きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

課税新時代③ 最低税率へ新提案

2021-04-30 07:30:08 | 予算・税金・消費税・社会保障など
課税新時代③ 最低税率へ新提案
政治経済研究所理事 合田寛さんに聞く

これまで法人税の引き下げ競争を先導してきたのは米国、英国など主要国でした。このまま続けば破滅的な「底辺への競争」を招き、各国の法人税収はなくなってしまう恐れがあります。
この流れを変えるためには、世界共通の最低税率を設定する国際的な合意が不可欠です。タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)、国際企業課税の改革を求める独立委員会(ICRICT)など、国際的市民運動や専門家は早くからそのために取り組んできました。
これまで国際的な最低税率を設定する交渉が進まなかった原因の一つに、税率の設定は各国の主権に属するものだという考え方がありました。しかし、税率引き下げ競争は自国だけでなく、他国の税収を奪う競争です。互いに他国の税収を奪い合うことが国の主権の名のもとに行われていいはずはありません。特にコロナ禍の下で命を守り、経済を回復するために各国が巨額の財源を必要としている今、国家間の税の競争はすべての国の主権を失わせるものといわなければなりません。

実現のチャンス
20カ国・地域(G20)と経済協力開発機構(OECD)が主導し、約140カ国が参加する「包摂的枠組み」が国際的最低税率の具体案を示し、米国が意欲的な姿勢に転じた今、それを実現する最大のチャンスが訪れています。
国際的最低税率制度の設計にあたっては、①最低税率の水準は十分な税収増が期待できる高さであること②税率引き上げによる増収分は多国籍企業の母国だけでなく経済活動に応じて各国が受け取ること③簡素な仕組みで実行が容易なこと―などに配慮する必要があります。
この4月、英国ランカスター大学のソル・ピチオットら国際的に著名な税制専門家グループは、法人税の国際的最低実効税率(METR)を設定する新しい提案を示しています。
新提案はOECD「包摂的枠組み」の下で行われてきた交渉の行き詰まりを打開し、これまでの合意を踏まえつつ、実現可能な提案としてまとめられています。新提案はグローバルな最低税率の設定によって多国籍企業が利益を低税率国に移転する誘因をなくし、投資の呼び込みを目的とした各国の優遇措置を抑制する効果を期待しています。
新提案は国際的な最低税率の水準として、世界の法人税率の加重平均である25%を提案しています。OECD「包括的枠組み」のブループリントは10・5%、米国の税制改革プランは21%なので、とりあえず妥当な提案といえます。



新型コロナウイルスが原因で夫を亡くし、病院の外で慰められる女性=4月20日、インド・アーメダバード(ロイター)

日本税収増3位
新提案は多国籍企業が低課税によって得られた利益の総額を一定のルールにもとづいて各国に配分する、いわゆる「定式配分法」を提案しています。
配分の基準は各国の有形資産、雇用者数、売上高にもとづくものとし、配分された利益に対して、各国は自国の税率を適用して課税するというものです。
新提案によって期待される税収増は、設定される税率の水準によって異なります。新提案の25%を前提にすると、世界全体で7840億ドル(約86兆円)、米国案の21%でも5400億ドルの税収増が期待できます。
地域別に見ると、これまで巨大企業による利益移転の損害をもっとも多く受けてきた途上国、貧困国ほど、大きい税収増が期待されます。
国別ランキングでは、最大の税収増を得るのは米国で、1814億ドル(法人税収に占める割合は45%)となっています。次いで中国で1235億ドル(同24%)、3位に日本がランクされており、966億ドル(10兆円超、同50%)と、かなり大きい税収増が見込まれています。
ともあれ、決着のタイムリミットである今年半ばまでに、すべての国にとって好ましい国際的合意に達することは可能であるし、そうしなければなりません。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月29日付掲載


多国籍企業が低課税によって得られた利益の総額を一定のルールにもとづいて各国に配分。
税収増により新型コロナ対策のための財源に期待が。
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課税新時代② 利益移転に歯止め

