きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい四季報2022 Ⅲ ①世界経済 食料・エネルギー不安進行

2022-09-30 07:11:08 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報2022 Ⅲ ①世界経済 食料・エネルギー不安進行
【ポイント】
①コロナ禍、ウクライナ戦争など複合的影響で急性食料不安に陥った人口が増加
②経済制裁に反発するロシアが欧州向け天然ガス供給量を絞り、ガス価格が高騰
③米国主導の新経済秩序IPEFの閣僚級会合が共同声明。正式交渉開始で合意

新型コロナウイルス禍やサプライチェーン(供給網)の障害、ロシアのウクライナ侵略など複合的な影響で、世界の食料危機、エネルギー不安が高まっています。そのために進行するインフレに対処して、各国が利上げを重ねています。他方、米国は、半導体供給網など米国主導の新たな経済秩序づくりを目指しています。

供給対策が困難
国連食糧農業機関(FAO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)、世界食糧計画(WFP)、世界貿易機関(WTO) が7月15日、共同声明を発表し、世界的な食料不安への緊急対策を呼びかけました。
声明は、コロナ禍やサプライチェーンの障害、ウクライナ戦争が食料、燃料、肥料の市場に混乱をもたらし、急性食料不安に陥った人口が6月までに82カ国、3億4500万人に増加したと指摘しました。さらに、天然ガスなどのコストの歴史的な高騰を反映し、肥料価格が過去12カ月間で2倍となり、食料供給対策を難しくしていると述べました。
また、東欧を担当するWFPの地域局長が9月12日、ウクライナ戦争で悪化した世界的な食料危機に途上国の通貨安が拍車を掛けていると指摘し、国際的な支援の継続を訴えました。同局長は、ウクライナからの穀物輸出が8月に再開され、食料品の国際相場が下がったものの、ドル高が進むことで途上国の購買力が低下し、深刻な食料不足が続いていると指摘しました。



バルト海ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の設備=9月16日、独ルプミン(ロイター)

世界経済の主な出来事(7~9月)
7/136月の米消費者物価指数発表。40年ぶり高水準の9.1%上昇
7/13カナダ中銀、1%利上げ。利上げは3月以降4会合連続
7/14ロシア天然ガス企業、欧州企業へ供給を保証できないと書簡
7/15FAOなど5国際機関が食料不安への緊急対策を訴え
8/2オーストラリア中銀、0.5%利上げ。利上げは4会合連続
8/318月のユー口圏消費者物価を発表。9.1%上昇
9/8欧州中銀、0.75%利上げ。利上げは7月以降2会合連続
9/9IPEF閣僚級会合、正式交渉の開始で合意
9/21米FRB、0.75%の大幅利上げ。利上げは5会合連続
9/22英中銀、0.5%利上げ。利上げは12月以降7会合連続


天然ガスが高騰
ウクライナ侵略に対する経済制裁に反発するロシアがパイプライン「ノルドストリーム」を通じた欧州向け天然ガス供給を絞ったことで、価格が高騰しています。欧州のガス価格指標であるオランダTTFが8月23日、過去10年平均の14倍まで高騰しました。米国でも代表的指標の先物価格が同日、一時的に100万BTU(英熱量)当たり10ドルを突破し、2008年7月以来約14年ぶりの高値を付けました。
ロシア産天然ガスの供給が不安定化する中、欧州各国は代替の供給源の確保を急いでおり、米国からの輸出も増えています。天然ガス価格の高騰は、ロシア産エネルギーに大きく依存するドイツを中心に景気を下押ししており、ユーロ圏諸国が今冬に景気後退入りするとの懸念が強まっています。

