きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

小池都政の実態(上) 「都民守る」と公約したが

2024-06-30 07:13:19 | 政治・社会問題について
小池都政の実態(上) 「都民守る」と公約したが

大激戦の東京都知事選(7月7日投開票)で、現職侭の小池百合子氏(71)が3期目を目指す政策で掲げる2期8年の「実績」の実態を見ました。(東京都・川井亮)

小池氏は政策で「2期目公約の実現」として、①「都民の命を守り『稼ぐ』東京の実現」②「『人』が輝く東京」③「『都民ファースト』視点での行財政改革・構造改革」を挙げました。

コロナ禍で病院独法化
「都民の命を守る」公約の中で「新型コロナ対策」を実績に挙げていますが、小池都政が行ったのは、新型コロナウイルス対策の先頭に立っていた都立・公社病院を独立行政法人化(2022年7月)したことでした。
都立・公社病院は平時から感染症病床を確保してきました。コロナ禍には最大2210床のコロナ病床を確保し、障害者や透析患者ら入院先の確保が難しい患者を積極的に受け入れました。厚生労働省の調べでは、全国のコロナ病床数の上位1~11位を都立・公社病院が占めました。
独法化は「経営効率」優先で、都の財政支出の削減が目的です。都は独法化で「人材を柔軟に確保できる」としてきましたが、実際には独法化後1年半余で職員不足などにより19病棟の計629病床が休止しています。
コロナ禍では、公衆衛生の拠点の保健所に「電話がつながらない」という事態も相次ぎました。区部では各区に保健所があるのに対し、多摩地域では7カ所しかなく、府中市など6市を所管する保健所は100万人もの人口を抱えています。
都は「保健所のあり方を検討する」としていましたが、1月にまとめた対応策では「市町村等関係機関との連携強化」やデジタル化を進めるとした一方、住民が求める保健所の増設は盛り込みませんでした。
小池氏のコロナ対策は、自慢できるものではありません。



都議会で3選出馬表明後、記者団に語る小池百合子知事=6月12日、都庁

行財政改革資料白塗り
小池氏は「『都民ファースト』の視点での行財政改革」を実績として挙げています。
しかし、知事就任当初掲げていた「情報公開は(都政の)信頼回復への一丁目一番地」(16年12月議会での所信表明)はどうなったでしょうか。
小池氏は16年12月議会では「黒塗り資料の積極的な公開も進めてきた」と述べましたが、晴海五輪選手村用地の投げ売り、神宮外苑再開発、築地市場豊洲移転、カジノ誘致検討などの公文書を日本共産党都議団やジャーナリスト、市民団体が開示請求したのに対し、都は黒塗り文書を連発しました。
ジャーナリストらがこれを批判すると、今度は文書の非開示部分を枠で囲んで白く塗りつぶす「白塗り」にしました。「黒塗り」を「白塗り」にしたのが実績だと言うのでしょうか。

ごまかした市場の移転
小池氏は16年の知事選で「築地市場豊洲移転は立ち止まる」公約を掲げ、17年6月の都議選直前の会見では「築地は守る」「(築地は)市場としての機能が確保できるための方策を見出(みいだ)す」「(仲卸業者が)築地へ復帰する際のお手伝いはする」と述べていました。
しかし、都議選が終わると一転じて豊洲移転推進を打ち出し、8月の記者会見で移転決断の理由を問われると「それはAI(人工知能)だからです」と意味不明の発言でごまかし、移転を強行したのです。
その後、築地市場跡地は三井不動産などを事業予定者に選定。事業者は収容人数5万人の大規模集客施設や大規模会議場、高層マンションなどを建設する計画を打ち出しました。「築地は守る」公約は影も形もありません。
24日の討論会では、かつて「築地は守る」と述べていたことについて問われ、小池氏は「築地の定義がよく分かりません」としどろもどろでした。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月27日付掲載


「都民の命を守る」公約の中で「新型コロナ対策」を実績に挙げていますが、小池都政が行ったのは、新型コロナウイルス対策の先頭に立っていた都立・公社病院を独立行政法人化(2022年7月)したこと。
都は独法化で「人材を柔軟に確保できる」としてきましたが、実際には独法化後1年半余で職員不足などにより19病棟の計629病床が休止。
晴海五輪選手村用地の投げ売り、神宮外苑再開発、築地市場豊洲移転、カジノ誘致検討などの公文書を日本共産党都議団やジャーナリスト、市民団体が開示請求したのに対し、都は黒塗り文書を連発。批判されて「白塗り」に。
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けいざい四季報 2024 Ⅱ ④ 半導体産業 米・中覇権争いのなかで