2021-04-29 07:15:38 | 予算・税金・消費税・社会保障など
課税新時代② 利益移転に歯止め
政治経済研究所理事 合田寛さんに聞く

米財務省のイエレン長官は4月はじめ、シカゴ国際問題評議会で行われた就任後初めての演説で、世界的な法人税の引き下げ競争をやめ、法人税の最低税率を設定する国際協調が必要だと述べました。
基本的な公共財に投資して危機に備えるために、十分な財源を確保する安定的な税のシステムをつくらなければならず、国際的な合意は可能だというのです。



ホワイトハウスでバイデン大統領との経済説明会に出席するイエレン財務長官=3月5日、ワシントン(ロイター)

税率下げ競争で
これまで数十年にわたって、各国は自国に投資を呼び込むために、税率の引き下げを競ってきました。2000年に経済協力開発機構(OECD)諸国平均で32・2%だった法人税率は、その後も下がり続け、20年には23・3%になっています。税の競争はとどまることを知らず、破局的な「底辺への競争」を招いています。
米国はこれまで国際的な税率引き下げ競争の先頭グループを走っていました。しかし新税制プランは方針を百八十度転換し、世界共通の最低税率を定める国際的取り組みに復帰することを宣言したのです。
いま20カ国・地域(G20)とOECDが主導し、約140力国が参加する「包摂的枠組み」の下で、国際的課税ルールを刷新する取り組みが進行しています。昨年10月にまとめられた「ブループリント」(青写真)は二つの柱からなります。
第1の柱は、多国籍企業の低税率国への利益移転を抑えるために、現行のルールを刷新することです。現行ルールは①工場など固定的施設がなければ外国企業に課税しない「恒久的施設(PE)原則」②企業のグループ内取引で任意の価格設定による利益移転を認める「アームズレングス原則」―にもとついています。これを改め、多国籍企業グループの総利益を「売上高」にもとついて各国に配分する新課税権を創出するというものです。
第2の柱は、税率引き下げ競争に歯止めをかけるために、国際的最低税率を設定するというものです。
この取り組みは、当初、昨年宋までに国際的合意を得るスケジュールで進んでいましたが、米国が交渉から離脱し、決着は今年中ごろに延期されていました。米国の復帰は歓迎されます。
二つの柱のうち、第1の柱は1世紀前から続く現行国際ルールの原則を変えるものなので、国際合意が困難です。しかし第2の柱は関係国の合意さえあれば実現できるもので、租税条約を改定する必要もありません。最低税率の合意が実現すれば、多国籍企業から利益移転の誘因を取り除くことができます。
もともと米国には「ギルティ」という第2の柱に相当する独自の制度があり、これを強化すれば国際的に合意できる最低税率の国際的システムがつくれるはずです。

二つの方法示す
しかしここにも乗り越えなければならない課題があります。
OECD「包摂的枠組み」の下で昨年秋に合意されたブループリントは、第2の柱に関して二つの課税方法を示しています。
一つは「所得合算ルール」です。これは多国籍企業が利益を低税率国に移した場合、その利益を親企業の所得に合算して最低税率までの税を支払わせるというもので、企業の母国が課税することになります。
もう一つは「軽課税支払いルール」で、グループ内企業への金利などの支払いに対する課税が最低税率に満たなければ、控除を否定したり、源泉課税するというもので、利益が生まれた国が課税します。
ブループリントでは第1のルールを優先し、第2のルールは補完的なものと位置付けています。しかしそれでは企業の母国が有利となり、経済活動が行われた場所で課税するという目的に合致しません。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの巨大企業の多くは米国を母国としていることから、米国が増収分を先取りしてしまうことになります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月28日付掲載


世界的な税率引き下げ競争から脱却して、国際的に最低税率を定める。
多国籍企業が利益を低税率国に移した場合でも、せめて最低税率の税金は支払わせる仕組みを。
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課税新時代① 米、法人増税へ転換

