きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

欧州への難民 大規模流入5年① 人道危機深刻 EU対応後手に

2020-09-30 07:55:01 | 国際政治
欧州への難民 大規模流入5年① 人道危機深刻 EU対応後手に
ギリシャのレスボス島にある欧州最大規模のシリア難民キャンプで9月9日早朝、大規模な火災が発生し、焼け出された難民は路上や廃屋で寝泊まりしています。2015年にドイツのメルケル首相が欧州に押し寄せる難民受け入れを発表してから5年。欧州連合(EU)は今も、難民問題への恒久的な解決策を見いだせていません。難民問題の現状や当事者の声を探ってみました。
(ベルリン=桑野白馬)

火災が発生する前から、難民キャンプは劣悪な環境に置かれていました。キャンプには収容人数3000人に対し1万3000人が暮らし、食糧や医療支援も行き届いていませんでした。
EU外交政策アドバイザー(EEPA)のクララ・シュミッツ難民問題研究員は「EUは現在に至るまで、生命の危機にさらされた人を保護するという国際的な義務を果たせていない」と指摘します。



ギリシャ・レスボス島のモリア難民収容キャンプの火災で焼け出され、毛布をかぶって座り込む難民ら=9月10日(ロイター)


クララ・シュミッツさん(本人提供)

かじを切って
大量の難民の流入を受けて、一部加盟国や世論の中にはこれ以上の受け入れへの批判や抵抗感が強まりました。EUは、域外からの難民流入をいかに減らすかという方向にかじを切ります。
こういったEUの対応(別項参照)の結果、難民がギリシャやリビアに足止めされ、「人道危機が深刻化している」(シュミッツ氏)のです。
シュミッツ氏は、リビアでは難民が人身売買組織によって監禁、虐待され金品を巻き上げられるなどの被害が報告されていると語ります。「難民の流入制限のために資金を投じるよりも、難民の窮状を解決するための支援をすべきだ」
新型コロナウイルスの感染拡大も、難民への新たな脅威となっています。EUは新型ウイルスを理由に地中海での捜索・救助活動を縮小。シュミッツ氏はこの対応を批判します。「人身売買組織の取り締まりや、収容施設の整備に加え、虐待の被害者を支援する団体にこそ援助が求められている」と主張します。


■難民流入の経緯と主なEUの対応
2011年~シリア、リビアなどで内戦ぼっ発。
欧州に大量の難民が流入し始める
15年8月末メルケル独首相が難民の受け入れを発表。「バルカンルート」を通じてドイツに入国する難民が増加し、今年だけで89万人に。欧州全体に100万人超の難民が流入
同9月国内や他の欧州諸国から批判や懸念が相次ぎ、ドイツが出入国管理の強化を再導入
EU、加盟国による難民分担計画を発表。イタリアとギリシャにいる難民16万人の受け入れ分担を計画。ポーランドやハンガリーなどは受け入れを拒否
16年EU・トルコ、欧州側に渡った「不法移民」をトルコに送り返し、同数のシリア難民を受け入れる協定を締結。トルコ国内にとどまるシリア難民への多額の支援も約束
EU、地中海ルートの難民流入を抑えるため、リビアの沿岸警備隊の支援を決定
20年9月23日欧州委員会、難民受け入れの責任分担で新制度案を発表




新たな活力も
シュミッツ氏は、移民や難民受け入れが新たな活力と技術革新をもたらす機会にもなる、と語ります。その際、受け入れ国の市民と日常的に触れ合い、会話する機会を持てるよう、国や自治体が支援することが求められると言います。
ドイツやフランスは、シリアで足止めされている難民の一部の受け入れを決定。ドイツは1553人の受け入れを行うと発表しました。他方で、難民の受け入れを拒む東欧諸国などの姿勢は変わっていません。
EUの執行機関である欧州委員会は9月23日、難民対応での新制度案を発表。難民を受け入れない国は、難民認定を受けられなかった人の本国送還を負担するなどして、加盟国間の「連帯と責任の均衡」(フォンデアライエン欧州委員長)を目指すとしました。
難民の権利活動家や支援機関は、受け入れ数の割り当て義務など根本的な対策が盛り込まれていない、と指摘。左翼政党は、難民保護の責任に背を向けた、と厳しく批判しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月29日付掲載


