きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

岸田政権 コロナ療養期間短縮 科学軽視の乱暴な決定

2022-09-29 07:10:40 | 新型コロナウイルス
岸田政権 コロナ療養期間短縮 科学軽視の乱暴な決定
岸田自公政権は「ウイズコロナ」への移行策として新型コロナ感染症の療養期間短縮を7日から実施しました。有症状は従来の10日間を7日間に、無症状は検査での陰性確認を条件に7日間を5日間としました。これに医療現場から懸念の声が上がっています。全日本民主医療機関獲耳の増田剛会長に聞きました。(内藤真己子)

全日本民主医療機関連合会 増田剛会長に聞く
国民生活を守るためにワクチン接種や感染対策を進めながら経済活動を回すことは大事です。しかし今回の療養期間短縮は決め方が乱暴で、科学を軽視しています。

全日本民主医療機関連合会の増田剛会長

専門家は警告
政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠としています。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調しました。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出しています。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いがあります。また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。厚生労働省のアドバイザリーポードに7日、同資料を提出した感染研の鈴木忠樹氏は、「BA.5で同様の結果であるかどうかは不明」と注意喚起しています。
鈴木氏は終了後の記者説明で感染性ウイルスの残存リスクが高くなれば「他人に感染させるリスク」も高くなるとしたうえで、短縮は「従来のルールでの療養終了者よりも相対的に(2次感染を起こす)リスクが高い」としています。
京都大学大学院の西浦博教授は同会議に、「PCR検査で発病後7~10日でも2次感染を起こし得る十分なウイルス量が検出された」とする科学誌「ネイチャー」の知見を提出しました。終了後の説明では「7日間の療養というのは、今日までの科学的エビデンスをもとに定量的に許容可能な範囲を超えている。どうしても採用するならば政治的決断として実施することを明確にする必要がある」と厳しく指摘しています。

リスク周知を
政府はこうした専門知をあまりにも軽視しています。また、重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないことです。大きなミスリードになります。
感染大爆発を起こした第7波で死者は1日300人を超える日もあり8月は2月の1・5倍と過去最多を更新しました。医療者も感染し就業停止が増えるなか患者は激増、発熱外来はパンクしました。救急医療の危機的状態はいまだ解消されていません。介護現場は過去最多のクラスターで疲弊しています。療養期間短縮が感染再拡大の端緒になってはならない。
政府には科学的知見に基づく総合的な対策と、現基準におけるリスクと必要な感染対策の周知を求めます。BA.5のデータによっては短縮の見直しも必要です。
26日から陽性者の届け出の対象が全国一律で、高齢者や妊婦、入院が必要な人、重症化リスクがあり治療が必要と医師が判断する人に限定されます。検査を受けるべき人が受けないままになったり、発生届の対象にならない人が医療機関にアクセスしにくくなることがあってはなりません。治療が必要なすべての人が速やかに受診できる医療体制の構築へ、国の支援が必要です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月26日付掲載


政府は、発症して8日目(7日間待機後)に約85%の人が感染力のあるウイルスを排出していないなどとする国立感染症研究所の解析を短縮の根拠。岸田首相は、短縮は「政治判断ではなく、専門家の意見もしっかり踏まえたものだ」と強調。
ところが同解析をみると発症8日目に16%が感染力のあるウイルスを排出。旧基準の解除日の11日目は3・6%で、大きな違いが。
また解析には現在の主流株のBA.5は含まれていません。
重大なのは療養期間短縮にリスクがあることを国民にほとんど説明しないこと。
経済活動を回すことを優先するあまり、感染リスクの拡大を軽視しています。
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高熱でも受診できない 感染急増 外来パンク 打開へ国の財政支援を

