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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑨ 大展望を開こう 軍事同盟のないアジアを

2018-08-29 14:19:49 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑨ 大展望を開こう 軍事同盟のないアジアを
「朝鮮戦争の勃発で日本の再軍備は早まった。米国務省の予想が外れ1948年に中国が共産化し次々と思いがけないことが起こり、最後に朝鮮戦争が起き“ソ連”が目の前まで来た。日本にいた米軍が朝鮮に出兵し、その空白を埋めるため再軍備(警察予備隊)に踏み切り、日本の独立を早めて日米安保条約を結ぶ。米国の当時の決断がいまのこの地域の基礎をつくっている」

平和ルール
日米同盟派の安保研究者はこう述べます。
日米安保体制は米国の反ソ反共の封じ込め世界戦略の一環でしたが、同時に、直接の動機は朝鮮半島の軍事緊張に対処するものでした。53年に朝鮮戦争は休戦しましたが、終戦することなく休戦ラインを境に南北そして米ソ、米中が対立する構造が維持されました。
91年のソ連崩壊後も、北東アジアでは日米同盟、韓米同盟が維持されます。核使用を含む米国の敵視政策に対抗するためとして、北朝鮮は核開発を進めます。米国が91年に韓国に配備していた戦術核を撤去し、その後北朝鮮が非核化に合意したことも何度かありましたが、いずれも実行が途中でとん挫。核問題は深刻化してきました。
昨年、核・ミサイル開発を加速させた北朝鮮に対し「北朝鮮を完全に破壊する」などとした米国1。戦争の危機に直面し、米朝の敵対関係を終結させて非核化を実現するという決断に至りました。
戦争終結へのプロセスが進み、南北、米朝、日朝が互いに認め合う。その先には中国、ロシアも含めて北東アジアの新しい平和のルールを話し合う展望が開けます。



記念講演する志位和夫委員長=7月11日


自衛隊ヘリ空母へのオスプレイの発着訓練も行われた日米共同訓練=2013年6月、自衛隊ホームページから

対話と行動
日本共産党の志位和夫委員長は党創立96周年の記念講演(7月11日)で、そのルールとして紛争があっても武力で解決しないという規範を諸国間で締結すると提案(北東アジア平和協力構想)。志位氏はその先に、「北東アジア地域全体が戦争の心配のない地域になったら、日米安保条約と在日米軍は果たして必要なのか。その存在が根本から問われることになる」と訴えました。本当に独立した日本、軍事同盟のない北東アジアへの大展望を提起したのです。
軍事同盟の根源は、敵意と不信です。対話と行動によって敵意を抑え、信頼をつくりだすことこそ真の平和戦略だという確信が、世界の民衆に広がって国際政治を動かしています。
韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は6月12日の米朝首脳会談の後、ソウルで開かれたシンポジウムで、トランプ大統領と金正恩国務委員長による米朝共同声明について、日中韓も含めた「全ての関係国が勝者だと言える」と評価したうえで次のように述べました。
「平和というものは銃口から生まれるものではない。信頼から生まれるものだ。信頼は互いに交流し、互いに理解し合うところから生まれる」(おわり)
(この連載は中祖寅一が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月25日付掲載


南北、米朝、日朝の対話が進み、北東アジアが戦争の心配のない地域になったら、日米安保条約と在日米軍が果たして必要か問われるという。
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑧ 対話で紛争解決へ 日中「対立」は論外

2018-08-27 10:36:40 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑧ 対話で紛争解決へ 日中「対立」は論外
「朝鮮戦争終結の平和条約が締結され、在韓米軍が撤退したら日本は“最前線国家”だ」
在韓米軍の撤退で日本は中国との「対決」の最前線に立つことになり、大軍拡や改憲が避けられないという主張がメディアや安保関係者から盛んに出されます。