米主導の新秩序
米国提唱のインド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚級会合が9月8、9両日、米ロサンゼルスで開かれ、日米など14カ国が「サプライチェーン」「貿易」「クリーン経済」「公正な経済」の4分野で閣僚声明を採択し、正式交渉の開始で合意しました。ただし、国ごとに参加する分野を選択でき、インドは「貿易」に参加しませんでした。
IPEFは、バイデン米大統領が来日中の5月23日に発足を発表したもので、影響力を強める中国を念頭に、米国主導の新たな経済秩序づくりを目指しています。中国に対抗して、経済安全保障の強化を掲げ、中国に依存しない半導体供給網の構築などを最優先しています。会合を前に、タイ米通商代表は9月7日、IPEFは「伝統的な貿易協定を超える革新的な枠組みだ」と語り、新たなルールづくりを米国が主導する考えを表明していました。(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月28日付掲載


国連食糧農業機関(FAO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行(WB)、世界食糧計画(WFP)、世界貿易機関(WTO) が7月15日、共同声明を発表し、世界的な食料不安への緊急対策を呼びかけ。
声明は、コロナ禍やサプライチェーンの障害、ウクライナ戦争が食料、燃料、肥料の市場に混乱をもたらし、急性食料不安に陥った人口が6月までに82カ国、3億4500万人に増加したと指摘。
米国提唱のインド太平洋経済枠組み(IPEF)は、中国に対抗して、経済安全保障の強化を掲げ、中国に依存しない半導体供給網の構築などを最優先に。
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岸田政権 コロナ療養期間短縮 科学軽視の乱暴な決定

2022-09-29 07:10:40 | 新型コロナウイルス
岸田政権 コロナ療養期間短縮 科学軽視の乱暴な決定
岸田自公政権は「ウイズコロナ」への移行策として新型コロナ感染症の療養期間短縮を7日から実施しました。有症状は従来の10日間を7日間に、無症状は検査での陰性確認を条件に7日間を5日間としました。これに医療現場から懸念の声が上がっています。全日本民主医療機関獲耳の増田剛会長に聞きました。(内藤真己子)

全日本民主医療機関連合会 増田剛会長に聞く
国民生活を守るためにワクチン接種や感染対策を進めながら経済活動を回すことは大事です。しかし今回の療養期間短縮は決め方が乱暴で、科学を軽視しています。

全日本民主医療機関連合会の増田剛会長

専門家は警告
政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠としています。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調しました。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出しています。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いがあります。また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。厚生労働省のアドバイザリーポードに7日、同資料を提出した感染研の鈴木忠樹氏は、「BA.5で同様の結果であるかどうかは不明」と注意喚起しています。
鈴木氏は終了後の記者説明で感染性ウイルスの残存リスクが高くなれば「他人に感染させるリスク」も高くなるとしたうえで、短縮は「従来のルールでの療養終了者よりも相対的に(2次感染を起こす)リスクが高い」としています。
京都大学大学院の西浦博教授は同会議に、「PCR検査で発病後7~10日でも2次感染を起こし得る十分なウイルス量が検出された」とする科学誌「ネイチャー」の知見を提出しました。終了後の説明では「7日間の療養というのは、今日までの科学的エビデンスをもとに定量的に許容可能な範囲を超えている。どうしても採用するならば政治的決断として実施することを明確にする必要がある」と厳しく指摘しています。

リスク周知を
政府はこうした専門知をあまりにも軽視しています。また、重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないことです。大きなミスリードになります。
感染大爆発を起こした第7波で死者は1日300人を超える日もあり8月は2月の1・5倍と過去最多を更新しました。医療者も感染し就業停止が増えるなか患者は激増、発熱外来はパンクしました。救急医療の危機的状態はいまだ解消されていません。介護現場は過去最多のクラスターで疲弊しています。療養期間短縮が感染再拡大の端緒になってはならない。
政府には科学的知見に基づく総合的な対策と、現基準におけるリスクと必要な感染対策の周知を求めます。BA.5のデータによっては短縮の見直しも必要です。
26日から陽性者の届け出の対象が全国一律で、高齢者や妊婦、入院が必要な人、重症化リスクがあり治療が必要と医師が判断する人に限定されます。検査を受けるべき人が受けないままになったり、発生届の対象にならない人が医療機関にアクセスしにくくなることがあってはなりません。治療が必要なすべての人が速やかに受診できる医療体制の構築へ、国の支援が必要です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月26日付掲載