2021-04-28 07:25:22 | 予算・税金・消費税・社会保障など
課税新時代① 米、法人増税へ転換
政治経済研究所理事 合田寛さんに聞く

米財務省がバイデン政権の税制改革の基本的考え方を示す「メイド・イン・アメリカ・タックスプラン」を発表しました。その意義について、企業課税に詳しい政治経済研究所の合田寛理事に寄稿してもらいました。

バイデン政権の新税制プランによる税収増は、15年間で2・5兆ドル(約270兆円)と試算されています。新型コロナウイルス危機後のニューディール(新規まき直し)として、8年間で総額2兆ドル(約220兆円)を投入する「アメリカ雇用計画」を十分賄うことのできるものとなっています。

企業減税見直し
その内容は、①トランプ政権が35%から21%に下げた法人税率を28%に引き上げる②多国籍企業のタックスヘイブン(租税回避地)への利益移転による税逃れを封じる③国際的な最低税率の適用を強化する④高収益をあげながら税を支払わない企業に対して最低15%の税率を適用する⑤化石燃料産業への補助金をクリーン産業への補助金に置き換えるーなどとなっています。新税制プランの核心は、これまでの法人税制に関する考え方を根本的に転換し、新しい方向に向けることを強調している点にあります。企業課税に関するこれまでの支配的な考え方は、「企業に対する課税の強化は投資を抑制し経済成長を妨げる」というものです。
新税制プランは、トランプ政権による2017年の企業減税が経済成長をもたらさなかったことなどを例に挙げ、減税が成長を呼ぶという考えを真っ向から否定しています。それどころか、減税で過剰となった現金はさらに低税率のタックスヘイブンに移転され、国内の投資を呼び起こさなかったというのです。
数十年にわたる企業減税の結果、米国の法人税収は税収総額の10%以下に下落しています。一方、労働に対する課税は増え続け、その税収は総税収の80%を超えています。



ホワイトハウスで開かれた「アメリカ雇用計画」に関する超党派会合で話すバイデン大統領(右)=4月19日、ワシントン(ロイター)

課税逃れにメス
新税制プランは、長期にわたって続いた企業減税は、税負担を企業や資本から労働に移し、富裕者をより豊かにさせる一方、労働者に過大な負担を負わせ、不平等をいっそう拡大する原因となったとみています。法人税の増税は税収を確保するだけでなく、不平等を減じるためにも必要であり、資本にではなく、労働に報いる税制を構築する必要があると指摘しています。米国を拠点とする多国籍企業が利益を海外のタックスヘイブンに移転して巨額の税を逃れている実態にメスを入れる必要性を強調しています。
トランプ税制改革までは、多国籍企業が海外であげた利益は、米国内に還流したときに初めて通常の法人税率で課税されることになっていました。そのことが、米国での課税を逃れるために利益を海外でため込む誘因となっていました。
17年のトランプ税制によって、海外にため込まれた利益にも課税できるよう、海外であげた利益に対し、一定の控除を認めたうえで、法定税率の半分の税率(10・5%)を課す「ギルティ」という制度が設けられました。しかし、この制度によっても、多国籍企業の利益移転の誘因は減ることはなく、タックスヘイブンへの利益移転は止まることはありませんでした。
トランプ改革後、多国籍企業が利益をあげた場所のトップ10のうち、7カ所はタックスヘイブンでした。バミューダ、ケイマン、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、シンガポール、スイスです。これらのタックスヘイブンに海外利益の約61%が移転されていたのです。
新税制プランの特徴は、新型コロナウイルス危機後必要となる巨額の財政需要を、法人税を中心とした増税によって賄うことです。法人税率引き上げなどによって国内企業への課税を強めるとともに、利益を海外に移して米国の税を逃れる多国籍企業に対し、利益移転の誘因を封じようとするものです。(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月27日付掲載


バイデン大統領の法人税増税への転換。税収の確保だけでなく、資本にではなく、労働に報いる税制を構築。
タックスヘイブンへの税収逃れを許さない。新税制プランの特徴は、新型コロナウイルス危機後必要となる巨額の財政需要を、法人税を中心とした増税によって賄う。
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「年金者の会」の案内会 「年金者の会」とは何なの?

