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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

後退する都民スポーツ(下) 学校プールの廃止 委託先閉鎖で困難も

2025-06-17 14:17:16 | スポーツ・運動について
後退する都民スポーツ(下) 学校プールの廃止 委託先閉鎖で困難も

小中学校のプールを廃止して水泳の授業を民間のスポーツクラブなどに委託する動きが東京都を中心に全国で起こっています。
日本共産党東京都議団は2023年、都内区市町村を対象に、小中学校のプール廃止に関する調査を行いました。学校プールの必要性や、廃止に伴い水泳授業を民間委託することの問題点を指摘しました。
調査によると、一部実施を含め、学校プールの廃止を「行っている」と回答したのが11自治体で、そのうち本格実施しているのは6自治体。廃止を「検討している」と回答したのは20自治体でした。夏休みのプール開放を実施していないのは30自治体で、うち13自治体が管理の困難さを理由にあげていました。
都議団は、これらの動きの背景に国がコスト削減や効率化を目的に進める「公共施設等総合管理計画」があると指摘しました。
小学校プールを全廃する方針の葛飾区では、24年度は26の小中学校で民間委託での水泳授業を実施しています。
民間委託は、民間10施設と区2施設で行われ、指導をするのは事実上いずれも外部委託された民間のインストラクターです。
指導は、泳力をつけるための反復が中心の形式にならざるを得ず、学習指導要領が示す、児童が相互に学び合うような授業ができていません。



プール授業の民間委託で使用されなくなった区立小学校のプール=東京都葛飾区

往復30分バス移動
委託していた民間プールが閉鎖し、新たな委託先に区外の施設を選ばざるを得なかったこともあり、安定して利用できない問題も浮上しています。
学校外は往復30分前後のバス移動が必要となり、児童も教師も時間に追われる実態があります。水泳授業前後の休み時間がつぶれたり、1時間目の水泳授業のために登校時間を早めたりする例もあるといいます。

小中共同方式なら
「子どもたちに学校プールを!葛飾連絡会」共同代表の高橋信夫さんは「江戸川区は、中学校に温水プールを設置し、そこを徒歩や短時間のバスで移動できる小学校が共同で使う計画です。この方式なら授業の外部委託をしないで済む。移動の負担も軽減し、中学校に温水プールができれば地域への開放もできる」と話し、共産党の議員団とも情報交換し、連携して取り組んでいます。
都議団はこの問題について都議会でも質問しました。「学校プールは地域スポーツの場としても重要」「授業が公営プールで行われるようになった自治体では、一般の方が入れる時間が制約され問題になっている」と実態を明かし、学校プールを廃止するのではなく、教員の負担を軽減しながら水泳授業の場、地域スポーツの場として充実させることを求めています。
(この連載は青山俊明と山崎賢太が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2025年6月16日付掲載


「子どもたちに学校プールを!葛飾連絡会」共同代表の高橋信夫さんは「江戸川区は、中学校に温水プールを設置し、そこを徒歩や短時間のバスで移動できる小学校が共同で使う計画です。この方式なら授業の外部委託をしないで済む。移動の負担も軽減し、中学校に温水プールができれば地域への開放もできる」と話し、共産党の議員団とも情報交換し、連携して取り組んでいます。
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後退する都民スポーツ(上) 実施率低下 身近な施設が足りない

2025-06-16 15:48:09 | スポーツ・運動について
後退する都民スポーツ(上) 実施率低下 身近な施設が足りない

東京都では2021年五輪・パラリンピック以降、都民のスポーツ実施率が低下し、小中学校のプール廃止の動きが進んでいます。小池都政は「稼ぐ東京」で大型施設の整備やスポーツ産業支援を進める一方で、都民スポーツ振興が後退するなどスポーツ分野も都議選(22日投票)の争点になっています。

東京体育館のメインアリーナいっぱいに並べられた卓球台。あちこちで球を打ち込む音が響き渡ります。平日でも約600人の選手が参加した新日本スポーツ連盟東京卓球協議会のリーグ戦です。