政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いが。
また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。
重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないこと。
経済活動を回すことを優先するあまり、感染リスクの拡大を軽視しています。
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徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ③ 文鮮明の死きっかけに帰国 洗脳が解けても苦難

2022-09-28 07:06:31 | 政治・社会問題について
徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ③ 文鮮明の死きっかけに帰国 洗脳が解けても苦難
作家 冠木結心(かぶらぎけいこ)さん


統一協会(世界平和統一家庭連合)の開祖、文鮮明は2012年に死去します。それをきっかけに集団結婚で韓国に渡っていた作家の冠木結心さんは、帰国を決断します。
統一協会では、文鮮明をメシア=救世主と信者を洗脳します。文鮮明の死は、冠木さんに「メシアではない」と気づかせ、洗脳を解きました。

社会基盤がない
最初の夫の暴力も、次の夫による借金苦も、洗脳されているときは苦労を神の国をつくるための“試練”ととらえていました。「頭の中がお花畑だったのです」と冠木さん。
しかし、洗脳が解けると、価値観や生き方を一から築きなおす必要がありました。



帰国する際にパスポートを夫に隠されたため、日本領事館から急きょ発行してもらった「帰国のための渡航書」(冠木さん提供)

統一協会では、勉強よりも信仰が優先されます。学歴もなく、韓国に約10年いた冠木さんには、日本に社会基盤はありませんでした。
しかも2人の子どもをかかえた40歳手前のシングルマザーです。毎日のようにハローワークに通いましたが、安定した仕事を得られませんでした。
雇用を破壊してきた日本の経済政策も追い打ちをかけます。
就ける仕事は非正規で低賃金ばかり。いつも違う職場に通い、チラシ折りや梱包(こんぽう)など単純作業を行う日々が続きました。
実の母親は子どもたちに信仰を強いるため、面倒を頼むことはできません。
行政にSOSを出しても、窓口で「信教の自由」「親子の問題」と、門前払いされることがあるといいます。
頼れる人も少なく、経済的にも追い込まれた冠木さんは、「いのちの電話」に電話しました。
自己破産と心理治療を勧められました。母親の干渉から逃れるため、引っ越しを機に、住民票の閲覧に制限をかけました。

自身も加害側に
洗脳が解けた当初、「だまされた」「人生めちゃくちゃにされた」と怒りがわきました。
一方で、心理治療を通し、自身も統一協会にさまざまな人を引き込もうとした加害者であったと気づきました。
自身の行いに報いるため、また同じような経験をする人がいなくなるよう願い、執筆活動に励みます。
「私はたまたま、『人生を台無しにされた怒り』を転換できました。でも一歩でも間違えたら、安倍晋三元首相を撃った山上徹也容疑者のようになっていたのでは―と思うのです」
家庭内でカルト問題を解決することは困難だとし、信仰の名のもとで虐待されている子どもや、苦しむ人たちの救済を求めます。そのためにも、「信仰ではなく虐待」という認識が、自治体や相談窓口で広がることが重要だと指摘します。
冠木さんは訴えます。
「1990年代半ば以降、メディアで統一協会問題が取り上げられることがほとんどなくなりました。『空白の30年』と言われていますが、私たちにとっては『苦しみの30年』でした。党派を超え、この間題に取り組んでほしいです」
(信者2世編Ⅱ おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月21日付掲載


統一協会では、文鮮明をメシア=救世主と信者を洗脳。文鮮明の死は、冠木さんに「メシアではない」と気づかせ、洗脳を解きました。
一方で、心理治療を通し、自身も統一協会にさまざまな人を引き込もうとした加害者であったと気づきました。
自身の行いに報いるため、また同じような経験をする人がいなくなるよう願い、執筆活動に励みます。
「信仰ではなく虐待」という認識が、自治体や相談窓口で広がることが重要。
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徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ② 再び集団結婚 韓国へ 経歴詐称の夫は失踪

