きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

五日市憲法を歩く④ 起草者 卓三郎の入獄体験

2018-12-08 18:00:58 | 平和・憲法問題について
五日市憲法を歩く④ 起草者 卓三郎の入獄体験
ツルシ カズヒコ

「しんぶん赤旗」旅記事の取材をかねて、宮城県北部の栗原市を訪れたのは9月初旬でした。市内・志波姫(しわひめ)は、五日市憲法草案の起草者・千葉卓三郎(1852~83年)の生地です。父は仙台藩下級藩士でした。
しゃれっ気をこめて「ジャパネス國 法学大博士 タクロン・チーバー」と自称した卓三郎の生家跡がタクロン公園です。志波姫総合支所の前には「千葉卓三郎顕彰碑」が立っています。



五日市憲法草案の抜粋条文が刻まれた「千葉卓三郎顕彰碑」。1979年11月建立(筆者撮影)

卓三郎の生地と末裔探索は、江井秀雄『自由民権に輝いた青春』(草の根出版会)に詳述されています。東京経済大学・色川大吉教授のゼミ生だった新井勝紘さん(元専修大学教授・「五憲の会」顧問)と副手・江井さんが、卓三郎の戸籍調査のために、旧志波姫町役場を訪れたのは1968年晩秋でした。
卓三郎は12歳で仙台に出て、仙台藩校・養賢堂学頭の大槻磐渓に漢学を学びました。17歳で仙台藩の志願兵として戊辰戦争に従軍。薩長政府軍との2度の白河戦に出陣し敗戦を喫しました。
栗原市・金成(かんなり)には、ギリシャ正教の金成ハリストス正教会があります。明治初期、この地にギリシャ正教を布教したのは、金成出身の医師で函館で洗礼を受けたイオアン・酒井篤礼(とくれい)です。篤礼に感化された卓三郎は、東京でロシア人司祭・ニコライから洗礼を受け、ペトルの洗礼名をもらいます(1873年)。帰郷後、布教に専心した卓三郎は、神仏不敬罪により登米(とよま)の監獄に100日あまり投獄(1874年)されました。



千葉卓三郎の生家跡・タクロン公園(筆者撮影)

鉄鎖につながれたこの入獄体験が、五日市憲法草案の人権保障規定に反映されているといわれています。ギリシャ正教は当時のこの地域の青年たちの封建的価値観を一変させ、その中から多くの民権家が育ちました。卓三郎もそのひとりです。
旧志波姫町は五日市憲法草案や卓三郎の顕彰に取り組み、1990年から現憲法と五日市憲法草案を併載した小冊子『おらほの憲法』を毎年、新成人に贈呈していました。当時、志波姫町議だった鈴木道夫さん(宮城農民連会長・元日本共産党栗原市議)はいいます。「次世代を担う若者に、歴史をよく学び憲法や民主主義の思想を正しく身につけてほしいとの町の熱意が伝わってきます」
地域の人たちが学習と議論を重ねて練りあげた、草の根民主主義憲法の起草者の生地ならではのエピソードです。
(編集者・ライター)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年12月5日付掲載


江戸幕府の時代は終わっても、支配層には封建的な思想が色濃くあり、神仏以外の布教も弾圧。
それではいけないと、自ら目覚めて自由民権運動へ合流したんですね。
コメント

五日市憲法を歩く③ ボロボロになった風呂敷

2018-12-02 15:53:56 | 平和・憲法問題について
五日市憲法を歩く③ ボロボロになった風呂敷
ツルシ カズヒコ

9月中旬。「五日市憲法草案の会」主催の五日市(東京都あきる野市)ツアーに参加しました。五日市中学校敷地内に「五日市憲法草案之碑」があります。基本的人権・教育権・地方自治・国民主権など、六つの抜粋条文を浮き彫りにした銅板がはめこまれています。そのひとつ45条は「日本国民ハ各自ノ権利自由ヲ達ス可(べ)シ 他ヨリ妨害ス可(べか)ラス 且(かつ)国法之(これ)ヲ保護ス可シ」。
草案顕彰碑は起草地の五日市町、起草者・千葉卓三郎の生地の宮城県志波姫(しわひめ)町、仙台市の資福寺の卓三郎墓所の3カ所に1979年11月、同時に建立されました。

