きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2015年度 予算案の焦点⑧ 地方財政 公共施設集約の危険

2015-01-31 11:09:35 | 政治・社会問題について
2015年度 予算案の焦点⑧ 地方財政 公共施設集約の危険

地方財政対策は、地方税と地方交付税、交付税の不足分を補う臨時財政対策債を合わせた一般財源総額を前年度比1兆1908億円、2%増の61兆5485億円としました。

交付受け取り団体には微増
しかし、東京都など交付税を受け取らない自治体の税収増(4500億円)や社会保障費の地方負担増額分(6千億円程度)などを踏まえると、交付税を受け取る自治体に回る純増分は2千億円程度です。
地方税の増収もあり、交付税は1307億円減の16兆7548億円。臨時財政対策債は1兆702億円減の4兆5250億円です。
地方財政計画に「まち・ひと・しごと創生事業費(仮称)」として1兆円を計上。しかし、半分は「地域の元気創造事業費」の3500億円など既存事業費の振り替えです。
算定基準は、①職員の給与減や民間委託など「行革努力」と経済指標②人口減少対策の必要度と改善率―としています。財源は、今後「恒久財源を確保する」としていますが、10%への消費税増税が前提です。
市町村の公共施設や行政サービスを都市部に集約するため、総務省は「連携中枢都市圏」の形成などに6・3億円、国交省は「コンパクトシティの推進」に145億円をそれぞれ計上。都市にヒト・モノ・カネを集め、周辺地域を切り捨てる危険性を抱えています。
老朽化した公共施設の集約や転用、解体のため、既存事業費から振り替えた「公共施設等最適化事業費」1000億円(うち840億円は地方債)を創設。厳しい自治体財政を支える面がある一方、各種公共施設の統廃合が推進される危険があります。





地方自治の充実・発展の必要性が強調された自治体学校=2014年7月26日、仙台市

合併後交付税7割程度確保
総務省は、新たな公立病院改革ガイドラインを3月までに策定。交付税による措置では、「再編・ネットワーク化」の整備を現行30%から40%へ引き上げる一方、通常の整備を25%に下げ、統廃合を進めます。運営費に対する交付税の算定基礎も、許可病床数から稼働病床数に変更。医師・看護師不足で稼働できない実態を無視して、締め付けを強める考えです。
「平成の大合併」で誕生した自治体に交付税を上乗せする算定特例が期限切れを迎えつつあるものの、総務省は、全国平均では特例分の7割程度を継続して受け取れるよう見直すとしています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月29日付掲載


「連携中枢都市圏」の形成、「コンパクトシティの推進」ではなく、3中総で指摘しているように「どこに住んでいても必要な行政サービスが受けられるよう、自治機能の再生をはかる」ことが求められます。
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2015年度 予算案の焦点⑦ 社会保障 負担増 給付減押し付け

2015-01-30 16:30:58 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2015年度 予算案の焦点⑦ 社会保障 負担増 給付減押し付け

2015年度政府予算案の社会保障関係費は、手当たり次第に負担増と給付減を押し付け、全面的改悪に踏み出すものです。予算額は内閣府に計上された子ども・子育て支援新制度関連予算をふくめ31兆5297億円で、14年度比で1兆30億円増(3・3%増)ですが、高齢化などに伴う「自然増」を8300億円(概算要求額)から4200億円に半減しました。



介護報酬下げ 医療は負担増
事業者に支払われる介護報酬は過去最大級の2・27%引き下げ。
介護職員の処遇改善加算などを除くと4・48%の削減で、サービス低下を招くのは必至です。
70~74歳の医療費負担も新たに70歳になる人から1割を2割に増やします。
年金では物価・賃金上昇以下に年金を抑える「マクロ経済スライド」を初めて発動(0・9%削減)。過去の物価下落分があるとして0・5%の削減も行い、改定率を1%に抑制しました。
消費税率10%の「先送り」を理由に、低年金者への給付(最大月5000円)や、年金受給の加入期間の短縮(25年→10年)も見送りました。
生活保護では、家賃にあたる「住宅扶助」と暖房費の「冬季加算」を合わせて66億円削減。現在削減中の「生活扶助」とあわせて330億円ものカットです。



社会保障改悪に反対して厚生労働省前に座り込む高齢者=2014年12月18日

増収分の大半既存の財源に
「社会保障のため」といって消費税増税を強行しましたが、増収分8兆2000億円(国と地方あわせて)のうち、「充実」とされるのは1兆3500億円。大半は既存の財源と置き換えただけです。「充実」の中身も、「病床機能分化」の名による入院ベッド削減、安上がりの介護体制をつくる「地域包括ケア」の推進、保育の公的責任を後退させ、市場化・営利化を拡大する子育て新制度(4月実施)などです。
消費税増税も、社会保障費の削減も押し付ける姿勢です。
一方、世論に押されて子育て関係では民間保育士の人件費を2%引き上げ。処遇改善加算も、1年延長し、同加算は前年比0・15%増の3%としました。返上問題が起きていた認定こども園には、減収とならないよう上乗せしました。保育士の半分以下だった「子育て支援員」の人件費は、200万円から300万円に引き上げました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月28日付掲載