2022-08-02 13:44:33 | 新型コロナウイルス
高熱でも受診できない 感染急増 外来パンク 打開へ国の財政支援を
新型コロナ感染症の新規感染者が爆発的に拡大、全国で23万人と過去最多を更新するなか、高熱でも受診できない「発熱難民」が大規模に発生しています。政府は約110万人が自宅療養中としますが、そのほかにおびただしい数の国民が検査も診断もないまま放置され、命の危険にさらされています。 (内藤真己子)

千葉県流山市の東葛病院。早朝から発熱外来の整理券を待つ数十人が病院前に並んでいます。子どもを連れた母親の姿も。午前7時、防護服を着た病院職員が整理券を配り始めます。10分後、おとな用50人分がなくなりました。8時30分には1日20~40人の小児枠が終了しました。
「エッもうダメなんですか。昨日も断られたのにどうすればいいの」。同7時半に来て整理券をもらえなかった人が声を荒らげます。
「こんな光景が毎日。連日100人弱を診ていますが、数十人は断っている。受診は有症状者に限っていて7~8割が陽性。検査が圧倒的に足りていません。感染力の強いBA.5で医師にも感染が広がり、病棟の体制を削ってなんとか外来を維持しています。拡充ができない」。同病院副事務長の加川豊さんは苦渋の表情です。
東京都北区。王子生協病院の発熱外来にも患者からの問い合わせが殺到、受診まで4日待ちの日があります。「これまでと違うのは急激に受診者が伸びたこと。連休明けに1・5倍に急増した印象」と語るのは佐藤未智子総看護師長。1日20人の予定枠に50人以上を詰め込む日が続いています。患者は小児から高齢者まで全世代です。陽性率は上昇し濃厚接触者を含めて8割以上の日もあります。



発熱した子どもを連れた親が訪れる王子生協病院の発熱外来=7月下旬、東京都北区(同病院提供、一部画像加工)

医師・看護師の1割程度が感染や濃厚接触者で休み外来を増やせません。「電話がつながらず予約なく病院に来る方が増えていますが、断っています。地域の方から『どこも行くところがない』と訴えられ本当に心苦しい」。外来担当の廣川和恵看護師長の声が沈みます。
入院が必要な人は増加。コロナ病床を6床から12床に拡大しました。それでもほぼ満床。「高齢者はできるだけ受けるようにしているが救急搬送の受け入れが困難になってきています」と廣川さん。
首都圏の病院・診療所でコロナ医療の最前線に立つ日本共産党東京都委員会コロナ対策本部長の谷川智行医師は「岸田政権の無為無策と検疫緩和が感染爆発、発熱外来ひっ迫を招いた」と指摘。「打開には地域の医療資源の総動員が必要で、それには国が全面的な財政支援を行うことが欠かせません。コロナに係る犀減収補償、医師・看護師が感染した場合の補償、広域的な医師派遣・患者搬送などを国の責任で行うべきです。大本にある社会保障予算削減路線の転換が必須です」とします。


発熱外来パンク
休憩返上でも受診者の5倍断る、医療機関につながる仕組み必要

都内中野・杉並両区の1病院9診療所で地域医療を展開する社会医療法人社団健友会。通常診療の上にワクチン接種、発熱外来を行っています。発熱患者があふれ、休憩時間返上で診ても受診者の5倍近くを断らざるを得ない診療所もあります。
「患者増に伴い症状が重い人が現れ、外来受診で救急搬送が必要な人が出ています」。同法人の菅井一郎専務理事は語ります。「高齢者や基礎疾患のある人がすぐに受診できない事態になりつつある。一カ所でも発熱外来を増やすことが必要です。そのために国や自治体が財政支援するべきです。PCR検査をした医療機関に保険から支払われる診療報酬が当初の半分以下に減らされていますが言語道断。すぐに元に戻すべきです」と訴えます。
政府は発熱外来逼迫(ひっぱく)の緩和策として、抗原検査キットを配布し、症状のある人が自宅で検査して陽性なら医師が常駐する自治体の「健康フォローアップセンター」に連絡、発生届を出す仕組みの構築を自治体に求めました。
東京都は来月3日から20代を対象に検査キットの申請から陽性登録までをインターネットで完結する仕組みを導入する方針です。状況は改善されるのでしょうか。



