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グローバル経済と女性 フェミニズム経済学の視点 長田華子茨城大准教授に聞く④ 移民がケア職種に従事

2024-09-07 07:39:20 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済と女性 フェミニズム経済学の視点 長田華子茨城大准教授に聞く④ 移民がケア職種に従事


―経済のグローバル化は国境を越えた労働力の移動も伴っています。
現代のグローバル経済は、おもに1960年代末以降の企業・金融・情報のグローバル化を通じて、各国・各地域の相互依存関係を急速に高めています。①商品(財とサービス)の貿易②資金・資本の移動(直接投資と間接投資)③人や労働力の移動―という三つの側面でグローバル化が進んでいます。
直接投資は、先進国企業が海外に生産拠点を築くことであり、バングラデシュなど賃金の低い途上国での輸出向け衣服の生産が典型です。多くの製造工場では若年の女性が好んで雇われ、「労働力の女性化」という現象を引き起こしました(第3回参照)。

―現代のグローバル化のもう一つの特徴が労働力の移動です。
日本では、80年代後半以降、外国人労働者が急増し、2022年10月末時点で専門的・技術的分野、特定活動、技能実習、資格外活動をはじめとするさまざまな在留資格を持った外国籍の人は、182万2725人に上っています。



バングラデシュの日系縫製工場の様子(長田氏提供)

女性が国際移動
従来、国境を越えて移動する人は男性労働者と考えられ、女性の場合は、男性労働者の被扶養者(妻や母)と想定されていました。しかし、1990年代以降に女性の単身移動が増加し「国際移動の女性化」と呼ばれる現象が見られます。

―なぜそうした現象が起きたのですか?
国際分業が進展する中で、金融・経営・管理などの高度なサービス部門は先進国の主要な都市に残り、拡大しています。米ニューヨークやロサンゼルス、英ロンドンなどは世界経済をリードするとともに世界経済にサービスを提供する拠点に位置付けられ「世界都市(グローバルシティー)」と呼ばれます。

世帯に押し付け
世界都市では金融取引関連業務、法務や会計業務、IT関連業務といった専門的な対企業サービス職種が高度化しました。同時にこの専門職種に従事する富裕化した賃金労働者とその家族の生活を支える対個人サービス職種が進展しました。そこに多数の移民女性が吸収されました。
家事、育児、介護、看護の職種に移民女性の就労が増加したのです。典型的にはフィリピンやインドネシア、スリランカなどの国籍を持つ女性でした。
本来ならば、国家が公的なケアサービスを提供することが必要です。しかし多くの福祉国家では、公共サービスを削減し、世帯にケアを押し付けています。個々の世帯は有償のケアサービスを購入することで対処しています。ケアはグローバルに商品化されているのです。ただし、日本は例外で、今なお日本人女性が世帯内の家事・ケア役割を担い続けています。
家事、ケアの国際移動は先進国、途上国の双方がケアを供給しづらい状況に直面していることを示しており、フェミニスト経済学者は「ケアの危機」と呼び、警鐘を鳴らしています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年8月30日付掲載


世界都市では金融取引関連業務、法務や会計業務、IT関連業務といった専門的な対企業サービス職種が高度化。同時にこの専門職種に従事する富裕化した賃金労働者とその家族の生活を支える対個人サービス職種が進展。そこに多数の移民女性が吸収。
家事、育児、介護、看護の職種に移民女性の就労が増加したのです。典型的にはフィリピンやインドネシア、スリランカなどの国籍を持つ女性。
家事、ケアの国際移動は先進国、途上国の双方がケアを供給しづらい状況に直面していることを示しており、フェミニスト経済学者は「ケアの危機」と呼び、警鐘を。

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