きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

軍事依存経済⑦ 眼前に武器50兆円の市場

2015-08-30 11:54:32 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済⑦ 眼前に武器50兆円の市場

2014年の世界の武器市場は3940億ドル(1ドル=120円で約47兆円)。17年には4200億ドル(約50兆円)に伸びる―。
日本防衛装備工業会の会誌『月刊JADI』14年7月号が「世界の防衛関連市場」に関する分析を掲載しています。筆者は国際軍事情報大手IHSジェーンズのアナリスト、ポール・バートン氏。軍需産業にとって市場となる、武器の研究開発と購入のための資金を推計したものです。
ポール氏によると、世界全体で武器市場は急速に伸びています。「アジア太平洋諸国では、2010年代の終わりまでは、実質年間4パーセントの伸びというふうに見ておりますし、南米諸国や中東でも、大きく伸び続けていくのではないか」
最大の市場は軍用機であり、伸び率も最も高くなっています。近年著しく伸びているのがレーダーや通信機器。無人機は1億ドル(約120億円)以上増えていると指摘します。
輸出を解禁された日本の軍需産業にとっては、開拓可能な巨大市場が突如、眼前に現れたことになります。



三菱重工業の史料室が展示している「栄光の名機」零戦の解説パネル。展示中の零戦は、ミクロネシア連邦のヤップ島で放棄された機体を1988年に回収し復元したもの=愛知県豊山町

■米国の戦略
実際に近年、米国の武器輸出は増加傾向にあります。米国防安全保障協力局のデータを集計すると、2010年の約410億ドル(4兆9200億円)から、13年には約580億ドル(6兆9600億円)へ、1・4倍に急増。日本の軍事費5兆130億円(15年度当初予算)を上回る規模に膨らみました。
主な輸出先は中東とアジア・太平洋地域です。13年にはアジア・太平洋地域への武器輸出が約220億ドル(2兆6400億円)にのぼりました。
戦闘機F35製造の中心である米国企業ロッキード・マーチンも11年以降、武器輸出を急激に増やしています。(グラフ)




米国の軍需産業に詳しい独協大学の西川純子名誉教授は「オバマ政権の『リバランス』戦略が米国の軍需産業のために武器市場を開拓する役割を果たした」と指摘します。
戦力のバランスを見直す「リバランス」(再配置)でオバマ政権が力点を置くのはアジア・太平洋地域です。20年までに米海軍力の60%を集中させようとしています。
この地域における米国製武器の有力な買い手は、韓国、日本、オーストラリアなど米国の軍事同盟国です。台湾、インドネシア、インド、シンガポールなども多額の武器を買っています。
西川さんは、軍事的プレゼンス(存在)を強化して中国をけん制する「リバランス」の狙いが、武器輸出にも結びついていると話します。「一方で、米国政府がいたずらに中国を刺激するのは誤りだと日本政府にくぎを刺し、中国に友好のシグナルを送り続けていることを見ておかなければなりません」
安倍政権は軍需産業の代表を引き連れてアジア・太平洋地域を訪問し、武器輸出を図っています。東京慈恵会医科大学の小沢隆一教授は「売り込みの対象になっているのは、中国の海洋進出に直面して、海洋警備や海軍の近代化になびいてしまっている国々です」と指摘します。「この背景には、軍事的プレゼンスを強めて南シナ海の安全保障に関与することを明確にしている米国の存在があります」
他方で中国の王毅外相とケリー米国務長官は5日に会談し、「米側は、中国が交渉を通じた南シナ海問題の平和的解決を述べたことに歓迎の意を表した」(王外相)と発表。双方が平和的解決の必要性を確認しています。

■悪循環の道
小沢さんは強調します。「お互いが武装して軍事で身構えるのは悪循環です。海洋安全保障において重要なのは、平和に安全に海域を管理していこうという合意形成です。平和憲法を持つ日本は軍事的緊張を高める武器輸出ではなく、平和的な合意形成の方向でこそ力を尽くすべきです」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月28日付掲載


アメリカの軍需産業は、本国の財政赤字で市場を海外に求めている。紛争があるところが市場の対象となる。まさに死の商人。
紛争を戦争にしないというアセアンの路線と逆行しています。

