きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経済キーワード 加速する経済のデジタル化と岸田文雄政権の大軍拡路線

2023-01-08 07:17:01 | 経済・産業・中小企業対策など
経済キーワード 加速する経済のデジタル化と岸田文雄政権の大軍拡路線
加速する経済のデジタル化と岸田文雄政権の大軍拡路線をキーワードで読み解きます

デュアルユース
■民生技術の軍事転用

両用という意味の英語「dual-use」の日本語読み。民生と軍事の双方に利用できる「軍民両用」技術のことです。
無人航空機ドローンや人工知能(AI)などの先端技術は日々の生活を便利にする一方、使う側の意図によって兵器にも活用され得る側面をもちます。
政府・自民党は、大学や研究機関で開発されている民生利用のための基礎研究を軍事開発へ転用しょうとしてきました。
岸田政権が昨年12月に改定した「国家防衛戦略」は、軍事体制の強化のため「府省横断的な仕組みの下、防衛省・自衛隊のニーズを踏まえ、政府関係機関が行っている先端技術の研究開発を防衛目的に活用していく」と宣言しました。

軍産学複合体
■科学・技術を奉仕させる

軍事的組織と兵器産業が一体化した「軍産複合体」に学術界を巻き込んだ体制のこと。特定の国家や軍事のために科学・技術を奉仕させる仕組みです。
軍産複合体の中核である軍需産業は、地域紛争や国家間対立によって武器市場を広げます。武器の生産・輸出を進めるにあたり、他国より軍事的能力のある技術を有することが条件の一つです。その上で、高度な科学・技術を取り込むことは欠かせません。武器生産に携わる企業の科学者だけでなく、大学や研究機関の研究者を動員することでその目標を達成しようとします。
現在の戦闘領域は宇宙・サイバー・電磁波まで拡大しています。学術界に加え情報通信産業も軍産学複合体の一員です。

スタンド・オフ・ミサイル
■「敵基地攻撃」用の兵器

敵の射程圏外から他国の領域を攻撃できる長射程のミサイルで、憲法違反の敵基地攻撃を可能にする兵器です。
政府は「防衛力整備計画」の第1に同ミサイルの保有・配備を掲げ、運用部隊は全国に11個中隊を配備する計画です。沖縄県・宮古島などに配備中の「12式地対艦誘導弾」を射程千キロ以上に改修するとしています。
また、政府は2023年度予算案で、米長距離巡航ミサイル・トマホークの配備に2113億円を計上。同ミサイルは米軍需産業大手レイセオン社製で、オースティン米国防長官が同社役員を務めました。ミサイルの発射地点を隠すためにスタンド・オフ・ミサイルが発射可能な潜水艦の導入まで狙っています。

ハイブリッド戦争
■従来の「戦争状態」拡大

ハイブリッドは「混合」や「複合」という意味の英語「hybrid」の日本語読み。ハイブリッド戦争とは、兵器を使った物理的な戦闘に加え、インターネットの交流サイト(SNS)を利用した偽情報の流布や政治宣伝(プロパガンダ)、重要インフラを狙ったサイバー攻撃など、複数の手段を組み合わせて実行される軍事戦略のひとつです。
政府は、昨年12月に改訂された「国家安全保障戦略」でハイブリッド戦を「軍事目的遂行のために軍事的な手段と非軍事的な手段を組み合わせる」ものと定義しています。さらに同戦略は「軍事と非軍事、有事と平時の境目が曖昧にな(る)」と指摘。これは従来の「戦争状態」を拡大する概念です。

次世代半導体
■米中対立の主戦場

半導体の回路線幅でおもに「2ナノメートル(ナノは10億分の1)」「3ナノメートル」のものを指す先端半導体のこと。半導体産業では、回路線幅の微細加工技術を競うことでより多くのトランジスタ(電流増幅・切り替えの素材)を集積し、動作の高速化など性能を向上させてきました。
半導体は電化製品の制御を担い、パソコンやスマートフォンなど幅広い分野で使用されています。次世代半導体は大量破壊兵器やミサイルに転用可能で、米中対立の主戦場になっています。
日本政府は「経済安全保障法」の「特定重要物資」「特定重要技術」に位置づけ、日米共同の研究開発拠点の設立や特定企業への補助金など、開発・生産拠点の整備に巨額の資金を投じています。

