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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

識者が斬る新3本の矢⑥ 経済基盤の弱体化さらに 「新中央大学名誉教授 今宮謙二さん

2015-10-16 13:07:07 | 経済・産業・中小企業対策など
識者が斬る新3本の矢⑥ 中央大学名誉教授 今宮謙二さん

経済基盤の弱体化さらに
「新3本の矢」政策の特徴は何でしょうか。第一はこれまでアベノミクスが実施してきた大企業中心政策のさらなる徹底化です。民主党政権時代の2012年、財界は日本経済の6重苦を主張していました。①超円高②高い法人税③電力不足④雇用規制⑤環境規制⑥環太平洋連携協定(TPP)参加の遅れ、です。これらの課題については、アベノミクスのもとで、円安助長、法人税減税、原発再稼働、労働者派遣法改悪、TPP「大筋合意」などがすでに実施されています。
さらに安倍政権は大企業が利益を生み出す体制つくりに力を注いでいます。6月30日に閣議決定した「骨太の方針」「新成長戦略」によれば、大企業減税加速の方針が明記されています。国と地方を合わせた法人税率を14年度34・62%から15年度31・33%に下げ、さらに20%台にする方針です。

軍事産業を育成
また注目されるのは、財界の強い要望である軍事産業育成の立場を武器輸出三原則廃止などで明白に示したことです。経団連は9月15日、武器などの防衛設備品の輸出などを国家戦略とすべきとの提言を決定し、軍事産業の基盤強化を政府により強く働きかけています。戦争法成立は財界の強い要求の反映でもあったのです。これらをふまえて「新3本の矢」は大企業の利益拡大を中心に強い経済を目指し、国内総生産(GDP)600兆円達成をかかげているのです。
第二の特徴は国民に対する欺まんがはっきりと表れていることです。最大は社会保障充実の方針です。目玉として介護離職ゼロをかかげていますが、介護報酬削減などアベノミクスによって社会保障全体が切り捨てられ、多くの国民が苦しんでいるのが現実です。先にあげた「骨太方針」などでは「社会保障と税の一体化改革」のもとで、あらゆる手段を使いながらさらに社会保障の切り捨てを計画しています。公的医療費や介護費の伸びを抑えるため、患者と要介護者の自己負担の引き上げや公的保険の適用範囲の縮小なども検討されています。このような事実を隠して社会保障の充実をはかるというのは国民をだますものにほかなりません。



武器輸出を推進する防衛装備庁のロゴマークを発表する中谷元・防衛相(右)と渡辺秀明装備庁長官=10月1日(防衛省ホームページから)

政治的劣化示す
第三にこの新政策は空虚で具体性がなくあまりにも乏しい内容となっているのが特徴です。GDP600兆円達成は名目年間3%成長が前提です。1992年から日本では一度も実現していません。子育て支援、介護離職ゼロなど、その財源もいっさい触れていません。このような政策しか発表できないのは、安倍政権の政治的もろさの表れであり、自民党そのものの政治的劣化の反映と見てよいでしょう。
これらの特徴を見ても明らかなように、この新政策のもとで、安倍政権は大企業中心の「戦争のできる国」づくり体制を本格的に進めるでしょう。一方すでにアベノミクスで進められてきた格差拡大、国民生活の低下、中小企業経営の苦しみ、地域経済の衰退化など、日本経済の基盤がさらに弱体化するのは間違いありません。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月15日付掲載


安保法制と軌を一にして、防衛装備庁を設立。憲法9条のある日本が、海外に武器を売り込みます。
国民向けの施策は、社会保障にしても、中小企業支援にしても空手形。
GDP600兆円なんて、夢また夢です。
コメント
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