東京体育館で行われた新日本スポーツ連盟の卓球大会=6月10日、東京・渋谷区

利用料が2倍超え
都は2年前に同体育館の利用料金を値上げ。プロスポーツは最高でも1・5倍でしたが、アマチュアは平日で1・8倍、土日祝日は2・25倍に跳ね上がりました。東京体育館で年間約20日大会を開いている同協議会運営委員長の小林章子さんは「プロの試合でプレーできる選手は限られている。私たちは毎回200~800人が参加して、一番スポーツ実施率の向上に貢献しているのに納得いかない」と憤ります。
「スポーツ実施率」は週1回以上スポーツをした人の割合です。実施率は五輪があった21年の68・9%から24年は63・3%へと減少。目標の70%から遠ざかっています。
その原因は高い使用料だけではありません。1年間にスポーツをした人のうち競技を行った都民は約2割。散歩や体操といった軽い運動を、道路や自宅でした人が大多数です。気軽にスポーツできる場が少ないことが反映しています。
「体育館は絶対数が少なくる。世田谷の卓球組織は年数回開く大会はすべて平日。優先利用枠がある大田でも土日に大会が開けるのは年1回だけ」。小林さんは実情を説明します。陸上の世界選手権とデフリンピックがある今年は、施設の確保がさらに厳しくなったといいます。

大型開発には熱心
都は五輪のバレーボール会場として有明アリーナを新設しました。しかし、新スポ連東京都連盟事務局長の宮内泰明さんは「申し込んでもサブアリーナでさえ一度も使えていない。コンサートをやるとサブは物販会場になる。スポーツで有効活用できていない」と指摘します。
それなのに都は3月に改定したスポーツ推進総合計画で施設は「バージョンアップした」と自賛。「都市発展の力」など大型開発やスポーツ産業支援は熱心でも、身近な施設を増やそうという姿勢はありません。
日本共産党はこうした都民スポーツ支援に後ろ向きの都政を批判。高すぎる施設使用料の値下げや身近にスポーツできる場を増やすよう都議会で繰り返し求めてきました。
小林さんは訴えます。「スポーツを通じて一人ひとりが輝いていくことが豊かな社会につながる。お金もうけばかりでなく、地道に努力している都民も支援してほしい」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2025年6月15日付掲載


「スポーツ実施率」は週1回以上スポーツをした人の割合です。実施率は五輪があった21年の68・9%から24年は63・3%へと減少。目標の70%から遠ざかっています。
その原因は高い使用料だけではありません。1年間にスポーツをした人のうち競技を行った都民は約2割。散歩や体操といった軽い運動を、道路や自宅でした人が大多数です。気軽にスポーツできる場が少ないことが反映しています。
「体育館は絶対数が少なくる。世田谷の卓球組織は年数回開く大会はすべて平日。優先利用枠がある大田でも土日に大会が開けるのは年1回だけ」。
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部活動の地域移行 実証事業にみる② 国の支援が不可欠

2023-01-18 07:06:01 | スポーツ・運動について
部活動の地域移行 実証事業にみる② 国の支援が不可欠


土・日の部活動の地域移行を実証事業として始めた滋賀県彦根市立稲枝中学校では、以前からの地域との協力関係を生かして指導者を確保し、生徒にも好評です。
しかし北村功校長は、このようなことはすべての学校ができることではないといいます。「多忙な業務の中で専門的な指導員を集めることは困難。民間のスポーツクラブに丸投げし、地域移行が利益追求に進んでしまう懸念もあります。地域の理解と協力や国の支援が欠かせない」



滋賀県彦根市立稲枝中学校の校舎

費用の負担は
地域移行にあたっては費用の負担をどうするかも大きな問題です。経済産業省の資料には民間スポーツ事業者が請け負った場合、月1万8千円もの保護者負担が生じるという試算が出ています。
稲枝中では、保護者にアンケートを取り、保護者負担(会費)は1人当たり月1000円としています。支払いが困難な家庭に対しては、推進事業の会議で無料での参加を認める規約を設けています。
彦根市からの委託費や同校の同窓会からの補助費なども集めて活動費にあてています。指導者への報酬(諸謝金)は1時間につき1200円。2年間は文部科学省から補助金が出ているほか、地域部活動推進事業の委託金も出ています。しかし、国からの補助や委託金がなくなったあと、保護者負担がどうなるかは未知数です。
稲枝中の取り組みを教職員組合はどうみているのか。
全滋賀教職員組合の漆山晶博さんは「地域の協力体制と学校に対する地域の人々の理解がとても成熟していた。生徒はもちろん、保護者のみなさんともしっかりと時間をかけて運営や体制、費用について話し合い、理解し納得して決めたことも重要です」といいます。

