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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

JTのタバコ戦略―実態を2論文に見る① 2018年論文 今も活動を続ける 喫煙科学研究財団とは

2021-03-31 07:31:05 | 政治・社会問題について
JTのタバコ戦略―実態を2論文に見る① 2018年論文 今も活動を続ける 喫煙科学研究財団とは
WHO(世界保健機関)の「ノータバコデー2021」のポスターは「タバコ産業は新型コロナの手助けをしている」と告発しています。日本でも、JT(日本たばこ産業株式会社)は、あの手この手でタバコ規制を妨害してきました。膨大な米国内部文書から、その実態を浮き彫りにした論文が改めて注目されています(筆者インタビューは2月24日付に掲載)。2018年と04年に発表された二つの論文の一端を紹介します。
(徳永慎二)



WHOのノータバコデー2021のポスター

2018年論文は「たばこ業界は陰に隠れて:日本たばこによる喫煙科学研究財団を介したたばこ政策と科学への干渉」という表題。
同論文は、タバコ規制へのJTの対策は、「JT民営化(1985年)に伴って強化された」とのべています。強化策の一つが研究助成機関としての喫煙科学研究財団の設立でした。
設立に先立ち、JT幹部は、海外のタバコメーカーに相談をもちかけました。85年6月、JT顧問2人が米たばこ協会を訪問。協議事項の一つに財団への資金援助の要請がありました。
86年2月、JT副社長(当時)とフィリップモリス(PM)社長(同)が意見を交換。「財団の設立」と「両国における将来的な喫煙と健康の問題に関する対抗策」が議題にのぼりました。同年7月、PM幹部が「新研究財団の費用を支援してほしいというJTの誘いを受け入れる」とJT側に伝えています。



米国タバコ産業の内部文書

二つの論文
米国タバコ産業の内部文書に基づいて、タバコ規制に対抗するJTの戦略やタバコ政策への干渉などを分析した2004年と18年発表の研究論文。総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)の飯田香穂里准教授とスタンフォード大学(米カリフォルニア州)のロバート・プロクター教授との共著。

国際的な連携
86年2月に財団「設立準備委員会」の仮名簿がPM側に送られました。最終的に、著名な11人が発起人となり、同財団の役員となりました。しかし、海外メーカーには各役員とタバコ業界とのつながりを包み隠さず伝えながら、国内では、それは伏せられました。
財団設立をめぐる経過は、タバコ会社の国際的な連携を物語っています。
JTの財団設立時の寄付額は約10億円。寄付総額11億3000万円の9割近くを占めました。大学などの研究者に出す研究助成費は毎年3億円以上。今も規模を広げて続いています。
財団の活動は、日本政府のタバコ政策やタバコ訴訟に影響を与えてきました。厚生省(現厚生労働省)初の「たばこ白書」(通称。87年)起草のための公衆衛生審議会の委員に、財団の「研究審議会」会長が就任したのは一例。これについて、PMジャパンのメンバーは、米PM側に「委員を通じて審議会の決定に影響を及ぼすことができることを意味する」とのべています。

業界寄り答申
88年に大蔵省(現財務省)は、たばこ事業等審議会にタバコ事業のあり方について諮問しました。同審議会の「喫煙と健康問題総合検討部会」の委員(11人)は、半数以上が財団関係者でした。審議会が出した89年答申は、喫煙の精神面での「肯定的な効果」を認め、受動喫煙については「今後の研究課題」とするなど“タバコ業界寄り”となりました。2010年のタバコ病裁判の判決は、この答申に依拠し、原告の訴えを退けました。
87年2月にJTやPMなど5社で日本たばこ協会が設立されました。「日本たばこ協会の計画」と題する機密戦略文書は、①広告・販売促進への規制をできる限り遅らせる②特に自販機、製品表示、製品内容にかんして、タバコ業界に直接大きな影響を及ぼす可能性のある規制を遅らせ、最小限に抑える③喫煙への社会的受容のさらなる低下を遅らせるーなどを目的としました。財団の活動はこの戦略と一致しています。

規制への対抗隠されてきた
財団の解散を求めてきた日本禁煙学会の作田学理事長の話
タバコ問題での画期的な論文です。日本のタバコ政策をゆがめ、規制を遅らせるJTの戦略は、長く隠されてきました。論文は、米国内部文書に基づいて、財団を使い、科学の名でタバコによる健康被害に疑念を創出し、規制に対抗する活動を生々しく示しました。大事なことは、それが今も続いているということです。コロナ禍のもとで、喫煙のリスクとともに、タバコ消費の低減が指摘されています。改めて財団の解散を求めます。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月29日付掲載


