2015年度 予算案の焦点⑧ 地方財政 公共施設集約の危険
地方財政対策は、地方税と地方交付税、交付税の不足分を補う臨時財政対策債を合わせた一般財源総額を前年度比1兆1908億円、2%増の61兆5485億円としました。
交付受け取り団体には微増
しかし、東京都など交付税を受け取らない自治体の税収増(4500億円)や社会保障費の地方負担増額分(6千億円程度)などを踏まえると、交付税を受け取る自治体に回る純増分は2千億円程度です。
地方税の増収もあり、交付税は1307億円減の16兆7548億円。臨時財政対策債は1兆702億円減の4兆5250億円です。
地方財政計画に「まち・ひと・しごと創生事業費(仮称)」として1兆円を計上。しかし、半分は「地域の元気創造事業費」の3500億円など既存事業費の振り替えです。
算定基準は、①職員の給与減や民間委託など「行革努力」と経済指標②人口減少対策の必要度と改善率―としています。財源は、今後「恒久財源を確保する」としていますが、10%への消費税増税が前提です。
市町村の公共施設や行政サービスを都市部に集約するため、総務省は「連携中枢都市圏」の形成などに6・3億円、国交省は「コンパクトシティの推進」に145億円をそれぞれ計上。都市にヒト・モノ・カネを集め、周辺地域を切り捨てる危険性を抱えています。
老朽化した公共施設の集約や転用、解体のため、既存事業費から振り替えた「公共施設等最適化事業費」1000億円(うち840億円は地方債)を創設。厳しい自治体財政を支える面がある一方、各種公共施設の統廃合が推進される危険があります。
地方自治の充実・発展の必要性が強調された自治体学校=2014年7月26日、仙台市
合併後交付税7割程度確保
総務省は、新たな公立病院改革ガイドラインを3月までに策定。交付税による措置では、「再編・ネットワーク化」の整備を現行30%から40%へ引き上げる一方、通常の整備を25%に下げ、統廃合を進めます。運営費に対する交付税の算定基礎も、許可病床数から稼働病床数に変更。医師・看護師不足で稼働できない実態を無視して、締め付けを強める考えです。
「平成の大合併」で誕生した自治体に交付税を上乗せする算定特例が期限切れを迎えつつあるものの、総務省は、全国平均では特例分の7割程度を継続して受け取れるよう見直すとしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月29日付掲載
「連携中枢都市圏」の形成、「コンパクトシティの推進」ではなく、3中総で指摘しているように「どこに住んでいても必要な行政サービスが受けられるよう、自治機能の再生をはかる」ことが求められます。
地方財政対策は、地方税と地方交付税、交付税の不足分を補う臨時財政対策債を合わせた一般財源総額を前年度比1兆1908億円、2%増の61兆5485億円としました。
交付受け取り団体には微増
しかし、東京都など交付税を受け取らない自治体の税収増(4500億円)や社会保障費の地方負担増額分(6千億円程度)などを踏まえると、交付税を受け取る自治体に回る純増分は2千億円程度です。
地方税の増収もあり、交付税は1307億円減の16兆7548億円。臨時財政対策債は1兆702億円減の4兆5250億円です。
地方財政計画に「まち・ひと・しごと創生事業費(仮称)」として1兆円を計上。しかし、半分は「地域の元気創造事業費」の3500億円など既存事業費の振り替えです。
算定基準は、①職員の給与減や民間委託など「行革努力」と経済指標②人口減少対策の必要度と改善率―としています。財源は、今後「恒久財源を確保する」としていますが、10%への消費税増税が前提です。
市町村の公共施設や行政サービスを都市部に集約するため、総務省は「連携中枢都市圏」の形成などに6・3億円、国交省は「コンパクトシティの推進」に145億円をそれぞれ計上。都市にヒト・モノ・カネを集め、周辺地域を切り捨てる危険性を抱えています。
老朽化した公共施設の集約や転用、解体のため、既存事業費から振り替えた「公共施設等最適化事業費」1000億円(うち840億円は地方債)を創設。厳しい自治体財政を支える面がある一方、各種公共施設の統廃合が推進される危険があります。
地方自治の充実・発展の必要性が強調された自治体学校=2014年7月26日、仙台市
合併後交付税7割程度確保
総務省は、新たな公立病院改革ガイドラインを3月までに策定。交付税による措置では、「再編・ネットワーク化」の整備を現行30%から40%へ引き上げる一方、通常の整備を25%に下げ、統廃合を進めます。運営費に対する交付税の算定基礎も、許可病床数から稼働病床数に変更。医師・看護師不足で稼働できない実態を無視して、締め付けを強める考えです。
「平成の大合併」で誕生した自治体に交付税を上乗せする算定特例が期限切れを迎えつつあるものの、総務省は、全国平均では特例分の7割程度を継続して受け取れるよう見直すとしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月29日付掲載
「連携中枢都市圏」の形成、「コンパクトシティの推進」ではなく、3中総で指摘しているように「どこに住んでいても必要な行政サービスが受けられるよう、自治機能の再生をはかる」ことが求められます。