2024-06-29 09:22:58 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2024 Ⅱ ④ 半導体産業 米・中覇権争いのなかで

【ポイント】
①AI専用の半導体をめぐる大企業の競争が激化。米エヌビディアが世界首位に
②AI向け半導体の確保は米・中の軍事的覇権争いの焦点に。日本は米国に協力
③「骨太の方針」で半導体大企業の支援強化。日米首脳会談でも支援連携を確認

自然な言語や画像をつくる生成AI(人工知能)が急速に広がるもとで専用半導体の製造や確保をめぐる大企業間や国家間の競争が激しさを増しています。

ブーム追い風に
18日には米半導体大手エヌビディアの株価が米株式市場で急伸し、時価総額でマイクロソフト(MS)を抜いて初めて世界首位に立ちました。同社の株価は前日終値比4%弱上昇し、時価総額が約3兆3400億ドル(約527兆円)に到達。MS(約3兆3200億ドル)やアップル(約3兆2900億ドル)を上回りました。
エヌビディアは、膨大なデータを瞬時に処理して生成AIの学習や推論を支える画像処理装置(GPU)の世界市場で8割を占めています。
「チャットGPT」を手がけるオープンAIなど巨大IT企業がこぞって購入しており、生成AIブームの追い風を受けて時価を高めた形です。グーグルなども自社の専用半導体の開発に乗り出しています。
エヌビディア製品の確保は、ドローン(小型無人機)や自律型致死兵器システム(LAWS)など最新鋭兵器への生成AIの利用を進める米中両国にとって死活問題となっており、経済安全保障に関する米中対立の焦点になっています。



米半導体大手エヌビディアの本社=5月21日、カリフォルニア州サンタクララ(AFP時事)

輸出規制を強化
18日には米ブルームバーグ通信が、日本とオランダに対して米国がAI向け高性能半導体について対中規制を強化するよう要請すると報道。高性能半導体の製造装置を手がける大手の東京エレクトロン(日本)とASML(オランダ)が念頭にあるといいます。
米国は国内の半導体工場に巨額の支援を行いながら、エヌビディア製半導体の対中輸出規制を強化しています。
日本は米国に歩調を合わせ、半導体製造装置などの対中輸出規制を強めています。一方、財務省の貿易統計によると、半導体製造装置の輸出額は中国向け(台湾を除く)が対世界比で5~6割を占め、依存度を深めている現状もあります。




日本の技術動員
岸田文雄政権は21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)で、次世代半導体の量産に向けて「重点的投資支援を行う」ために法制上の措置を検討すると明らかにしました。すでにラピダスの北海道工場に最大9200億円の支援、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場に同1兆2000億円の支援を決めています。青天井に特定大企業を優遇する政策です。
4月10日には日米首脳会談の共同声明に、AI、量子技術、半導体など「重要・新興技術の振興および保護等によって日米の技術的な優位性を確保するとともに、我々の経済安全保障を強化する」ことを盛り込みました。次世代半導体分野では研究開発から人材育成までの日米の「共同技術アジェンダ(実行計画)」を策定することと、資金調達を含めた日米連携の強化を打ち出しました。
米国の対中覇権争いに日本の先端科学・技術を本格動員する構えです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月28日付掲載


6月18日には米半導体大手エヌビディアの株価が米株式市場で急伸し、時価総額でマイクロソフト(MS)を抜いて初めて世界首位に。同社の株価は前日終値比4%弱上昇し、時価総額が約3兆3400億ドル(約527兆円)に到達。
「チャットGPT」を手がけるオープンAIなど巨大IT企業がこぞってエヌビディアの製品を購入。生成AIブームの追い風を受けて時価を高めた形。
米国は国内の半導体工場に巨額の支援を行いながら、エヌビディア製半導体の対中輸出規制を強化。
日本は米国に歩調を合わせ、半導体製造装置などの対中輸出規制を強化。一方、財務省の貿易統計によると、半導体製造装置の輸出額は中国向け(台湾を除く)が対世界比で5~6割を占め、依存度を深めている現状も。
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けいざい四季報 2024 Ⅱ ③ 異常円安 値上げラッシュ再燃の恐れ

2024-06-28 07:25:30 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2024 Ⅱ ③ 異常円安 値上げラッシュ再燃の恐れ

【ポイント】
①異常円安が進み政府・日銀が計9兆7885億円の為替介入に追い込まれる
②日銀が「緩和継続」を表明したため、日米金利差を意識した円売り圧力が増大
③異常円安の進行で輸入物価が上がり、値上げラッシュ再燃の恐れが指摘される

