きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

人口減少社会を考える④ 財界の二律背反 大企業経営のあり方問う

2017-07-31 11:31:09 | 政治・社会問題について
人口減少社会を考える④ 財界の二律背反 大企業経営のあり方問う
経済研究者 友寄英隆さんに聞く

―「少子化」傾向にたいする財界・大企業の責任について、どう考えますか?
「少子化」の流れに歯止めがかからない、その根源を探ると、財界・大企業の目先の利潤追求の経営戦略があり、それを政府が一貫して放任し、「新自由主義」路線の労働政策の面からそれを促進・拍車をかけてきたことがあります。
1990年代以降に本格化した「新自由主義」路線のもとで、「労働法制の岩盤規制を突破する」などと言って、労働基準法の改悪、労働者派遣法の制定・改悪が繰り返され、低賃金・不安定雇用の非正規労働者が急増してきました。まさに「少子化」傾向が深刻になってきた30年は、財界・大企業の要求にそって労働法制の制度改悪が強行されてきた30年でもあったのです。



労働法制改悪に反対してデモ行進する人たち=5月24日、東京都千代田区

未婚率が急上昇
―「新自由主義」路線の労働政策が「少子化」を促進してきたとは、具体的にはどういうことですか?
労働法制の規制緩和などが、「少子化」に拍車をかけてきたことを象徴的に示す指標の一つが未婚率の急上昇です。図のように、1970年には男女とも1~3%だった生涯未婚率は、とりわけ90年代以降に急増し、2015年には男は23・37%、女は14・06%になりました。35年には男は約29%、女は約19%にまで上昇すると予測されています。
最新の「出生動向基本調査」(16年9月発表)によると、「いずれは結婚したい」と考える18~34歳の未婚者は、男性が85・7%、女性が89・3%となっています。若い人は結婚したいのに、現実には「結婚資金や住宅」「出産・子育て」
「安定した雇用」などの条件が障害となっています。長時間労働が若者の異性との出会いの機会を難しくしていることもあります。若者の雇用不安、将来展望の閉塞感が未婚率に拍車をかけているのです。




少子化に無反省
―しかし、最近は、財界も「少子化」対策の重要性を強調するようになっているのではないですか?
たしかに経団連も「人口減少への対応は待ったなし」(15年4月)などの提言を発表しています。しかし、財界提言を読んで感じることは、若者の未婚率上昇などをつくり出している労働条件の悪化にたいする財界としての責任、反省がまったく感じられないことです。
「少子化」対策における「財界の失敗」は、当面の利潤追求を最優先する「労務政策」と長期的な視点が求められる「労働力の再生産」との間には深刻なトレードオフの関係があるという認識がまったくないことです。トレードオフとは、「二律背反」「あちらを立てれば、こちらが立たず、こちらを立てれば、あちらが立たず」ということです。
―利潤追求は、資本主義的経営ならどこでも同じではないのですか?もちろん資本主義社会においては、企業の利潤追求を一般的に否定することはできません。
しかし、戦後日本の場合は、あまりにも異常でした。1990年代以降の大企業の経営戦略は、目先だけの利潤追求を極限まで徹底するということでした。それは長期的な視野に立った「労働力の安定的な再生産」の条件を根本的に掘り崩す結果をもたらしてきたのです。
しかも、本来なら、政府が「少子化」対策の立場から、あまりにひどい財界・大企業の短期的な利潤追求のやり方を規制して、長期的な「労働力の安定的な再生産」の条件を整えるべきだったのに、歴代自民党政府(最近は自公政権)は、その逆のことを推進してきました。
現代日本の「人口減少社会」のはじまりは、戦後日本の「大企業経営のあり方」を問うことでもあります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月28日付掲載


企業の方が、長期にわたって人材を育てるって観点でなく、目先の利益を追求するあまり、その人材の後継者を育てられない。
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人口減少社会を考える③ 少子化対策 自公政権の二重の失敗

2017-07-30 10:58:03 | 政治・社会問題について
人口減少社会を考える③ 少子化対策 自公政権の二重の失敗
経済研究者 友寄英隆さんに聞く

―日本が陥りつつある「人口減少社会」の主要な原因は何ですか?
人口減少の要因には、「出生、死亡、移動」の三つの要因がありますが、いま日本ではじまっている「人口減少社会」の最大の原因は、1970年代後半から今日まで四十数年間も続いてきた出生率の低下です。「少子化」傾向を食い止められなかったために、その将来への「投影」として、これから数十年間は、前回に説明した「人口減少モメンタム」の時代が続くわけです。
図でみると一目でわかるように、日本の出生率が人口置換水準(人口が増えも減りもしない出生率の水準)を継続的に下回るようになったのは、1974年からです。それ以来、急速に低下し続けてきました。最近数年間は、やや上向いたかのように見えますが、昨年(2016年)は、また1・44に下落して、人口置換水準の2・07からは、ほど遠いレベルです。こうした出生率の低下が今後も続けば続くほど、「人口減少社会」が続くことになります。