2021-04-27 07:10:41 | 予算・税金・消費税・社会保障など
「年金者の会」の案内会 「年金者の会」とは何なの?
と き:令和3年4月29日(木・祝)10:00~16:00
ところ:元町まちづくり会館6階(元町商店街通り4丁目西南角)

の予定でしたが、緊急事態宣言の発出で中止になっています。

(イ)「年金」について相談ごと
(ロ)各サークル紹介(サークル紹介は別紙)
(ハ)お茶を用意しています

連絡先:090-6960-0047(福原)
    070-5344-2204(渡部)




主催:全日本年金者組合中央区の会

あなたも「年金者の会」に入りませんか!!
年金者組合はすべての国民が高齢期安心して暮らせる年金制度「最低保障年金制度の創設」や年金引下げや改悪に反対して活動しています。また、介護、医療など社会保障の改悪を阻止するために頑張っています。高齢期を楽しく!!人生を輝いて楽しく暮らせるために!!
下記は年金者組合中央区の会の行事・サークルの案内です。
★具体的な日程場所はニュースに掲載しています。




【写真例会】 2ヶ月に1回例会。撮影会も。
【リズムダンス】 音楽に合わせて体をうごかします。
【絵手紙の会】 指導もあり、初心者でも歓迎。
【古布の会】 タンスに眠っている着物をよみがえらせ、服や小物を。
【ハイキング】 体力に合わせて無理のない程度の散策。
【お茶と映画の会】 コーヒーとお菓子で映画を楽しみます。
【カラオケの会】 歌って元気よく、とにかく歌う。
【健康マージャンクラブ(2か所)】 頭の体操を。(葺合、栄町地域)
【誕生会】 3ヶ月毎に開いています。記念品も。
【社交ダンス】 月2回第2、第4火曜日に。
【うたごえ会(県本部主催、勤労会館ホール)】 毎月なつかしい歌などをみんなで歌います。
【バス旅行(日帰り)】 春と秋に名所旧跡。温泉も。
【青春18キップの旅・電車による地域散策の旅】 電車に乗って、各地を散策。
【お食事の会】 3ヶ月に1回第2水曜日に。
【俳句、川柳の投句を受けています】 自由に投句し、ニユースに載せます
【ちぎり絵(2か所)】 月1回例会(葺合、下山手地域)
【英会話サークル】 月1回第4月曜日に行っています。
【お抹茶を楽しむ会】
 月1回第1水曜日に開いています。
【ハーモニカサークル】 毎週月曜日に練習しています。
【年金カフェ】 毎月のニユースで確認を。
【太極拳のサークル】 月2回第2・第4火曜日に。
【ポールウォーキング】 月4回(毎週土曜日)
卓球クラブも準備中です。
交通災害共済・火災共済 少ない掛け金でしっかりした保障の保険

問い合わせ、年金者組合「中央区年金者の会」

電話:090-6960-0047(福原)、070-5344-2204(渡部)

仮加入申込書(会費は年金額によります。月150円から800円まで。国民年金の場合は年金新聞を含め約250円)

氏名(ふりがな)
生年月日   年  月  日
住所 〒

電話:年金種別:
趣味・やってみたいこと・希望(                )


だれもが安心して暮らせる最低保障年金の確立をめざしながら、楽しみ7分・活動3分で楽しく活動している年金者組合です。
案内会は緊急事態宣言の発出で中止になりましたが組合加入は随時受け付けています。
お気軽にご加入ください。
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デジタル法案 監視国家と治安体制② 治安強化へ ひそむ策略

2021-04-25 07:14:03 | 経済・産業・中小企業対策など
デジタル法案 監視国家と治安体制② 治安強化へ ひそむ策略
経済研究者 友寄英隆さんに聞く