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戦争法案(安保法制)と特定機密保護法に反対する集会 in神戸 第2弾

2015-08-29 21:38:41 | 平和・憲法・歴史問題について
戦争法案(安保法制)と特定機密保護法に反対する集会 in神戸 第2弾

戦争法案と特定機密保護法に反対する兵庫県弁護士会主催の集会・第2弾が8月29日(土)午後4時から開かれた。
前回は全県から神戸に結集したが、今回は神戸・尼崎・姫路・豊岡の4会場に分かれて開催。6000人が参加。
これ以外にも独自に、西宮、明石、淡路、丹波などで開催された。


司会
司会 posted by (C)きんちゃん
予定より約5分遅れて開会。

主催者あいさつ
主催者あいさつ posted by (C)きんちゃん
兵庫県弁護士会の方が主催者を代表してあいさつ。
6月の集会からの経緯。たたかいは参議院に移っている。今回は4会場で開催、6000人の参加が報告されました。



リレートーク(1)
リレートーク(1) posted by (C)きんちゃん
今回は記念講演はなし。早速リレートーク。最初は神戸学院大学の先生が発言。「戦争法案を通そうとする政治家にペナルティを」と訴えました。

リレートーク(2)
リレートーク(2) posted by (C)きんちゃん
引き続いて、兵庫県明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)のメンバーが発言。
気楽な話題で、憲法や戦争法案を語り合う。


リレートーク(3)
リレートーク(3) posted by (C)きんちゃん
シールズ関西のメンバー。
安保法制自体が、日本を「存立危機事態」に陥らせると告発。
いっせいに「そうだ!」とコール!!


リレートーク(4)
リレートーク(4) posted by (C)きんちゃん
ママさん弁護士から発言。

リレートーク(5)
リレートーク(5) posted by (C)きんちゃん
最年少の弁護士。
2015年を安保法制を阻止したと歴史に残る(教科書に書かれる)ような闘いをしたい。



集まった集会参加者_01
集まった集会参加者_01 posted by (C)きんちゃん
神戸会場、東遊園地・噴水広場に集まった人々。

集まった集会参加者_02
集まった集会参加者_02 posted by (C)きんちゃん

噴水公園の周りに_01
噴水公園の周りに_01 posted by (C)きんちゃん
噴水の周りにぐるりと…

噴水公園の周りに_02
噴水公園の周りに_02 posted by (C)きんちゃん

噴水公園の噴水
噴水公園の噴水 posted by (C)きんちゃん
時々、噴水がでます。

女性後援会メンバー
女性後援会メンバー posted by (C)きんちゃん
女性後援会のメンバーに撮影をせがまれました(*^^)v

ひまわり色のプラカード_01
ひまわり色のプラカード_01 posted by (C)きんちゃん
今回のプラカード。今度は弁護士バッチのひまわり色です。

ひまわり色のプラカード_02
ひまわり色のプラカード_02 posted by (C)きんちゃん
パレードでのシュプレヒコールが裏に書かれています。


パレード出発_01
パレード出発_01 posted by (C)きんちゃん
いよいよパレードに出発。

金田峰生
金田峰生 posted by (C)きんちゃん
日本共産党の参議院選挙区予定候補の金田峰生さんもパレードに参加。

パレード出発_02
パレード出発_02 posted by (C)きんちゃん

戦争法案反対 神戸パレード20150829

【動画を見て下さい】


パレード出発_03
パレード出発_03 posted by (C)きんちゃん
車からもアピール。

パレード出発_04
パレード出発_04 posted by (C)きんちゃん

東遊園地・噴水公園から神戸大丸までのパレード。
注目を受けました。
先頭が到着してから最後尾が着くまで30分以上かかりました。


参議院ではすでに100回以上も審議がストップ。兵庫県選出の鴻池委員長(自民)が「速記を止めて下さい」と発言。
審議に値しない戦争法案(安保法制)は廃案に。
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軍事依存経済⑥ 世界中へ武器輸出図る

2015-08-29 14:00:03 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済⑥ 世界中へ武器輸出図る