日本のたばこ産業がアメリカのたばこ業界と結託して、日本のたばこ規制に圧力をかける。
日本のたばこのパッケージへの健康への害の表示、たばこの自動販売機などへの規制が遅れました。
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4月25日投開票の3つの補選・再選挙 すべてで野党統一候補が決まる

2021-03-30 07:27:27 | 解散総選挙(2020年~2021年)
4月25日投開票の3つの補選・再選挙 すべてで野党統一候補が決まる

参院長野選挙区補選 羽田統一候補で政治変える 長野・佐久 市民・野党アピール
来月8日告示
長野県佐久市で27日、4月8日告示(25日投票)の参院長野選挙区補選(欠員1)をたたかう立憲民主党新人の羽田次郎・野党統一候補と各野党代表を迎えた「市民・野党共同アピール」が行われ、沿道で「羽田次郎さんとともに佐久から政治を変える」とアピールしました。



市民とともにアピールする(壇上左から)篠原、羽田、高村、中川の各氏=27日、佐久市

「佐久地区市民と野党との共闘会議」の主催で、約150人が参加。野党代表として日本共産党の高村京子県議、立民の篠原孝衆院議員、社会民主党の中川博司県議が出席しました。
市民代表の女性3人がスピーチ。新型コロナ対策で医療従事者へのPCR検査拡充、20人学級の実現などを羽田氏に要望しました。
羽田氏は、新型コロナに感染し死去した兄・雄一郎氏の志を継ぎ、市民と野党の議席を守る決意を表明。「『声なき声』を国政に届ける。勝ち抜いて、皆さまの代弁者として働かせてほしい」と訴えました。
高村氏は「命と暮らしを守る政治に。佐久から羽田さんを国会へ送り出そう」と呼びかけました。篠原氏は「総選挙で、一気に政権交代したい」と語りました。中川氏は「自民党では原発をなくすことはできない」と強調しました。
同共闘会議は、羽田氏の支持を広げるなど行動提起しました。



衆院北海道2区補選 野党統一候補へ政策協定 松木氏 コロナ緊急対策を
吉川貴盛元農水相=収賄罪で在宅起訴=の衆院議員辞職に伴う衆院北海道2区補選(4月13日告示、25日投票)を市民と野党の共闘で必ず勝利しよう―。「戦争させない市民の風・北海道」と日本共産党道委員会、立憲民主党道連、社民党道連は28日、野党統一候補に松木けんこう前衆院議員=立民=を擁立する政策調印式を札幌市で開きました。
松木氏と「市民の風」、野党の代表が協定書に調印し、拍手に包まれました。
協定書は、(1)政治とカネの問題を徹底究明する(2)コロナへの緊急対策を実施し、競争と効率・自己責任を強調する政治からの転換、格差是正と生活支援を進める(3)憲法を守り、立憲主義・民主主義を回復し、ジェンダー平等、誰もが尊重される社会を築く―ことを盛り込んでいます。



勝利を誓い合う(前列右から)松木、平岡両氏=28日、札幌市

松木氏は「大役を担わせていただいた。絶対に勝つ」と表明。立候補を取り下げる日本共産党の平岡大介氏に、厳冬期も街頭で訴え続けてきたのは2人だけだったと述べ「あなたの分まで頑張る」とグータッチでエールを交換しました。
「市民の風」の上田文雄共同代表は、市民と野党が「困難を乗り越え、信頼を広めるたたかいをしてきた」と振り返り、政権交代の実現を呼びかけました。
立民道連の逢坂誠二代表は「菅政権にピリオドを打つ」と強調。共産党道委の青山慶二委員長は「党の総力を挙げ、市民と野党の共闘で新しい政権をつくる」と訴えました。社民道連の熊谷吉正代表は「政権交代を目指すたたかいのスタートだ」と強調しました。
日本共産党の、はたやま和也前衆院議員が参加しました。



参院広島選挙区再選挙 野党統一候補へ政策協定 宮口さんで金権選挙を払拭
2019年の参院選広島選挙区をめぐる大規模買収事件で有罪が確定した河井案里前参院議員=自民党を離党=の当選無効に伴う広島再選挙(4月8日告示、25日投票)に向け、県内の3市民連合は28日、広島市で「市民と野党の力で政治を変える!広島集会」を開き、同選挙区から立候補する無所属新人の宮口はるこ氏(45)と政策協定書を締結しました。
宮口氏と広島3区市民連合の山田延廣代表幹事(弁護士)が政策協定書に調印。宮口氏を立憲野党の統一候補とする集会アピールを、市民130人の拍手で確認しました。
基本政策は、▽金権腐敗選挙の払拭(ふっしょく)▽新型コロナ対策の拡充▽日本政府への核兵器禁止条約参加の要求▽安保法制廃止―など六つです。



