きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

福島第一原発の空から 事故7年 道遠し

2018-02-27 13:28:00 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
福島第一原発の空から 事故7年 道遠し

東京電力福島第1原発の事故から丸7年を前に、現状を上空からチャーター機で取材しました。


事故から7年たっても溶融した核燃料に手がつけられていない福農第1原発(右から1号機、2号機、3号機、4号機)=2月24日、福島県

同原発周辺には、除染廃棄物が入った袋「フレコンバッグ」があちこちで山積みされています。原発事故で出た放射性物質です。そのすぐそばには、住宅街も。放射線量が高いため帰還困難区域に指定され、住民の姿はありません。農地は、茶色に冬枯れした草木で荒れています。
原発の敷地にひしめくのは、行き場のない放射能汚染水をためた巨大なタンク群。放射性廃棄物を保管するため切り開いた造成地は、赤土がむき出しになっていました。
目に付くのは、3号機原子炉建屋の上部。使用済み燃料プールの核燃料566体を取り出すため、新たに設置されたカバーです。この取り出しは、当初目標の2014年末からたびたび延期。年内に開始される見込みですが、遠隔操作による取り出しであり難航が予想されます。
国と東電は、住民の生活や生業を奪った一方で、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働へ突き進んでいます。原発再稼働と福島切り捨てに力を注ぐのではなく、被災者の生活、生業の再建と廃炉作業に全力を挙げるべきです。
記事・唐沢俊治 写真・三浦誠


事故の爪痕いまも
タンク大型化


福島第一原発の原子炉建屋を囲む凍土壁が完成した後も、放射能汚染水が増え続けています。敷地内には大型化した汚染水タンクが目立ってきました=2月24日、福島県

残るガレキ

カバーが完成した福島第一原発3号機(左から2番目)。手前にあるタービン建屋の屋上は事故から7年たってもガレキが残っています=2月24日、福島県

野積みの除染土

福島第一原発事故で放射性物質が広範囲にまき散らされました。除染で出た土はいまだ仮置きで、住宅地近くに野積みされています=2月24日、福島県

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月25日付掲載


福島第一原発の事故処理。第3号機の使用済み燃料プールの核燃料の取り出しもままならぬ状態。
新潟の柏崎刈羽原発の再稼働なんてとんでもないことだ。
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東日本大震災7年 関連番組の紹介

2018-02-26 10:30:05 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災7年 関連番組の紹介
3月11日で東日本大震災7年となります。この機に大震災関連番組が放送されます。

NHK 津波ピアノ/子どもら
NHKスペシャル 高線量の森/復興は


NHKテレビ
「特集明日へつなげよう」
(3月11日)被災3県をつなぎ、人々の背中を押す試みを見ていきます。プロローグ(前7・50)、第1部~福島編(前10・05)、第2部~宮城編、引き続き第3部~岩手編(後1・05)


「津波ピアノ~坂本龍一と東北の7年」(10日、後11・25)震災で流され、壊れた1台のピアノ。試弾した音楽家の坂本龍一の心にピアノの音が残り、8年ぶりの新作アルバムに使いました。震災の風化を危惧する坂本は、ピアノをコンピューターと接続し生まれ変わらせます。

「津波ピアノ~坂本龍一と東北の7年」

「#311246大切なものは何ですか?」(11日後11・20)「あなたにとって大切なものを撮影してください」という呼びかけで寄せられたスマホ映像から物語をつづっていきます。

「21人の輪~相葉雅紀がみつめた子どもたち」(27日後10・0)椙葉雅紀が語りを担当した「21人の輪」(2011年6月~12年5月)という番組で出会った子どもたちは18歳になりました。彼らの今を見つめます。



NHKスペシャル
「死角 河川を遡(さかのぼ)る津波」
(4日後9・0)海から5♂離れた宮城県石巻市のある地区。およそ70人の犠牲者の慰霊碑が建てられました。被害をもたらしたのは「河川を遡上(そじょう)した津波」でした。

「被曝(ばく)の森Ⅱ~原発事故7年目の記録」〈仮〉(7日後10・25)東京電力福島第1原発の事故によって、今も「帰還困難区域」として取り残される地域があります。高線量の森では、生態系の中で放射性物質はどのように移動・残留しているのでしょうか。