インボイス
■業者に負担強いる制度



売買の際にやりとりされる書類で、適格請求書ともいいます。商品・サービスごとに金額のほか、適用税率と税額を記載。加えて税務署が課税業者に交付した登録番号を明記する必要があります。
消費税納税の際、課税業者は売り上げにかかる消費税から、仕入れにかかった消費税を控除します。10月にインボイス制度の導入が強行されると、課税業者は免税業者からの仕入れを控除できなくなります。免税業者は負担の増える課税業者になるか、取引を断られ巻かの選択が迫られます。
政府は①売上高1億円以下の業者なら1万円未満の取引をインボイス不要とする②免税業者から転換した課税業者は納税額を売り上げにかかる消費税の20%にする―の「激変緩和措置」を設けたとします。いずれも期限付きです。

サプライチェーン
■国際化により弊害噴出

「供給網」とも訳され、商品開発から原材料調達、生産、物流、販売までの供給の連鎖を指します。国境を越えた連鎖はグローバル・サプライチェーン(国際供給網)と呼ばれます。
多国籍企業は、人件費や税負担などのコストを最小化するために生産拠点を海外に移転し、国際供給網を構築しています。しかし新型コロナウイルスの大流行でその弊害が噴き出し、海外生産に依存するマスクなどの必需品の供給がひっ迫しました。多重下請け構造が海外労働者への人権侵害の温床となっていることも問題視され、国連で条約づくりの議論が進んでいます。
米国は中国に対する経済的・軍事的優位を保つために、半導体などの供給網の「脱中国依存」を図っています。

電気の規制料金
■大手5社値上げ申請

値上げ申請率
電力会社
東北電力32.94
北陸電力45.84
中国電力31.33
四国電力28.08
九州電力43.81
値上げ率は規制料金の平均。沖縄電力は高圧向けを含む


一般家庭向けの電気料金には、2016年4月の電力小売りの全面自由化以前から続く規制料金と、電力会社が独自に設定できる自由料金とがあります。規制料金の改定には、国の認可が必要です。
東北、北陸、中国、四国、沖縄の電力大手5社は、燃料価格の高騰を理由に、平均28~45%程度の規制料金値上げを申請。5社とも値上げ予定を23年4月としています。経済産業省は22年12月7日、電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合を開き、値上げ申請の審査を開始しました。今後、複数回の専門会合に加え、1~2月には5社の地元で公聴会を開いて利用者の意見を聴取。消費者庁の協議なども踏まえ、最終的に値上げ幅を確定します。


日銀新体制
■金融政策焦点に

2023年4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田東彦総裁は続投の意思を否定しています。総裁交代で新体制となる日銀が従来の金融政策をいかに修正すべきかが議論の的になっています。
黒田氏は13年3月20日に日銀総裁に就任。アベノミクスの大規模金融緩和政策を10年間続け、禁じ手を破って国債や株式などのリスク性資産を大量に買い入れました。円安と株高で大企業と富裕層の利益を増やす一方、経済の低迷を打破できず、格差を広げました。さらに異常円安と物価高騰を招きました。
日銀は12月10日時点で国債563兆円、株式投資信託36兆円を保有。価格が下がれば膨大な含み損が発生するリスクを抱え、行き詰まっています。

メタバース
■仮想空間のサービス


シーテック2022でのメタバースの展示=2022年10月18日、千葉・幕張メッセ

コンピューターの描画技術でくり出した3次元の仮想空間、またはそれを使ったサービのこと。「超(メタ)」と「宇(ユニバース)」を組み合わた造語。
利用者は、インターネット上の3次元仮想空間(メタバース)にアバターと呼ばれる自らの分身を参加させ、アバターから受け取る情報によって仮想空間を体験します。アバター同士の接触で他の利用者との意思疎通も可能です。メタバースがゲームであれば、アバターを通じて他の利用者とゲームを楽しむこともできます。メタバースが店舗であれば、ショッピングもできます。ただ、発展途上の技術であり、個人情報の保護などインターネット上の安全のルールの確立が必要です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月4日付掲載


デュアルユースという名の民生技術の軍事転用、「敵基地攻撃」用の兵器となるスタンド・オフ・ミサイルの導入など論外です。
次世代半導体の開発は必要ですが、軍事転用はやめてほしい。
免税業者を商取引から排除しかねないインボイス導入は中止を。
生産拠点を海外に移したために、サプライチェーンの寸断が危惧されています。
メタバースはまだまだ新しい技術。便利な面、安全性の確保も必要です。
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けいざい四季報 2022 Ⅳ ④ 経済安保 経済を「武器」に変える