広島3市民連合の集会で訴える宮口氏=28日、広島市

宮口氏は、コロナ禍でさらに弱者になった障害者、女性に光を当てるために立候補した決意を表明。金権腐敗選挙の払拭に向け「再選挙で県民に意思表示してもらわなければならない。一生懸命頑張ります」と訴えました。
山田氏は「市民目線に立った宮口さんは私たちが望む候補。私たちも全力を尽くして支え合っていこう」と呼びかけました。
日本共産党の村上昭二県委員長、立憲民主党の福知基弘県総支部連合会幹事長、社民党の佐藤奈保子県連合副代表があいさつ。「全力でほかの野党のみなさんと一緒に頑張りたい」(村上氏)、「みなさんの力で押し上げてほしい」(福知氏)、「平和都市広島の本当の意味の政治を取り戻したい」(佐藤氏)と表明しました。

参院再選挙 宮口予定候補と広島の市民連合との政策協定
宮口氏と広島3市民連合(2区・3区・5区)との政策協定書は次の通りです。


1、河井夫妻による大規模買収事件に代表される金権政治は民主主義を壊すものであり、政治不信を増幅させるものです。事件の全容解明を通して金権腐敗選挙を払拭することにより、公正・公平で、透明性のある政治と地方自治の確立を求めます。
2、新型コロナウイルス対策として、医療・公衆衛生体制の抜本的な見直しと拡充を行い、社会経済活動の自粛や休業に対する補償について、充分な予算措置を講じることを求めます。
3、核兵器廃絶をめざし、核兵器禁止条約参加を日本政府に求めます。
4、中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減し、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざすための政策を推進するよう求めます。再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマス〈食用農作物を除く〉等)はエネルギー自給率の向上や温室効果ガス排出量の削減の有効な手段であり、原子力エネルギーに代わるエネルギー源の柱とするべく導入拡大を進めていくことを求めます。
5、平和憲法を擁護し、安保法制・共謀罪など立憲主義に反する諸法律を廃止することを求めます。一人ひとりの人間としての尊厳が守られ、基本的人権とりわけジェンダー平等が社会に定着していくことを求めます。
6、「自助」と自己責任を優先させる社会から、市民のいのちと暮らしを最優先させ、「公助」を基本として、皆が支え合う社会にしていくことを求めます。貧困と格差の拡大を是正するため社会保障制度を充実させるよう求めます。農林水産業を保護育成し、地域経済の発展をはかるよう求めます。

双方は以上の基本政策の実現のため、選挙協力を進めます。

2021年3月28日

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月29日付掲載


参院長野選挙区補選・羽田次郎(立憲)さん、衆院北海道2区補選・松木けんこう(立憲)さん、参院広島選挙区再選挙・宮口はるこ(無所属)さん。
それぞれの選挙の背景はさまざまですが、3つの全ての選挙区で野党で政策協定を締結して統一候補を擁立できたことは画期的。
短期決戦ですが、なんとしても勝利を勝ち取ろう。
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地震大国で動かすな 福島事故10年 原理力施設林立の青森県

2021-03-29 06:59:08 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
地震大国で動かすな 福島事故10年 原理力施設林立の青森県
原発施設に核燃料再処理工場、中間貯蔵施設、MOX燃料工場(建設中)と、あらゆる危険な原子力施設を立地する青森県。
東京電力福島第1原発事故から10年にあたり、「核燃料サイクル施設立地反対連絡会議」の事務局長の谷崎嘉治さんに話を聞きました。(青森県・藤原朱)

核燃料サイクル施設立地反対連絡会議事務局長 谷崎嘉治さんに聞く



「福島第1原発事故10年全国世論調査」(日本世論調査会)の結果が6日発表され、「“脱原発”志向76%、安全性への懸念強く」「高レベル処分に不安79%」―と国民が脱原発へ向かっていることが示されました。