机上の空論
これに対し元日朝国交正常化交渉日本政府代表の美根慶樹氏は、「安保専門家には、ミサイルや艦艇などの装備で初めて日本が守られ、その一つでも欠ければだめだという発想がある。それは一種の机上の空論だ」と指摘。「今は冷戦構造が終わると同時に新しい関係ができていくプロセスだ。日米安保がすぐになくなることはないが、米中、日中をはじめ北東アジア地域の経済的椙互依存の深まりも考慮し、非軍事的な解(答え)を見いだすことが必要。軍事オプションの一つが欠けたら別の軍事力で埋めるという古い発想は百害あって益なし」と語ります。
米朝首脳会談を受け中国も「平和的手段と対話による政治的解決」(王毅外相)を強調し、支持を表明しています。(6月12日)
韓国の在京メディアの関係者は、「新たな日中の対立激化は最悪のシナリオ。日清・日露戦争以来の植民地支配とその後の分断国家を終わらせるプロセスなのに、大国の対立のはざまで半島が再び戦場国家になりかねない」と、歴史意識に根差した強い懸念を語ります。



尖閣諸島

責務と役割
中国が軍拡を進めることに周辺国が不安を感じているのは事実です。南シナ海では人工島の造設と軍事化を継続。尖閣諸島周辺では中国艦船による領海侵犯が続いています。
他方、8月12日には安倍晋三首相と中国の李克強首相が日中国交正常化40周年にあたり祝電を交換。5月の李氏の訪日をうけ、「両国関係が正常な関係に戻った」と相互に確認し、関係改善への希望を述べ合いました。秋には安倍首相の訪中も検討されています。
米国も尖閣をめぐる日中の偶発的衝突に強い懸念を示しており、自衛隊と中国軍との海空連絡メカニズムが運用開始されるなど、衝突回避の努力もされています。
こうしたもとで日中間ではさらに踏み込んだ対話が必要です。
「九条の会」事務局員で一橋大学名誉教授の渡辺治氏は「南北、米朝という対立する当事者が、直接対話に踏み出したことで新しい局面が開かれた」と強調。そのうえで「朝鮮半島で切りひらかれた方向を北東アジア全体のルールにする。そのために日本は中国に直接対話をよびかけ、尖閣諸島など日中間の紛争案件の解決をはじめ、北東アジアの包括的な平和ルールづくりへと踏み出す責務と役割がある」と語ります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月24日付掲載


尖閣諸島や南シナ海での緊張があるからこそ、中国との対話が大事。
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑦ 日 本の植民地支配 歴史の反省を前提に

2018-08-26 11:52:06 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑦ 日本の植民地支配 歴史の反省を前提に
「日本は100年、150年という幅で隣国の近代的な民族国家の建設を阻害してきた。戦前の侵略と植民地支配、戦後の安保体制の下での朝鮮の南北分断への加担。いま朝鮮半島で、分断された民族が平和的な関係を追求する動きが出てきた中で、日本がやってきたことが根幹から問い直されている」
加藤圭木一橋大学准教授(朝鮮近代史)はこう述べます。

植民地支配
1894~95年の日清戦争は、日本と清(中国)による朝鮮半島の支配をめぐる戦争でした。1904~05年の日露戦争は日本とロシアによる朝鮮半島の覇権争奪戦でした。戦争に勝った日本は1910年に韓国を併合。敗戦まで植民地支配したのです。
45年8月14日、日本が連合国のポツダム宣言を受諾して降伏すると、連合国が朝鮮半島を占領します。米国の歴史学者ブルース・カミングスによると、同月8月10~11日の深夜、米国の国務・海軍・陸軍の三省調整委員会の30分ほどの協議で、北緯38度線で朝鮮半島を分割し米国とソ連が占領すると決定され、ソ連のスターリンもすぐに承諾したとされます(『朝鮮戦争の起源1』)。
加藤氏は「米ソ冷戦の始まりが南北分断を直接引き起こしたのは当然だが、日本の植民地支配が土台にあって分断が起こった。そして日本は日米安保体制のもとで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し米側に立って一貫して敵対的政策をとり続け、南北対立をあおってきた」と指摘。「日本は、南北で生じた主体的な融和の動きに、決して人ごとではなく分断の責任を有する当事国として向き合う必要がある」と強調し、「南北の動きを冷笑的に見るのでなく、植民地支配への真摯な反省を前提に支援するスタンスが必要だ」と述べます。