2022-12-28 07:11:49 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2022 Ⅳ ④ 経済安保 経済を「武器」に変える
【ポイント】
①岸田文雄政権は「国家安全保障戦略」で初めて経済安全保障の政策推進を明記
②半導体など11分野を「経済安保法」の「特定重要物資」に。巨額支援が狙い
③トヨタ、NTTなど8社が次世代半導体の開発会社を設立。脱中国依存を加速

岸田文雄政権が16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」は、米国の対中国戦略に日本を巻き込む「経済安全保障」を初めて位置づけました。

推進体制づくり
国家安全保障戦略は、経済安全保障政策を進める体制づくりをうたいました。
米中対立の主戦場である半導体分野については、大量破壊兵器やミサイルなど軍事転用可能な次世代半導体の開発・製造拠点の整備を行うと指摘。重要な物資や技術を担う民間企業への資本強化や政策金融の機能を強化してサプライチェーン(供給網)での脱中国依存を強める狙いです。
また、機微情報を扱う民間業者や研究者に付与されるセキュリティー・クリアランス(適性評価制度)の創設を検討すると明記。プライバシー侵害や公安調査庁による大学監視の強化など基本的人権を侵害する危険があります。
科学・技術の軍民両用(デュアルユース)化に向け、「先端重要技術の情報収集・開発・育成」のための「支援強化・体制整備」を行うと表明。5千億円規模を見込む内閣府の「経済安全保障重要技術育成プログラム」の活用を掲げました。
投資審査や輸出管理の強化を行うとし、対中国を念頭に14力国が参加する米国主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の具体化など、同盟国・同志国との連携強化を行うとしました。


各国・地域の半導体産業への支援策
米国2022年8月に中国対抗の半導体産業支援法「CHIPS(チップス)法」を成立。5年間で計527億ドルの資金提供。設備投資などには25%の減税等措置
欧州22年2月に半導体の域内生産拡大や研究開発強化を図る「欧州半導体法案」を発表。30年までに官民で計5兆6000億円の投資計画
中国半導体関連技術・産業に対して中央政府5兆円超(14年から)、地方政府5兆円超の基金をつくり大規模投資を実施
台湾台湾への投資回帰を促す補助金等で累計2兆7000億円の投資申請を受理。20年7月に半導体分野に21年までの計300億円の補助金計画
内閣官房「経済安全保障法制に関する有識者会議」(第3回会合、22年10月6日)への内閣官房・内閣府提出資料を基に作成


重要物資11分野
政府は12月20日の閣議決定で、「経済安全保障法」に基づき安定供給を図る「特定重要物資」に半導体など11分野を指定しました。11分野は半導体、天然ガス、蓄電池、永久磁石、重要鉱物、工作機械・産業用ロボット、航空機部品、クラウド、船舶関連機器、肥料、抗菌性物質製剤。半導体については2030年に国内企業の合計売上高で15兆円超を実現すると掲げています。11月末まで意見公募を実施しました。
各国・地域では、半導体分野に大規模な支援策をとっています。日本政府も22年度第2次補正予算で、半導体や液化天然ガス(LNG)など重要物資の安定供給に向けて9582億円を計上。先端半導体には生産基盤の整備基金に4500億円を積み増しました。すでに台湾積体電路製造(TSMC)などの熊本新工場に5千億円近くを補助しており、さらに巨額の資金を投じることになります。
経済産業省は19日、日米が共同で進める次世代半導体の量産化に向けた新たな研究開発拠点の設立を認可しました。研究開発拠点は「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」で、産業技術総合研究所や理化学研究所、東大などが参画します。7月の「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)で合意していました。



記者会見する岸田文雄首相=12月16日、首相官邸

脱中国依存推進
11月には、キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が出資して次世代半導体の量産製造拠点を目指す新会社「Rapidus」(ラピダス、東京)の設立を発表しました。経産省は700億円の助成を決定。同社はLSTCに参画します。12月には、最先端半導体の「2ナノメートル(ナノは10億分の1)品」について米大手IBMとの共同開発に着手。脱中国依存を進めるとしています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月23日付掲載


米中対立の主戦場である半導体分野については、大量破壊兵器やミサイルなど軍事転用可能な次世代半導体の開発・製造拠点の整備を行うと指摘。重要な物資や技術を担う民間企業への資本強化や政策金融の機能を強化してサプライチェーン(供給網)での脱中国依存を強める狙い。
11月には、キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が出資して次世代半導体の量産製造拠点を目指す新会社「Rapidus」(ラピダス、東京)の設立を発表。経産省は700億円の助成を決定。同社はLSTCに参画。
何周も周回遅れの日本の半導体産業。挽回してほしい気持ちはありますが、かなりのテコ入れが必要ですね。
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けいざい四季報 2022 Ⅳ ③ 中小企業 のしかかる三重苦

