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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

男女賃金格差 公表から是正へ③ 間接差別広く禁止を

2024-04-10 07:12:58 | 働く権利・賃金・雇用問題について
男女賃金格差 公表から是正へ③ 間接差別広く禁止を

早稲田大学名誉教授 浅倉むつ子さんに聞く

―日本は、ジエンダーギャップ指数でみると146力国中125位です。とくに経済分野の不平等は大きく、男女賃金格差は、男性100に対して女性75・5です。原因はどこにあるのでしょうか。

厚生労働省は、男女賃金格差の二大要因を、勤続年数の男女差と、職階の男女差だと説明しています。しかし重要なのは、それらをもたらしている要因です。私は、日本における強固な性別役割分業と、日本企業の内部システムに問題があると考えています。
日本の女性は、男性の5・5倍もの時間を家事・育児・介護に費やしていますが、企業における働き方はワーク・ライフ・バランスからはほど遠いもので、いまだに長時間労働の実態は変わっていません。
高度経済成長期には、管理職になろうとする労働者に、労働時間や勤務地が無限定であることが期待されましたが、そのときに作られた日本企業の雇用管理システムは、いまだに改善されていないのです。コース別雇用における総合職の働き方は、ケア責任を担っている女性にとっては大きな不利益をもたらす間接差別だといえると思います。


日本のジェンダーギャップ指数(2023年)
総合(政治、経済、教育、健康)125位0.647
経済123位0.561
 労働参加率の男女比81位0.759
同一労働における賃金の男女格差75位0.621
推定勤労所得の男女比100位0.577
管理的職業従事者の男女比133位0.148
※指数は、0が完全不平等、1が完全平等
世界経済フォーラム「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書(2023年)から作成


―男女賃金格差の背景には、雇用における間接差別の実態があるのですね。日本の法律でも間接差別は禁止されているのでしょうか。
たしかに男女雇用機会均等法7条が間接差別を禁止しています。ただし、その対象となる行為は、均等法の施行規則が定めている三つの行為類型だけに限定されており、条文の効果は薄いと思います。間接差別の概念をより幅広く認めさせることも必要です。
―こうした差別について、個別の法律で対応するのではなく、体系的な法制を求める議論も生まれています。
日本は、憲法14条で法の下の平等を明記していますが、それを具体化する「差別禁止法」がないではないかと、国連の女性差別撤廃委員会からは、再三、指摘されてきました。最近では、「包括的差別禁止法」を作るべきだという議論も登場しており、重要です。人権保障のためには、性差別の禁止だけでなく、障害、人種、年齢など、さまざまな事由にもとつく差別を禁止する包括的な法制が必要だという議論です。
包括的差別禁止法では、差別とは何かという定義をおくこと、直接差別や間接差別、ハラスメントなどの行為を禁止して、効果的な救済制度を設けることなどが要請されます。将来的には大きな法律を作る必要があると思います。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月9日付掲載


厚生労働省は、男女賃金格差の二大要因を、勤続年数の男女差と、職階の男女差だと説明。しかし重要なのは、それらをもたらしている要因。私は、日本における強固な性別役割分業と、日本企業の内部システムに問題があると。
人権保障のためには、性差別の禁止だけでなく、障害、人種、年齢など、さまざまな事由にもとつく差別を禁止する包括的な法制が必要。
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男女賃金格差 公表から是正へ② 立証責任 使用者側に

2024-04-09 07:16:54 | 働く権利・賃金・雇用問題について
男女賃金格差 公表から是正へ② 立証責任 使用者側に

早稲田大学名誉教授 浅倉むつ子さんに聞く

―外国の賃金透明化法は賃金差別の個別救済を援助する機能があるとのことでしたが、日本の男女賃金差別の救済制度はどのように改善すべきでしょうか。

日本では、労働基準法4条が「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と、性を理由にした差別を禁止しています。非常に重要な条文ですが、これだけでは性以外の理由によって生じた格差は4条違反だと判断されにくい問題もあります。
たとえば、コース別雇用における男性総合職と女性一般職の賃金格差や、正社員男性と非正社員女性の賃金格差は法的にどう評価されるのか。労基法4条だけでは救済されるか否かが明確ではありません。




私は、現行の賃金に関する性差別禁止原則を労基法4条1項として、新たに2項で「同一価値労働同一賃金原則」を定めるという法改正を提案しています。さらに3項で、性に中立的な職務評価制度により「同一価値」の判断はなされる、と規定することもあるでしょう。韓国ではそのような法改正を行いました。