自ら生まれ、住んでいる国を出ていかざるを得ない窮状の人々。難民となった人たちを受け止めるだけのキャパシティーはEU諸国にはあると思います。
地中海で遭難するような悲惨なことがないように…。
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大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点⑥ 「明日の大阪」真の道

2020-09-28 08:00:30 | 政治・社会問題について
大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点⑥ 「明日の大阪」真の道
新型コロナ問題を通じて、みんなが「明日の大阪」を真剣に探究しています。日本共産党は、住民投票で、大阪市廃止=「都」構想を否決し、さらに、大阪市の力をいかした「明日の大阪」をつくるため、六つの方向を提唱し、実現に全力をあげています。

■共産党が提唱する「明日の大阪」をつくる六つの方向
1、医療・介護・社会保障が充実した安心の大阪に
2、みんな楽しく子育てできる大阪に
3、こども中心の教育、文化豊かな大阪に
4、消費と中小企業の活性化で景気回復させる大阪に
5、「何でも民営化」を改め、「公」の役割を果たす大阪に
6、誰もが大切にされ、尊厳をもってくらせる大阪に

公の役割発揮を
維新は、経済効率優先、規制緩和、社会保障切り捨て、自己責任押し付けの「新自由主義路線」を大阪府・市政ですすめてきました。
住吉市民病院を「二重行政だ」「年間5億円浮く」と廃止し、府立公衆衛生研究所と市立環境科学研究所を統廃合しました。府内の病床は、人ロ10万人当たりで1235床(2010年)から1202・7床(18年)に削減されました。保健師数も全国で下から2番目です。そのもろさが、新型コロナで明らかになりました。
「医療・介護・社会保障が充実した安心の大阪に」「『何でも民営化』を改め、『公』の役割を果たす大阪に」は、大阪ではとりわけ切実です。




内需喚起を軸に
維新は、カジノなどの大型開発による「成長戦略」を描いています。しかし、世界的には「パンデミック(世界的大流行)が過ぎ去ったと言える国」はなく、さらに今後も繰り返しての流行が懸念されています。インバウンド(訪日外国人旅行)・カジノ頼みの「成長戦略」の破たんは明らかです。
今、大事なのは、内需と家計、中小企業を軸にした経済政策です。社会福祉への公的資金の優先投入で、くらしの安心をつくり経済を発展させる方向への切り替えです。
大阪での医療、保健、福祉、介護への公的資金の投入による経済波及効果は、カジノなどのための人工島「夢洲(ゆめしま)」(大阪市此花区)でのインフラ整備による波及効果を上回ります。雇用誘発効果も、医療など4分野への資金投入は、夢洲インフラ整備の1・08~1・43倍にもなります。
この転換こそ「明日の大阪」の展望を開きます。
(おわり)(この連載は、日本共産党大阪府委員会政策宣伝委員会が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月27日付掲載


自民党・菅政権も「自助・共助・公助」と言い、「公(おおやけ)」・政治の果たす役割を放棄しています。
維新政治はそれの上をいく効率優先。
それを転換して、医療、保健、福祉、介護への公的資金の投入で、経済波及効果や雇用誘発効果を起こすことが大事。
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大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点⑤ 公明と取引 政争の具

2020-09-27 07:26:35 | 政治・社会問題について
大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点⑤ 公明と取引 政争の具
大阪市を廃止・分割することの是非を問う住民投票は、2015年に続き、2度目です。住民投票にかけるためには議会での可決が必要ですが、過半数を持たない大阪維新の会は、公明党を篭絡(ろうらく)することに力を注ぎます。
1回目の住民投票では、府議会、大阪市議会が制度案を否決しましたが、橋下徹大阪市長(当時)らが「官邸頼み」の闇取引で、公明党の態度を変えさせ、住民投票が行われました。
今回も、公明党は17年4月に維新と住民投票の実施を密約。さらに19年4月の知事・大阪市長ダブル選後には、それまで反対していた「都」構想に「賛成」すると転じました。
公明党が府内に衆院議席を持つ4小選挙区に、維新が対立候補を立てないことを取引条件にしての動きです。松井一郎大阪市長、吉村洋文知事は「住民投票」に至ったのは「奇跡のような形」(『大阪から日本は変わる』)とうそぶきますが、そこにあるのは、政争で大阪市廃止・分割をもてあそぶ醜い姿です。