武器輸出三原則の撤廃後、安倍晋三政権が輸出を認めた武器はすでに4例あります。
1例目は、地対空誘導ミサイル「パトリオットPAC2」の目標追尾装置の部品です。安倍政権は2014年7月17日に国家安全保障会議で輸出を認めました。
部品のライセンス生産(許可料を払い他企業の技術で生産)を行っているのは三菱重工業です。新たなミサイルの開発に伴ってPAC2の部品生産を終了したライセンス元の米国企業レイセオン社が、三菱重工からの購入を要請していました。
同年5月に開かれた日米技術フォーラムでは、「日本が武器輸出市場に参入するには、これが最も手っ取り早い方法だ」(『月刊JADI』14年12月号)と論じられました。米国には「老朽化」で生産が打ち切られた「部品や資材」への「差し迫った需要」がある、というのです。
軍事大国である米国の軍需産業の下請けとして武器輸出を拡大する道です。ストックホルム国際平和研究所によれば、14年の米国の軍事支出は6100億ドル(1ドル=120円で約73兆円)。世界全体の軍事支出の3分のーを占め、武器市場としても巨大です。



三菱重工業長崎造船所のドックに入っているイージス艦「あしがら」=2014年10月6日、長崎市内

■英や豪へも
2例目は、ミサイルに搭載する目標追尾装置の技術情報です。14年7月17日の国家安全保障会議で英国への輸出を認めました。「ミサイルの誘導能力向上に関する共同研究」に日英で取り組むと表明しています。
武器輸出三原則の撤廃により、武器輸出の相手国が米国以外にも広がった事例です。
3例目は、潜水艦の技術情報です。三菱重工と川崎重工業が建造する最新鋭潜水艦「そうりゅう型」を想定しています。オーストラリアから将来の共同生産を検討したいとの打診を受け、安倍政権は今年5月18日の国家安全保障会議で検討に必要な技術情報の輸出を認めました。
「機密の塊」である潜水艦の共同開発が実現すれば武器輸出の「ハードルが下がる」のではないか―。同日の記者会見で間われた中谷元・防衛相は「慎重に対処していきたい」と述べるだけで、否定しませんでした。


ASEAN諸国との武器をめぐる交流
2014年2月 日ASEAN防衛次官級会合
4月  マレーシア、ベトナムと協議。防衛省、NEC、三菱電機、富士通が訪問。武器・技術協力に向けた意見交換と「製品の紹介を実施」
8月  シンガポール国防省の訪問を受け、武器・技術協力に向けた意見交換
9月  初めて防衛省内で武器展示会を開催。ASEAN諸国の参加者に対して模型を示して武器を紹介
10月 日ASEAN防衛次官級会合
11月 インドネシア武器展示会を防衛省が視察



■民生技術も
4例目は、弾道ミサイル防衛を担うイージス艦の装備品です。米国防総省が日本企業の参加を求め、安倍政権は7月23日の国家安全保障会議で輸出を認めました。
ミサイルなどの空の目標物を同時に多数探知し、対処するのがイージス・システムです。輸出を認めたのは、目標物の位置や個数を表示する機器のソフトウエアと部品。艦内の戦闘指揮所に設置されます。ソフトは三菱重工、部品は富士通が製造します。
米国に輸出するソフトは、イージス・システムを共有する韓国、オーストラリア、スペイン、ノルウェーへの輸出も想定されます。
安倍政権は「民生技術の活用」を通じた「わが国の防衛生産・技術基盤の維持・強化」に資する、と説明。民生技術を軍事に取り込んで輸出し、経済の軍事化を後押しする考えを表明しています。
他にも多くの案件が動いています。防衛省によれば、英国とは武器の共同生産に向けた「様々な」計画を「特定し続けていく」と確認。フランスとは「無人システム」など「いくつかの分野」で「共通の関心を特定」しています。インドとは救難飛行艇US2の輸出に向けた「事務レベル協議」が進みます。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国とも接触を重ねます。(別項)
その他にも、武器に関する意見交換を実施した国は7力国以上(イタリア、ドイツ、ノルウェー、トルコ、イスラエル、バーレーン、スウェーデンなど)。世界中への武器輸出に乗り出しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月27日付掲載