コンテナやテントが並ぶ東葛病院の発熱外来=7月下旬、千葉県流山市(同病院提供)

練馬区の男性(29)は、連休中に39度の発熱がありました。近隣の発熱外来に600回近く電話してもつながらず、ようやく受診できたのは3日後でした。「高熱で驚きました。もっていた解熱剤は効かなかった。コロナなのか違う病気なのか不安でとにかく早く検査や診察を受けたかった。電話でも良いので医師に診てもらえることが安心につながります」と話しています。
前出の谷川医師は「受診の仕組みがないと発熱外来の逼迫解消にはなりません。自治体の『フォローアップセンター』の医師体制を拡充し、オンライン・電話診療と薬の処方、状態が悪化した場合に往診や受診、入院につなげられる仕組みと一体での構築が必要だ」と主張。「何より感染自体を抑える総合的対策が必要です」と訴えます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年7月31日付掲載


発熱外来はパンク状態。千葉県流山市の東葛病院では、いちにちの整理券が大人が50枚、子どもが40枚。それもすぐになくなり、何日も待っているという人も。
受診は有症者に限っているので、当然のことながら7~8割が陽性。
日本共産党東京都委員会コロナ対策本部長の谷川智行医師は「岸田政権の無為無策と検疫緩和が感染爆発、発熱外来ひっ迫を招いた」と指摘。「打開には地域の医療資源の総動員が必要で、それには国が全面的な財政支援を行うことが欠かせません」
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新型コロナ エアロゾル感染防ぐ 夏の換気を効果的に

2022-07-27 07:12:30 | 新型コロナウイルス
新型コロナ エアロゾル感染防ぐ 夏の換気を効果的に4
北海道大学教授 林 基哉さんに聞く

新型コロナウイルスの感染者が各地で過去最多となっています。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は14日、「感染拡大防止のための効果的な換気について」というオミクロン株に対応した提言を出しました。提言の作成に協力した北海道大学教授の林基哉さんにポイントを聞きました。
(染矢ゆう子)

夏は室内と外の温度差が小さく、隙間からの換気はほとんどありません。冬は暖房をつけると、室外との温度差が大きいので隙間から自然換気が起きやすくなります。夏は換気扇を作動させたり、窓を開けて風が入ったりしなければ、換気量が少なくなるので、注意が必要です。また、ほとんどのエアコンは、換気の機能はありません。冷房が効いていると鼻が鈍くなり、空気の汚れも感じにくくなります。
新型コロナの流行を防ぐためには、ウイルスを含むエアロゾル(空気中を浮遊する粒子)を吸い込まないよう十分な換気を行いましょう。

発生量多い激しい運動
1月に選手全員や審判などの大会関係者、観客の計172人が感染した北海道釧路市のアイスホッケーの試合では、感染者が多く発生した観客の座席へ、リンクからの空気の流れが確認されました。観客への感染拡大はエアロゾル感染以外では説明できないと考えられました。
アイスホッケーなどの激しい運動は、通常より多いエアロゾルが発生します。
飲み会などでマスクを外し大声で話す場合も、同じように多くのエアロゾルが発生します。飲み会ではアイスホッケーの試合(20分間3セット)よりも長い時間、エアロゾルを吸い込む場合があります。

機械動かし窓二方開け
新型コロナのエアロゾル感染を防ぐためには、ウイルスを含むエアロゾルが室内に充満することを換気によって防ぐことに加え、“風下での対策”が重要です。
まず換気を確保するためには、機械換気のシステムがあれば作動させます。ない場合は、できる限り二方向の窓を開けます。