ツアーの目玉は五日市憲法草案が発見された深澤家土蔵内部の見学でした。解説は「五憲の会」顧問の新井勝紘さん(元専修大学教授)。1968年8月の発見時、新井さんは東京経済大学教授・色川大吉ゼミの一員として土蔵調査に参加しました。土蔵2階に保管されていた風呂敷に包まれていた、後に「五日市憲法草案」と命名される、「日本帝国憲法」を最初に手にしたのが新井さんでした。この発見により、新井さんは日本近代史を専攻する研究者としての人生を歩むことになります。
発見当時の土蔵は、土壁が崩れ檜皮葺(ひわだぶ)きの屋根には夏草が生えていましたが、現在は修復され東京都史跡に指定されています。観音開きの扉を重々しく開けると、引き戸の中扉がありカマドウマが十数匹張りついていました。中扉を開けていよいよ内部に突入です。真っ暗なので懐中電灯を手に、急な木製階段を上り2階へ。



五日市憲法草案が発見された当時の深澤家土蔵(新井勝紘氏提供)


2018年9月現在の深澤家土蔵(筆者撮影)

棚の桐箱や小タンスには『佛國刑法講義』(ボアソナード)や『民法論綱』(ベンサム)など、明治初期の翻訳書や文書が詰めこまれていました。大きな梁の下の棚に保管されていた、弁当箱ほどの竹製の箱の中に「日本帝国憲法」を包んでいた風呂敷が入っていました。新井さんは記しています。
「…何の躊躇(ためらい)もなく、その結び目をほどいて中身を取り出そうとしたところ、布製の風呂敷が経年変化で紙のようにポロポロと崩れ、元の形にもどらなくなってしまった。これにはたいそう慌てた」(新井勝紘『五日市憲法』)
この大発見は、色川教授の読売新聞(1968年10月23日夕刊)への寄稿記事「明治の“草の根”民主主義村民がつくった憲法草案」により、広く知られることになります。政府主催の「明治百年記念式典」が開催されたころでした。
(編集者・ライター)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月28日付掲載


「五日市憲法草案」の現物が見つかったことは非常に貴重な発見ですね。女性の参政権や女帝もOKなどという、今の日本国憲法に勝る内容の憲法草案。しかし、命名は「日本帝国憲法」だったんですね。
コメント

核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から④ 日本政府の矛盾・破たん

2018-11-29 14:17:41 | 平和・憲法問題について
核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から④ 日本政府の矛盾・破たん
核保有国に依存する同盟国のなかでも、日本政府の言動は、きわめて重大です。
日本政府が第1委員会に提出した決議案「核兵器の全面廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」は、160力国の賛成で採択されました(反対4、棄権27)。
しかし、核兵器禁止条約の成立で中心的な役割をはたしたオーストリアなどが棄権し、昨年は賛成したアメリカやフランスも棄権に回りました。共同提案国は昨年からは12、一昨年からは31カ国も減りました(議案に明記された数)。さらに、決議に賛成した国からも不同意点などが表明されました。日本政府は、核保有国と非保有国の「橋渡し役」をするとしてきましたが、その破たんがはっきり示されました。
日本政府がこれまで提出してきた決議案は、「最大多数」の賛成をめざして、核保有国も非核保有国も受け入れられるように作られたものでした。
ところが、昨年の国連総会では日本の決議案に、非核保有国から多くの批判が噴出する異例の事態となりました。それは、禁止条約に一言も言及しないばかりか、一昨年まではあった、NPT再検討会議で確認した核兵器廃絶の「明確な約束」も削除されていたからです。アメリカは、これを「現実的」と評価し、イギリスとともに共同提案国になりました。アメリカの意をうけた「改変」ことはあきらかです。



中村法道知事(右から2人目)の呼びかけに応えて「ヒバクシャ国際署名」をする女性=2017年4月26日、長崎市

ふたたび批判集中
内外の批判にさらされた日本政府は今回、NPT再検討会議の合意に言及するなどの「手直し」をしました。しかし、決議案に異論を述べた国は20カ国をこえ、もっとも「物議をかもした」決議となったのです。
批判が集中した点のひとつが、「核兵器廃絶への明確な約束」という2000年NPT再検討会議で採択された文言を、「NPTを完全に実施する明確な約束」に書き換え、ゆがめたことです。賛成票を投じた国々ですら(スイス、スウェーデンなど)、こうしたやり方を厳しく批判しました。
さらに問題となったのが、「さらなる核兵器の削減をすすめるために(中略)国際安全保障環境を改善する」といった新たな文言が入ったことです。これは、核軍縮よりも「条件づくり」を優先させるアメリカなどと同じ主張です。
数字の上では圧倒的多数の賛成をうけた日本決議でしたが、その実態は、アメリカに「忖度(そんたく)」し、「改ざん」をかさねる日本政府の矛盾と破たんを示したものでした。被爆国にあるまじき恥ずべき態度です。