多くの課題が
同時にどこの学校でもできるわけではないと指摘します。「現時点ではとても困難です。各地域が行える経済的な支援のレベルも部活を受け入れることができる組織や施設の質も数も、まったく異なります。一律に機械的に始めれば新たな地域格差を生み出すことになってしまう」
部活動は多くの課題を抱えています。教員は部活のために長時間労働を強いられ、休日の部活指導は実質ただ働きです。よく知らない競技の顧問をやらされることもあります。
一方、一部では、勝つことを最優先にした練習の過熱化や部員に対する指導者の暴力・暴言も問題になっています。少子化で維持できない部活もあります。改善は急務です。
部活動改革の一つとして打ち出されている地域移行。漆山さんはいいます。「地域移行を進めていくのなら、財政面でも運営面でも、国が責任をもって十分な支援を行うことが必要不可欠です」
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月16日付掲載


地域移行にあたっては費用の負担をどうするかも大きな問題。経済産業省の資料には民間スポーツ事業者が請け負った場合、月1万8千円もの保護者負担が生じるという試算が。
稲枝中では、保護者にアンケートを取り、保護者負担(会費)は1人当たり月1000円としています。支払いが困難な家庭に対しては、推進事業の会議で無料での参加を認める規約を。
サポートする人材の育成と、指導者への報酬。それを支える財源の確保。やはり国の支援が必要。
民間丸投げでは、全くダメ。
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部活動の地域移行 実証事業にみる① 生徒の自主性を尊重

2023-01-17 07:11:09 | スポーツ・運動について
部活動の地域移行 実証事業にみる① 生徒の自主性を尊重

学校での部活動について政府は、2023年度から地域への移行を進める計画です。当面、土・日の部活動指導を地域のスポーツ団体やボランティア、民間業者などに委ねるというもの。教員の負担軽減などが理由ですが、地域に受け皿がないなど批判が噴出し、当初の25年度までに移行という目標を取り下げました。実情はどうか、文部科学省の実証事業で昨年度から地域移行を開始した中学校を取材し、考えました。
(井上拓大)

「きつい練習もありますが、練習の目的が明確で、部員の意見も聞き入れてくれる指導なので、自分から挑戦したいという思いが強くなります」



練習する稲枝中学校のソフトテニス部(同校提供)

以前から協力
滋賀県彦根市の市立稲枝中学校でバドミントン部に所属する2年の生徒は、地域移行になった土・日の練習についてこう語りました。「なぜこの練習をするのか」をちゃんと指導者から教えてもらえることが魅力で、とても楽しく、成長を実感しているといいます。
バドミントン部顧問の教員(25)は「生徒たちはイキイキし、とても上達した生徒も多い。私自身も地域指導者から競技に関する知識を教わることができた」と語りました。
稲枝中では22年度の時点で、バスケットボール(男女別)、卓球(男女混合)、ソフトテニス、剣道、バドミントン、バレーボールの七つの部活について土・日の活動の指導を地域に移行しています。
指導しているのは会社員、保護者、元同校教員など。同校の卒業生もいます。活動場所は同校の体育館やグラウンドが中心です。
地域部活動の運営主体になっているのは稲枝地区学校支援協議会です。木村輝男事務局長は、以前から地域の人たちが部活動に協力的であり、ボランティアで顧問とともに生徒を見守っていたため、円滑に地域移行を進めることができたと説明します。「担当する部活への深い知識だけでなく、生徒たちのことを理解した指導力があります」と話します。

楽しい指導を
稲枝中の北村功校長も、「地域指導者には教員経験のある人も多く、子どもたちの人間性を育てることを意識して指導しています」と強調します。活動目標の一つに「多様な学びの場であり、自主的な取り組みの場である」を掲げています。
ソフトテニス部の顧問を務める教員(41)は、当初は先生と地域指導者のどちらの指導を優先すればよいか困惑する生徒もいたが、生徒と話し合う中で、解決していったといいます。地域の指導者とはよく対話し「勝つためだけの指導にはしないでほしい」と伝えました。
「生徒たちの『スポーツが楽しい』という気持ちを尊重する指導をお願いしました。自主性を尊重し、楽しい指導で生徒たちはとても満足しています」と述べました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月15日付掲載