よりよい保育を求めてパレードする集会参加者=2016年11月3日、東京都千代田区

「少子化」促進策
―政府も「少子化」対策には、ずいぶん以前から取り組んできたはずではないのですか?
たしかに、1989年の1・57ショック(丙午〔ひのえうま〕の年の特殊要因による出生率低下〔1966年の1・58〕を下回ったときの衝撃)と言われたころから、「少子化」対策の課題はかかげられてきました。しかし、その後30年近くたっても、ほとんど効果をあげていません。
私は、歴代自民党政府、とくに最近の自公政権の「少子化」対策には、二重の失敗があったと思います。
一つは、政府自身が責任をもって実行すべき保育や教育、社会保障制度などの対策を十分実施せずに、むしろ「少子化」対策に逆行する政策、社会保障予算の削減や制度改悪を長年にわたって続けてきたことです。たとえば保育所の待機児童解消の課題は、ずいぶん以前から一貫して問題になってきたのに、まったく解決していないのは、まさに「政府の失敗」を象徴的に示しています。待機児童解消のためには、公的保育所を増やし、保育士の待遇を改善すること―課題はきわめて明確なのに、財源を惜しみ、思い切った対策に取り組んでこなかったのです。
いま一つは、「少子化」対策を言いながら、それに逆行する政策、とりわけ「少子化」を促進する労働政策をとり続けてきたことです。つまり、一方の手では「少子化」対策の看板をかかげながら、他方の手では逆に「少子化」を促進する政策を進めるという、まったく矛盾したことをやってきたのです。





出発から破たん
―安倍内閣は、「1億総活躍社会」をかかげ、「希望出生率1・8をめざす」などと言っていましたが、どうなっていますか?
安倍首相は、2016年にかかげたコ億総活躍社会プラン」のなかで、保育所の待機児童を17年度末までにゼロにすると国民に約束しました。安倍首相は国会答弁でも「待機児童ゼロを必ず実現する」と決意を繰り返してきました。ところが1年もたたないうちに、その目標を3年も繰り下げてしまいました。安倍内閣は、18年度から新しい「子育て安心プラン」に取り組み、20年度末までに待機児童解消をめざす新方針を表明しています。
安倍内閣の「希望出生率1・8」などという目標は、スタートしたとたんに破たんしたわけです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月27日付掲載


出生率を上げるためには、子育ての支援をしないといけません。具体化として、保育所、子どもの医療費、働く環境などがあげられます。
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「人口減少社会」を考える② 将来推計人口 50年後8808万人に縮小

2017-07-29 14:07:02 | 政治・社会問題について
「人口減少社会」を考える② 将来推計人口 50年後8808万人に縮小
経済研究者 友寄英隆さんに聞く

―日本の人口は大幅に減少すると言われています。誰が推計しているのですか?
人口の将来推計は、厚生労働省に所属する国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研と略す)が5年おきにおこなっています。新しい将来人口推計は、今年4月に発表されました。
それによると、2015年の国勢調査の総人ロ=1億2709万人にたいし、50年後の65年には8808万人に、現在の3分の2近くにまで縮小するとなっています。さらに、100年後の2115年には、最も厳しい仮定の場合には3787万人にまで減少すると推計されています。



母親と遊ぶ子

拡大投影の帰結
―日本の人口が大幅に減少するという推計には、どれだけ科学的な根拠があるのでしょうか?人口の将来推計は、天気予報のような自然現象の予測とは根本的に意味が違います。社人研は、次のように解説しています。
「将来人口推計は、少子化等の人口動向について、観測された人口学的データの過去から現在に至る傾向・趨勢(すうせい)を将来に投影し、その帰結としての人口がどのようになるかを科学的に推計するものである」(ホームページから)「人口学的データの過去から現在に至る傾向・趨勢を将来に投影」すると説明されていますが、このことを国連などでは「人口投影」と呼んでいます。
―「人口投影」とはどういうことですか?
子どものころに、小指と人差し指を立ててキツネの形をつくって障子や白壁に影絵を大きく映して遊んだ経験をお持ちでしょう。「人口投影」とは、こうした影絵と同じ原理です。別図のように、手元の小さな物体に光を当て、スクリーンに拡大投影することです。
つまり、「人口投影」の意味は、「直近の人口動態に隠された兆候を、将来というスクリーンに拡大投影して詳細に観察するための作業」なのです。「将来推計人口は、現在わが国が向かっている方向にそのまま進行した場合に実現するであろう人口の姿」をそのまま表わしているのです。