2022-12-27 07:10:38 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2022 Ⅳ ③ 中小企業 のしかかる三重苦
【ポイント】
①飲食店への客足に陰り。11月の飲食業倒産件数9カ月ぶりに前年同月上回る
②ゼロゼロ融資返済本格化。過剰債務率が高い業種は対面型サービス業に集中
③物価高が経営回復の足かせに。9割超の企業がコスト増指摘。価格転嫁進まず

新型コロナウイルス禍で疲弊する中小企業に過剰債務と物価高騰が重くのしかかっています。

第8波への懸念
コロナ禍「第8波」への懸念が高まり、飲食店への客足に陰りが出ています。
民間信用調査会社の東京商工リサーチによると、11月に49件の飲食業倒産(負債1000万円以上)が発生。2月以来9カ月ぶりに前年同月を上回りました。そのうち新型コロナウイルス感染症に起因しているものが29件で、飲食業倒産の約6割を占めました。
内閣府が8日に公表した11月の景気ウオッチャー調査には、「大人数の宴会予約もキャンセルが続出している。特に忘年会シーズンである12月のキャンセルが多く、飲食業界にとって深刻な影響が出てくることを懸念している」(北海道の商店街代表者)と先行きを不安視する声が相次ぎました。




3割が過剰債務
コロナ禍のもとにおける中小企業の資金繰り支援として政府が始めた「実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資」は来春に向けて返済が本格化します。
東京商工リサーチが12月に行った調査で、中小企業の3社に1社が「過剰債務」を抱えていると回答しました。「過剰債務率」が高い業種は対面型サービス業に集中。多い順に「宿泊業」67・8%、「飲食店」65・2%、旅行やブライダルなどを含む「その他の生活関連サービス業」62・9%と続きました。



「物価高騰!暮らし・営業守れ!決起集会」の参加者=11月3日、盛岡市

物価高が足かせ
さらに、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価高騰が経営回復の足かせとなっています。
日銀が12日に発表した11月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は前年同月比9・3%上昇して118・5となり、8カ月連続で過去最高を更新しました。分野別では、「電力・都市ガス・水道」が前年同月比49・7%上昇し過去最高を記録。企業物価を押し上げました。
東京商工リサーチが12月に実施したアンケート調査で、84・6%の中小企業が調達コストの増加による「影響を受けている」と回答。また、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」との回答も7・6%あり、合わせて9割超がコスト増を指摘しました。
また、中小企業の44・0%がコストの増加分を販売価格に「転嫁できていない」と回答し、増加分をすべて転嫁できたのはわずか4・6%にとどまりました。
民間信用調査会社の帝国データバンクによると、物価高騰に起因する倒産件数は11月に46件判明。10月の41件を上回り、5カ月連続で月間最多を更新しました。業種別では、「建設業」が最多の9件、次いで「製造業」
「卸売業」がそれぞれ8件と続きました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月22日付掲載


コロナ禍のもとにおける中小企業の資金繰り支援として政府が始めた「実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資」は来春に向けて返済が本格化。
東京商工リサーチが12月に行った調査で、中小企業の3社に1社が「過剰債務」を抱えていると回答。
また、中小企業の44・0%がコストの増加分を販売価格に「転嫁できていない」と回答し、増加分をすべて転嫁できたのはわずか4・6%に。
ゼロゼロ融資の資金繰りや直接支援が求められます。
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けいざい四季報 2022 Ⅳ ② 国内景気 物価上昇、負担増年13万円

2022-12-26 07:09:25 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2022 Ⅳ ② 国内景気 物価上昇、負担増年13万円
【ポイント】
①1ドル=152円に迫る円安が進み、政府・日銀は6兆3499億円の介入を実施
②消費者物価が前年比3・6%上昇し、2人以上の世帯で年13・1万円の負担増に
③輸入増加で貿易収支が16カ月連続赤字となり、外国依存経済の危うさがあらわに

