きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

性犯罪刑法改正④ 「暴行・脅迫要件」が救済に壁

2020-08-31 08:04:43 | 政治・社会問題について
性犯罪刑法改正④ 「暴行・脅迫要件」が救済に壁
強姦(ごうかん)罪・強制性交等罪の「暴行・脅迫」要件の問題は、刑事手続きに色濃く影響を与えてきました。警察が被害者の「被害届」を受理しない問題や、検察による不起訴の判断など、当事者が裁判で法的な救済を受けるまでに何重もの“壁”が阻んできました。
性暴力被害者支援を行う「SARC東京」の2018年度の調査では、医療機関や弁護士、警察へ被害者に同行したケースは242件(144人)。警察に同行したケースのうち被害届の不受理は25%にのぼりました。警察からは「暴行・脅迫」がないなどと言われたといいます。
一方、内閣府による17年の「男女間における暴力に関する調査」では、過去に「無理やり性交等された被害経験」があると回答した人のうち「警察に連絡・相談した」との回答は、女性2・8%(男性8・7%)でした。女性では性被害にあっても97%が警察に連絡・相談すらしていないことが浮き彫りになりました。こうしたもとで性被害が社会的に“なかったこと”にされてきています。



レイプ被害の民事裁判の勝訴の報告で、刑法改正の必要性を訴えた伊藤詩織さん=2019年12月18日、東京地裁前

不起訴6割以上
検察へと捜査の段階が移っても、公訴の提起にいたる割合である起訴率は、強姦罪・強制性交等罪で1998年にピークの72%になった後、2017年に32%まで半減。最近5年間で6割以上が不起訴となり、裁判に至っていません。
検察による不起訴をめぐり、犯罪成立のための「暴行・脅迫要件」の影響があるのではないかと、当事者らは長年、不起訴処分の内容の公表を求めてきました。
こうした声に押され、法務省は今年3月、「性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ取りまとめ報告書」の中で不起訴処分の内容について調査結果を公表。「暴行・脅迫要件」を満たさないことが不起訴の主な理由だとはっきりと示されました。
調査結果によると、18年度に各地方検察庁で強制性交等罪について不起訴処分となった事件380件のうち、「暴行・脅迫の認定に難あり」「暴行・脅迫の程度の認定に難あり」という「暴行・脅迫要件」に関する理由が全体の約5割を占めました。

法務省明らかに
「暴行・脅迫」だと認定されなかった行為には、▽被害者の体に覆いかぶさり、腰を両手でつかんで引き寄せる▽背後から抱きつき、寝室まで引きずってベッドに押し倒す▽手で頭を押さえる―などを列挙。この程度では反抗抑圧に当たらないとしたものです。
「暴行・脅迫」要件自体と「被害者の抵抗を著しく困難にさせる程度」という法の運用が、法的救済を求める被害者の“壁”になっていると、法務省が自ら明らかにしたのです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月26日付掲載


性犯罪の不起訴の理由に「暴行・脅迫要件」があまりにも厳しすぎることが言えると思います。
「背後から抱きつき、寝室まで引きずってベッドに押し倒す」では「暴行・脅迫」に当たらないって言うんですよ。


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性犯罪刑法改正③ 被害者保護 充実が課題

2020-08-30 08:01:12 | 政治・社会問題について
性犯罪刑法改正③ 被害者保護 充実が課題
検討会の開始に当たり、座長の井田良(まこと)中央大学法科大学院教授は次のように表明しました。「より効果的な被害者保護を可能にするとともに、無罪推定の原則をはじめとする伝統的な刑事法の基本原則をゆるがせにすることのない、新たな性犯罪処罰の在り方を模索し、その将来像を描く」