異常円安が一段と進み、政府・日銀は為替介入の実施に追い込まれました。

2度の為替介入
円相場は、4月29日の外国為替市場で1ドル=160円台まで下落した後、一転して154円台に急騰しました。政府・日銀が円買いドル売りの為替介入に踏み切ったとの観測が浮上しました。さらに5月2日、円相場は1ドル=157円台半ばから一時153円台まで4円以上も急騰。政府・日銀が再び為替介入に踏み切ったとの見方が強まりました。
財務省は5月31日、外国為替市場で4月26日から5月29日までに計9兆7885億円の為替介入を実施したと発表しました。実施日は8月に公表されますが、4月29日と5月2日だとみられています。介入規模は月次公表ベースで過去最大となりました。
それでも円安の流れは止まっていません。円相場は5月14日には1ドル=156・46円(東京市場17時時点)まで下落。6月26日には1ドル=159・90円(同)となっています。



日本銀行本店=東京都中央区



背景に金融緩和
異常円安の背景にあるのは日銀の金融緩和です。
日銀は4月26日の金融政策決定会合で、短期金利の誘導目標を「0~0・1%程度」に据え置きました。同時に公表した景気予測「経済・物価情勢の展望」では、当面「緩和的な金融環境が継続する」としました。日銀が緩和継続を表明する一方で米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、金融市場で円売り圧力が増大しました。
6月14日の金融政策決定会合では、「月間6兆円程度」としてきた国債買い入れの減額方針を決めました。具体的な減額計画は7月会合で定めるとしました。短期金利の誘導目標は「0~0・1%程度」で据え置きました。
日銀は3月のマイナス金利政策解除に続き、「量的引き締め」にも移行することになります。国債買い入れの減額によって長期金利に上昇圧力がかかるため、日米金利差拡大を背景に進んできた円安を一定程度抑制する効果を期待する声もありました。しかし具体策が示されなかったことで、同日の為替市場では円安が進みました。

輸入物価が上昇
異常円安の進行によって値上げラッシュ再燃の恐れが高まっています。
主要食品メーカー195社の値上げ動向調査を続けている帝国データバンクは、24年1~10月に値上げが予定される品目のうち、「円安」要因の値上げは29・2%となり、前年同時期(11・5%)に比べて約3倍の水準に拡大したと分析しています。
さらに「34年ぶりの安値となった円ドル為替相場は、2022年半ば~23年前半の値上げラッシュを引き起こした当時の円安水準を超えており、24年4月における円ベースの輸入物価指数は前年同月比6・4%の上昇となるなど影響が顕在化している」と指摘。「今秋にかけて『円安値上げ』の割合がさらに高まる局面も予想される」と警鐘を鳴らしています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月27日付掲載


異常円安の背景にあるのは日銀の金融緩和。
日銀が緩和継続を表明する一方で米国の早期利下げ観測が後退し、日米の金利差が広がった状態が続くとの見方から、金融市場で円売り圧力が増大。
異常円安の進行によって値上げラッシュ再燃の恐れが高まっています。
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けいざい四季報 2024 Ⅱ ② 国内景気 利益最優先の弊害 鮮明に

2024-06-27 07:11:08 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2024 Ⅱ ② 国内景気 利益最優先の弊害 鮮明に

【ポイント】
①名目賃金が上昇するものの物価上昇には及ばず。実質消費は伸び悩み景気は低迷
②円安の進行などを追い風に大企業は軒並み過去最高益を更新。内部留保も最高額
③自動車大手5社で型式指定の認証不正が発覚。背景に人員不足や開発期間の短縮

2024年1~3月期国内総生産(GDP)は改定値で上方修正されたものの年率1・8%の減少でした。マイナス成長にとどまった最大の原因は個人消費の低迷です。日本経済に影響を与えるほど国民生活が逼迫(ひっぱく)する一方、大企業は軒並み過去最高益を更新しています。

実質賃金減少
4月の実質賃金は前年同月にくらべ0・7%の減少でした。実質賃金の減少は25カ月連続で過去最長を更新しました。名目賃金は同2・1%の上昇だったものの、消費者物価指数の上昇率は2・9%だったためです。
企業物価、消費者物価とも高い水準の伸びを記録しています。帝国データバンクのまとめによると、食品主要195社が行った6月の飲食料品値上げは614品目を数えます。大規模な値上げラッシュとなった前年同月の3775品目に比べて大幅に減少しましたが、すでに高い水準からの値上げです。
値上げの要因は原材料価格の高騰と異常円安です。とりわけ円安はアベノミクスの「異次元の金融緩和」を日銀が続けてきた結果です。


