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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
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許すなロックアウト解雇③ たたかう労組の存在 日本IBMの労働者たち

2015-10-19 18:58:53 | 働く権利・賃金・雇用問題について
許すなロックアウト解雇③ 日本IBMの労働者たち
作家 田島 一さん

たたかう労組の存在

今から3年前、「ロックアウト解雇」が始まった直後に、東京のJR四ツ谷駅構内で女性への盗撮事件を起こし最高顧問を辞任した大歳卓麻元社長は、2001年の雑誌インタビューにおいて、日本IBMは「人事制度改革で日本の毒味役になる」と公言した。「我々が毒味してみて、大丈夫そうだとなれば、日本の会社のみなさんもやりやすいんじゃないか」と自慢げに語っているのである。
客観的合理的理由あるいは社会通念上の相当性のない解雇は日本社会では無効とされている。が、「毒味役」の仕事は、「新陳代謝」とすり替えたイェッター氏と現社長のポール与那嶺氏にも引き継がれているのだ。



ロックアウト解雇の中止・撤回を訴え、日本IBM本社前で宣伝する大岡さん(中央)と支援者たち=3月25日、東京都内

毒味役に屈せず
一方で、同社のこうした施策に屈することなく抗してきたのが、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本IBM支部の組合員であった。1959年に結成された労組の機関紙『かいな』は、この9月末で2271号を迎えた。日本IBMに働くすべての労働者の生活と権利を守りたたかってきた、半世紀を超える歴史の中身は重い。
イェッター戦略遂行の上で最も目障りだったのが、いま七つの訴訟と労働委員会への「不当労働行為救済申し立て」でたたかう労組の存在であろう。組合役員としてリストラや職場のさまざまな問題の相談に乗り、身を粉にして活動する田中純さん(45)は、会社には目の上のこぶだったに違いない。解雇された後に話を聞くと、「この1、2年は、いつ自分に襲いかかってくるか分からなかったし、しんどかった」と田中さんは重圧の日々を口にする。
支部中央執行委員長の大岡義久さん(49)は、2001年以後の部門売却に端を発した、リストラ施策で翻弄(ほんろう)されてきた経過を語ってくれた。大岡さんは、IBMが誇るコンピューターの一貫生産工場である滋賀県の野洲事業所で、SLCと呼ばれる高密度ビルドアップ基板の生産に携わる技術者だった。
それまで12年間、常に高位であった大岡さんのPBC評価が一転する。会社が所属部門を京セラに売却した際、転籍に同意しなかったからだ。以来大岡さんは、見せしめで「スペシャルプロジェクト」に追いやられ、「干乾し」状態を余儀なくされることになる。
退職強要を拒否しての人材派遣会社への出向、そして二重派遣と試練が続くもとで、大岡さんは「対抗手段を持っていない」ことを痛感し、2004年の3月末に組合に加入し会社に通告する。大岡さんの課ではこのとき17人が一緒に組合員となり、派遣会社への出向は立ち消えになったという。

不当行為を断罪
労働者を守る唯一の労働組合を敵視し、不当労働行為を重ねる力の支配は、この7月に中央労働委員会から断罪された。
「会社は反省していませんが、団交拒否だけでなく、組合と実質的に協議しないことも問題にした命令は、今後の大きな力になります」と、大岡さんは笑みを浮かべた。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月17日付掲載


自ら「毒見役」になり、社会通念上は許されない解雇をやってみる。とんでもない「毒見役」ですが、たたかう労組はもちろん、日本社会も許していません。
労組とまともに交渉しない会社には、不当労働行為として断罪されました。
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