被爆国の役割とは
わが国では全体の2割近くの自治体で、核兵器禁止条約への参加を求める意見書が採択されています。その力になっているのは、被爆者を先頭にした訴えや原水爆禁止運動の従来の垣根をこえた共同です。
広島と長崎の被爆、ビキニ環礁での核実験被害を体験した国にふさわしい役割を政府にはたさせることは、日本の運動の国際的責務です。日本共産党は、政府が禁止条約に署名することを強く求めます。それを拒否するなら、サインする政府を国民の手でつくらなければなりません。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月23日付掲載


毎年、国連の第1委員会には「核軍縮」や「核廃絶」の多種多様な議案が出されることと思います。しかし、問題はその中身。被爆国が出す限り、少なくとも「核兵器禁止条約」に触れる必要があります。アメリカなどの核保有国に忖度した議案ではダメです。
コメント

核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から③ 深まる核保有国の矛盾

2018-11-28 13:11:29 | 平和・憲法問題について
核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から③ 深まる核保有国の矛盾
国連総会第1委員会の議論では、核兵器禁止条約を支持する勢力も、反対する核保有国も、核不拡散条約(NPT)を維持することでは一致しています。

NPTの枠組みが
NPT(1970年発効)は米英仏ロ中の五大国だけに核保有を認める、いわば核独占体制のためにつくられた枠組みです。しかし、その不平等をやわらげるために、第6条で「核軍備縮小撤廃に関する効果的な措置」について「誠実に交渉を行うことを約束」したのです。
ところが、条約の無期限延長がきめられた1995年以降、非核保有国は、核兵器を持たない義務を守っているのに、核保有国は第6条を実行していないことが大きな争点となってきました。NPTの枠組みが、核兵器廃絶をめぐる重要な交渉、論争の場となったのです。
核保有五大国を含めNPTに参加する191の国と地域は、これまで核兵器廃絶をめざす合意をつみあげてきました。NPT再検討会議は「核兵器廃絶の明確な約束」(2000年)や「『核兵器のない世界』を実現し、維持するための枠組み」をつくる「特別の努力」(2010年)を全会一致で確認してきました。
核保有国は、核兵器禁止条約はNPT体制にとって有害だと非難しています。
しかし、禁止条約はNPT第6条とこれらの合意にそったものといえます。核保有国が禁止条約を拒否するのなら、NPT条約締約国の責任として、第6条をどう実行するのか、「核兵器のない世界」への道筋を示さなければなりません。



NPT再検討会議の議長に就任予定のリブラン・カバクチュラン・フィリピン国連大使(右から2人目)に署名を手渡す新日本婦人の会の米山淳子事務局長(左から3人目)ら=2010年5月2日、ニューヨーク(行沢寛史撮影)

国際的な世論広げ
核兵器禁止条約の成立によって、核保有国はNPTの枠組みでも、矛盾を深めています。そのなかで、アメリカをはじめ核五大国が、2020年に迫ったNPT再検討会議を前に、従来の合意を否定する暴挙に出ていることは重大です。
2020NPT再検討会議とその準備委員会(2019年4~5月、ニューヨーク)は、重要な攻防の場となろうとしています。再検討会議が開かれる2020年は被爆75年にあたります。核兵器禁止条約を一刻も早く発効させ、それを力に核兵器に固執する勢力をおいつめていくことが重要になっています。今年の原水爆禁止世界大会はこうした展望のもとに、壮大な運動をよびかけました。
いま求められているのは、「ヒバクシャ国際署名」を軸に国際的な反核世論を広げること、そして、禁止条約を生みだした力でもある諸国政府との共同をさらに発展させることです。
とりわけ決定的なのは、核保有国や「核抑止力」に依存する同盟国の政府に迫る世論と運動です。今年8月、アメリカ最大のカリフォルニア(人口4000万人)州議会が核兵器禁止条約を支持する決議を採択して注目されました。原動力となったのは、医師らを中心とする草の根からの反核運動でした。フランスやイギリスでも反核運動が、独自の要求とむすびつけて、禁止条約への参加を政府に求める署名運動などをすすめています。
・こうした努力が国際的な共同とあいまって発展するならば、必ず逆流をうちやぶって、前進できます。日本共産党はひきつづき内外の反核運動と連帯して奮闘します。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月22日付掲載