70~74歳の医療費負担も新たに70歳になる人から1割を2割に。
年金では物価・賃金上昇以下に年金を抑える「マクロ経済スライド」を初めて発動。年金受給の加入期間の短縮(25年→10年)も見送り。
軒並み負担増、支給減です。
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2015年度 予算案の焦点⑥ 文教 教職員数は100人純減

2015-01-29 13:55:56 | 政治・社会問題について
2015年度 予算案の焦点⑥ 文教 教職員数は100人純減

文部科学省予算案は2014年度比1・3%減の5兆3613億円。「戦争する国づくり」や国際競争力強化に役立つ人材育成が特徴です。
義務教育の教職員は、毎年予算で決まる「加配定数」で900人を増やすものの、少子化等にともなう「自然減」を除くと100人の純減です。
財務省は公立小学校1年生の学級編成を40人に引き上げることを狙っていましたが、世論と運動ではねかえしました。しかし、教員増は見送りとなりました。文科省は15年度からの10力年計画を立てて定数増を求めていましたが抑え込まれました。
35人学級は、小1は法律で義務付け、小2は予算措置で実施され、都道府県で上乗せされています。加配定数に配置されるのは、非正規の教員です。基礎定数を増やし、少人数学級を速やかに実施することが国民の願いです。



教育のつどい・教育フォーラム「子ども期の豊かな育ちを保障する学校・地域を考える」で討論する参加者=2014年8月、高松市

道徳教科化へ教材や指導書
文科省は学校統廃合の「手引き」を改定し、市町村に押し付ける構えです。学校統廃合に直結する「小中一貫教育」の制度化に向けてモデル事業を実施。教育効果も不明なまま、より早い段階から競争主義に拍車をかける危険な動きです。
昨年、安倍晋三内閣は、愛国心など特定の価値観を国家が押しつける「道徳教科化」の18年度実施に踏み出しました。文科省作成の教材「私たちの道徳」の全小中学校への配布(550万冊)、教師用の指導書の作成(70万冊)など15億円を計上しました。

裁量経費設け学長独断強化
国立大学予算の大半を占める大学運営費交付金は117億円減の1兆1005億円。一般経費は毎年約1%ずつ減らされており、98億円減額されました。「スーパーグローバル大学」として財界の要請に応える人材を育成する大学に重点配分するなど競争をあおり、選別を強めます。運営費交付金に「学長裁量経費」を設け、「大学改革促進対象経費」の5%を下限に使えるようにします。学校教育法などの改悪を受けたもので、学長の独断体制を強めるねらいです。
無利子奨学金を44万1000人から46万人に増やしますが、新規貸与者は8600人。
有利子奨学金は約87万人とし、給付型奨学金の導入は見送られました。
自治体首長の教育支配を強める教育委員会制度改悪をうけて、首長の意向を反映させるモデル事業を実施し、改悪法おしつけをねらっています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月27日付掲載


少人数学級が世界の主流なのに、35人学級を小学校1、2年生に限定。
大学の予算も、拠点大学に重点配分。給付型奨学金は見送り。予算の使い方が間違っています。
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2015年度予算案の焦点⑤ 農林水産 TPP見越した「農政改革」

2015-01-28 15:23:55 | 経済・産業・中小企業対策など
2015年度予算案の焦点⑤ 農林水産 TPP見越した「農政改革」

農林水産関係は14年度当初比0・8%減の2兆3090億円です。減額は自民・公明両党の政権復帰後初めて。一般会計予算に占める割合は2・39%と過去最低。「農林水産業・地域の活力創造プラン」に沿って環太平洋連携協定(TPP)などを見越した「農政改革」を推進します。
14年産米の価格暴落が農家を直撃しています。政府が米の需給や価格を市場任せにしているのが主因です。
米の直接支払交付金は、14年度に交付単価を半減、17年産(18年度予算)までの時限措置としました。15年度は、5・7%減の760億円です。14年度に200億円を計上した米価変動補填(ほてん)交付金を廃止。15年度に限り、米・畑作物の収入減少影響緩和対策に加入していない農家を対象に同対策移行円滑化交付金として385億円を計上しました。
畑作物への直接支払交付金は1%減の2072億円です。対象を認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定。米・畑作物の収入減少影響緩和対策は6・8%増の約802億円。これも、15年産(16年度予算)から対象を認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定します。



