「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。
マイナ保険証って本当に必要ですか? 「健康保険証の廃止」に反対します!
政府は今、マイナンバーカードを全国民に所持させるため、カードに保険証機能を搭載したマイナ保険証」を作成することを国民に呼びかけています。しかし、申込みが進まないた全医豫機関には2022年度中にカード読み取り機器の設置義務化を、保険者(健康保険)には、2024年度中に保険証を発行するかしないか選ばせ、将来的には従来の保険証を原則廃にする、という方針を打ち出しました。
法律では、カードの取得は国民の任意とされています。にも関わらず、保険診療という生命健康に関わるサービスの利用を阻害しかねない保険証廃止の方針を打ち出すことは、事実上のマイナンバーカード取得強制であり、国民皆保険の理念に逆行するものです。
個人情報を番号に結びつけて一元管ようとする「マイナンバー制度」には、個人情報の恣意的な収集や・情報漏洩の危険が指摘されています。政府には拙速なマイナンバーカード普及方針を撤回すること、少なくとも国会での審議をつくし、その是非について慎重に検討することを求めます。
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(C)きんちゃん
【医療機関からの声】
●現行の健康保険証提示による資格確認に問題はおきていません。多額の税金をつぎこむ無題づかいは中止すべきです。
●患者への手助けやマイナンバーノード紛失のトノブル、日々のシステム運用などにたくさんの負担がかかります。
コロナウイルス感染症への対応でひっ迫している医療現場の体制の拡充にこそ力を注ぐべきなのに。
【患者からの声】
●保険証が原則廃止となったら、マイナンバーかドを持たない人は公的医療保険がうけられなくなるのではと不安です。
●保険者における保険証発行の選択制導入は加入者に対してマイナンバーカードを取得するよう、圧力をかけることになります。将来的には保険証が原則廃止となれば大きな不便とカード紛失の危険が付きまとうことになります。
【法律家からの声】
●保険証の廃止は、事実上マイナンバーカード取得の義務化に限りなく近いもの。マイナンバーカードの取得は任意とする法令に抵触するのみならず、国民皆保険を掲げる中での保険証を廃止するのは違法です。
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(C)きんちゃん
そして、後期高齢者・75歳以上の医療費窓口2割負担。今からでも元に戻すべき。
一国で止めても収束ではない ワクチンないと世界のどこかで再燃
感染情報共有、渡航制限 国際協調が不可欠
WHOシニアアドバイザー 新藤奈邦子さんに聞く
新型コロナウイルスをめぐる世界と日本の状況をどうみるのかー。新型インフルエンザやエボラ出血熱など感染症の危機管理の最前線に立ってきた世界保健機関(WHO)シニアアドバイザーの進藤奈邦子(しんどう・なほこ)さんに聞きました。
宇野龍彦記者
新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がりました。
新しいウイルスなので、感染の有無を調べる診断薬も一からつくっていかなければなりませんでした。またアジア以外の諸国では当初十分な危機感がなく、多数の死者が出て、世界で都市封鎖(ロックダウン)や外出制限に踏み切らなければならなくなりました。
ウイルス遺伝子変化していない
新型コロナの遺伝子を調べている研究者によると、このウイルスは遺伝子がほとんど変化せずに人から人に広がっています。
ウイルスの遺伝子が変化する主な理由は、ウイルスがみずからの形を少しずつ変えて、「強敵」である人間の免疫をくぐり抜けながら生き延びていかなければならないためです。
新型コロナの遺伝子が変わらないということは、人々の中にまだ免疫がないということです。このウイルスにとって人は、けっして「強敵」ではないのです。そして、世界が国境を超えて深く結びついた現代だからこそ、ウイルスは短期間に世界中に広がりました。もともと動物由来と考えられている新型コロナですが、今のままで人から人に効率よくうつることができるので、「居心地のよい世界」だと言えます。