―他にも課題はあるのでしょうか。
賃金差別の裁判では、立証責任の課題があります。賃金差別を立証する責任は原告側・労働者側にあり、使用者に情報開示を請求することはできません。たとえ「同一価値労働同一賃金原則」が規定されたとしても、男女の労働の価値が同一かどうか、同価値の仕事をしている比較対象労働者は誰か、その人の賃金はどれだけか、などの情報をもとにした立証を行うことが労働者に課されていれば、それを果たすのは難しい。
そのため、立証責任の軽減の仕組みが必要です。原告が賃金格差の存在を明らかにすれば、格差を正当化する証明責任は使用者に転換するという仕組みです。前回も指摘したように、諸外国ではこうした仕組みがあっても、労働者の負担が大きかったため、労働者から使用者に格差に関する情報開示を請求できる賃金透明化法にすすんだことは教訓的です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月6日付掲載


日本では、労働基準法4条が「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と、性を理由にした差別を禁止。非常に重要な条文ですが、これだけでは性以外の理由によって生じた格差は4条違反だと判断されにくい問題も。
私は、現行の賃金に関する性差別禁止原則を労基法4条1項として、新たに2項で「同一価値労働同一賃金原則」を定めるという法改正を提案。
賃金差別の裁判では、立証責任の課題が。原告が賃金格差の存在を明らかにすれば、格差を正当化する証明責任は使用者に転換するという仕組み。
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男女賃金格差 公表から是正へ① 世界と日本で大きな違い 海外は差別解消から出発

2024-04-08 07:33:37 | 働く権利・賃金・雇用問題について
男女賃金格差 公表から是正へ① 世界と日本で大きな違い 海外は差別解消から出発

一昨年から始まった男女賃金格差の公表(301人以上規模の企業に義務付け)で、深刻な実態が明らかになっています。この公表からどう格差是正に結びつけるか、問題点や課題について、早稲田大学名誉教授の浅倉むつ子さんに聞きました。(行沢寛史)

早稲田大学名誉教授 浅倉むつ子さんに聞く




―日本の男女賃金格差の公表をどうみていますか。
今回の公表は、女性活躍推進法の省令と指針の改正によるものです。女性活躍の公表項目に男女賃金格差を入れるべきだという議論は前からありましたが、使用者の反対で実現してきませんでした。それが一転して、今回、実現したことは評価できます。しかし同時に、その限界も見極めておくべきです。

個人救済の限界
じつは世界でも賃金透明化法が登場しており、日本もこの動きを取り入れたかにみえますが、世界の動向と日本の動向では、大きな違いがあります。
先進国の賃金透明化法としては、カナダのオンタリオ州が1987年という早い時期にペイ・エクイティ法を作りました。イギリスとドイツは2017年から、フランスは19年から、一定規模以上の企業に男女賃金格差の情報開示を義務づけ、EU(欧州連合)は23年に、賃金透明化指令を制定しました。
世界の賃金透明化法の背景には、男女の賃金差別解消は個人からの救済申し立てだけでは限界があるという問題意識があります。差別された本人が提訴するには、賃金格差の事実を入手しなければならず、救済されても本人に効果が及ぶだけで、職場の労働者全体の賃金格差は是正されないという限界です。
そこで個別救済を援助するためにも、賃金格差是正のプロアクティブ(予防的)な手段として賃金透明化法が登場しました。この法律では、労働者個人が使用者に、自分と同一価値労働をしている者の賃金を開示するよう求めることができます。また使用者は、比較されるべき男女間の賃金格差を公表し、一定以上の格差があれば是正する義務を負います。
一方、日本では、賃金差別の個別救済の問題点の認識がないまま、女性活躍推進の必要性から、男女賃金格差の公表を行っています。賃金差別の是正と賃金格差の公表という課題が切り離されているところに、一番の問題点があるといえます。

―賃金格差の公表から、日本ではどのように賃金差別の是正、格差解消につなげることができるのでしょうか。
日本では、男女賃金格差の公表が301人以上の企業に義務付けられましたが、公表だけで、是正させる仕組みがありません。是正にむけた行動計画の策定義務もなく、企業の自発性に委ねています。当面の課題は、企業に格差是正を義務付けることが必要です。
外国では、格差是正のために、同一価値労働同一賃金の原則に基づいて、企業に同一価値労働の男女間の賃金格差公表を義務付け、格差があれば是正義務を課すというやり方をしています。比較すべき男女間に賃金格差があれば、それは違法な賃金差別だという推定が働くのです。
これに対して日本では、企業内の平均的な男女賃金格差の把握と公表だけが行われるので、その格差が違法か否かの評価とは別物になっています。
では、日本でも「同一価値労働」の賃金格差を公表させるのは可能なのでしょうか。私は、日本でも、労働組合と使用者が共同で、職場内での職務分析や職務評価を実施するのが望ましいと考えています。しかし、この主張については、日本では職務評価は難しいという反論があるかもしれません。