核兵器禁止条約を発効させるための運動と従来からのNPT再検討会議での取り組みを相乗的にすすめて、一日も早く核兵器廃絶を実現させよう。
コメント

核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から② 追いつめられる核保有国

2018-11-27 14:09:30 | 平和・憲法問題について
核兵器廃絶 焦点と課題は 国連総会の議論から② 追いつめられる核保有国
核保有国とその同盟国は、核兵器禁止条約の流れに追いつめられています。

強い圧力示す発言
アメリカ代表は第1委員会の討論で「(核兵器禁止条約は)核軍縮を強要する」と非難し、フランスも「核軍縮を核保有国に命じることはできない」などと反発しました。署名もしていない国に、条約が何かを「強要」できるはずはありません。核保有国がいかに強い圧力を感じているかを示す発言です。
核保有国は「巻き返し」をはかろうとしています。アメリカは新たに「核軍縮のための条件創造」(CCND)なるものを持ち出しました。こうした「条件づくり」は「ハードワークであるが、重要な仕事」とし、それをしない核兵器禁止条約は「非現実的で、非生産的な近道」と非難したのです。これは、情勢の改善が先だとして、核兵器の禁止と廃絶を先送りする主張に他なりません。核保有国などはこれまでも、核廃絶は「究極の課題」で、段階的にやるべき(「ステップ・バイ・ステップ」)だと言って、核兵器禁止・廃絶をいますぐ交渉することに反対してきました。今回の「条件づくりが先」という主張は、こうした従来の主張からも後退したものです。



830万人のヒバクシャ国際署名を国連第1委員会のイオン・ジンガ議長(左から2人目)に届けた日本被団協の木戸季市事務局長(中央)、濱住治郎事務局次長(右から2人目)=10月10日、ニューヨークの国連本部(池田晋撮影)

五大国の共同声明
米英仏ロ中の核保有五大国は10月22日、核兵器禁止条約に反対する共同声明を発表しました。中国とロシアも参加した5カ国そろっての声明は禁止条約成立後初めてです。声明は「核兵器のない世界」を「究極」目標として先送りし、「核軍縮をさらに前進させられる国際環境づくりをすすめる」としています。つまり、アメリカの主張に英仏のみならず、中ロも足並みをそろえた格好です。
5カ国は声明で、核兵器禁止条約を「支持も、署名も、批准もしない」とあらためて拒否する姿勢を示しました。そして、禁止条約は核不拡散条約(NPT)を害するものであり、「1個の核兵器も削減できない」し、国家間の分断を深め、結果として核軍縮を困難にする、と非難します。
しかし、国際情勢を悪化させているのは、アメリカをはじめ軍事力を誇示する核保有大国の覇権主義的な政策に他なりません。禁止条約は「情緒的だ」(フランス)などと、感情的な悪罵をあびせ、対話・交渉を拒否する核保有国こそ、対立を助長しています。
声明で、五大国は条約に「拘束されない」し、「新たな基準や規範を設けるものではない」と述べています。しかし、これは、条約が、核保有国に「拘束」を感じさせる「新たな規範」となりつつあることを示すものです。
声明は、トランプ政権が中距離核戦力(INF)全廃条約を離脱すると表明したわずか2日後に発表されました。離脱をめぐってアメリカとロシアや中国は互いに非難をし合いました。
しかし、核兵器禁止条約に対抗する「大目標」のためには、五大国はさまざまな矛盾をはらみながらも、「結束」しています。核保有国は一致して禁止条約の流れを妨害しようとしている。ここに、基本的な対立構図があります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年11月21日付掲載


核保有大国は、表向きは核兵器廃絶反対とは言えず、「段階的に廃絶するんだ」と言ってきました。核兵器禁止条約が採択されてからは、その「段階的廃絶」も「条件づくり」が必要だと後退。追いつめられた結果です。
コメント