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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

許すなロックアウト解雇④ 病人に容赦ない面談 日本IBMの労働者たち

2015-10-22 21:32:58 | 働く権利・賃金・雇用問題について
許すなロックアウト解雇④ 日本IBMの労働者たち
作家 田島一

病人に容赦ない面談

「会社はメンタル面の症状のある人にも、容赦なくやってきますから悪質です。こうしたやり方が、どれほど人間の精神を根底から破壊し尽くしてしまうか、その罪深さに私自身恐怖を覚えるほどでした」
大岡義久さん(49)は、机上に目を落とし、こんなこともあったと静かに話を続けた。

泣きながら訴え
「社員の奥さんから組合に電話がかかってきたんです。奥さんは『退職しないと断っても執拗(しつよう)に面談がおこなわれます。主人はプライドの高い人で、このままでは自殺するかもしれません。組合の力で面談を止めてください、なぜこんなことが許されるんでしょうか』と泣きながら訴えられたんです。私が、ご主人は明確に退職を断っているんですねと尋ねると、『そうです、何度も断っているんです』としっかり答えました。『負け組は会社から出て行けとまで上司に言われて』と、また鳴咽(おえつ)されるんです…」
電話は、息子さんに聞かせたくないために、公衆電話からかけられていた。「家族・家庭を守るために、ご夫婦で必死に努力されている様子が偲(しの)ばれました。この方は組合に入らなかったのですが」と大岡さんは悔しそうに口を結んだ。
生活を抱える労働者が会社と争うには、特別の困難がともなう。しかしこうした状況下でJMIU(全日本金属情報機器労働組合) 支部には、裁判でたたかう12人の組合員がいる。2012年の9月に解雇された松木東彦さん(43)は、京都大学工学部大学院を経て日本IBMの野洲研究所に入所し、「積層基板」などの開発に従事してきたハードウェア技術者である。
私は松木さんに会うまでは、典型的な理系人間を想像していた。だが意外にも松木さんは、「自給自足の生活に憧れている」という個性豊かな人だった。大岡さんと同じく部門の京セラへの売却の際、転籍に同意しなかったことで、人材派遣会社への出向を強いられるが、その後はIBMに戻りサービスエンジニアとして働く日々だったそうだ。



ロックアウト解雇に抗議して日本IBM本社前で宣伝するJMIU組合員と支援者たち=3月25日、東京都内

決断のいきさつ
同時期に通告された人たちと解雇理由は同じで、PBCの評価の低さが強調されていることに、松木さんは納得がいかなかった。大岡さんと知り合いだったことから、組合に加入した松木さんは、「誰かがやらなければと考えました。ぼくは独身でしたし、生活は何とかなると思って」と提訴決断のいきさつを語る。
会社側が提出した裁判の準備書面には、些細(ささい)な解雇理由の羅列のひとつに、「月次報告書に業務と全く関係ない事項を記載する」とあった。
これは、「社内規程や法令遵守(じゅんしゅ)に関する研修」を受けた松木さんが、大歳元社長の事件などにも触れ、「会社は本当に清廉潔白をめざしているのか」と率直な疑問を呈したものだという。臆せず意見を述べる松木さんが疎ましかったのだろう。こうした人材を切ってなれ合う同社の体質に、私は企業の深い闇を見て取っていた。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月18日付掲載


些細な事を解雇理由にあげ、メンタルなど弱い人をターゲットに。
そもそも、業績が悪化して解雇が避けられない状態に会社があるわけでもない。
仕事ができるできないに関係なく、意にそぐわない人間を追い出すことしか考えられない。
コメント
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