【国内経済の主な出来事(4月~6月)】
4/1消費税導入から35年
4/102023年の企業物価2.3%上昇
4/12日銀「生活意識調査」で83.3%1年後の物価上昇を予想
4/192023年度消費者物価2.8%上昇
4/26日銀が金融緩和継続を決定
4/29東京外為市場で一時1ドル=160円台
5/8トヨタが3月期決算で営業利益兆3529億円。円安が追い風に
5/14シャープが液晶パネルを製造する堺工場の停止を発表
5/29日銀の保有国債含み損が9.4兆円
6/3企業内部留保が537兆円
6/3国交省がトヨタなど5社で認証不正が判明したと発表
6/54月の実質賃金が25カ月連続減
6/101~3月期GDP年1.8%減
6/14日銀が国債購入減額を決定
6/212月の消費者物価指数が前年同比2.5%上昇


内部留保最大
国民生活を苦しめている円安が、大企業に最高益をもたらしています。自動車大手7社の24年3月期決算は営業利益や純利益で過去最高を更新するケースが相次ぎました。
トヨタ自動車は本業でのもうけを示す営業利益が前期比96%増の5兆3529億円を記録。日本企業として初めて5兆円台の大台に乗せました。
スズキも過去最高の利益を計上。両社とも円安が利益を押し上げました。
自動車だけでなく、損害保険や商社も最高益を記録しています。三菱商事は、円安で利益を700億円増やし、同期の純利益で最高益だった前年に次ぐ9640億円をあげています。
1~3月期の財務省「法人企業統計」によると資本金10億円以上の大企業(金融・保険業を含む)の内部留保は537・6兆円と過去最大を更新しました。



完全子会社のダイハツ工業による試験認証手続きの不正について記者会見に臨むトヨタ自動車の豊田章男会長=2023年5月8日、バンコク(ロイター)

不正が相次ぐ
ダイハツ工業などの型式認証不正問題を受け、自動車メーカーに求めた社内調査で国土交通省は、トヨタ自動車など5社で不正が判明と発表しました。型式認証制度は、新車の販売に際して安全・環境性能と品質の均一性について国土交通省の審査を受ける制度です。審査に合格して型式を指定されると1台ずつの検査を省いて同じ型式の車を大量生産・販売できます。しかし、自動車メーカーは規定の試験を行っていませんでした。
マツダの場合、生産中の2車種の出力試験でエンジン制御ソフトを書き換えていました。トヨタは認証試験の一部を完成車で行わずに、開発段階の試験データを無断で提出していました。
不正の背景には短期開発を強いられていることと、人員の削減があります。利益を最優先する体質から安全最優先に改めなければなりません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月26日付掲載


4月の実質賃金は前年同月にくらべ0・7%の減少でした。実質賃金の減少は25カ月連続で過去最長を更新。名目賃金は同2・1%の上昇だったものの、消費者物価指数の上昇率は2・9%だったため。
トヨタ自動車は本業でのもうけを示す営業利益が前期比96%増の5兆3529億円を記録。日本企業として初めて5兆円台の大台に。
スズキも過去最高の利益を計上。両社とも円安が利益を押し上げ。
ダイハツ工業などの型式認証不正問題を受け、自動車メーカーに求めた社内調査で国土交通省は、トヨタ自動車など5社で不正が判明と発表。
開発段階の試験データを完成車に流用。まさに安全性が問われる問題です。

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けいざい四季報2024 Ⅱ ① 世界経済 教皇、G7でAI兵器懸念

2024-06-26 07:15:12 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報2024 Ⅱ ① 世界経済 教皇、G7でAI兵器懸念

【ポイント】
①米国は7会合連続で金利を据え置き。欧州は利下げに踏み切る。日本と対照的
②イエレン米財務長官が訪中。中国の「過剰生産」問題などで対立も協議は継続
③ローマ教皇がG7サミットに初めて参加。AIの兵器への利用に懸念を示す

米連邦準備制度理事会(FRB)は6月11~12日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を現在の5・25~5・50%に据え置くことを決めました。据え置きは7会合連続。2024年内の利下げ回数を1回と想定、従来の3回から減らしました。
パウエルFRB議長は記者会見で「現時点で政策を緩和しはじめることを正当化するような自信を持っているとは考えていない」と述べました。インフレ鈍化の動きが停滞する中、利下げを急がない姿勢を示した形です。