長期に減少続く
社人研の推計人口では、日本の過去から現在に至る人口学的データを将来に「投影」すると、日本はこれからしばらくの間、厳しい「人口減少モメンタム」の時代が続くと予測しています。
―「人口減少モメンタム」とはどういうことですか?
モメンタムとは、「勢い」とか「慣性」という意味です。「人ロモメンタム」とは、人口変動のタイムラグ(時間的ずれ)による独特の人口現象のことです。
「人口減少モメンタム」とは、長期にわたって低い出生率が続くと、若い世代ほど人口が少なくなり、しばらくの間は、親となって子どもを産む人口(再生産年齢人口)が減り続けます。そのために、仮にある時点から出生率が上昇して人口置換水準(人口が増えも減りもしない出生率の水準)になったとしても、その時点以後も子どもを産む女性の総数はまだ減り続けているので、社会全体として生まれてくる子どもの総数は減り続けることになります。
つまり、65年(50年後)に日本人口が8808万人に減少するという推計は、過去・現在の日本社会の人口学的な指標―それ自体は、現代日本の経済、社会、政治のゆがみを客観的に反映した指標―を、忠実に将来に拡大して「投影」した姿だということです。とりわけ1970年代以降の出生率の低下―人口置換水準を下回る「少子化」状態が長年にわたって継続してきた結果を表しているわけです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月26日付掲載


将来推計人口は、現在の出生率がすぐに反映するのでなく、数十年のタイムラグがある。出生率が減って久しいのに、日本の人口は増え続けてる。
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「人口減少社会」を考える① 人手不足 有効求人倍率の変異

2017-07-28 07:50:31 | 政治・社会問題について
「人口減少社会」を考える① 人手不足 有効求人倍率の変異
経済研究者 友寄英隆さんに聞く

大きな問題になっている「人口減少」について経済研究者の友寄英隆さんに聞きました。(聞き手 山田俊英)

―いまなぜ「人口減少社会」の問題をとりあげることが大事なのでしょうか?
まず最近のわかりやすい事例で考えてみましょう。

物流危機の背景
2017年に入ってから、物流最大手の運輸会社が人手不足(運転手不足)のために、宅配便の荷受けの総量抑制をするというニュースが連日大きく報道されました。春闘のなかでは、同社の労働組合は、トラックドライバーの不足で慢性化している長時間労働の軽減、サービス残業の賃金要求とともに、荷受量の抑制も要求しました。新聞も「物流クライシス(危機)」などと報道し、その背景には、深刻な「人手不足」があると指摘しました。
物流業界だけではありません。物流業界とともに、建設業界での人手不足も深刻です。ピーク時の1997年に685万人いた就業者は、2013年には499万人へと186万人も減少しています。政府の試算によれば、15~20年度の6年間で建設業界では延べ15万人の人材が不足するといいます。
人口減少にともなう「人手不足」の問題は、もう数年前から産業界全体に広がっています。民間信用調査会社、帝国データバンクは、定期的に「人手不足に対する企業の動向調査」をおこなっていますが、その最新のデータ(17年1月)によると、「企業の43・9%で正社員が不足していると回答、半年前の16年7月調査から6・0ポイント増加した。正社員の人手不足は、過去10年で最高に達した」としています。
―安倍晋三首相は「有効求人倍率」が高いことを、アベノミクス(安倍内閣の経済政策)の成果だとさかんに言っています。これをどう見ますか?
安倍首相が「有効求人倍率の上昇」をアベノミクスの「成果」だというのは、日本が「人口減少社会」に入ったために、とくに若い労働力が急減しつつあるという現実を無視した、もはや「空論」だと言わざるをえません。
人口減少の時代には、経済統計の意味も、かつての人口過剰の時代とは、正反対の経済状態を表すことがあるのです。たとえば、「有効求人倍率」は、ハローワークに申し込まれている求職者数(分母)にたいする求人数(分子)の割合を示す指標です。しかし、今日のように労働力人口が減少している時代には、かつてのように「有効求人倍率」の上昇が好景気の状態を示す指標としての意味は薄れてきています。分子の求人者数にたいして、分母の求職者数が減っているために、有効求人倍率が大きくなっているからです。


従業員が不足している上位10業種(2017年1月時点)
正規社員(%)非正規社員(%)
放送73.3飲食店80.5
情報サービス65.6娯楽サービス64.8
メンテナンス・警備・検査62.9飲食料品小売り59.4
人材派遣・紹介60.8繊維・繊維製品・服飾品小売り55.6
建設60.1医薬品・日用雑貨品小売り55.6
家電・情報機器小売り58.3旅館・ホテル53.3
運輸・倉庫58.1メンテナンス・警備・検査52.5
専門サービス54.8人材派遣・紹介51.1
自動車・同部品小売り54.2各種商品小売り47.6
電気通信53.8家具類小売り42.9
帝国データバンク調査から作成