風下を守る空気の循環
風下の対策も重要です。多くの人が話す場などエアロゾル発生が多いエリアでは、その近くから排気して、風下の人にエアロゾルが及ばないようにすることが望まれます(図参照)。新型コロナに感染した人の風下にいると、ウイルスを多く含む大きなエアロゾルを吸い続けることになり、感染確率が高くなります。このような風下感染を防ぐために、空気を循環させるサーキュレーターを首振りにしたり、エアコンをスイングさせることも効果的です。

窓や換気扇のない部屋は
窓や換気扇がない部屋では、高性能のフィルター(HEPA)がついた空気清浄機を利用したり、人数を制限したりします。
提言では、パーティション(仕切り)の置き方にも注意を促しています。
集団感染の起きたコールセンター4カ所に調査に入りましたが、どこも全員がマスクをし、ポックスパーティションで3方向を区切っていました。机のパーティションで囲まれた範囲に、別の人が近づいたことで感染した可能性が考えられました。東京工芸大学が行った実験では、パーティションで区切られた空間に空気がこもることがわかりました。パーティションを置くときは、3方向をふさがないなど、空気の流れを阻害しないことを提言では呼びかけています。天井からつるすビニールカーテンなど、排気を遮るものもなくしましょう。

簡単に知る空気の流れ
空気がスムーズに流れるかは、スモークテスターや線香の煙で確認できます。空気がこもる場合は、ファンの強さや位置を調整して、よどみを解消します。簡単に空気の流れを確かめるには、ティッシュを落としたり、糸をたらす方法も便利です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年7月26日付掲載


夏は室内と外の温度差が小さく、隙間からの換気はほとんどない。夏は換気扇を作動させたり、窓を開けて風が入ったりしなければ、換気量が少なくなるので、注意が必要。
まず換気を確保するためには、機械換気のシステムがあれば作動させます。ない場合は、できる限り二方向の窓を開ける。
風下の対策も重要です。多くの人が話す場などエアロゾル発生が多いエリアでは、その近くから排気して、風下の人にエアロゾルが及ばないようにすることが望まれる。
窓や換気扇がない部屋では、高性能のフィルター(HEPA)がついた空気清浄機がいいとか。
スモークテスターや線香の煙で空気の流れを確認できると。
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オミクロン猛威 「風邪」だと対策を緩めたら重症者増で医療が崩壊する

2022-02-03 07:10:46 | 新型コロナウイルス
オミクロン猛威 「風邪」だと対策を緩めたら重症者増で医療が崩壊する
世界保健機関(WHO)感染症危機管理シニアアドバイザー 進藤奈邦子さん

猛威を振るう新型コロナウイルスのオミクロン株への対応について、世界保健機関(WHO)で感染症危機管理シニアアドバイザーを務める進藤奈邦子(しんどう・なほこ)さんに聞きました。宇野龍彦記者



しんどう・なほこ=東京慈恵会医科大学卒、医師、医学博士。専門は内科学、感染症学。2019年イタリア国立スパランツァー二研究所「科学の母」賞受賞。国立感染症研究所主任研究官を経てWHO職員。危険感染症の情報解析、現地調査・対応などを担当。18年から現職

オミクロン株は世界中で大流行し、「ゼロコロナ」で厳しい規制を敷いた中国でも感染が拡大しています。
日本では第5波の感染拡大で、医療が受けられずに自宅で亡くなる人が200人以上に上りました。「風邪みたいなもの」だとして感染対策を緩めてしまえば、重症者が増えて医療が崩壊します。
ワクチンや公衆衛生対策に加え、検査システムの有効活用、早期治療をかなめとし、ウイルスに立ち向かってほしいと思います。