大幅な利上げを進める米国と、超低金利政策を続ける日本との金利差が開き、異常円安が急進しました。

異常円安が進む
10月21日の海外市場では、1ドル=152円に迫る急速な円安が進行。政府・日銀は推計5兆円規模の円買い・ドル売り介入に追い込まれました。9月22日に約24年ぶりに実施した2兆8382億円の介入を超え、1日の円買い介入額として過去最大とみられます。
10月にはこの日のほかにも円安が急進する場面があり、政府・日銀が実施した為替介入は総額6兆3499億円にのぼりました。月間の円買い介入額として過去最大です。
11月に入ると、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの見方が浮上し、ドル売り円買いの流れが強まりました。FRBは12月14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0・5%の利上げを決定。利上げペースを過去4回連続の0・75%から減速させました。
それでも米国の政策金利は4・25~4・50%と07年以来の高さとなります。他方、日銀は20日の金融政策決定会合で金融緩和策を一部修正し、事実上の利上げを行うことを決定しました。



日本銀行本店=東京都中央区

値上げラッシュ
異常円安は輸入物価を高騰させ、国内物価を押し上げています。
10月の全国消費者物価指数(2020年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103・4となり、前年同月比3・6%上昇。食料品など生活必需品の値上げラッシュやエネルギー価格の高騰が響き、第2次石油危機後の1982年2月以来、40年8カ月ぶりの高い上昇率を記録しました。
物価上昇による家計の負担増を本紙が試算したところ、2人以上の平均的世帯で年間13・1万円にのぼりました。日本共産党の田村智子政策委員長は11月18日に国会内で記者会見し、「経験したことがないような急激な物価上昇となっている」「いよいよ賃上げと消費税減税の経済対策が求められる」と強調しました。


国内経済の主な出来事(10~12月)
10/32022年度上半期の新車販売台数は11年ぶりの200万台割れ
10/7相場操縦のSMBC日興証券に3カ月間の一部業務停止命令
10/13日銀の生活意識調査で91.8%の人が物価高騰を実感と回答
11/1110月の国内企業物価指数が過去最高の117.5となる
11/28沖縄電力が電気の一般家庭向け規制料金39.3%の値上げ申請
11/28日銀の保有国債が価格下落で8749億円の含み損に転落
12/1大企業の内部留保が揃年同期比6.5%増の505.4兆円に
12/610月の実質賃金は前年同月比2.6%減で7カ月連続マイナス
12/8サービスや投資収益を含む10月の経常収支は641億円の赤字
12/811月の物価高倒産は46件で、過去最多を5カ月連続で更新


外国依存の危険
日米金利差だけでなく、貿易赤字も円安の要因となっています。
11月の貿易統計速報(通関ベース)で、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆274億円の赤字となりました。赤字は16カ月連続で、11月としては比較可能な1979年以降最大です。資源価格高騰と円安によって輸入額が膨らんだことが響きました。
輸入額を品目別に見ると、原油は前年同月比69・7%増。液化天然ガス(LNG)は51・9%増・石炭は106・8%増でした。ロシアのウクライナ侵略で加速したエネルギー価格上昇が輸入額を膨張させる構図が続きました。食料自給率38%、エネルギー自給率10%という外国依存経済の危うさがあらわになっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月21日付掲載


米国の政策金利は4・25~4・50%と07年以来の高さ。他方、日銀は20日の金融政策決定会合で金融緩和策を一部修正し、事実上の利上げを行うことを決定。
物価上昇による家計の負担増を本紙が試算したところ、2人以上の平均的世帯で年間13・1万円にのぼりました。日本共産党の田村智子政策委員長は11月18日に国会内で記者会見し、「経験したことがないような急激な物価上昇となっている」「いよいよ賃上げと消費税減税の経済対策が求められる」と強調。
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けいざい四季報 2022 Ⅳ ① 世界経済 米・欧が利上げ幅を縮小

2022-12-25 07:13:19 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2022 Ⅳ ① 世界経済 米・欧が利上げ幅を縮小
【ポイント】
①インフレ抑制へ各国が利上げを継続するも、米欧は景気を考慮し上げ幅を縮小
②世界的なインフレやドル高により、新興国・途上国の債務問題が深刻化の懸念
③中国は「ゼロコロナ」政策見直し進めるが、経済の正常化には時間を要しそう

高止まりするインフレへの対策で各国は利上げを継続しているものの、米欧は景気への悪影響を懸念して上げ幅を縮小しました。世界的なインフレやドル高は新興国・途上国の債務問題を深刻化させています。中国は、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策の見直しを進めています。