NHKスペシャル 「被曝の森Ⅱ」(仮)

「誰にも言えなかった~被災地の子どもたち7年の葛藤」〈仮〉(10日後9・0)津波で家族を亡くした子どもは1800人近く。心身の不調を訴える子どもは後を絶ちません。

「シリーズ東日本大震災『目指した“復興”はいま』」〈仮〉(11日後9・0)32兆円を投じた復興事業。しかし、災害公営住宅では体調を崩し孤立する高齢者が椙次ぎ、働き盛りの世代も生計が立てられずにいます。福島では子どものいる若い世代の帰還は進んでいません。2000人近くに被災者アンケートを実施。被災地の今をルポします。


NHKラジオ第1
「3・11いま、再びの海」
(11日後1・05)被災者の海へのさまざまな思いを伝えます

日本系
「ドキュメント’18~雨がやむとき~震災7年の面影」
(11日深夜0・55)人々の胸に去来する家族や故郷の面影。それぞれの7年間に寄り添います。テレビ岩手、宮城テレビ、福島中央テレビの共同制作。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月24日付掲載


なかなかの力作の番組が放送される予定です。観ましょうね。
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グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化④ 国民の英知集めるとき

2018-02-25 11:21:23 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化④ 国民の英知集めるとき
名古屋経済大名誉教授 坂本雅子さんに聞く

自動車産業は日本の製造業と日本経済を支えてきました。ここでも海外生産のみが拡大しています。
日産やホンダは国内では十数%しか生産していません。つまり八十数%を海外で生産しています。日本の自動車12社全体でも、国内生産の約2倍の台数を海外で生産しています。今後の各社の経営戦略も、海外での生産のみを拡大する方向です。「輸出」も、海外生産拠点からの「輸出」だけ拡大する計画です。
その上、各社が現在推し進めている、「モジュール化」と呼ばれる生産システム上の「改革」も重大です。部品を組み合わせてモジュール(ブロック)をつくり、共通部品やモジュールの組み合わせで、あらゆる車種を生産する方式です。これは従来の方式を根底から破壊するものです。
完成車メーカーは従来、1次、2次、3次などの下請けメーカーと一体になり、車種ごとに部品をすり合わせて自動車の品質をつくり込んできました。ところがモジュール化のために、従来の10倍、20倍、あるいはそれを上回る桁違いの量の部品やモジュールを供給するよう下請けに求めるようになっています。従来の下請けではとてもついていけません。そのため完成車メーカーは、外国の巨大部品メーカーからの調達を拡大しています。日本の下請けは根本的な解体の危機に直面しています。



自動車輸出日本一の名古屋港の自動車積み出し基地



最後のとりでも
辛うじて大量発注に応じられる、ほんの一握りの日本の巨大下請けメーカーも、安い部品を供給する中国などのメーカーに大きく依存するようになっています。巨大下請けメーカーにおいても、海外生産・海外調達のみが進んでいるのです。
完成車の逆輸入も始まっています。各社はタイなどで生産した日本車の輸入を少しずつ拡大しています。今後、警戒すべきは中国から日本への輸入です。
中国は世界一の自動車生産大国になりました(グラフ)。日本メーカーでも、日産のように今や日本国内の生産能力より中国の方が多いというメーカーもあります。遠からず各社もそうなるでしょう。
もしも中国から日本メーカー車の逆輸入が始まったら、それが日本の自動車生産、いやものづくりが壊滅する時になるでしょう。地域に重層的な下請けメーカーを抱えて、ものづくりと日本経済の最後のとりでとなっている自動車産業も、下請けも含めて危機に直面しています。

空洞化への批判
国境を越えて「最適地」で生産する「グローバル企業」の経営行動が、本当に「グローバル企業」の成長と勝利の道なのかも考え直すべきでしょう。国民をぼろぼろにし、技術を流出させて、その上に築かれる企業の繁栄と未来などありません。
米国では、オバマ政権期に製造業を国内に呼び戻す国内回帰策を打ち出しました。トランプ氏は「グローバリゼーションを追い求めた結果、仕事、富、工場をメキシコに追いやった。何百万人もの労働者がすべてをなくし、貧困に追いやられた」と演説して大統領になりました。グローバル化と空洞化への怒りと批判が世界の国民に拡大しているのです。
いま、経営者、官僚、国民の英知を結集して、国内生産と技術を守り発展させる新しい資本主義のあり方を、日本でこそ、模索すべきときではないでしょうか。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月23日付掲載