アメリカなどの同盟国だけでなく、アセアンなどにも売り込みを図っているのですね。
フランスとは「無人システム」、インドとは救難飛行艇US2の輸出などと、ソフトな分野から取り込みを図る。
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軍事依存経済⑤ ロボットや電池も軍用

2015-08-28 14:06:18 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済⑤ ロボットや電池も軍用

武器行政の「キーマン」といわれる防衛省の堀地徹・装備政策課長が、武器輸出ビジネスを育てる意気込みを語っています。
「わが国のメーカーは防衛省だけが顧客だった」ので、「自分たちの製品やサービス」が「市場でどの程度の価値があるのか把握していない」。だから「マーケットリサーチ(市場調査)がまずは必要だ。そのやる気を喚起する」(2015年5月23日「東洋経済オンライン」)。

■軍事化賛美
安倍晋三政権は軍需産業の育成に熱中し、新たな手を次つぎに打ってきました。
2014年、武器輸出を容認する「防衛装備移転三原則」(4月1日)を定めるとすぐに、「防衛生産・技術基盤戦略」(6月19日)を策定。①国内開発②国際共同開発③ライセンス国産(許可料を払い他国企業の技術で生産)―などを組み合わせて武器を取得し、「防衛力と積極的平和主義を支える基盤の強化を行う」という方針を打ち出しました。
海外で武力を行使する「積極的平和主義」に不可欠の「基盤」とみなして、安倍政権は軍需産業の育成に傾倒しているのです。
同戦略は、国際共同開発においても「技術を取り込むことで、国内の技術の向上が図れる」とし、あくまで日本の軍需産業の育成を重視する構えを強調しました。さらには、経済の軍事化を賛美する考えも表明しました。
「(防衛産業は)幅広い裾野産業を必要とし、その安定的な活動は国内雇用の受け皿となるほか、地域や国全体に対して経済効果を及ぼすことが期待される」「防衛関連事業で得られた成果等を民生技術に活用することを積極的に推進する」
安倍政権は14年12月、武器輸出を「円滑に」進めるための検討会を防衛省の下に設置。今年4月までに4回の会合を開き、至れり尽くせりの輸出促進措置を検討しています。▽各国の需要に関する情報収集と海外での展示を含む武器の宣伝▽武器の運用や教育に関する途上国支援▽途上国の武器購入資金を援助するための法的根拠や枠組みーなどです。
今年6月には軍需産業強化を目的に掲げる「防衛装備庁」の新設を盛り込んだ改定防衛省設置法を成立させました。賛成したのは自民、公明、維新など。海外との交渉の窓口になって武器の共同開発や輸出を推し進める部署(国際装備政策課)を設ける予定です。



戦時中に戦闘機製造に携わった動員学徒や女子挺身隊が身につけた「神風」鉢巻き=7月9日、愛知県豊山町の名古屋航空宇宙システム製作所史料室

■伝染する病
これらの制度的対応が実現する前から、武器の売り込みは活発化しています。当事者の堀地氏はいいます。
「米英仏豪の4力国とは(武器輸出に関する)政府間協定をすでに結んでいる。その他インドや東南アジアとは装備協力に関する可能性を探っている。その他多くの国々と接触している」(同前)
経済産業省の飯田陽一・航空機武器宇宙産業課長(当時)は、安倍首相の「地球儀を傭轍(ふかん)する外交」が果たした役割を強調しています。
「欧米だけではなくオーストラリア、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国、インドなどとの間でかなり大きく議論が進んだ」。相手国から武器に関して「産業間の交流を推進したいというメッセージが出てまいります」(『月刊JADI』15年3月号)。
飯田氏によれば、「わが国の優れた民生技術(ロポット、蓄電池、材料等)への海外の関心の高まり」があり、「軍事用途での利用拡大の可能性」が広がっています。「従来よりも広い範囲」の産業が参入するので、「防衛産業を定義し直し」ていく必要があると提起しています。
従来は軍需産業とみなされなかった多くの日本の産業が国内外の軍需への依存度を高めていく、と見込んでいるのです。経済軍事化の病は「平和産業」の分野にまで急速に伝染する恐れがあります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月26日付掲載