世界的な流れに
冤罪(えんざい)など国家権力の不当な介入を排除しつつ、被害者保護を強化するという法改正の課題は、各国もまた、1970年代以降、取り組んでいるものです。
米国では74年、ミシガン州が全米初となる強姦(ごうかん)罪の全面改正を実施。犯罪成立のために「最大限の抵抗」を要求したそれまでの「強姦罪」を改め、教師と生徒の地位関係など不同意を示す客観的な構成要件に変えています。
「先進国」といわれるスウェーデンでは、数度の法改正をへて2018年に「自発的に参加していない者との性交」を処罰化。自発的関与とみなされないケースとして暴行や脅迫とともに、睡眠や酩酊(めいてい)、地位関係などを示しました。
日本が参考にしてきたドイツ法も16年、「他人の認識可能な意思に反して」の性交を犯罪とし、それまでの「暴行・脅迫」の要件は「撤廃」して、刑の加重の要件へと改められました。
齊藤豊治・甲南大学名誉教授(刑法)は、「1960年代以降の人権の拡張を背景に、性暴力の圧倒的な被害者である女性らが声をあげ、法改正が重ねられた」と指摘。米国の改正が起点となり、カナダと英国、他の欧州、アジア諸国へと法改正の動きが拡大しました。



スウェーデン政府担当者(右から2、3人目)から同国の法改正について学ぶHRNなど市民団体=1月22日、国会内

市民団体も提案
こうした各国の法改正を調査した国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN)や性暴力の根絶を目指す市民団体でつくる「刑法改正市民プロジェクト」は昨年11月、具体的な条文案を発表。構成要件の「暴行・脅迫」を改め、「認識可能な意思に反して」の性交などを「不同意性交等罪」(懲役3年以上)とし、暴行・脅迫を用いた場合は、刑を加重すると規定しました。
さらに今年6月のHRN独自の同案改訂案では、刑の加重をなくして「不同意性交等罪」を懲役5年以上とし、同意がない典型例として、「有形力の行使、脅迫、威迫、不意打ち、偽計、欺罔(ぎもう)、監禁」を挙げています。
検討会では、委員やヒアリングを行った刑事弁護に携わる弁護士から、刑事裁判で「個人の内心」への検察官=国家権力の介入や冤罪を防止するため、客観的で明確な構成要件の必要性が述べられました。
刑事弁護に長年携わってきた加藤健次弁護士は、HRNなどの条文案について「『同意がない』場合が客観的な要件として明確に示され、法改正に慎重な意見にもしっかり応える内容」だと述べました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月25日付掲載


睡眠や酩酊(めいてい)、地位関係などを利用しての性行為。有形力の行使、脅迫、威迫、不意打ち、偽計、欺罔(ぎもう)、監禁などをあげて、刑に問うとしています。
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性犯罪刑法改正② 女性抑圧の仕組みが

2020-08-29 06:10:10 | 政治・社会問題について
性犯罪刑法改正② 女性抑圧の仕組みが
「私たち法律家が、『暴行・脅迫要件』という刑法の女性抑圧の仕組みそのものに光を当ててこなかったことは事実」「もっと早くから被害者の声にしっかりと耳を傾けるべきだった」。長年、刑事弁護に携わってきた加藤健次弁護士はこう語り、被害者保護を強化する法改正の必要性を述べました。

「男性の所有物」
刑法の女性抑圧の仕組みとは何か―。
日本では戦前、強固な家父長制が敷かれ、女性に参政権はなく、妻は法的に無能力な存在とされました。男性中心の世襲制が家族法の「家制度」で築かれ、婚姻の第一義は生殖にあり、女性は「男性の所有物」であると同時に「産む道具」とみなされました。女性には、夫以外の男性とは安易に性交するなとの「貞操義務」が課されました。
このもとで、刑法(1907年制定)の戦前の性犯罪規定の目的(保護法益)は「性的秩序の維持」「貞操保護」であり、姦通(かんつう)罪と強姦罪がその柱でした。
姦通罪は、妻による夫以外の男性との性交を処罰し、夫の姦通は免罪しました。夫の血統以外の子どもができることを禁じたのであり、戦後廃止(47年)されました。
強姦罪は、夫・父以外の男性が妻や娘を傷つけ、性交するとして処罰。妻・娘には「貞操」を守るために必死で抵抗する義務があるとされ、それを上回る「暴行又は脅迫」があった場合に罪となる、とされました。妻には夫の性交要求に応じる義務があったため、“夫婦間の強姦は存在しない”とされました。男性による女性の支配を守る仕組みだったと言えます。
戦後、男女平等を定めた日本国憲法のもとで姦通罪は廃止される一方、強姦罪は条文ごとそのまま残りました。「暴行又は脅迫」の程度は、「椙手方の反抗を著しく困難ならしめる程度のもの」(最高裁判決、59年5月10日)と、被害者の抵抗を前提とした解釈がなされ、「些細な暴行・脅迫の前にたやすく屈する貞操の如きは本条によって保護されるに値しない」(『注釈刑法』、65年版)という戦前同様の運用は2016年の改定版でなくなるまで、長年維持されました。