三・一独立運動で独立宣言書が読み上げられたタブコル公園にあるレリーフ。日本の兵士に抵抗する民衆が描かれています=ソウル市内(写真・栗原千鶴)

民族自決権
4月27日の板門店宣言は、南北間の「断たれた血脈をつなぎ、共同繁栄と自主統一の未来を早めていく」とし「わが民族の運命はわが民族が自ら決定するという民族自主の原則を確認」と強い決意を表明しています。
来年は「三・一独立運動」100年の年。「三・一独立運動」とは、1919年3月1日に植民地支配下の朝鮮で起こった最大の日本からの独立運動です。
加藤氏は「くしくも南北融和の歴史的情勢変化の中で、南北が連携して日本の責任を間う動きになる。それを『反日』などと決めつけるのではなく、きちんと受け止められる世論状況をつくることが重要だ」と語ります。
日本の侵略戦争と植民地支配の歴史への真摯な反省は、北東アジアに新しい平和のルールを確立する対話を進めるうえで不可欠の土台です。
しかし、安倍晋三首相は15日の戦没者追悼式の式辞で、6年連続でアジアへの「加害」に触れませんでした。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月22日付掲載


日本の侵略戦争は、日中事変からの15年戦争がよく言われますが、実際は1894年の日清戦争からの100年以上続くもの。
今の朝鮮半島分断の背景にあると言います。

コメント (3)
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑥ 軍事から対話へ 9条の力を示す流れ

2018-08-25 09:24:29 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑥ 軍事から対話へ 9条の力を示す流れ
「朝鮮半島の大きな転換を見据え強く感じるのは、アジアへの侵略戦争の反省にたって軍事を否定し、核戦争を体験し軍備の全廃を決めた日本国憲法第9条のすばらしさだ」
和田進神戸大学名誉教授(憲法学)はこう述べます。
日本国憲法第9条が登場した背景には、ヒロシマ・ナガサキへの核兵器の投下があります。内閣が日本国憲法公布直後に発行した『新憲法の解説』は、原爆の出現で「まず文明が戦争を抹殺しなければ、やがて戦争が文明を抹殺するであろう」と軍備全廃の意味を語っています。



安倍政権退陣、9条守ろうとデモ行進する人たち=6月3日、東京都新宿区

阻止力生む
和田氏は、「核兵器の登場とその巨大な蓄積、体系の成立は、9条とともに、核戦争を阻止する新しい民衆的基盤を持った恒常的、日常的運動をもたらした。核の出現は、まさに核を阻止する力を生み出した」と指摘します。
朝鮮半島での核戦争の危機の中で、「すべてをかけて戦争だけは防ぐ」とした韓国の文在寅(ムンジェイン)政権と韓国の民衆は、南北首脳会談から米朝首脳会談実現への流れをつくりだしました。昨年7月には歴史上初めての核兵器禁止条約が国連で採択されました。9条の精神が北東アジアと世界に広がりつつあるのです。
和田氏は、「現在の流れは、単に核兵器だけでなく、米韓合同軍事演習の中止、北のミサイル実験場解体など軍事的対抗そのものをやめていく動き」と注目。他方、南北で軍事通信線を回復し鉄道連結を進めるなど、「軍事一本やりだったものが、その行きつく先は核戦争による数千万人の戦死者という極限までいくことで、軍事的なものを否定していく流れとなっている。9条がさし示した道だ」とし、「いま9条の意義を語るチャンスだ」と強調します。9条に基づく平和外交のイニシアチブを強め、北東アジア諸国と紛争の平和的解決の合意を進める可能性の広がりを訴えます。

