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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の現在と未来 台頭する企業略奪者⑧ 自社株買いを禁止する

2025-07-25 07:11:02 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の現在と未来 台頭する企業略奪者⑧ 自社株買いを禁止する

マサチューセッツ大学名誉教授 ウィリアム・ラゾニックさんに聞く

―「価値創造型経済」を再構築するためにはどのような改革が必要でしょうか。
私は著書(『略奪される企業価値』)で五つの主要な改革を概説しました。

価値創造を奨励
第一に、公開市場での自社株買いを禁止することです。米国証券取引委員会(SEC)の使命は「投資家を保護し、公正で秩序ある効率的な市場を維持し、資本形成を促進する」ことだとされています。公開市場での自社株買いを認めれば、これら三つの使命をいずれも果たせません。
自社株買いによる大規模な相場操縦を容認すると、投資家としての家計(個人株主)を保護できません。利益を得るのは自社株買いのインサイダー情報にアクセスできる経営幹部や物言う株主だからです。大規模な相場操縦を容認すれば、公正で秩序ある市場も確保できません。さらに自社株買いは資本形成を促進するどころか、設備や人的能力への投資を妨げ、資本形成を阻害しているのです。
第二に、役員報酬を再設計して、革新的価値創造を奨励し、略奪的価値抽出を罰することです。米国式の株式報酬は意図的に、価値創造ではなく、価値抽出の動機を企業幹部に与えるものです。
価値創造の動機を与えたいのであれば、株式報酬を排除すべきです。企業幹部は新製品を開発する革新的企業の成功に関連する指標によって報酬を与えられるべきです。その指標の中心は新製品を生み出すのに貢献した従業員の雇用保障や所得向上です。自社株買いは自らの務めを果たさない企業幹部の先行指標とみなすべきです。
第三に、労働者と納税者の代表を企業の取締役会に参加させ、ヘッジファンド・アクティビスト(物言う株主)などの略奪的な価値抽出者を排除することです。この主張は急進的です。しかし、もっぱら株主を代表する現在の企業統治制度が経済に与えているダメージの大きさを考えると、急進的な変革が早急に必要です。
第四に、税制を修正して「内部留保(株主に利益を流出させず社内に留保すること)と再投資(特に賃上げや雇用拡大)」を奨励し、「規模縮小と株主分配」を阻止することです。これまで法人税率の引き下げで得た追加的な所得を、大企業は主に株主への分配(配当と自社株買い)に振り向けてきました。大企業と最富裕家計層は、納税者としての家計に報いるために、公平な税負担を負うべきです。
第五に、労働者が集団的・累積的な学習を必要とする雇用機会を利用できるように政策的に支援することです。集団的・累積的な学習こそが新製品の開発を可能にし、労働者のキャリア形成にもつながるのです。



2024年5月~25年4月に4000億円の自社株買い計画を決議した三菱UFJ・FGの仮本社が入る三菱UFJ信託銀行本店ビル=東京都千代田区

日本への期待は
―日本は米国の後を追い、「価値抽出型経済」への転落を始めているようにみえます。
1999年に、フランスのビジネススクールの教員だった私は東京で開催された経済同友会の年次総会で講演を行い、「株主価値最大化」イデオロギーの危険性について警告しました。聴衆はおおむね好意的に受け止めてくれましたが、その後、日本では略奪的価値抽出に対する防壁が徐々に崩れてきています。特に、日本の銀行による株式持ち合いの解消と、外国人投資家による株式保有の大幅な増加が顕著です。
私の著書や、私が運営する非営利研究機関(産学研究ネットワーク)で同僚と行った多くの研究は、知識豊富な日本国民が米国の政治経済の根深い問題の根源を認識し、「株主価値最大化」イデオロギーのまん延に抵抗するのに役立つはずです。私は90年代にかなりの時間を日本で過ごし、東京大学で1年間教授を務めました。日本の学者や政策立案者がこれらの問題を真剣に研究してくれることを期待しています。
先日の東京出張では経済産業省の担当者と有益な議論を行いました。80年代から米国経済を疫病にかからせた略奪的価値抽出の問題点を正確に理解すれば、日本の企業家や政策立案者が「規模縮小と株主分配」の戦略への破滅的な転落を決断する理由はなくなるでしょう。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2025年7月10日付掲載


私の著書や、私が運営する非営利研究機関(産学研究ネットワーク)で同僚と行った多くの研究は、知識豊富な日本国民が米国の政治経済の根深い問題の根源を認識し、「株主価値最大化」イデオロギーのまん延に抵抗するのに役立つはずです。私は90年代にかなりの時間を日本で過ごし、東京大学で1年間教授を務めました。日本の学者や政策立案者がこれらの問題を真剣に研究してくれることを期待しています。
先日の東京出張では経済産業省の担当者と有益な議論を行いました。80年代から米国経済を疫病にかからせた略奪的価値抽出の問題点を正確に理解すれば、日本の企業家や政策立案者が「規模縮小と株主分配」の戦略への破滅的な転落を決断する理由はなくなるでしょう。

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