維新の党利党略
コロナ禍の下で住民投票をなぜ急ぐのか。各紙は次のように指摘します。
「市関係者は、『ここ数年の大阪の経済はインバウンド一本で支えられてきた。都構想後の維新の政策の目玉は万博とIR。コロナで二つのカンフル剤の不透明感が増す前に住民投票をやってしまう方が得策だ』と強調した」(「毎日」4日付)
「新首相が早期の衆院解散・総選挙に打って出るとの憶測が出始めた」「大阪維新幹部は『同日なら投票率が上がり、浮動票を狙うわれわれにとって有利な状況になる』と見立てを披露する」(「大阪日日」4日付)
党利党略が浮き彫りです。




情報隠して強行
松井大阪市長は、8月に大阪メトロが今まで以上に業績が上がり、今までの1・7倍にもなる配当・税収増、そしてプールなどを廃止する「改革効果」額を積み上げた財政シミュレーションを発表し、「特別区は赤字にならない」と宣伝しています。しかし、メトロは、4~6月期にコロナの影響で62億円もの赤字を出しています。新たに加えたメトロなどの配当金などがなくなれば特別区は大赤字です。
しかも、大阪市は9日に来年度の税収が496億円減となることや、メトロの配当金はコロナの影響で、来年度は無配当になると試算しています。特別区は財政破綻の可能性が指摘されています。
ところが、松井市長は「新たな試算はしない」と居直っています。
市民が的確な判断ができる情報を隠して住民投票を強行する―。民主主義と無縁の維新の姿が鮮明です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月25日付掲載


またもや公明だのみの住民投票。
政令市の大阪市廃止で税収が減ることへの補填を当て込んでいる大阪メトロからの配当。
それも今は見込めなくなっています。
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大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点④ 二重行政のウソ 鮮明

2020-09-26 07:58:33 | 政治・社会問題について
大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点④ 二重行政のウソ 鮮明
「二重行政が解消できるなら賛成」―大阪市廃止=「都」構想をめぐってよく聞かれる声です。大阪府や、大阪市が抱えてきたムダをなくすならいいこと、との思いでしょう。ムダを省くことは当然です。しかし、これまで病院も、大学も、図書館も、体育館も、「府立」と「市立」があり、市民の暮らしにかかわって困るような「二重行政」や、「大阪市廃止」でなければ解決できない「二重行政」はありませんでした。
維新がよくとりあげる「旧WTC(ワールドトレードセンター)ビル」と「りんくうゲートタワービル」は、「府市対立」のせいではなく、「府」も「市」も一体となって国の「ゼネコン浪費・巨大開発」にのめりこみ、失敗したものです。逆に、維新がすすめた「住吉市民病院廃止」は「二重行政廃止」の名による政策の失敗が明白です。


【特別区でもできる】
大阪府市大都市局理事(阿形公基君) これら(旧WTCビルなど)の施設整備は、法令に定められた事務ではございませんので、制度として特別区で実施することができないというものではございません。
(2015年2月27日、大阪府議会本会議の議事録)


政策でこそ解決
この政策の転換を図らなければ、今後、特別区でも、同じ失敗を犯しかねません。巨大ビル建設について、府も、大阪市も、「特別区で実施することはできないというものではございません」と答えています。特別区制度の東京でも都と特別区で長い対立が起きたことがあります。
ムダ遣いをなくす課題は、制度いじりではなく政策によってこそ解決できます。
松井一郎大阪市長は「今は二重行政はない」(8月21日、大阪市議会本会議)と言い切ります。では、何のための「大阪市廃止」なのか。「大がかりな制度変更を行うメリットが、いまだ判然としない」と指摘されています。
松井市長の言う「司令塔の一本化」は、住民の意思を無視して府が大型開発をすすめるためです。
「カジノは『大阪都』の試金石」と述べていた橋下徹元大阪市長は、カジノは「『大阪都』の話だ」「権限も用途地域のところは『都』が持つことになっている」と特別区長が反対しても推進できると公言しています。