10万年の管理
日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)に保存されている高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、隣に人が居ると20秒で即死すると言われます。国は300メートルの地下で東京ドーム100個分ほどの面積に最終処分するとしていますが、10万年の管理が必要とされています。
2008年3月14日の閣議決定で、「平成40年代後半を目途に、最終処分を開始する」としましたが、残り16年しかないのです。
再処理を委託したフランスからのガラス固化体の最初の返還は、1995年4月26日です。日本原燃は青森県などと「50年後の六ケ所再処理工場からの搬出」と約束していますが、残りは24年です。
最終処分法で定められた処分地選定プロセスでは、文献調査2年、概要調査4年、精密調査14年、建設に10年の計30年が必要とされています。
現・三村申吾知事までの3代にわたる県知事が「青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしない」との確約書を歴代大臣と締結。県・六ケ所村・日本原燃との協定もそうなっていますが、約束が破られることは目に見えています。
2016年12月21日、原子力関係閣僚会議は「もんじゅ」の廃止方針を決定。核燃料サイクル事業は破たんしたのですが、核燃料が増殖しない高速炉開発なるものを、突如持ち出してきました。

絵にかいた餅
しかし、頼みの綱としたフランスの高速炉アストリッドの開発計画も中止に追い込まれ日本の開発は絵にかいた餅となる始末です。経済産業相が代わるたびに青森県知事が面会に出かけ、国の「核燃サイクル路線の堅持」を公言させる様は、滑稽さを通り越しています。
さらに、プルサーマルの使用済みMOX燃料や、むつ市中間貯蔵施設に搬入する使用済み核燃料を処理するはずの第2再処理工場は話題にも上りません。
東票電力福島第1原発事故10年を経て、最も危険な「核燃料デブリ」をどこに処理するか、現実の問題として浮上しています。「核のゴミ」問題に答えを出せないうちは、一切の原子力施設を動かしてはなりません。また、地震大国日本に原発・核燃施設を造ってはならないことを、原発事故が教えてくれました。
私たちの子ども、孫、その先々の世代への責任を果たすために、全国の仲間と手をつなぎ、原発ゼロ基本法案の成立へ政権交代を実現させましょう。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月27日付掲載


現・三村申吾知事までの3代にわたる県知事が「青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしない」との確約書を歴代大臣と締結。その一方で、経済産業相が代わるたびに青森県知事が面会に出かけ、国の「核燃サイクル路線の堅持」を公言させている矛盾。
これ以上、核のゴミを増やさないためにも、原発の再稼働はすべきではない。
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無策さらした麻生発言

2021-03-28 04:59:21 | 政治・社会問題について
無策さらした麻生発言


麻生太郎副総理・財務相が、「いつになったらマスクを外せるのか」と記者団に逆質問したことが波紋を呼んでいます。
問題の発言は、19日の閣議後の記者会見で飛び出しました。黒いマスクをした麻生氏は「マスクなんて暑くなって、口の周りがかゆくなって最近えらい皮膚科がはやっているそうだけど」とのべ、「いつまでやるんだね?真面目に聞いてるんだよ。あんたら新聞記者だから、それくらい知っているんだろ。いつまでやるの」と質問を続けたのです。
「世界のワクチン事情」について扱った21日のTBS系「サンデーモーニング」の「風をよむ」のコーナー。ジャーナリストの青木理氏が、「これだけ未曽有の感染症なので、どうやってワクチンを調達するか、外交力、交渉力、科学力、開発力、資金力…総合的な国力が問われるが、日本はうまくいっていない」と指摘。麻生発言にふれ、「そんなことを冗談なのかもしれないけど、おっしゃっている人が、政府のナンバー2なのかなと思うと、(日本が)“先進国”なのかという議論がありましたが、残念ながら、これが今の現実なのかな」とあきれ顔でした。
22日の朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」では、同局社員の玉川徹氏が、「一番情報を持っているのは、政府でしょ、感染対策とかに対して。それなのに、記者に対して、『どうするの?』と聞いてどうするの。われわれの政府は無能といっているのと一緒じゃないですか」と批判しました。
記者会見で、記者団から“回答”があったかどうかは不明ですが、「アベノマスクは税金の無駄遣いだったのでは?財務相として責任は感じないのか」ぐらいの“反撃”があってもよかったと思うのですが…。
「朝日川柳」24日付には、「あなたこそ いつまでやるの そのポスト」とありました。新型コロナウイルスの感染防止に責任を持つという自覚がなく無為無策、困っている医療現場や業者などに必要な支援をしない財務相、政権はもうごめんです。
(藤沢忠明)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月27日付掲載


麻生太郎副総理・財務相が、「いつになったらマスクを外せるのか」と記者団に逆質問。
あなたが聞くことか?政権担当能力が問われます。
「朝日川柳」24日付には、「あなたこそ いつまでやるの そのポスト」と。座布団三枚ですね。
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課税新時代③ 「弱きを助ける」が理念