菅義偉内閣の「デジタル庁設置法案」では、「第6条 デジタル庁の長は、内閣総理大臣とする」となっています。
つまり、デジタル庁は、単に一つの「庁」が増えるということではないのです。内閣総理大臣のもとにあらゆる情報の指揮権を集中して、国家が「最大のプラットフォーム」になるということです。行政のあり方、国家の基本的な構造にもかかわる問題です。
行政のデジタル化の法制化によって住民のマイナンバーやプロファイル(人物記録・履歴)などの個人情報が集積・流通する過程は、デジタル技術の「不可視性」のために、ブラックボックス化します。予算の計上や執行などの指揮命令権を持つデジタル庁の指揮のもとに国家に個人情報が集中すると、知らない間に国民の民主的な権利が踏みにじられ、自由を抑制する監視国家になる危険があります。




国家による監視
菅内閣の「デジタル社会形成基本法案」が示す基本理念には、「個人情報保護」の文言がありません。プライバシー権などの人権保障をないがしろにしたまま、個人データの利活用を推進する内容です。
日本の個人情報保護の現行法は、諸外国と比べても、きわめて不十分です。むしろ抜本的な改善・強化こそが求められます。例えば、個人情報保護委員会の権限を強化して、行政機関や警察機構などに対して厳しい監視を行えるようにすべきです。
現行の個人情報保護法では、民間事業者、行政機関、独立行政法人のそれぞれ別の3本の法律にして、個人情報を分散管理して、なるべく集約できないようにして保護を図ってきました。しかし、菅内閣は3法を統合して、関係機関が個人情報を容易に共有できるようにします。その結果、所得や資産、医療、教育など膨大なデータが政府に集中し、国家による個人情報の管理が進むことになります。
菅内閣は、デジタル改革の目標を「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」としていますが、これは、「監視の網の目から誰一人取り逃さない」ということでもあるのです。
日本では、安倍晋三前政権のもとで、反動的な治安立法が次々と強行されてきました。例えば、2013年の特定秘密保護法、15年の憲法違反の安保法制(戦争法)、17年の組織犯罪処罰法改正(共謀罪:現代版の治安維持法)などなど、いずれも国民の強い反対を押し切って成立しました。
菅内閣のデジタル改革は、デジタル技術そのもののもつ危険性と「新自由主義」という反民主主義的な政治・行政が結びつくことによって、こうした「治安体制」を情報体制の面から支える「監視国家」を実現するものでず。すでに、警察などへの「捜査照会」の名目で利用される懸念が指摘されています。
菅内閣のデジタル関連法案は、それ自体は治安立法ではありません。しかし、個人情報を国家が一元管理して、マイナンバー機能と一体化すれば、「治安体制」にとって不可欠な「国民監視」の技術的基盤となります。



デジタル関連法案を通すなと抗議行動する人たち=4月6日、衆院第2議員会館前

コロナ禍に乗じ
コロナ禍を利用した新たな「治安体制」強化の策略にも警戒が必要です。
すでに、昨年4月、最初のコロナ対策の「緊急事態宣言」を発令するさいの国会での質疑の中で、安倍首相(当時)は、「今般の新型ウイルス感染症への対応を踏まえつつ」、「(憲法改正において緊急事態条項を検討することは)極めて重く大切な課題」だ(20年4月7日、衆院議院運営委員会)と強調しました。
こうしたコロナ対策に乗じた「治安体制」強化の新たな策動をも念頭において、菅内閣のデジタル改革の危険性をしっかりとらえておくことが必要です。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年4月24日付掲載


菅内閣の「デジタル社会形成基本法案」が示す基本理念には、「個人情報保護」の文言がありません。プライバシー権などの人権保障をないがしろにしたまま、個人データの利活用を推進する内容。
所得や資産、医療、教育など膨大なデータが政府に集中し、国家による個人情報の管理。
菅内閣は、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」? これは「監視の網の目から誰一人取り逃さない」ということでも…。
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