無症状でも強い感染力 オミクロン株 デルタの4倍、会話や呼吸だけでも
南アフリカ、ロンドンやニューヨークなどオミクロン株が爆発的に流行した国や都市では、すでにピークを迎えたところもあります。
これらの地域では人口レベルで感染の飽和状態に達し、減少に転じている可能性があります。もちろん、公衆衛生対策の効果もあると思います。デルタ株が沈静化し、対策を緩めた国も再び厳しい規制を行っています。
まだこのウイルスは変異を続けているのでこれからも新たな変異株が出てくると考えるべきです。




34都道府県で重点措置 コロナ急拡大
【北海道、大阪など新たに18道府県】
新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、政府は25日、北海道、青森、山形、福島、栃木、茨城、長野、石川、静岡、大阪、京都、兵庫、岡山、島根、福岡、佐賀、大分、鹿児島の18道府県に対し「まん延防止等重点措置」の適用を決定。すでに適用されている16都県と合わせて34都道府県に拡大しました。
【保育所327カ所で全面休園】
子どもの感染も広がっています。厚生労働省の集計(20日時点)によると、感染者の発生などで全面休園した保育所等は、27都道府県の327カ所と過去最多になっています。

“風邪と同じ”ではない
従来の変異株は下気道の細気管支から肺胞まで入って肺炎を起こしました。これに対してオミクロン株は、動物のマウス、ハムスターを使った実験では、鼻、喉、気管までの上気道でウイルスの増殖が多いという結果が出ています。
動物実験の結果を人間に適用することには注意が必要です。しかし、示唆されているのは、オミクロン株が主に上気道での感染に移行し、鼻や喉で増殖しやすいために、会話や呼吸をするだけでもウイルスを広げてしまうということです。
いまのところオミクロン株は軽症が多いとされている理由も、上気道主体の感染に変化したために気管支炎や肺炎を起こしにくく、二酸化炭素を排出して酸素を取り入れる呼吸の働きを妨げる状態にはなりにくいからだと考えられます。
オミクロン株は「風邪みたいなもの」なのかというと、それは言えないと思います。
新型コロナの致死率(患者数に対する死者数の割合)は、インフルエンザと比べるとかなり高くなっています(下記)。重症化しにくい若い人たちは軽症で済むかもしれませんが、感染が高齢者や基礎疾患のある人たちに広がると、重症者も死者も増えていきます。
オミクロン株は発症前や無症状の感染者が従来株以上に多くのウ
イルスを出します。感染性が高いデルタ株よりも、少なくとも4倍は感染性が高い。重症化率が低くても、対策を緩めれば感染が爆発的に拡大し、重症者も増えてしまいます。

【インフルより高い致死率】
季節性インフルエンザの国内における致死率は0.02~0.03%。これに対して新型コロナ(第2波、主にべ一タ株)の致死率は約1%。(政府の基本的対処方針分科会の分析)



急激な感染孤大か続く中、駅に同かう多くの通勤者=1月17日、東京都内(ロイター)

後遺症が長引く心配も
新型コロナでは、コロナ自体は軽症でも「ロングコビット」と呼ばれる後遺症に苦しむ方も少なくありません。この点でも風邪やインフルエンザとは異なります。
うつ症状や慢性的疲労感をはじめ、においや味がしないなどの症状、ほかにも、関節痛、頭痛、注意力がなくなるなどの症状が報告されています。
精神的ダメージについては、新型コロナウイルスが神経細胞に影響を与えるためだという科学的根拠が確立されつつあります。
今後、後遺症をきちんとみていける医療の確立が大事です。

子どもの接種について
子どもにワクチンを接種するかどうかについては慎重に考えるべきだと思います。
米国では子どもたちの入院が増えてきて、5歳以上の子どもたちの接種を推奨することになりました。日本でも、厚生労働省が21日、5歳から11歳のワクチン接種を特例承認しました。
子どもたちが家庭にウイルスを持ち込むと、高齢者や重症化リスクのある人に感染を広げてしまう恐れがあるわけですから、学校などの公衆衛生対策は大事です。でも、これは本人の重症化予防が目的のワクチン接種の理由にはなりえません。
今回のワクチンの長期的な影響の知見は、まだ蓄積されていません。麻しん(はしか)のワクチンや、三種混合ワクチンのように100年近くの歴史があるワクチンとは違うので、保護者が慎重になる気持ちはよくわかります。副反応の情報収集や、接種にあたっては小児科医とよく相談することが大事です。