「コメ守れ、米価上げろ」と国会請願する人たち=2014年10月22日、参院議員面会所前

中間管理機構本格的に稼働
全農地面積の8割を「担い手」に集める目標で、農地中間管理機構を本格稼働させます。14年度に始まった事業で、企業の農地進出にも道を広げます。
農地の出し手への協力金に90億円、中間管理機構事業に72億円、支援事業に28億円の合計190億円を計上しました。14年度補正予算案でも200億円を充てており、合わせて14年度当初の305億円を大幅に上回ります。
この関連で、農業農村整備事業で実施する農地の大区画化などの推進に2・3%増の1089億円。補正予算案にも47億円を計上しました。また、新規の.農地耕作条件改善事業に100億円を充てました。




畜産・酪農へ重点的に配分
畜産・酪農の収益向上で、農家に機械のリースや施設整備を支援する新規の畜産収益力強化対策に75億円。補正予算案にも201億円を計上しました。
畜産・酪農の生産力強化で、和牛の生産拡大や生乳供給力の向上を目指す新規の畜産・酪農生産力強化緊急対策事業として20億円を補正予算案に計上しました。
生産基盤が揺らいでいることへの対策で、予算を重点配分したとされます。しかし、15日発効した日本オーストラリア経済連携協定(EPA)や交渉中のTPPで、畜産・酪農が打撃を受けることが懸念されます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月24日付掲載


農地の集積、大区画化では、食糧需給率向上や米価の安定、農業従事者の生活保障にはつながらない。
TPP対応型の農業政策だ。
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2015年度 予算案の焦点 雇用④ 「残業代ゼロ」導入図る

2015-01-28 15:07:13 | 働く権利・賃金・雇用問題について
2015年度 予算案の焦点 雇用④ 「残業代ゼロ」導入図る

厚生労働省の2015年度雇用対策予算案は1679億円、14年度比で143億円(7・9%)の減額です。
安倍晋三政権が狙う「働き方改革」の実現に66億円を計上しています。大企業・財界の要求に沿って、「残業代ゼロ」制度の導入を図るなど、憲法や労働基準法が定めた労働者の基本的権利を掘り崩す内容が盛り込まれています。
「残業代ゼロ」は、1日8時間などの労働時間規制をなくし、企業が労働者に際限ない長時間労働を強いることができるようにする制度です。すでに厚労省が労働政策審議会に法制化を提案しています。予算案には「労働時間法制の見直し」の名で広報などに2100万円を計上しました。



「残業代ゼロ」について審議している労働政策審議会の労働条件分科会=2014年9月

多様な正社員 派遣法改悪も
非正規雇用を増やす「多様な正社員」の普及拡大には5億9000万円を充てます。
「多様な正社員」とは、「正社員」と呼ばれても実際は地位が不安定な非正規雇用という「限定正社員」などのことです。「限定正社員」は勤務地や職務、労働時間を限定され、就業している職場、職務が企業の都合でなくなれば簡単に解雇されます。
「働き方改革」の中で「最低賃金引き上げのための環境整備」に29億円を盛り込みました。中小企業への支援ということですが、機械の導入など「生産性向上」によって事業所内の最低賃金を引き上げた場合の経費への助成です。最賃引き上げへの直接支援ではありません。
安倍政権は労働者派遣法の改悪を狙っています。その立法化や実施に向けた予算は13億円です。昨年の国会で政府は、「常用雇用の代替禁止」「臨時的・一時的業務に限定」の派遣の原則を投げ捨てる改悪法案を提出しました。労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられるようにします。共産党や労働者・国民の反対で廃案となりましたが、なおも改悪を狙います。




リストラ助成 雇用維持逆転
企業のリストラ人減らしを促進させる「労働移動支援助成金」に14年度比48億円(16%)増の349億円を充てる一方、解雇防止を支援する「雇用調整助成金」は352億円(65%)削り193億円に大幅減額。リストラ助成が雇用維持を逆転しました。
雇用調整助成金は解雇を防ぐための事業主への支援です。景気の悪化など経済的理由で事業を縮小せざるをえなくなった事業主が従業員を解雇せず、休業や教育訓練、出向など一時的な調整によって雇用を維持した場合、事業主に助成金を支給します。
労働移動支援助成金は、リストラで労働者を転職させる場合に要する費用を事業主に助成します。労働者を辞めさせるほど補助金が出ます。安倍政権は「雇用政策の基本を行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型へと大胆に転換する」(13年「日本再興戦略」)ことを掲げています。この方針に沿って、雇用維持政策を投げ捨てリストラ支援を進める予算配分です。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年1月23日付掲載


「多様な働き方」ということで、結局は解雇自由な「限定正社員」を増やすことになります。その一方で、解雇防止に役立っている「雇用調整助成金」を減らす逆転した予算。
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