暴力許す土台に
こうした法の運用が一般社会での性暴力や「不同意性交」に対する認識をゆがめ、「隙があったのが悪い」「出世のために女性が進んで応じたのではないか」などと加害者や第三者が被害者を非難(セカンドレイプ、二次被害)するなど、性暴力に甘い日本社会の土台となってきました。
齊藤豊治・甲南大学名誉教授(刑法)は、こうした刑法の女性抑圧の仕組みに加え、性暴力自体が、地位関係を利用するなどして女性を性的に支配する行為だと指摘し、「家父長制的な男性による力の行使の表れだと言える。刑法と性暴力、二重の権力構造が被害者を苦しめてきた」と述べます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月24日付掲載


女性は「男性の所有物」で「産む道具」という戦前の思想は、今の自民党の政治家の認識に引き継がれています。
戦前の姦通罪(かんつうざい)なんてひどいもので、妻が夫以外の男性から性行為された事を罰する。性行為した男性を罰するのではなく、妻の方を罰するって矛盾してません。
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性犯罪刑法改正① 被害者の声 政治動かす

2020-08-28 08:12:48 | 政治・社会問題について
性犯罪刑法改正① 被害者の声 政治動かす
「性暴力被害に即して改正してほしい」―。刑法の性犯罪規定の改正をめぐり、法務省で現在、検討会で議論が行われ、7月27日の第4回会合では今後の「論点整理(案)」のなかに、初めて「暴行・脅迫要件の撤廃」と「不同意性交の処罰化」が盛りこまれました。性暴力被害の当事者らが長年求めてきたものです。性犯罪の刑法改正の論点を考えます。

厳しい暑さが残る11日の夕刻、千葉県習志野市の津田沼駅前でフラワーデモが行われました。スピーチで、長年父親から体罰とセクハラを受けてきたと告白した女性は「性的な虐待に抗議する私の意思を、父はないがしろにした」「私はもう黙らない。自分の気持ちに決してふたをしない」と訴えました。

広がるデモ参加
性暴力の根絶を求めるフラワーデモは、昨年3月の四つの強制・準強制性交等罪をめぐる裁判で無罪判決が相次いだことをきっかけに、全国47都道府県に広がり、回を重ねるごとに新たな参加者が増え続けています。
四つの無罪判決のうち三つで「同意のない性交(不同意性交)」があったと事実認定したことを受け、デモは不同意性交それ自体がレイプであり罰せられるべきだと訴え、不同意性交のごく一部のみが犯罪となる現行法では性暴力が正確に理解されず、被害者保護を阻んでいるとして法改正を求めてきました。
この動きに押され、今年3月、法務省は「性犯罪に関する刑事法検討会」を設置。性暴力被害の当事者が初めて委員に選任され、子どもや性的少数者などの性被害の実態のヒアリングを実施しました。
法改正に向けた「論点整理(案)」には、現行の強制性交等罪の成立要件である「暴行・脅迫要件」の「撤廃」が明記されるなど、当事者らの長年の要求が盛り込まれました。
2017年の刑法改正で検討会委員を務めた角田由紀子弁護士は「前回の検討会で『暴行・脅迫要件の撤廃』を訴えたのは私一人だけだったが、今検討会は、被害の実態をよく踏まえ、被害者保護に重点を置いている」と述べます。


「現行法は悪法」
法改正の必要を長年主張してきた齊藤豊治・甲南大学名誉教授(刑法)は「現行法は悪法であり、法改正は当然」だと述べ、「刑法の中に、戦前以来の家父長制の権力構造の仕組みが放置されてきたことが問題だ」と指摘。「被害者の声を受け止めてこの権力構造を改めるかどうかが、鋭く問われている」と語ります。