欧州は利下げ
一方、欧州中央銀行(ECB)は6日の定例理事会で、政策金利の0・25%の引き下げを決めました。利下げは2019年9月以来4年9カ月ぶり。民間銀行がECBに資金を預け入れる際に適用される預金ファシリティー金利は3・75%、主要政策金利は4・25%となります。ラガルド総裁は記者会見で、インフレ圧力が弱まる兆しが出てきたとの認識を示した上で、「賃金の伸びは依然高いものの、減速傾向にある」と説明。利下げ決定は「(経済の)先行きに対する自信が高まった」ためと強調しました。
国際通貨基金(IMF)は、米欧のインフレ鈍化を背景に、FRBやECBが今年後半に利下げに転じると予想していました。欧米の政策当局の対応にばらつきはみられるものの、利下げの方向性は共通しているようです。日本とは対照的です。


世界経済の主な出来事(4月~6月)
4/2バイデン米大統領、中国の習近平国家主席と電話会談
4/3~9イエレン米財務長官が訪中。中国の過剰生産に懸念を表明
4/8バイデン米政権、TSMCに最大66億ドルの助成発表
4/26中国の習主席とブリンケン米国務長官が会談
5/6米国務省、サイバー空間・デジタル国際政策戦略を発表
5/20国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状を請求すると発表
5/21韓国と英国の共同主宰で「AIソウルサミット」をオンライン開催
5/279回目の日中韓サミット約4年半ぶり開催。共同宣言発表
6/6ECB、主要政策金利を0.25%引き下げ
6/12FRB、FF金利の誘導目標の据え置きを決定
6/147カ国首脳会議(G7サミット)にローマ教皇が史上初めて出席
6/17中国、G7サミットの首脳宣言に入った「過剰生産への批判」に反発


協力の重要性
米国のイエレン財務長官が4月3~9日に訪中し、李強首相、何立峰副首相らと会談しました。中国の過剰生産や、それが米国の労働者や企業に与える影響などについて懸念を示しました。低所得国や新興国の債務問題など、世界的な課題に対する協力の重要性も強調しました。
李首相は、同月2日に習近平国家主席とバイデン米大統領が電話会談し、対話の強化などに合意したことを取り上げ、中国は米国の敵ではなく、パートナーとして相互尊重、平和共存、協力の関係を望むとしました。対立を抱えつつ、両国の協議は継続しています。
7カ国首脳会議(G7サミット)は6月14日採択した首脳宣言で、中国による巨額補助金を投じた電気自動車(EV)や半導体の大量生産・輸出を「有害な過剰生産」と非難しました。安価な中国製品の流入が自国産業に打撃を与えているとの米国や欧州連合(EU)の認識が背景となっています。
中国外務省の林剣副報道局長は17日の記者会見で、首脳宣言について「客観的事実に反している」と批判しました。



G7サミットに出席したフランシスコ・ローマ教皇(前列中央)=2024年6月14日、イタリア・サヴェッレトリ(ロイター)

参加は史上初
G7サミットでは人工知能(AI)問題も議論となり、フランシスコ・ローマ教皇が出席しました。ローマ教皇のG7サミット参加は史上初。教皇は1月、世界に向けて「人工知能と平和」というメッセージを出していました。サミットでは倫理に即した規制を提唱し、人間の判断を介さずに攻撃する「自律型致死兵器システム(」AWS)」の開発・使用について再考を要請。AIが兵器に利用されることに懸念を示しました。
(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年6月25日付掲載


一方、欧州中央銀行(ECB)は6日の定例理事会で、政策金利の0・25%の引き下げを決定。利下げは2019年9月以来4年9カ月ぶり。民間銀行がECBに資金を預け入れる際に適用される預金ファシリティー金利は3・75%、主要政策金利は4・25%と。ラガルド総裁は記者会見で、インフレ圧力が弱まる兆しが出てきたとの認識を示した上で、「賃金の伸びは依然高いものの、減速傾向にある」と説明。利下げ決定は「(経済の)先行きに対する自信が高まった」ためと強調。
李首相は、同月2日に習近平国家主席とバイデン米大統領が電話会談し、対話の強化などに合意したことを取り上げ、中国は米国の敵ではなく、パートナーとして相互尊重、平和共存、協力の関係を望むと。
ローマ教皇のG7サミット参加は史上初。教皇は1月、世界に向けて「人工知能と平和」というメッセージを出していました。サミットでは倫理に即した規制を提唱し、人間の判断を介さずに攻撃する「自律型致死兵器システム(」AWS)」の開発・使用について再考を要請。AIが兵器に利用されることに懸念。
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