地方で影響深刻
―「人手不足」のほかに、人口減少の影響はありますか?
人口減少は都市部と地方ではきわめて不均衡にすすんでいますから、農山村では、すでに深刻な影響が現れています。
たとえば、高知県の四国山地の中央に位置する大川村は、1960年には人口4000人余でしたが、過疎化が進み、現在は約400人にまで減少してきています。大川村では、村議会(定数6)を廃止し、住民の有権者全員で構成する「町村総会」を設置する検討を始めました。このニュースは、日本の人口減少自治体の窮状を象徴するものとして、新聞やテレビで大きく報道されました。
「人口減少社会」の問題は、地方においては、けっして50年後、100年後という遠い先の問題ではなく、まさに「今そこにある危機」となりつつあると言わなければなりません。
しかし、日本社会全体としての人口減少は、まだ始まったばかりです。その影響が本格的に現れてくるのは、これからだと思います。「人口減少社会」の意味については、国民の立場から、いろいろな検討が必要になっています。(つづく)(5回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月25日付掲載


有効求人倍率が回復したから景気が回復しているって言えない現実。
若者労働人口現象による深刻な人手不足こそ問題。

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安倍改憲 自衛隊明記の危険⑧ 「戦力不保持」残るが… 9条2項変質して空文化

2017-07-27 19:09:12 | 平和・憲法・歴史問題について
安倍改憲 自衛隊明記の危険⑧ 「戦力不保持」残るが… 9条2項変質して空文化

「(9条の)1項、2項を残すということだから、当然今まで受けている憲法上の制約は受ける」(5月9日)。安倍晋三首相は、こう述べます。
自衛隊が憲法の下にあって解釈上「合憲」とされてきたことと、自衛隊が憲法に明記され「合憲」となることは意味が全く違います。9条2項と自衛隊は、上下の関係から並列の関係になります。海外での武力行使はできないなど、従来の政府解釈の「制約」は存在意義を失います。
ただ9条2項が残る以上、憲法上の存在となった自衛隊も「戦力不保持」からくる一定の規制は残るとの見方もありえます。

“矛盾”をはらむ
自衛隊と「戦力不保持」規定が同時に存在するのは、常識的な認識では“矛盾”をはらみ、自衛隊に対し何らかの制約が生じるともいえます。ただ、9条2項と自衛隊規定との相互の解釈に矛盾がないよう整理されるでしょう。憲法が国の最高法規である以上、二つの規定が矛盾すれば、立法や行政に混乱や障害をもたらすからです。
では、どんな整理の可能性があるのか―。
一つは、自衛隊は「戦力」の一種だが、1項の侵略戦争放棄を受け、2項が保持を禁止するのは侵略的戦力で、自衛隊は2項が禁止する「戦力」ではないという整理です。自衛隊の活動に「侵略」以外の制限はないということになります。
一方、安倍首相と自民党は、「9条の政府解釈を1ミリも動かさない」としています。
従来の政府解釈を踏襲する形で、自衛隊は「戦力」には至らない“実力”であると整理され、従来の政府解釈上の制限が、当面、改めて確認される可能性はあります。
しかし、憲法によって軍事力としての「自衛隊」の保有が決められる以上(「戦力」でないといっても、その限界はこれまで以上にあいまいになります。必要に応じて自衛隊の活動が膨らみ、「戦力不保持」規定を圧迫していく可能性は否定できません。



戦争法案廃案、9条壊すなと訴える人たち=2015年8月30日、国会周辺

攻撃兵器容認へ
「(従来の)解釈を変えない」というのも「政策判断」にすぎず、憲法上は無制限の武力行使に道を開く危険な「幅」が生まれます。例えば、敵基地攻撃能力をめぐり、巡航ミサイルなどの攻撃的兵器の保有も、従来なら違憲の疑いがもたれますが、憲法上の存在となった自衛隊の「防衛力」として容認される余地は広がります。
さらに自衛隊に「自衛権」などの権限が明記されれば、「戦力」でないとしても、無制限な集団的自衛権の行使に道が開かれます。憲法上特段の制限がないもと、「解釈変更」されていく危険性もあります。
すでにみたように、戦争法によって海外での武力行使や米軍支援に大きく道が開かれています。
9条2項を残したままの自衛隊明記は、9条改憲として変則的で、自民党内や改憲勢力からも異論が出ます。ただ、憲法が「軍事による平和」という立場に変われば、自衛隊優位で活動範囲が拡大し、結果として9条2項が変質、空文化していく危険があることを直視すべきです。
自衛隊明記による9条破壊の改憲発議を許さないたたかいを広げるときです。
(おわり)(この連載は中祖寅一が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年7月23日付掲載


今までは、自衛隊は「戦力」でない「実力」と言われてきました。
憲法に自衛隊が明記されると、その境界がさらにあいまいになり、個別自衛権だけでなく、集団的自衛権に道が開かれる。

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