滋賀県彦根市の市立稲枝中学校でバドミントン部に所属する2年の生徒は、地域移行になった土・日の練習についてこう語りました。「なぜこの練習をするのか」をちゃんと指導者から教えてもらえることが魅力で、とても楽しく、成長を実感。
地域部活動の運営主体になっているのは稲枝地区学校支援協議会です。木村輝男事務局長は、以前から地域の人たちが部活動に協力的であり、ボランティアで顧問とともに生徒を見守っていたため、円滑に地域移行を進めることができた。
でも、それはまれな例ではないでしょうか。
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サッカーW杯 光と影③ 交流重ね平和の力に

2022-11-20 07:14:36 | スポーツ・運動について
サッカーW杯 光と影③ 交流重ね平和の力に
ワールドカップ(W杯)カタール大会は、ロシアによるウクライナ侵略が続くなかで開幕を迎えます。
世界が心を痛める現状にたいし、W杯はどんなメッセージを発することができるのか。
「われわれは攻撃的な世界、分断された世界に住んでいるが、私は人々を結び付け、文化の境界を超えるサッカーの力を大いに信じている」
4月、国際サッカー連盟(FIFA)の総会でジャンニ・インファンティノ会長は世界に対話を呼びかけました。今月15日には、「W杯期間中の一時的な停戦」も提案しています。
しかし、FIFAはロシアのウクライナ侵略直後、ロシアの除外をめぐっては対応が一時、揺れていました。最終的に除外を後押ししたのは選手、各国協会の声でした。
サポーターや選手、各国のクラブは戦争直後から、反戦の訴えを発していたからです。
2月、欧州のクラブや選手が「NO WAR(戦争はやめろ)」などと書かれた横断幕を掲げたり、Tシャツを着たりして抗議していました。それは日本のJリーグの一部でもみられた光景でした。
2月末、イングランド・プレミアリーグ、エバートンーマンチェスター・シティ戦ではスタジアムに、「私たちはウクライナを支持します」と書かれたメッセージと、たくさんのウクライナ国旗が翻りました。これらを目にした両クラブのウクライナ出身選手が涙ぐむ一幕がありました。



ウェールズ代表に敗れ、顔を覆うウクライナ代表の選手(中央)=6月5日、英力ーディフ(ロイター共同)

ウクライナ代表はカタール大会の欧州予選で、出場まで1勝に迫りました。しかし6月、プレーオフ決勝でウェールズに敗れ、出場はかないませんでした。
プレーオフ2戦をたたかう中、同代表のオレクサンドル・ジンチェンコ選手は目を赤くし、胸の内を吐露したことがありました。
「ウクライナの子どもたちと話をしたが、彼らには一つの夢がある。それは戦争を止めること。そして僕たちにはもう一つの夢がある。W杯に出場することだ。国民を幸せにするために」
今回、二つ目の夢はかないませんでした。しかし、サッカーをすること自体が困難な中、勇敢にたたかい抜いた姿は、多くの人々の心に刻まれました。
サッカーの平和への貢献は、選手らの行動やメッセージにとどまりません。今回は中東で初のW杯開催であり、イスラム圏で初の大会となります。観客の観戦も認められ、世界から300万人近い人々が集まります。
「世界の人々が異なる文化に接し交流する。互いに理解を深め合うことがW杯の一番の力だと思う」。サッカージャーナリストの大住良之さんは訴えます。
「私自身もこれまでのW杯でそのことを実感してきました。今回、世界の人々は、イスラム圏で生活する人たちの姿をまっすぐに目にすることになる。誤ったイメージがきっと変わると思います。回り道に見えるけれども、こうしたことの積み重ねが平和の一番の近道になると私は思っています」(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年11月19日付掲載


ワールドカップ(W杯)カタール大会は、ロシアによるウクライナ侵略が続くなかで開幕を迎えます。
2月末、イングランド・プレミアリーグ、エバートンーマンチェスター・シティ戦ではスタジアムに、「私たちはウクライナを支持します」と書かれたメッセージと、たくさんのウクライナ国旗が翻りました。これらを目にした両クラブのウクライナ出身選手が涙ぐむ一幕が。
今回、世界の人々は、イスラム圏で生活する人たちの姿をまっすぐに目にすることになる。誤ったイメージがきっと変わると思います。回り道に見えるけれども、こうしたことの積み重ねが平和の一番の近道になると。
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