基本に立ち返った対策を
ひなた在宅クリニック山王 院長・田代和馬さん
約400人の在宅患者を診ている「ひなた在宅クリニック山王」(東京都品川区)の田代和馬院長に現状を聞きました。
川田博子記者




昨年夏の感染拡大の第5波では、2回のワクチン接種を終えた高齢者はフレッシュな抗体で守られました。しかし、今回の第6波では、2回目の接種から半年以上間が空き、高齢者は抗体価減少で新型コロナに脆弱(ぜいじゃく)になっている可能性があります。
諸外国では追加接種が進んでいるので、高齢者でも重症化する人の割合が少ないということが分かっています。
一方、日本は3回目の接種が遅れています。追加接種を受けていない高齢者がどの程度コロナに脆弱なのか、データが集まっていません。外国と同じことが日本でもいえるのか、データがないので分からないのです。
当院では、新型コロナ感染と臨床診断できる方の相談が相次いでいます。
最悪のシナリオは、高齢者をオミクロン株が直撃し、重症化した人があふれてしまうことです。老人ホームなどで集団感染が起こると、病院は一気に機能不全に陥ってしまいます。
「オミクロンは症状が軽い」「風邪と一緒」といった楽観的で臆測に墓ついた情報が飛び交っています。
オミクロン株の感染力や変異の速さを見ると、やはり風邪とは違うと思います。重症化する患者の割合が低くても、患者の絶対数が大きく増えれば重症化する人も増えてしまいます。
データが集まり、オミクロン株の病原性や追加接種をしていない高齢者への影譜などが分かるまで、第5波と同様に用心すべきです。ワクチンの追加接種や手指消毒、マスク着用など、感染対策の基本に立ち返った行動をみなさんにしてほしいと思います。

「しんぶん赤旗」日曜版 2022年1月30日付掲載


いまのところオミクロン株は軽症が多いとされている理由は、上気道主体の感染に変化したために気管支炎や肺炎を起こしにくく、二酸化炭素を排出して酸素を取り入れる呼吸の働きを妨げる状態にはなりにくいから。
だからと言って、風邪と同じじゃない。季節性インフルの致死率が0.02~0.03%に対して、新型コロナは1%。
コロナ自体は軽症でも「ロングコビット」と呼ばれる後遺症に苦しむ方も。
ワクチンの追加接種や手指消毒、マスク着用など、感染対策の基本に立ち返った行動が大事。
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コロナ禍と観光産業② 持続可能な地域循環型へ

2021-10-19 06:59:38 | 新型コロナウイルス
コロナ禍と観光産業② 持続可能な地域循環型へ
京都・まちづくり市民会議共同代表 中林浩さんに聞く

―今後、持続可能な観光産業はどうあるべきでしょうか。
観光というものをどうとらえるかという根本間題ですね。今、資本主義を分析したマルクスの『資本論』が注目を浴びています。有名な第3巻第48章では、「労働日の短縮こそは秩序ある物質代謝の根本条件である」としています。「物質代謝」とは、生命の体内での化学変化を意味する概念ですが、人間が労働によって自然を変化させること全般をも指します。