必要なら手厚く
維新は、二重行政のムダとして、病院、公衆衛生研究所、産業振興などを挙げ、住吉市民病院を廃止しました。とんでもない話で、くらしと経営を良くする施策は、二重、三重にやることこそ大事です。
実際、こどもの医療費助成は、府が小学校就学前まで行っていますが、市町村は、それに加えて「18歳まで」などにしています。新型コロナ対策でも都道府県の対策に上乗せした支援が多くの市町村で実施されています。
二重行政=すべて悪ではなく、くらし・経営の支援は、国、都道府県、市町村が二重、三重にやるべきです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月24日付掲載


市民や府民に身近な施設でなくって、巨大ビル建設などは特別区になってもできるって言う。
財界が儲かる施策でなく、市民や府民に寄り添った施策を!
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大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点③ 矛盾と破綻あらわ

2020-09-25 08:12:10 | 政治・社会問題について
大阪市廃止=「都」構想 住民投票の焦点③ 矛盾と破綻あらわ
大阪市廃止=「都」構想は破綻があらわです。
大阪市を廃止し、特別区をつくるコストは、1300億円(15年分)もかかります。
加えて、1市が四つの小さな自治体になるため経費が増えますが、国からの手当てはありません。その額は毎年、200億円にもなると試算されています。18歳までの医療費助成の所要一般財源は77億円、敬老パスは50億円、学校給食費の無償化は77億円ですから、その大きさは歴然です。
膨大なコスト、経費増で、特別区になれば、前回みたように市民サービスの切り捨て、後退は必至です。

施設を大幅削減
しかも、設計図には、プール、スポーツセンター、老人福祉センター、子育てプラザの大幅削減が盛り込まれています。(表)


■財政試算に大幅削減が盛り込まれている施設
市民プール24カ所⇒9カ所
スポーツセンター24カ所⇒18カ所
老人福祉センター26カ所⇒18カ所
子育て支援活動24カ所⇒18カ所


松井一郎大阪市長、吉村洋文知事は「今回の都構想では『現在の住民サービスのレベルを一歩も後退させない』ということを明確に約束」(『大阪から日本は変わる』)などといいますが、「協定書」にあるのは「維持するよう努める」だけです。「向上」どころか、「維持」の保証もありません。
コストを抑制するとして、特別区の庁舎はつくらないとしたため、新たにできる「淀川区」や「天王寺区」の職員は、いまの大阪市役所の「中之島庁舎」に間借りします。区域外に「本庁」があるのは離島くらいという異常なものです。災害時に対応できなくなるなどの批判が相次ぎましたが、見直しはしないままです。
大阪市と24区役所に設置することができる災害対策本部は、4特別区に設置されるだけです。大阪市の災害対策本部には消防局や水道局が入っていますが、消防も水道も府の事務になるため、府知事のコントロール下におかれます。

介護も保育所も
全国一高い介護保険料の軽減は切実な願いです。大阪市のままなら一般会計からの繰り入れや、介護予防事業の充実などで値下げは可能です。ところが、大阪市廃止=「都」構想では、四つの特別区でつくる一部事務組合での事務になるため、特別区だけで値下げすることはできなくなります。
今は、大阪市内の保育所にはどの区にあっても入所できます。四つの特別区になると、待機児が多数いるなかでは、特別区間で調整制度をつくったとしても区を超えての入所は困難になります。
“大阪市廃止=「都」構想は、百害あって一利なし”の姿が鮮明です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年9月23日付掲載


大阪市にある24の行政区。それを4つの特別区に再編。それだけでも、市民にとって行政が遠くなるのですが、表の様に行政サービス、福祉、子育てが削減される。
介護保険料の軽減も難しくなります。
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