「しんぶん赤旗」号外配布で起訴され1審有罪になっていた堀越さん。東京高裁で逆転無罪の判決がでました!
2003年11月の衆院選前に共産党の「しんぶん赤旗」号外などを配布したとして国家公務員法(政治的行為の制限)違反に問われた社会保険庁職員(現・日本年金機構准職員)、堀越(ほりこし)明男被告(56)の控訴審判決で、東京高裁は29日、罰金10万円、執行猶予2年とした東京地裁判決(06年6月)を破棄し、逆転無罪を言い渡しました。
中山隆夫裁判長は「このような配布に同法の罰則規定を適用するのは国家公務員の政治活動に限度を超えた制約を加えることになり、表現の自由を保障した憲法に反する」との判断を示しました。
堀越さん側は、「配布は職場と離れた場所で休日に行った。公務に影響のない私的行為で、行政の中立性を侵害していない」と無罪を主張していました。
【引用】
この日の判決は「国家公務員の政治的行為を制限した国家公務員法の規定は合憲」と述べ、猿払事件判決の司法判断の大枠は維持した。その一方で「国民の法意識は時代の進展や政治的、社会的状況の変動によって変容する」と指摘。猿払事件当時と比べて「民主主義は成熟し、表現の自由が重要な権利であるという認識が一層深まっている」との状況認識を示し、「公務員の政治活動を全面的に禁止することは、不必要に広すぎる面がある」とした。
そのうえで、起訴された被告の行為を検討。被告は社会保険事務所に勤務する事務官で、職務に裁量の余地がなく管理職でもない▽勤務先から離れた自宅周辺で、公務員であることを明らかにせずに配布しており、目撃した一般国民がいたとしても、公務員の政治的行為と認識する可能性はなかった――と言及した。
さらに、機関紙の発行、編集をするのに比べると政治的な偏向が認められないことや、集団的な政治行為ではなかった点も考慮。「行政の中立的運営や国民の信頼という保護法益が損なわれる抽象的危険性があるとするのは、常識的に見て困難だ」と結論づけた。
中山裁判長は判決理由の最後に「付言」として国家公務員の政治的行為の禁止について言及。諸外国と比べても厳しく、制定当時と比べても大きな社会意識の変化が起きていることや、地方公務員に対する制限とも異なることを踏まえ、「組織的に行われたものや、ほかの違反行為を伴うものを除けば、表現の自由の発現として、相当程度許容的になってきている」と指摘。「刑事罰の対象とすることの当否、その範囲などを含め、再検討され、整理されるべき時代が到来しているように思われる」と述べた。 【朝日新聞Webより(2010年3月29日)】
公務員の政治行為を制限した国家公務員法の規定は合憲としている限界はありますが、一般職員がその立場を明らかにすることなく政治活動をすることを制限するのは、限度をこえた制約であり、表現の自由を保障した憲法に違反するとの見解を示しました。また、欧米と比べても禁止範囲が非常に広くて、世界標準と言う点で改めて考える必要があるとまで指摘しました。
民主主義の理性を発揮した判決を歓迎します!
【朝日新聞報道】
【毎日新聞報道】
【神戸新聞報道】
2003年11月の衆院選前に共産党の「しんぶん赤旗」号外などを配布したとして国家公務員法(政治的行為の制限)違反に問われた社会保険庁職員(現・日本年金機構准職員)、堀越(ほりこし)明男被告(56)の控訴審判決で、東京高裁は29日、罰金10万円、執行猶予2年とした東京地裁判決(06年6月)を破棄し、逆転無罪を言い渡しました。
中山隆夫裁判長は「このような配布に同法の罰則規定を適用するのは国家公務員の政治活動に限度を超えた制約を加えることになり、表現の自由を保障した憲法に反する」との判断を示しました。
堀越さん側は、「配布は職場と離れた場所で休日に行った。公務に影響のない私的行為で、行政の中立性を侵害していない」と無罪を主張していました。
【引用】
この日の判決は「国家公務員の政治的行為を制限した国家公務員法の規定は合憲」と述べ、猿払事件判決の司法判断の大枠は維持した。その一方で「国民の法意識は時代の進展や政治的、社会的状況の変動によって変容する」と指摘。猿払事件当時と比べて「民主主義は成熟し、表現の自由が重要な権利であるという認識が一層深まっている」との状況認識を示し、「公務員の政治活動を全面的に禁止することは、不必要に広すぎる面がある」とした。
そのうえで、起訴された被告の行為を検討。被告は社会保険事務所に勤務する事務官で、職務に裁量の余地がなく管理職でもない▽勤務先から離れた自宅周辺で、公務員であることを明らかにせずに配布しており、目撃した一般国民がいたとしても、公務員の政治的行為と認識する可能性はなかった――と言及した。
さらに、機関紙の発行、編集をするのに比べると政治的な偏向が認められないことや、集団的な政治行為ではなかった点も考慮。「行政の中立的運営や国民の信頼という保護法益が損なわれる抽象的危険性があるとするのは、常識的に見て困難だ」と結論づけた。
中山裁判長は判決理由の最後に「付言」として国家公務員の政治的行為の禁止について言及。諸外国と比べても厳しく、制定当時と比べても大きな社会意識の変化が起きていることや、地方公務員に対する制限とも異なることを踏まえ、「組織的に行われたものや、ほかの違反行為を伴うものを除けば、表現の自由の発現として、相当程度許容的になってきている」と指摘。「刑事罰の対象とすることの当否、その範囲などを含め、再検討され、整理されるべき時代が到来しているように思われる」と述べた。 【朝日新聞Webより(2010年3月29日)】
公務員の政治行為を制限した国家公務員法の規定は合憲としている限界はありますが、一般職員がその立場を明らかにすることなく政治活動をすることを制限するのは、限度をこえた制約であり、表現の自由を保障した憲法に違反するとの見解を示しました。また、欧米と比べても禁止範囲が非常に広くて、世界標準と言う点で改めて考える必要があるとまで指摘しました。
民主主義の理性を発揮した判決を歓迎します!
【朝日新聞報道】
【毎日新聞報道】
【神戸新聞報道】