同じ車種でも、4輪駆動であるかないか、自動ブレーキ装着かどうか、リアカメラ装備かどうかなど…
いろいろなオプションが選べるようになっていて、1台1台受注生産されるのが実態です。
それに自動車メーカーだけでなく、部品メーカーも対応しないと生きていけない。
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グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化③ 電機産業は崩壊過程に

2018-02-24 07:57:49 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化③ 電機産業は崩壊過程に
名古屋経済大名誉教授 坂本雅子さんに聞く


前回までは、生産の海外移転が日本経済に停滞・後退をもたらしたことを論じました。
では企業にとってはどうか。海外投資に逼進(まいしん)することがグローバル競争での勝利と成長を企業にもたらすのか。最も早くから徹底して海外投資を行った電気機械分野で見てみましょう。
かつて日本の電機各社は半導体や情報機器で世界のトップに立っていました。例えば1990年の半導体生産の世界トップ10には日本企業が6社も入り、上位3社を独占しました。薄型液晶テレビの2005年の世界シェアでも日本企業は41%を占めました。
ところが現在、日本の大手半導体メーカーはルネサスエレクトロニクスだけです。世界のトップ10に唯一残っていた東芝の半導体部門も昨年、米国買収ファンドと韓国企業などの手に落ちました。
アジア企業による日本企業の買収も活発化しています。一昨年にはシャープが丸ごと台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収され、日本人に衝撃を与えました。
パソコンでも、11年に中国のレノポがNECのパソコン部門を実質吸収しました。レノポは今年、富士通パソコン子会社の経営権も握るので、日本国内販売の4割を支配することになります(日本国内では旧ブランド名を使用)。東芝のパソコン部門も昨年末、売却交渉を開始しました。
日本の電機産業は業界全体の崩壊過程に入った観すらあります。




技術が海外流出
こうした電機産業の惨状の根本原因は何か。それは技術流出と一体となって進行したアジアへの生産移転にあったと言わざるを得ません。特にアジア企業に生産を丸投げする委託生産は最悪です。
例えば半導体生産の中心だったシステムLSI(多機能集積回路)でも、日本企業は2000年代に台湾企業に生産を委託する際に技術指導を行いました。カモがネギを背負っていくように台湾企業を教育し、技術を移管したのです。技術力を高めた台湾企業は、世界の企業からの生産請負を加速し、低賃金の中国で生産を拡大して急成長しました。
1990年代に韓国が半導体メモリーのDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)生産で急成長した背景も同様です。日本が生産を独占していたこの分野で、日本企業は高度技術の塊である半導体製造機械を技術指導と一体で売り込み、高度素材も売り込みました。韓国企業がその後市場を席巻する基礎を築いたのです。パソコンでも、日本企業は2000年代に生産の100%近くを台湾企業に委託するようになりました。委託開始時には日本企業が徹底した技術指導を行いました。

投資競争も負け
テレビなどに使われる最新の有機ELパネルも同様です。もともと日本が開発した技術だったのに、日本企業は早くに生産を放棄しました。数年前から、世界でトップの技術を誇る日本の素材メーカーや製造機械メーカーが韓国に結集し、韓国企業と共同で有機ELの大型パネルの開発を進め、成功したのです。
昨年、東芝、ソニー、パナソニックが相次いで最新の有機ELテレビを新発売しました。ところが使われている大型有機ELパネルは韓国LGディスプレイ社製です。日本の各社はこれを購入し組み立てただけなのです。
日本企業は技術流出と一体になった生産の海外移転や委託生産を繰り返して、技術的に差別化できなくなりました。その上、投資競争にも負けて、電機産業全体からの撤退を余儀なくされていったのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月22日付掲載


もともと日本が開発した技術、LSIやDRAMなどのパソコンや電気機器の部品、液晶テレビのパネル。
安く生産できるからってことでしょうか、海外生産を進めた結果、日本は取り残されてしまいました。
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グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化② 日本だけ成長せず敗北

