないでしょ。
放射性廃棄物がたまって、置き場所がなくなるのは目に見えている。
それよりも、再生可能エネルギーの普及に、もっと予算をつけるべき。
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