2022-09-27 07:08:53 | 政治・社会問題について
徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ② 再び集団結婚 韓国へ 経歴詐称の夫は失踪
作家 冠木結心(かぶらぎけいこ)さん


統一協会(世界平和統一家庭連合)の信者2世だった作家の冠木結心さん。集団結婚した最初の夫とはDV(ドメスティックバイオレンス)が原因で離婚しました。
ただ洗脳は解けていませんでした。信仰心があつい母親を喜ばせたい―そんな思いで再び集団結婚をします。

教区長の紹介で
新しい夫は、統一協会の教区長が紹介した年上の韓国人。最初の夫との間にできた子どもと韓国に渡り、生活を始めます。
ところが―。大卒の配管工と説明されたものの、実際は日雇い労働者でした。夫は毎日のように飲んだくれ、冠木さんのクレジットカードを盗み、勝手に使うことも。
「暴力を振るわないだけありがたいと思え」。夫はそう繰り返しました。
2004年に夫との間に子どもが生まれました。産後1カ月もたっていないなか、夫が突然姿を消しました。2人の子どもと冠木さんを残し、借金取りから逃れるため失踪したのです。
「夫が自分だけ助かろうと思っていたことに絶望しました。産後直後で働くこともできず、母は、私の帰国をよく思わないため、帰ることもできませんでした」
借金取りのなかにはヤクザも。冠木さんは知人の助けで子どもたちと避難します。



助けてくれた韓国の人たちと冠木さんが住んでいた小屋(冠木さん提供、一部を加工しています)

ある日、避難先に見知らぬハルモニ(おばあさん)から電話がかかってきます。そのハルモニに夫が世話になっているというのです。
心配しなくていいから、うちにおいで―。夫は許せませんでしたが、命をつなぐために頼ることにします。
たどりついたのは山奥の田舎町。住まいは物置と化した小汚いプレハブ小屋。トイレは板が渡されただけ。中が丸見えで、ウジ虫が大量に発生していました。臭いが充満し、食事がのどを通りませんでした。
スーパーのある中心部まで、歩いて往復2時間かかります。バスは1日3本しかなく、雪が降ると上がってきませんでした。
貧しい暮らしでしたが、ハルモニは食事を提供してくれ、家賃もとりませんでした。
「統一協会からは助けてもらえませんでした。でも一般の韓国の人からは助けてもらいました。だからこそ生きてこられました。ハルモニたちには、ものすごく恩を感じています」

人事のためなら
集団結婚で韓国に送られた日本人女性信者は7000人に上るとされています。冠木さんは、韓国の統一協会を支えているのは日本人だといいます。
「韓国の統一協会では家庭が崩壊するような献金はあり得ません。伝道をするのも日本人です。入信する人の多くが男性で結婚目的でした」
集団結婚をした当時、在職証明書や最終学歴証明書の提出が義務付けられていました。しかし、夫の学歴や職歴、年齢までもすべてが偽装されていました。
冠木さんは言います。「統一協会では、何組結婚させたかが、評価や人事に直結しているのだと思います。教区長は夫に問題があると知っていました。にもかかわらず、偽装を見逃し結婚させたのです」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月20日付掲載


貧しい暮らしでしたが、ハルモニは食事を提供してくれ、家賃もとりませんでした。
「統一協会からは助けてもらえませんでした。でも一般の韓国の人からは助けてもらいました。だからこそ生きてこられました。ハルモニたちには、ものすごく恩を感じています」
木さんは言います。「統一協会では、何組結婚させたかが、評価や人事に直結しているのだと。教区長は夫に問題があると知っていました。にもかかわらず、偽装を見逃し結婚させた」
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徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ① “どんな相手でも甘受せよ” 洗脳されて集団結婚 14万円で買われた