地域を健全に
京都大学の建築学教室の西山夘三研究室や三村浩史研究室は、労働から解放された時間(レクリエーション)に着目して都市のあり方を研究してきました。レクリエーションの中でも、とりわけ観光が人間を発達させ地域の秩序をもたらすと考えてきました。労働時間の短縮により自由時間を駆使できる人々が地域を健全にすると考えてきたのです。残念ながら現実では、財界・支配層が観光をも食い物にする事例が多いので、これを批判し、景観や文化財の保全の制度を確立することを主張してきました。
けっして労働時間を短くするわけではない「働き方改革」を進めてきた政府が、もうけ本意で観光政策を展開し、自然環境や文化財を損ねていく、つまり物質代謝をかく乱しているのです。
観光が盛んになるのは、人間の生活が発展する上で当然の帰結です。世界の人々が労働から解放された時間を楽しみに使うために、観光が健全に行われるべきだという観点は欠かせません。
今、京都市で目立っているのは、コロナ後を見据えて超富裕層を対象にしたホテル計画です。二条城周辺や祇園、また鴨川西岸から東山が眺められる景勝地を高級ホテルや高級マンションが次々と占めていこうとしているのです。こうした富裕層のための土地利用は地域に密着したさまざまな観光産業を潤すことにつながりません。近隣の食事会や会合に利用できたり、気軽に立ち寄れるようなロビーや喫茶店もなく、地域住民には近寄りがたいホテルです。
しかも、こうした高級ホテルが小学校跡地を利用して建設されています。小学校は、廃校後も、地域の拠点として重要な役割を果たしてきたにもかかわらずです。



仁和寺門前の高級ホテル建設予定地(中林浩氏提供)

中小を支えて
コロナ後を見据えた観光行政は、明らかに地域循環型社会に反したものです。京都の観光スポットの魅力を長きにわたって維持してきた中小の旅館や土産物屋は、コロナ禍のもとで疲弊しています。こうした中小の観光業者を支えることこそ観光産業を持続可能なものにできるのです。超高級ホテルの乱造は、大手企業のもうけにつながっても、地域経済の振興につながらないといえます。
それでも、日本の各地にはよく続けてきたなと思えるような伝統工芸や伝統芸能が残っていて、見に行く価値があります。また地場産業や地産地消の現場を見るツアーが静かなブームとなっています。このあたりに新しい持続可能な観光が発展する手がかりがあるのでしょう。近年、テレビで、名所にこだわらない町歩き型の紀行番組がすいぶん増えているのもその反映です。
あえて最後にいっておきたいのは、日本における今日のインバウンド(訪日外国人観光客)の急増は、観光客の誘致策が成功しているためではないということです。
日本経済が不振である一方、アジア諸国が経済成長し、経済格差が縮まって、来訪しやすくなったからです。現代社会は各国国内で著しい経済格差を生じさせながらも、国単位でみると先進国と中進国の経済格差は縮まっています。日本経済の不振を観光で取りもどそうとして、経済をも衰退させてしまう、こうした悪循環を絶たなければなりません。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年10月16日付掲載


本来の観光とは、労働時間の短縮(マルクスに言わせれば労働日の短縮)で得られた自由な時間を謳歌して楽しむもの。
一方、もうけ本位で観光を展開すると、自然環境や文化財を損ねていく。
ホテルも、宿泊しない観光客も気軽に立ち寄れるロビーや喫茶店があって欲しい。
京都の観光スポットの魅力を長きにわたって維持してきた中小の旅館や土産物屋は、コロナ禍のもとで疲弊しています。こうした中小の観光業者を支えることこそ観光産業を持続可能なものにできる。


源光庵 悟りの窓と迷いの窓
源光庵 悟りの窓と迷いの窓 posted by (C)きんちゃん
源光庵 悟りの窓と迷いの窓

永観堂 鶴寿台の紅葉3
永観堂 鶴寿台の紅葉3 posted by (C)きんちゃん
永観堂 鶴寿台の紅葉

高山寺 石水院の紅葉_02
高山寺 石水院の紅葉_02 posted by (C)きんちゃん
高山寺 石水院の紅葉

京都には、祇園や嵐山、金閣・銀閣だけでなく、いろんな観光スポットがあります。
その魅力を発信するには、地元力が必要。
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