このウイルスとの付き合いは、長期にわたると考えなければならないでしょう。新型コロナ後の世界は、「もう元の世界には戻れない。すでに始まったことが新しい日常になっていく」という意味で、「新常態」になったと思います。
新藤さん(ジュネーブ大学病院で)
いまのところ日本での1日の患者確認数は多くても数百人にとどまっています。一方、イタリアなどでは、多いときには1日に5千~6千人もの感染が確認されていました。なぜイタリアで、これほどたくさんの感染者が出てしまったのか。関係者に聞くと「とにかく人の動きを止めることができなかった」と言います。
イタリアからヨーロッパ中にウイルスを拡散したきっかけは、2月半ばに開かれた「ミラノファッション・ウイーク」という国際的なイベントであるといわれています。非常に活動的な人たちが多数集まるイベントでした。各地の医師は、帰国者が風邪のような症状を呈していても、新型コロナに感染しているとは思いませんでした。これらの人たちは中国と直接の関連がなかったし、通常の風邪やインフルエンザも流行していたからです。
今後、感染拡大が収まってきた国々では、移動制限や外出規制を徐々に緩和していくことになります。しかしいったん国の中で感染拡大の火を止めても、それで収束とはなりません。
たとえば、シンガポールや香港では、一度は感染拡大が収まりました。ところが、海外から帰国した人たちがウイルスを持ち込んで、再び火が燃え上がりました。
いまのところ、子どもは新型コロナに感染しても重症化しにくいようです。子どもが感染して抗体を持ち、成長につれ何度か感染して免疫を強めていけば、おとなになった時には新型コロナは何でもない病気になっているかもしれません。これには何十年もかかります。
ですから、このウイルスの免疫を獲得できるワクチンができないかぎり、今後も流行は再燃すると考えなければなりません。
世界のどこかで再燃する新型コロナの流行を抑え込むには、国際協調が欠かせません。
国際的な連携を強め、互いに情報の透明性を高めていって、ある都市で流行が再燃すれば流行地域としてWHOに届け、WHOが世界中に周知する。流行が収まるまで、その地域に不要不急の渡航は避けるなどの対策を取って、世界的流行を起こさないようにすることが重要になってきます。
地域や職場での周りの支援必要
地域でも学校でも職場でも、個人が感染を明らかにしたとき、周囲がそれを受け入れ、感染者を守ってあげなければいけません。このウイルスは、コミュニティーのサポートがないと克服できません。新型コロナへの対応を通じて地域や学校や職場が変わり、働き方も変わることになるでしょう。
日本のみなさんは衛生観念がしっかりしています。個人が自覚を持って行動して、みんなで協力すれば必ず乗り越えられると思います。
「しんぶん赤旗」日曜版 2020年5月17日付掲載
新型コロナウイルス。感染で広がっていく中でも、遺伝子が変化していない。
人々の中にまだ免疫がなくって、ウイルスにとって人間は「居心地の良い世界」。
これから、長期的な取り組みが求められる。ワクチンができるまで、感染情報の世界的共有が大事。
「過剰病床」で治療 命救う ドイツの死者、欧州他国の4分の1
ICUはイタリア・フランスの2~3倍
【ベルリン=時事】ドイツが他の欧州諸国と比べ、新型コロナウイルス感染による死者数を大幅に抑えることができたのはなぜなのか。初期に検査規模を大幅に拡大したこと以外に、一役買ったのが、平時には批判の的となってきた「過剰病床」でした。
ドイツの死者数は、イタリア、英国、スペインやフランスに比べ、4分の1程度に収まっています。
新型コロナの各国の感染者数、死者数、回復者数、検査数の一覧。
新型ウイルスは、感染者が爆発的に増加すると、医療崩壊が起き、病床や人工呼吸器が不足し、死者数が急増する傾向が強くあります。イタリアでは緊縮財政で病院数が削減されてきたところに流行が重なり、死者数が膨れ上がりました。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月、「先進国の医療は需要をぎりぎり満たす水準で効率的に運営されている」と指摘。このため事態急変への対応が難しいとの見方を示しました。