堀池さんはすでに昨年(2014年)10月のNHKスペシャル(ドキュメント"武器輸出" 防衛装備移転の現場から)に出ていましたね。
武器だけでなく、ロボットや蓄電池などの民生分野まで軍事に転用さえれようとしています。
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軍事依存経済④ 米の軍産複合体に融合

2015-08-27 20:39:12 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済④ 米の軍産複合体に融合

2014年5月13~14日、日米の軍需産業と政府(防衛省、経済産業省、米国防総省)の関係者が米国テネシー州に結集しました。同州に本部を置くバンダービルト大学で1990年から毎年続く「日米技術フォーラム」の25回目の会合が開かれたためです。

■「運用が鍵」
日米技術フォーラムは「安全保障上の共通の関心事項を強化するための、日米の技術協力と共同事業に関して自由に論議できる唯一の場」(『月刊JADI』13年12月号)と評されてきました。
14年フォーラムの参加者数は99人。過去最高を記録した前回13年フォーラムのー・5倍にのぼりました。参加者が急増した理由は一つです。「日本が2014年4月1日に長年維持してきた武器輸出三原則を見直したことで生まれた好機をものにしたいという両国の企業、政府の思惑」(『月刊JADI』14年12月号)が働いたのです。
『JADI』14年12月号に掲載された14年フォーラムの「参加報告」は、冒頭で13年フォーラムの“成果”を誇りました。
「日本政府に対して、米国との有意義な協力と世界の防衛産業への日本の参入を可能にするため、規制を十分に緩和すべきだ」と13年フォーラムの共同声明で迫ったところ、「この要請に日本政府が応えた」。
日米の軍事関係者が結束して行動した結果として、安倍政権が武器輸出禁止原則を破棄したというわけです。
これを受け、14年フォーラムでは「これまでで最も現実的な機会に的を絞った」議論が行われました。米国政府関係者は「日本の政策見直しは両国に重要な結果をもたらすとの楽観的観測を表明」し、「運用が鍵になる」と付け加えました。
そのうえで、14年フォーラムの共同議長は「多数の参加者の意見が盛り込まれた声明文」を作成。「日本は新政策を円滑かつ柔軟に実施すべきだ」と主張しました。安倍政権に対し、日米軍需産業と米国政府に「現実的な機会」をもたらすよう迫ったのです。
「機会」とは何か。
『JADI』によれば、日本政府は「新体制の下で日本企業が目指すべき3つのビジネスモデル」を想定しています。①救助、輸送、捜索、機雷除去などの協力事業のまとめ役②日米間の共同開発・共同生産事業の戦略的協力者③国際的な共同開発・共同生産・部品共同管理システムへの参加者―の三つです。
このうち①はアジア諸国、③は欧米諸国との協力を主に想定していると考えられます。米国との2国間協力は②。「共同開発・共同生産」が中心になるということです。



戦時中にドイツの資料を参考にして開発されたロケット推進式の戦闘機「秋水」=愛知県豊山町の名古屋航空宇宙システム製作所資料室

■うまみ増す
『JADI』は14年フォーラムで次のような議論が行われたことを紹介しています。
「日本の輸出政策見直しに伴い、米国の研究開発プログラムへの有意義な関与も現実的可能性を帯びている」
共同で研究開発した武器やその部品を、日本から米国へ輸出し、米国から第三国へ輸出することが可能になったため、広範な共同研究が一気にうまみを増したというわけです。
共同生産の分野でも「日本企業の米国市場浸透を拡大するため」の「いくつかのアプローチ」が議論になりました。一例は「米国防衛企業の資産買収」です。「中小企業をターゲットにすれば、より初期段階の研究開発機会へのアクセスを増やせる可能性がある」と指摘されました。
米国では、巨大な軍事組織と軍需産業が「軍産複合体」を形成し、学界を巻き込んで社会全体に影響を及ぼす危険が指摘されてきました。安倍政権が開こうとしているのは、米国の軍産複合体に日本の軍需産業と研究機関を大動員し、融合させる「機会」なのです。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月25日付掲載


武器の国際的な共同開発が可能になったもとで、一気に市場が広がる。
日本企業にとって、これほどの「うまみ」はないでしょうね。
日本国憲法のもとでは許されない事です。
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