男性正規と比較
しかし、厚生労働省も「同一労働同一賃金への対応にむけて」として、「職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル」を発行しています。厚労省も、日本の企業で職務評価ができないとは考えていないということでしょう。このマニュアルは、ILO(国際労働機関)がいう4要素(知識・技能、責任、負担、労働環境)での職務評価も推奨しており、参考になると思います。
ただし、マニュアルの中には、パート労働者と一般労働者の賃金について「活用係数」を設定してもよいという部分があり、問題です。「活用係数」を使えば、パート労働者の賃金は一般労働者の八掛けでよいということになり、賃金格差をそもそも容認してしまうことになるからです。これでは格差は是正できません。


男女賃金の差異を公表している企業の例
【A企業】人事関連業務
 男性数女性数男女賃金差
全従業員312101347.4
うち正規24730480.2
うち非正規6570990.1
【B企業】飲食業の経営管理業務
 男性数女性数男女賃金差
全従業員1569560.2
うち正規1547668.1
うち非正規219192.7
【C企業】飲食サービス業
 男性数女性数男女賃金差
全従業員83091247897.5
うち正規61819878.3
うち非正規769112280122.0
※男女賃金差は、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金の割合


―日本の男女賃金格差の情報開示制度について、当面、どのような改善点があるでしょうか。
日本の公表制度は、「全労働者」、「正規雇用労働者」、「非正規雇用労働者」という三つの雇用管理区分内での男女比較(男性を100とした場合の女性の賃金割合)だけを示すものです。しかし、この3区分の中での男女間の賃金格差だけを比較しても格差の実態はわかりません。
表は、今回公表された企業のなかからランダムに選んだ3企業の実情を示したものです。A、B、C各社の「全労働者」の賃金差は、A社で大きく、C社で小さくなっています。一方、「非正規雇用」の賃金差では、B社、C社で、女性が男性より賃金が高いことが示されています。おそらく非正規で働く女性の方が、男性より勤続年数が長いなどの要因があるのでしょうが、女性の大半が非正規だという差別的な事実は、C社の「全労働者」の数値からはわかりません。
公表制度を改善して、男性の正規雇用を100とし、それに対する「全労働者」「正規雇用」「非正規雇用」の男女の賃金割合を示すなど、実態がより反映されるものにすべきです。そのためにも、男女の正規・非正規の労働者数を同時に示すようにして、適切に実態を分析できるようにする必要があります。
現役時代の賃金差は、高齢期に年金の格差にも跳ね返ります。高齢女性の貧困率が高いのは年金が低いからで、現役時代のパートや有期雇用などによる低賃金が反映しています。この点からも、男女賃金差の是正が大切です。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月5日付掲載


世界の賃金透明化法の背景には、男女の賃金差別解消は個人からの救済申し立てだけでは限界があるという問題意識。
個別救済を援助するためにも、賃金格差是正のプロアクティブ(予防的)な手段として賃金透明化法が登場。この法律では、労働者個人が使用者に、自分と同一価値労働をしている者の賃金を開示するよう求めることができます。また使用者は、比較されるべき男女間の賃金格差を公表し、一定以上の格差があれば是正する義務を負います。
一方、日本では、賃金差別の個別救済の問題点の認識がないまま、女性活躍推進の必要性から、男女賃金格差の公表を行っています。
公表制度を改善して、男性の正規雇用を100とし、それに対する「全労働者」「正規雇用」「非正規雇用」の男女の賃金割合を示すなど、実態がより反映されるものにすべき。そのためにも、男女の正規・非正規の労働者数を同時に示すようにして、適切に実態を分析できるようにする必要があります。
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目で見る経済 ワイド版 実質賃金、1996年より74万円減

2024-02-20 07:10:33 | 働く権利・賃金・雇用問題について
目で見る経済 ワイド版 実質賃金、1996年より74万円減

実質賃金の低下が目立っています。厚生労働省「毎月勤労統計」によると、2023年平均(速報)の実質賃金は年換算371万円で、昨年より9・6万円の減少でした。12年12月に発足した第2次安倍晋三政権によるアベノミクス開始直前の12年の平均額404・6万円からは33・6万円もの減少になります。実質賃金がピークを迎えた1996年と比較すると74・1万円もの減少です。

実質賃金は名目賃金(現金給与総額)に、物価変動の影響(消費者物価指数のうち、持ち家の帰属家賃を除く総合値)を反映させることで算出されます。

名目も伸び悩み
20年平均を100として、1990年以降の名目賃金と消費者物価の推移を見ると、名目賃金は97年をピークに2013年まで下落傾向にありました。その後、若干上昇しますが、全体としては伸び悩んでいます。
毎月勤労統計は常用雇用労働者の就業形態について、正規・非正規という分類ではなく、フルタイムで働く一般労働者とパートタイム労働者という区分で集計しています。常用雇用労働者とは季節労働者や日雇い労働者とは違い、雇用期間を定めず雇用されている労働者のことです。
1990年に常用雇用労働者の9・2%しか占めていなかったパートタイム労働者は2023年速報で32・2%まで上昇しました。パートタイム労働者の現金給与総額は月額平均10万4570円(23年)と、一般労働者の同43万6849円の4分の1程度にすぎません。低賃金のパートタイム労働者の増加が全体の賃金低迷を招いています。




