動き出すマイナンバー① 個人番号を官民扱う 情報漏えい歯止めなく

動き出すマイナンバー①　個人番号を官民扱う　情報漏えい歯止めなく

「個人情報の一部が流出したことが判明し、その中にお客様の個人情報が含まれていることが確認されました」
千葉県在住の５０代女性は６月、日本年金機構の１２５万件もの個人情報流出の該当者だとの通知を受け取り、目を疑いました。
「専用電話にかけましたが、『申し訳ありません』の言葉を繰り返すだけ。どうして自分の情報が漏れたのかなど肝心のことは教えてくれない。年金は毎年減らされ、あげくに個人情報まで漏らす。まったく許せませんよ」

管理がズサン
同機構の事件は、行政機関の情報管理が極めてズサンで、ひとたび漏えいすると取り返しのつかないことをまざまざと示しました。
ところが、「マイナンバー（共通番号）制度」では漏えいなどの危険性がより高まります。
マイナンバーは、赤ちゃんからお年寄りまで、住民登録をしている個人全員に付けられる１２桁の「背番号」。
個人情報はいま、世帯や住所は市区町村、年金は日本年金機構など各行政機関ごとに管理されています。
マイナンバーが導入されれば、各分野の個人情報が結び付けられ、国や自治体が一括して管理・利用できるようになります。民間企業もこの番号を扱うことになります。
個人情報が“いもづる”式に引き出され、情報漏えいや「なりすまし」・不正利用などの危険性が高まることは明らかです。
政府は「ファイァウオール（安全隔壁）もあり、個人情報にアクセスできる人も限られる」（甘利明特命担当相）と説明します。
しかし、年金機構の事件を見ても“絶対安全”などありません。個人番号を官民が扱うという仕組み自体が漏えいの危険性を高めるものです。民間事業所で適正な管理ができないとダダ漏れになるとの声も上がっています。
プライバシー保護は憲法で保障された権利であり、むやみに知られないようにすべきものです。国が国民に番号をつけて個人情報を収集し、行政一般に利用すること自体が重大問題です。


年金個人情報の流出で日本年金機構から個人宅に送付されたおわびの通知（画像を一部加工）

監視対象外も
政府は第三者機関（特定個人情報保護委員会）が監視するとしていますが、日弁連情報問題対策委員会委員長の坂本団（まどか）弁護士は指摘します。
「警察による刑事事件の捜査利用といった名目が付けば監視の対象外です。漏えいなどリスクを分析するアセスメント（特定個人情報保護評価）も、行政などが自分で自分に大丈夫といえばよく、歯止めにはなりません」
日本共産党の山下芳生書記局長（参院議員）が国会質問で四つのリスク―①情報漏えいを１００％防ぐシステムは不可能②意図的に情報を盗み売る人間がいる③一度漏れた情報は流通・売買され取り返しがつかない④情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすくなる―を指摘。菅義偉官房長官も「その通り」などと認めざるをえませんでした。
◇
マイナンバー制度が１０月から施行されます。郵送による番号通知に続いて、来年１月から利用が開始されます。暮らしや行政がどう変わるのでしょうか。
（つづく）

「しんぶん赤旗」日刊紙　2015年9月30日付掲載

年金や社会保険、所得税や住民税、住民サービスなども一括管理って言うんですが…。
一旦漏れた情報は、とめどもない…。一生変わらない番号って言うんですから、どうしようもない。
ファイアウォールがあるって言っても、外部からまったくアクセスできなければ制度の意味がないわけだし、プロのハッカーの手にかかれば１００００件のうち１件ゲットって事も…。