2018-02-23 11:21:14 | 経済・産業・中小企業対策など
グローバル経済の迷宮 製造業の空洞化② 日本だけ成長せず敗北

名古屋経済大名誉教授坂本雅子さんに聞く

海外投資、特に低賃金国への生産移転は、母国の産業空洞化と経済力低下を引き起こします。しかし2000年代以降、日本の政府、企業、研究者たちはこれを無視し、こぞって海外への生産移転を美化し続けました。
海外、特にアジアへの投資や生産移転は、「アジアの成長を日本に取り込む」もの、「東アジアに中枢部品を輸出してアジアの生産ネットワークを日本がけん引する」ものであり、日本企業はむろん、日本経済そのものを大きく成長させる道だというのです。
しかし現実に起きたのは、日本だけが成長に取り残されて敗北するという結果でした。

中国から輸入増
世界の国内総生産(GDP)での日本の地位は、1991年には3・5兆ドルで世界2位、米国の約6割ありました。しかし2015年には4・4兆ドルで、3位に落ち、米国の2割強に。2位に躍り出た中国の4割弱になりました。
輸出でも、1991年には3100億ドルで、米国、ドイツに続いて3位でしたが、2016年になると日本は約6400億ドルで4位。しかも米国(2位)、ドイツ(3位)の半分以下になってしまいました。ダントツ1位は中国で、輸出総額は約2兆ドル。15年間で日本の5分の1から3倍に激増したのです。
中国の輸出急成長をけん引したのが、輸出の約3割を占める電気機械です。電気機械は中国の輸出の中心になっただけでなく経済成長もけん引したのでした。
中国とは真逆に日本では、輸出の3分の1を占めていた電気機械は減少し、逆に輸入の15%程度を占めることも多くなりました。
パソコンや携帯電話などの現代の生活必需品のほとんどが、中国からの輸入品になったからです。日本企業は、これらの生産を台湾企業に委託しましたが、台湾企業は世界に供給する製品のほとんどを中国で生産しました。日本企業のアジアへの生産移転が輸入拡大に直結したのです。
結局、日本の貿易収支は、年間10兆円にも及んだ黒字が激減し、11年には赤字に転落してしまいました。




電子機器・部品の海外生産比率(%)
 2010年2014年
電子工業計5966
(1)徽子部品・デバイス4350
うち半導体(半導体素子/集積回路)3032
うち電子部品(受動・接続・変換部品等)6271
うちディスプレイデバイス169
(2)産業用電子機器6873
うち携帯電話5989
うちパソコン(サーバ、タブレット含む)7981
うち情報端末(ブリンタその他)9092
うち電子応用装置6059
(3)民生用電子機器7388
うち薄型テレビ7597
うち撮像機器(デジタルカメラ等)6875
(2)+(3)電子機器7073
※JEITA『電子情報産業の世界生産見通し』2011年版、同2015年版から坂本さん作成

部品輸出も低落
日本は1990年代、アジアに中枢部品を輸出し、東アジア域内での生産分業、工程間分業の中核になりました。しかしこのアジア向け中間財輸出も、2000年代以降、東南アジア諸国連合(ASEAN)、中国、韓国、台湾に次々と追い抜かれ、日本は最下位になったのです(グラフ)。
「アジアの生産ネットワークを日本がけん引する」などという論は、今となっては悪い冗談になりました。
日本の電機産業の海外生産比率は、経済産業省の報告書では、情報通信機械で30%前後、電気機械で十数%。意外に低い数値です。
これは日本企業の海外工場での生産しか計算せず、委託生産を除外しているからです。委託生産とは、生産を他社に丸投げし、ブランド名だけ自社の名前を付けるやり方です。委託生産を含めると、海外生産比率は電子工業全体で66%、携帯電話で89%、薄型テレビで97%(14年)という恐るべき数値です(表)。国内生産はもはや壊滅状態とさえ言えます。
生産の海外移転は、前回述べたGDPの後退だけでなく、移転先のアジア各国の成長に寄与した結果、貿易面での敗北と赤字化も生み、日本経済を不可逆的に後退させ、揺るがし始めているのです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年2月21日付掲載


東アジアの各国が電気機械の製品の輸出を伸ばしているが、日本だけ低迷。
とりわけ、パソコン、携帯電話、薄型テレビなどの海外生産が進み、逆輸入に押されている。
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