性暴力の被害やジエンダー不平等を訴えたフラワーデモ@千葉=11日、千葉県・津田沼駅前

現行法の性犯罪規定と主な条文
第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪
第174条公然わいせつ罪
第175条わいせつ物頒布等罪
第176条強制わいせつ罪
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
第177条強制性交等罪
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門(こうもん)性交又は口腔(こうくう)性交(以下「性交等」)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
第178条 178の2準強制わいせつ及び準強制性交等罪
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
第179条 179の2監護者わいせつ及び監護者性交等罪
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第176条の例による。
18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による。
第180条未遂罪
第181条強制わいせつ等致死傷罪
第182条淫行勧誘罪
第183条削除(姦通罪、1947年)
第184条重婚罪


刑法の性犯罪規定は2017年、「強姦罪」から「強制性交等罪」への名称変更や、親による18歳未満の児童への性交を条件なしで罰する「監護者性交等罪」の新設など、110年ぶりに大きく改正されました。一方で、「暴行・脅迫要件の見直し」や「13歳の性的同意年齢の引き上げ」などの論点は積み残されました。
改正前の強姦罪(1907年制定)は、日本国憲法で男女平等が規定されたもとでも、戦前の家父長制、男系中心の世襲制の「家制度」の発想を法の運用などで強固に引き継いできました。
同罪の成立要件の「暴行又は脅迫」は判例上、「相手方の反抗を著しく困難ならしめる程度のもの」(最高裁判決、59年5月10日)とされ、裁判官や警察が「抵抗できたのではないか」などと、被害者に責任を負わせる運用がまかり通ってきました。
一般社会に「挑発的な服装だったのが悪い」などと被害者を非難(セカンドレイプ、二次被害)する風潮をつくり、泣き寝入りを余儀なくされる被害者が生まれるなど、被害者を何重にも苦しめてきました。
角田氏は、日本国憲法の下でも「家制度」の発想とその仕組みが残った結果、今に至るも法曹界の女性は少なく、社会では性暴力を肯定する家父長制への批判がきちんとされてきていないと指摘。フラワーデモなどで「性被害は深刻なもの」との理解が広がり、検討会での被害者保護の議論にも反映し、「暴行・脅迫要件」を撤廃する議論が避けられなくなっていると言います。
齊藤氏は、欧米やアジアの国々でも家父長制は根強く残ってきたが、70年代以降、女性の人権の問題として被害者らが性暴力の実態を告発し、各国が被害者保護のために「強姦罪」の法改正を積み重ねてきたと指摘。日本でのフラワーデモは「世界の流れと同じように、家父長制の権力構造への異議申し立てに他ならない」と述べます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月23日付掲載


性暴力の根絶が求められています。
普通のデモとは違う、静かなデモ、フラワーデモ。
性暴力の被害者が、淡々と語ることで始まります。
その声が、政府を動かし始めています。
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防衛白書を読む⑧ 刊行50年 表紙は「令和ピンク」

2020-08-27 08:13:59 | 平和・憲法・歴史問題について
防衛白書を読む⑧ 刊行50年 表紙は「令和ピンク」
防衛白書は、1970年に初めて刊行されました。76年以降は毎年刊行されており、今年で刊行50年を迎えました。
防衛白書は、中曽根康弘防衛庁長官(当時)の「国の防衛には、何よりも国民の理解と積極的な支持、協力が不可欠」という信念のもと、創刊されたといいます。
刊行の目的は、「わが国防衛の現状とその課題およびその取組について広く内外への周知を図り、その理解を得ることにあります」と説明します。
表紙のデザインは、これまで日本や世界地図をあしらったものから、近年は戦闘機や戦車、艦船など兵器の写真を使ったものが主流でした。



初の刊行となった1970年の防衛白書(2020年版防衛白書から)


2020年版防衛白書の表紙(防衛省ホームページから)

20年版の表紙の色調はピンク色となりました。元号「令和」の出典となった万葉集の歌にちなみ、梅の花をイメージしたといいます。富士山と梅の花の絵が描かれています。
なお、19年版は、宇宙を意識して真っ黒に近い表紙でした。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年8月22日付掲載


防衛白書の最初の刊行は、中曽根康弘さんが防衛庁長官の時だった。
その中曽根さんはのちに総理大臣になった時、アメリカのレーガン大統領に言われて、シーレーン防衛や日本浮沈空母を提唱。
なるほどと思われます。
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