2021-03-26 06:10:02 | 予算・税金・消費税・社会保障など
課税新時代③ 「弱きを助ける」が理念
国際課税研究者 津田久美子さんに聞く

―トービン税は実現しませんでしたが、2008年のリーマン・ショック後に姿を変えて再浮上しました。
力強い社会運動の歴史があり、人々の記憶にトービン税が残っていたところへ08年以降の危機がきました。それは通貨危機ではなく金融危機でした。この間に金融市場が大きく変化したのです。
経済の金融化が爆発的に進み、デリバティブ(金融派生商品)が急成長しました。デリバティブの一種であるクレジット・デフォルト・スワップ(債務不履行のリスクを肩代わりする商品)を販売し、膨大な損失補償を迫られる金融機関が相次いだことが金融危機の引き金になりました。
そこで、市場の安定化のためには金融市場全体の「車輪」に「砂」をまく必要があると認識されたのです。通貨取引だけでなく、デリバティブ取引やその原資産である株式や債券の取引にも税を課すということです。これが金融取引税の構想です。トービン税の課税対象を拡大したものといえます。



米国のニューヨーク証券取引所のトレーディングフロア(ロイター)

ロビン・フツド
―新しい市民運動が立ち上がりました。
金融市場の不安定性と並んで新たに問題視された事態がありました。巨大金融機関が次々と破綻の危機に陥り、「大きすぎてつぶせない」という理由で各国が公的資金を注入して救済したことです。
他方で欧州各国では財政難を理由に緊縮策が敷かれ、医療、教育、福祉などの公的サービスが削減されました。多くの国民が不満を募らせました。金融部門の責任を追及し、財政的な貢献を求める論調が高まりました。
イギリスでは10年に金融取引税の導入を主張するNGOを束ねてロビン・フッド・タックス運動が発足しました。現代版ATTACともいえる重要な役割を果たしています。

―金融取引税の前には大きな壁が立ちはだかってきました。
09年の20カ国・地域(G20)サミットで金融取引税が議題にあがりましたが、米国や日本が反対しました。欧州委員会は11年にEU全体で金融取引税を導入する法案を発表したものの、イギリスやスウェーデンの反対で断念しました。
国際的合意が難しいのは、金融機関をはじめとする対抗権力のロビー活動が活発だからです。金融取引税をめぐる議論は、グローバル資本の制約から国家の課税主権の自律性を取り戻す闘争だともいえます。

日本へ期待の声
―金融取引税の実現に向けた展望をどう考えますか。
以前から拡大していた国際的な格差がコロナ禍のもとで深刻化しています。その文脈の中で新しい税制のあり方を社会全体で構想する必要があります。
国際連帯税の理念は、苦しい思いをしている人たちに重い税を課して財源をつくるというものではありません。その逆です。富を蓄えすぎた人たちから徴収し、苦しんでいる人たちに再分配するのです。あるいは国際的な感染症対策の財源にし、公衆衛生上の安全を確保するのです。
金融取引税が欧州でロビン・フッド・タックスと名付けられた理由は、まさに「強きをくじき弱きを助ける」税金だからです。コロナ禍で国民の生活は苦しいのに、なぜ株価だけは高いのか。なぜ金融業界だけが潤っているのか。経済社会をよくすることを考えるなら、金融取引税の案は浮上するでしょう。
とはいえ一筋縄ではいきません。株取引や外国為替証拠金取引(FX)などの金融取引に参加しているのは富裕層だけではありません。欧州でも国民への影響を考えて制度設計を慎重に検討しています。議員立法はそうした点も含めて国民の間で議論を起こすきっかけになるでしょう。
欧州では大きな金融市場を持つ日本への期待の声が聞かれます。金融取引税を導入する仲間が増えれば、資本流出のリスクは減るからです。それゆえ本来、金融取引税はグローバルな規模での実施が望ましいといわれてきました。国際連携の可能性は、将来的には大きく開かれています。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月25日付掲載


通貨取引だけでなく、デリバティブ取引やその原資産である株式や債券の取引にも税を課すということです。これが金融取引税の構想。
金融取引税をめぐる議論は、グローバル資本の制約から国家の課税主権の自律性を取り戻す闘争。
とはいえ一筋縄ではいきません。株取引や外国為替証拠金取引(FX)などの金融取引に参加しているのは富裕層だけではありません。欧州でも国民への影響を考えて制度設計を慎重に検討しています。議員立法はそうした点も含めて国民の間で議論を起こすきっかけになる。
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