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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

識者が斬る新「3本の矢」③ 都合のいい数字ばかり 「くらしと経済研修室」主宰 山家悠紀夫さん

2015-10-11 22:18:00 | 経済・産業・中小企業対策など
識者が斬る新「3本の矢」③ 「くらしと経済研修室」主宰 山家悠紀夫(やんべゆきお)さん

都合のいい数字ばかり
「アベノミクスによって、雇用は100万人以上増えた。2年連続で給料も上がり、中小・小規模事業者の倒産件数も、大きく減少した。もはや『デフレではない』という状態にまで達した」―9月24日、自民党総裁に再選された安倍晋三首相の記者会見での発言です。

統計が語る事実
「アベノミクス万々歳」といった趣の発言ですが、本当でしょうか。関連する統計数字を見ましょう。
まず、雇用についてですが、アベノミクスの下で、増えたのはパート、派遣などといった非正規雇用ばかり(2年間で160万人増)で、正規雇用は減っています(同50万人減)。
次に、賃金について見ると、大企業に働く正規雇用者中心の統計である春闘賃上げ率は13年度、14年度ともに2%台に乗せましたが、中小企業や非正規雇用者も含めた全体の賃金統計を見ると、13年度が前年度比マイナス1・0%、14年度がマイナス0・4%となっています。
また、中小企業経営について見ると、金融の大緩和もあり、倒産件数は10年度以降毎年減少していますが、休廃業・解散件数が、13年度に過去最大の2万9000件に激増、14年度も2万7000件(この年の倒産件数9700件の2・8倍)と高水準を続けています。
あと一つ、物価について見ると、消費者物価(生鮮食品を除く)の上昇率は、安倍内閣発足前の12年12月が前年同月比マイナス0・2%でした。足元、15年8月がマイナス0・1%で、何も変わっていません。
要は、安倍首相は、都合のいい数字だけを取ひ上げてアベノミクスは成功したと言っているということです。



職場へ向かう労働者=東京都内

暮らしは厳しく
都合のいい統計だけを見るのではなく、全体の統計を見ましょう。
まず、日本経済の基調は何も変わっていません。
直近の15年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の数字を安倍内閣発足前の12年10~12月期と比べてみると、2・3%増となっています。この間10四半期ありますから、これを年率に直すと0・9%になります。21世紀に入ってから安倍内閣発足前までの日本経済の年平均成長率は0・9%でした。アベノミクスのもと、金融を大緩和し、公共事業を大盤振る舞いしても、日本経済の基調は少しも変わらなかった、ということです。
もっとも、変わらなかったことはまだよしとすべきかもしれません。暮らしの面を見ると、大きく悪くなっているからです。14年の勤労者所帯の実収入は、賃金が増えないところで円安による物価高があり、消費税増税がありで、12年に比べ3・5%少なくなっています。政府が毎年行っている調査(国民生活基礎調査)でも「生活が苦しい」と訴える世帯の比率が、12年の60・4%から14年には62・4%へと大きく上がっているのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月8日付掲載


正規雇用は減っているし、勤労世帯の実収入は減ってる。
倒産は減っても、隠れた休廃業や解散が増えている。
とてもアベノミクス万歳ではありません。
コメント
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