一方、ドイツは、集中治療室(ICU)病床数が新型ウイルス拡大前に、約2万8000床もありました。人口当たりではイタリアやフランスの2~3倍に当たります。
ドイツでは過剰な医療供給は、長年問題視されていました。世論に影響力のあるベルテルスマン財団は昨年、「(質が確保されない)小規模病院が多過ぎる」と、全国で病院数を半分以上削減する提言を発表しました。
ドイツ西部アーヘンの大学病院の集中治療室(ICU)=4月15日(AFP時事)
しかし、新型ウイルスの拡大で状況が一転。シュパーン保健相は、常にICU病床の半数を新型ウイルス感染者のために空けておくよう病院に勧告しました。こうして重症患者を適時に治療できる態勢を整え、多くの命を救えました。
ドイツ医師会のモントゴメリー会長は「病床数の多さが、ドイツの新型ウイルス抑制の大きな要因だ」と評価しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年5月6日付掲載
ドイツの死者数は6,993人。スペインの25,613人、イタリアの29,315人、イギリスの29,427人、フランスの25,531人と比べると、4分の1。2020年5月6日集計。
感染者数に比べて死者数がぐっと少ない。ICUの確保など、重症者を適時に治療できる態勢。多くの命を救えたとの事です。
介護 STOP破壊① 現場から(下) 増える自己負担 利用の抑制ますます
ケアマネジャーの藤井裕子さん(46)は「利用者に対して、自分の価値観でなく相手本位の接し方をしないといけない。それがボランティアにできるかは疑問」と話します。盗難や器物損壊が起こった際、責任ある対応が取れるかも問われます。
「何よりボランティアを担う人がいない」と藤井さん。ボランティアに携わるには生活や収入に余裕が必要です。定年後も暮らしを支えるために働いている人は多く、「人が集まらないという地元の声も聞く」といいます。
安倍政権はケアプランの有料化や、利用料2割・3割負担対象者の拡大など国民の負担増を狙っています。
ケアマネジャーの藤井さんと話す附木すみゑさん(左)=千葉県船橋市
年金で足りず
糖尿病やリウマチなどの持病を持ち、要介護2の認定を受けている附木(つけぎ)すみゑさん(83)=千葉県=。足に痛みがあり、室内でも杖(つえ)を使い歩行しています。
1人暮らしの附木さん宅には、生活支援として隔週1回、ヘルパーが掃除をしています。「足が痛くて、立っていられない。転んだら危なくて」と話します。
「窓やカーテンも掃除できずに真っ黒」という附木さん。ヘルパーに依頼することもできますが、保険適用外のため依頼はしていません。「1回いくらってかかっちゃう。年金じゃ足りないものね」
90代の親を70代の子が介護する場合、自身も年金生活者のケースが多くあります。藤井さんは「親にお金を使ってあげたくても、貯金を使い切ってしまうのではという不安から、利用を制限する人はいます」と話します。
安倍政権は2015年に、一定収入以上の人に利用料2割負担を、18年に3割負担を導入。そして、来年の通常国会で2割、3割負担の対象者拡大を狙っています。
週1回のデイサービスだけでも利用料は、1割負担だと1回1500円ほど(食事代含む)ですが、3割負担では1回3300円(食事代含む)に上ります。月4回利用すれば、月額は1万3200円です。ケアプランが有料化されれば、さらに4回の作成につき1400円ほどの負担がのしかかります。
「2割、3割負担の人になると、どうしても利用を控える傾向は強くなります」(藤井さん)
未納者に罰則
介護保険料未納者に対する厳しい罰則規定も問題です。
千葉県船橋市にある八木が谷在宅介護支援センターの泉水玲子センター長は81歳の女性のケースを話します。
女性は認知症を患い、息子と同居。「同じ話を何度も繰り返すなど、家族の介護負担が重く、家庭環境が険悪な雰囲気になり、支援に入りました」
泉水さんはデイサービスの利用を勧めたいと考えましたが、本人は無年金者。介護保険料や国民健康保険料を2年以上滞納していました。介護保険は2年以上滞納があれば、利用料が3割負担になってしまいます。
「世帯収入は息子さんの月20万円ほど」と泉水さん。「無年金で保険料を払えなかった人が、1回3000円前後の利用料を払えるはずがありません」