増税と金融緩和
消費者物価は1990年代以降、低い水準で推移してきました。しかし、安倍政権が消費税増税を強行した2014年以降、上昇傾向に入り、ロシアによるウクライナ侵略や天候不順で農産物や原材料価格が高騰した22年は前年比3%上昇、23年は同3・8%上昇と急速に伸びました。原材料価格の高騰に加え、異次元の金融緩和による円安加速が物価の急上昇をもたらしました。自民党政治が実質賃金を引き下げてきたのです。
(清水渡)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月17日付掲載


1990年に常用雇用労働者の9・2%しか占めていなかったパートタイム労働者は2023年速報で32・2%まで上昇。パートタイム労働者の現金給与総額は月額平均10万4570円(23年)と、一般労働者の同43万6849円の4分の1程度にすぎません。低賃金のパートタイム労働者の増加が全体の賃金低迷を。
原材料価格の高騰に加え、異次元の金融緩和による円安加速が物価の急上昇をもたらしました。自民党政治が実質賃金を引き下げてきたのです。
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経団連 「経労委報告」を読む⑤ 公正取引の実現こそ

2024-02-17 07:12:16 | 働く権利・賃金・雇用問題について
経団連 「経労委報告」を読む⑤ 公正取引の実現こそ
中央大学教授 松丸和夫さん

岸田首相は1月4日の記者会見で、物価の上昇を上回る賃上げの実現に向け、中小企業の法人税の減税措置などの方針を明らかにしました。
6~7割の中小企業が赤字と言われているのに、この措置ではあまり効果がありません。社会保険料の事業主負担の軽減こそ即効性があります。2024年度の政府予算案でも、中小企業向けの「業務改善助成金」は前年度比で減少し、ハードルが高く利用実績は低いままです。

発注企業の責任
バブル経済崩壊の1991年に、経団連は「企業行動憲章―持続可能な社会の実現のために」(2017年改定)を制定しました。その前文は「企業は、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値および雇用の創出と自律的で責任ある行動を通じて、持続可能な社会の実現を牽引(けんいん)する役割を担う」と書いています。
また、その行動原則の2番目には「公正かつ自由な競争ならびに適正な取引、責任ある調達を行う」としています。単価の一方的な切り下げや、下請け企業「振興基準」(22年改定)に定められる違法行為が、サプライチェーン(企業の取引連鎖)のどこかの結節点で発生した場合、今後は発注元企業の連帯責任が間われる法改正が必要となるでしょう。
すでに公取や政府機関の行政指導はその方向にかじを切っています。経団連の言う「責任ある調達」は、発注企業が取引先企業の労務費の「価格転嫁」を認める方法によってしか実現しません。
持続的賃上げのためには、大企業と中小企業の取引における公正取引の実現が必要です。そのためには、大企業も中小企業も消費者も、それぞれが経営や生活を持続可能なものとなる社会的コンセンサス(合意)を国民的に形成することが重要な課題です。

内部留保放流を
サプライチェーンは、生産と流通と所得分配のバランスがなければ、存続できません。地域循環型経済への転換が叫ばれて久しいですが、発注者の大企業(上流)から中小企業・労働者(下流)に至る資金の流れが公正におこなわれなければ、経済は「循環」しません。
過去最高水準を年々更新する大企業の内部留保の、たとえ一部でも取引先企業の単価や下請け企業労働者の賃上げの原資として「放流」しなければ、大企業の経営も中長期的に成り立ちません。「経労委報告」は「内部留保の意義・あり方についてステークホルダー(利害関係者)との間でいっそう議論を深め、理解を求めていく」と拘泥していますが、こうした姿勢への批判はかつてなく高まっています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年2月16日付掲載


持続的賃上げのためには、大企業と中小企業の取引における公正取引の実現が必要。そのためには、大企業も中小企業も消費者も、それぞれが経営や生活を持続可能なものとなる社会的コンセンサス(合意)を国民的に形成することが重要な課題。
発注者の大企業(上流)から中小企業・労働者(下流)に至る資金の流れが公正におこなわれなければ、経済は「循環」しません。
過去最高水準を年々更新する大企業の内部留保の、たとえ一部でも取引先企業の単価や下請け企業労働者の賃上げの原資として「放流」しなければ、大企業の経営も中長期的に成り立ちません。
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