引き締めリスク
米連邦準備制度理事会(FRB)は12月14日、連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の0・5%引き上げを決めました。インフレを抑える急速な金融引き締めが景気を冷やし過ぎるリスクを警戒。利上げペースを過去4回連続の0・75%から減速させました。
FRBは3月以降7会合連続で政策金利を引き上げ、年4・25~4・50%としました。インフレ率は低下傾向にあるものの、11月の消費者物価指数は前年同月比7・1%上昇と、FRBが目標とする2%をなお大幅に上回っています。
欧州中央銀行(ECB)は12月15日、政策金利の0・5%引き上げを決めました。利上げは7月以降4会合連続。ただ、上げ幅を0・75%から0・5%へ縮小。英イングランド銀行(中央銀行)も12月15日、政策金利を3・0%から3・5%へ引き上げました。昨年12月以降9会合連続。上げ幅は0・75%から0・5%へ圧縮しました。



利上げ発表の後、記者会見するパウエル米FRB議長=12月14日、ワシントン(ロイター)

債務問題が深刻
世界的な物価高や急激なドル高で、新興国や途上国の債務問題が深刻化しています。国際通貨基金(IMF)は10月11日発表の金融安定報告書で「20カ国が債務不履行状態か、それに近い」と警告しました。
IMFはまた、12月8日発表の報告書で、低所得国69カ国の資金不足が26年までの5年間で計約5000億ドル(約68兆円)に上るとの試算を示しました。新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵略に伴う食料とエネルギーの価格高騰が響き、過剰債務を抱える各国が苦境に陥っています。
国際金融協会(IIF)によると、主要新興国の債務残高は6月1日時点で過去最高の100兆ドル(約1京4800兆円)に迫り、各国の国内総生産(GDP)の合計に対する比率は252%に達しました。世界銀行(WB)が12月6日公表した22年の国際債務報告によると、貧困国の2国間債務のうち対中国分が21年時点で約半分。


【世界経済の主な出来事(10~12月)】
10/11IMF、金融安定報告書で新興国・途上国の債務問題に警鐘
10/247~9月期の中国GDP発表。前年同期比3.9%増
10/27欧州中銀、0.75%利上げ
11/2米FRB、0.75%利上げ
11/3英中銀、0.75%利上げ
11/3011月のユー口圏消費者物価指数発表。前年同月比10.0%上昇
12/8IMF報告書、低所得国で5年間に約68兆円の資金不足と試算
12/1311月の米消費者物価指数発表。前年同月比7.1%上昇
12/1411月の英消費者物価指数発表。前年同月比10.7%上昇
12/14米FRB、0.5%の利上げ。利上げは3月以降7会合連続
12/15欧州中銀、0.5%利上げ。利上げは7月以降4会合連続
12/15英中銀、0.5%利上げ。利上げは昨年12月以降9会合連続


ゼロコロナ緩和
中国は11月以降、新型コロナウイルス対策を見直し、「ゼロコロナ」政策を大幅に緩和しています。PCR検査が一部で撤廃され、入国制限も緩和。ただ、規制緩和を受け、一部では「感染爆発」が起きているもよう。
中国税関総署が12月7日発表した11月の貿易統計によると、輸出は前年同月比8・7%減の2961億ドル(約41兆円)。
減少幅は前月の0・3%から広がり、20年2月以来2年9カ月ぶりの大きさとなりました。輸入は10・6%減の2263億ドルと、前月(0・7%減)から大幅に悪化。
中国国家統計局が12月15日発表した11月の小売売上高は前年同月比5・9%減少しました。2カ月連続の前年割れで、下落幅は前月の0・5%減から拡大。中国の7~9月期の経済成長率は前年同期比3・9%増にとどまりました。
「ゼロコロナ」見直し後も、サプライチェーン(供給網)の修復など経済の正常化には時間がかかり、政府の通年目標である「5・5%前後」の経済成長は厳しそうです。(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月20日付掲載


米連邦準備制度理事会(FRB)は12月14日、連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の0・5%引き上げを決めました。インフレを抑える急速な金融引き締めが景気を冷やし過ぎるリスクを警戒。利上げペースを過去4回連続の0・75%から減速。
欧州中央銀行(ECB)は12月15日、政策金利の0・5%引き上げを決めました。利上げは7月以降4会合連続。ただ、上げ幅を0・75%から0・5%へ縮小。
世界的な物価高や急激なドル高で、新興国や途上国の債務問題が深刻化しています。国際通貨基金(IMF)は10月11日発表の金融安定報告書で「20カ国が債務不履行状態か、それに近い」と警告。
日本の円安・物価高も深刻ですが、新興国や途上国の経済も大変になっています。
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