2022-09-26 07:26:48 | 政治・社会問題について
徹底追及 統一協会 信者2世編Ⅱ① “どんな相手でも甘受せよ” 洗脳されて集団結婚 14万円で買われた
作家 冠木結心(かぶらぎけいこ)さん

1992年、高校のテスト休み中で家にいた作家の冠木結心さんは、昼のワイドショーを見て愕然(がくぜん)としました。東京ドームの映像と「宗教団体の大会が行われているもようです」との声が流れたからです。東京ドームはその日、母親が「集会がある」と出かけた場所でした。統一協会(世界平和統一家庭連合)の大会だったのです。

「親孝行」で入信
両親の仲が悪く、母親は、仏教の一派を名乗る天地正教にはまっていきました。数万円する数珠や大理石の弥勒菩薩(みろくぼさつ)を買うことも。実は天地正教は、統一協会のダミー団体でした。
「母親は仏教を信じていたと思っていました」と冠木さん。母親は天地正教から統一協会へのみ込まれていきます。
母親は、冠木さんを統一協会に勧誘するようになります。当時、統一協会に関する報道が盛んでした。ただ生き生きとしていくように見えた母親の誘いを断ることはできません。親孝行のつもりで入信しました。
会社員になってから、母親は冠木さんに「献身」=出家をすすめました。
「身も心も全て神にささげるというもので、ホームと呼ばれる一軒家で約30人の信者と暮らしました。圧倒的に女性が多かったです」
夜中まで講義を受け、15畳ほどの部屋に雑魚寝。朝5時に起きて祈祷(きとう)し、勤務先へ向かう生活を送りました。
ある日、21日間の修練会に行くことが決まります。長期間仕事を休むわけにはいかず、やむなく退職することに。
修練会では四六時中講義を聞かされます。深く洗脳され、集団結婚を決めました。



1992年に統一協会のダミー団体「世界平和女性連合」が東京ドームで開いた集会。韓鶴子総裁が出席しました(『日本統一運動史』より)

殴る蹴るの暴行
統一協会が選んだ結婚相手は、年下の韓国人でした。
教義をまとめた『原理講論』の教えでは日本は韓国に奉仕する「エバ国家」です。日本人にとって韓国人とつながれることは光栄なことで、「どんな男性でも甘受しろ」と教えられました。
当時、集団結婚のために統一協会に、日本人は140万円、韓国人は140万ウォン(約14万円)を払う仕組みでした。
「韓国では『日本人と結婚できる』と宣伝され、信仰心がない人が集まりました。『14万円で嫁を買う』という感覚なのだと思います。まるで人身売買です」
言葉が全く通じない状況で家庭生活が始まりました。夫は家にお金も入れず、毎日のように飲みに出かけました。怒鳴りつけることや、殴る蹴るなどの暴力をふるうことも。
出産を機に離婚を決意。「子どもに暴力がふるわれるかもしれないということが一番怖かったです」
それでも統一協会は「離婚はサタンが喜ぶ」と脅します。やっとの思いで親に切り出しましたが、専門機関ではなく、統一協会の教区長に相談することに。教区長は「うまく彼を立てれば大丈夫」と夫の肩を持ちました。
失望した冠木さんは、覚悟を決め、離婚を告げました。夫は養育費を支払わないことを条件にした上、家中の金目になるものを奪い、姿を消しました。(つづく)
(統一協会取材班)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月19日付掲載


教義をまとめた『原理講論』の教えでは日本は韓国に奉仕する「エバ国家」です。日本人にとって韓国人とつながれることは光栄なことで、「どんな男性でも甘受しろ」と教えられました。
「韓国では『日本人と結婚できる』と宣伝され、信仰心がない人が集まりました。『14万円で嫁を買う』という感覚なのだと思います。まるで人身売買」
統一協会は、宗教団体とは縁のゆかりもない、文鮮明のための金集めの偽装団体だ。

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