路線“転換”
他方で安倍晋三首相は、米朝首脳会談を受け、拉致問題に関し「日本が北朝鮮と向き合い解決する」と対話路線へ“転換”の姿勢を示さざるを得なくなりました(6月12日)。また同18日の参院決算委員会では「今般の会談においてトランプ大統領は、相互信頼を醸成しながら非核化の先の明るい未来を共有し椙手の行動を促すという新しいアプローチを採用した。今回の会談は、互いの相互不信の殻を打ち破る、突破口を開くものであった」と“対話路線”を積極評価せざるを得なくなっています。
「北朝鮮の脅威」を最大の口実に進めてきた9条破壊の「戦争する国づくり」は大きな矛盾と破たんを抱え込み、根源から動揺し始めています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月21日付掲載


核戦争の危機を阻止するのは、軍事力ではなく憲法9条とそれに基づく民衆の運動。
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朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑤ 日韓協力 プロセスを不可逆に

2018-08-24 11:08:33 | 国際政治
朝鮮半島の激動と北東アジアの平和⑤ 日韓協力 プロセスを不可逆に
「始まった平和のプロセスを外から冷ややかに見るのではなく、応援すると同時に、主体的にこのプロセスに参加していくことが大事」。歴史学者の栗田禎子千葉大学教授(元日本中東学会会長)はこう述べます。

民衆の連帯
「数カ月前を考えれば、トランプ米大統領と金正恩(キムジョンウン)の言葉の応酬で一つ間違えれば核戦争になる状況が現実にあり、日本が戦場になる危険もあった。これを回避する道が開かれたことに感謝し、韓国とも協力して積極的に動くべきだ」
栗田氏は、「地域の内側から平和をつくり出す力の成長」という観点を強調しました。
韓国でキャンドル革命を進めた民衆のたたかいには、平和への強い願いが込められており、それが南北会談から米朝会談への流れをつくり出した力でした。日本の民衆運動がこれに連帯し、平和の流れを不可逆のものにすることは緊急の課題です。
他方、韓国のメディア関係者の一人は「米朝対立が終結へ進むとしても、その結果、一方にある中国の軍事拡大、覇権主義的な動きに対し、暴力的に対決する構造になってはいけない」と指摘。日韓の外交的協力の重要性を語ります。



シンガポールで行われた日韓外相会談=8月2日、外務省ホームページから

地域の安定
7月9日に神奈川大学で開かれたシンポジウムで韓国国立外交院・外交安保研究所の曺良鉉(ジョヤンヒョン)教授は、「米中は大国だが、域内諸国は大国2国にどう対応すべきか。けん制しないといけない。域内諸国が心を一つにし、大国から(日韓)両国が振り回される状況を最大限警戒しなくてはいけない。その意味で日韓関係は2国間関係というより、地域の安定という観点から『公共財』的側面がある」と発言。曺氏は、日本が国際的な多角的枠組みの中で役割を果たすべきだとし、「米国との同盟も必要だろうが、独自の努力も必要だ。中国の動きへの警戒も大事だが、日中関係を安定化させる方向に進むべきだ。地域秩序は流動的、不透明になる中で日本外交の強靱性を育てなくてはいけない」と語りました。
朝鮮半島情勢の変化の中で、大国に対し自主性を発揮できないと、新たな対立激化をもたらすと警告し日韓協力を要請したのです。
日米同盟派の元外務省高官の一人も次のように述べざるを得ません。「朝鮮戦争終結を歴史は要求している。戦争が続くという“フィクション”のもとで形成された力のバランスは崩れるが、中国に対抗する軍拡は現実的ではない。南北の不可侵合意に続き、日朝、日中の不可侵合意をつくるなど、地域の安定を目指し構想力を出し外交をリードするしかない」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月20日付掲載


北東アジアの安定には、中国やロシア、アメリカも大事だが、日韓の協力が不可欠ってことですね。
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