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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

識者が斬る新「3本の矢」④ 支持率狙い「目くらまし」 「くらしと経済研究室」主宰 山家悠紀夫さん

2015-10-12 21:35:21 | 経済・産業・中小企業対策など
識者が斬る新「3本の矢」④ 「くらしと経済研究室」主宰 山家悠紀夫さん

支持率狙い「目くらまし」
9月24日記者会見での安倍晋三首相の発言はまだ続きます。
「本日、この日から、アベノミクスは、『第2ステージ』へと移ります」。今までの「3本の矢」は終わりにして「新しい『3本の矢』を放ちます」というのです。

政策の中身なし
新しい「3本の矢」とは何でしょうか。
「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の三つがそれです。①「国内総生産(GDP)600兆円(戦後最大の経済、戦後最大の国民生活の豊かさ)の達成」を目標に「経済最優先」の政策を展開する、②「希望出生率1・8の実現」を目指して、子育てに優しい社会をつくり上げていく、③「介護離職ゼロ」という旗を掲げ、社会保障制度の改革・充実を進めていく―と安倍首相は説明しています。
まるで説明になっていません。安倍首相がもっぱら語っているのは、政策の目標(矢の的)についてであり、その「的」をどうして射るかという、政策の中身(矢)については、全くと言っていいほど語っていないからです。
政策目標として見るなら、「GDP600兆円、戦後最大の経済」はともかくとして「国民生活の豊かさの達成」「希望出生率1・8の実現」「介護離職ゼロ」などという目標自体は必ずしも悪いものではありません。問題はその目標をどういう政策で実現するかという、政策の中身です。中身を語らない安倍首相の発言は空虚な言葉の連なり、というほかありません。



国際貿易の拠点、東京港(ロイター)

実現不可の目標
もっとも、目標はいいとしても、これまでの安倍内閣の実績からして、また、安倍内閣の現在の政策からして、これらの目標は実現不可能なものとしか見えません。
たとえば、「GDP600兆円」です。現状、2015年の日本のGDPはおよそ500兆円です。12年は475兆円でした。安倍内閣下の3年間の平均成長率は1・7%だったわけです。それでは、これからもGDPが毎年1・7%ずつ成長するとして、いつ600兆円になるでしょうか。
答えはおよそ11年後、26年です。安倍首相は、記者会見では、GDP600兆円達成の時期を明示していませんが、前後の話の流れからすると20年ごろと考えているようです。これまでの政策では11年かかるものを5年で達成する、どうしてやるのか、聞きたいところです。
「出生率1・8」「介護離職ゼロ」という目標達成の困難さについても言うまでもありません。現実の安倍内閣の政策は、派遣法の改悪、社会保障制度の改悪等々、そのことごとくが、これらの目標達成を困難にする方向で展開されています。政策を根本的に改める覚悟があるのかどうか、これも聞きたいところです。
そうした問いに、安倍首相はおそらく答えられないでしょう。
「新しい3本の矢」とは、全く中身のない、単に、安倍内閣の支持率を引き上げるためだけが目的の「目くらましの矢」にしか過ぎないからです。
(この項おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月9日付掲載


新しい「3本の矢」の「国民生活の豊かさの達成」「希望出生率1・8の実現」「介護離職ゼロ」などという目標自体は必ずしも悪いものではありません。しかし、それに政策がともなっていないのが最悪です。
コメント
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