厚生労働省が9月に発表した17年の介護保険の滞納処分者は全国で1万5998人。過去最多に上ります。
日本共産党は罰則規定の見直しを国会で追及しています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月28日付掲載
今でも介護度がアップして、利用回数が増えると負担が増えるのに、1割負担を2割3割にアップするって。
高齢者から必要な介護を取り上げる無慈悲な行為。
介護 STOP破壊① 現場から(上) 要介護1の支援 生活維持支えるプロ
来年の介護保険改定に向け、安倍政権は議論をすすめています。そのなかみは、負担増・給付減など利用者や家族の暮らしを“破壊”させるもののオンパレード。利用者・家族の生活はどうなるのか。現場を見ました。
(和田育美)
「ヘルパーさんは本当にいろいろやってくれた」。そう感謝を口にする女性(94)は、千葉県船橋市で1人暮らしをしています。要介護1の認定を受け、週3回、ヘルパーが来ています。
総菜などの簡単な買い物や入浴は自分で行います。女性が自分でできる範囲を尊重しつつ、体の負担の大きい日常の調理や、水の購入、トイレ・お風呂の掃除、布団を干す、冬物のカーペットを出すなどの家事は生活援助としてヘルパーが行います。1割負担で利用しており、月の負担額は6000円前後です。
今まで認知症の症状はなかったのですが、ここ2~3カ月で「お金が無くなった」「貸金庫のカギがない」と訴えることが多くなりました。
家族の責任に
女性は「毎日どう生活しようかと思っている自分を助けてもらえた。長生きができるし、家族にも迷惑をかけずに生活できるのは介護保険のおかげ。減らしたら日本が泣く」と話します。
「この年まで母が1人で生活してこれたのはヘルパーが支えてくれたから。介護保険ができたときは、すごく画期的だと思ったのに」。東京都内に住む、女性の長女(63)はこう話し、肩を落とします。
“介護の社会化”を掲げて始まった同制度を“家族の責任”に変質させようとする安倍政権に怒りをぶつけます。「消費税だって上がって、介護保険料だってずっと払ってきた。時代に逆行しているよう。いいかげんにしてほしい」
安倍政権は要介護1、2の生活援助の介護給付外しを狙っています。実施されるとヘルパー以外に、研修を受けた無資格者や、ボランティアでも生活援助を行えるようになります。
調理や掃除を行う生活援助といっても、家事をこなすだけではありません。専門職として認知症の人とのかかわりが多いヘルパーは、援助に入った家の様子や利用者の言動から認知症の症状に気づき、早期の対応につながるケースがあります。また、利用者との接し方にも専門的技能が必要です。
声かけが上手
ケアマネジャーの米山留美子さん(52)は、「プロのヘルパーさんは声かけが上手」と言います。要介護1、2で認知症を患う利用者が「お金がない」と訴えた際、「共感して安心できる声かけをしないといけない」と話します。
日常生活が以前のようにできなくなった高齢者の気持ちを理解しないまま接すると、興奮して強い口調になり会話にならなくなることがあります。当事者に嫌な印象が残ると、次に援助に入ろうとしたとき、介入が難しくなります。「知識がない人だと逆効果になってしまう」と米山さんは話します。
同市にある八木ケ谷在宅介護支援センターの泉水玲子センター長は「介護度の軽い人というのは介護状態になる予備軍」と指摘します。
手厚い援助があれば介護予防状態が長く維持できる一方、支援を受けられなくなれば、自立した生活維持が困.難になり、できないことが増え、様態悪化は目に見えるといいます。「給付外しを“制度を維持するため”と政府はいいますけど、このままでは国民一人ひとりの健康で文化的な生活がままならなくなる。現場からはすごくそう感じます」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月27日付掲載
要介護1。買い物や掃除などの生活の支援。「単純作業だから、ヘルパーの資格がなくっても、無資格者やボランティアでもできるんじゃないか」。
違うんです。専門職のヘルパーは、家の様子や言動から認知症などの早期発見、治療につなげることができるんです。