きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安斎育郎さんと考える放射能汚染⑤ やっかいなセシウム

2011-08-29 11:28:17 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斎育郎さんと考える放射能汚染⑤ やっかいなセシウム

 今回は問題の多い放射性物質の一つ、セシウムについて考えてみましょう。
 原発事故で放出される放射性物質の中でも、セシウム137はウランの核分裂反応で大量に生成され、放射能が半分になる半減期も30年と長く、ストロンチウム90などとともにやっかいなものの一つです。放射性セシウムには半減期が30年のセシウム137と、半減期2年のセシウム134があります。とくに問題になるのが長寿命のセシウム137です。
 事故直後に出たキセノン133などの放射性ガスやヨウ素131が出す高い放射線レベルが急速に下がった後、しつこく残っているのはセシウム137の影響です。




 チェルノブイリ原発事故でも長く環境中にとどまり、事故から25年たった今でも、セシウム137の56%がまだ残っています。チェルノブイリ事故では半径30キロ以内は永久居住禁止とされました。こうした措置は簡単には解除されません。
 私たち放射線防護学者は、放射性セシウムが放出されたと聞くと警戒します。空気中を降下したり、雨や雪とともに地上に落ちてきて、水や土壌を汚染し、動植物に取り込まれ、食べ物を通して私たちの体内に蓄積されていくからです。
 体内に取り込まれた放射性セシウムはほぼ全身に分布します。セシウム137は原子核が崩壊してバリウム137に、セシウム134はバリウム134に変わっていく過程で、ベータ線やガンマ線を出します。人体の内部被ばくを測る機械にホールボディーカウンター(WBC)があります。バリウムに変わる過程で出るガンマ線を検出し、体の中のセシウムの放射能を推定します。
 セシウム137原子が100個壊れると、ガンマ線は93・5個出ますが、ベータ線は100個出ます。ベータ線は飛ぶ距離が短く、狭い範囲でエネルギーが吸収されるため、内部被ばくの大きな原因になります。


主な放射性核種の物理的半減期と生物学的半減期
放射性核種物理的半減期生物学的半減期
セシウム13730年約90日
ストロンチウム9028年約50年(※骨の場合)
ウラン23845億年約100日
プルトニウム2392万4000年約100年(※骨の場合)

(ここに示された数値は一つの目安です)



体内の被ばく量は
 セシウム137の物理的半減期は30年ですが、体内に取り込まれると代謝や排せつによっても減っていきます。このように体内の放射能が生物学的な過程で減っていくことを「生物学的半減期」と呼んでいます。
 セシウム137で、日本人の場合は約90日です。つまり、体内に入ったセシウム137は30年も居座り続けるのではなく、3カ月で半分が出て行ってしまいます。乳幼児のように年齢が小さくなるともっと短くなります。
 放射性セシウムで汚染された食べ物を食べると内部被ばくの危険が増します。この被ばく量は簡単に計算できます。
 体重60キログラムの人が1キログラムあたりセシウム137を千ベクレル含む食品を、100グラム食べた場合の線量は、別の式にあるように0・0014ミリシーベルトです。被ばく線量は臓器1グラム当たりどれだけ放射線のエネルギーが吸収されたかで決まるので、おとなよりも体重が軽い幼児などは、同じベクレル数を食べても被ばく線量が高くなります。
 毎日、連続して摂取した場合にはどうでしょうか。体内に蓄積されるセシウムは増え続けますが、やがて摂取と排出が均衡します。セシウム137を毎日100ベクレル食べ続けた場合の年間の被ばく線量は約0・5ミリシーベルトです。年間だと結構大きな値になりますが、同じ食品を連続して摂取することは考えにくいので、目安として考えてください。




子の活動場除染を
 雨や雪によって地上に降下した放射性セシウムは、直接植物の葉に付着するものもありますが、多くは土壌に吸着されます。雨が降ったぐらいでは簡単に洗い流されたりしないので、福島県内の線量はなかなか下がらないのです。
 地表に降り積もった放射性セシウムを放置しておくと、風で舞い上がったり、土にしみ込んでいきます。放射能にまみれた公園や校庭、園庭を子どもたちが走りまわれば、土ぼこりが立ち、空気中に放射能が舞い上がります。
 それを吸い込んだり、髪の毛や顔や手が土ぼこりにまみれたりして、体の中に取り込んでしまいます。けがをして傷口から体内に放射性物質が入り込めば、内部被ばくが問題になります。その意味でも子どもが活動する公園や校庭、園庭の除染をすることが重要なのです。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年8月28日日付掲載




昨日NHKでやっていたETV特集でも、汚染地図に取り組んでいる二本松市が紹介されていました。
市街地は500m四方、それ以外は1km四方で測定。特定の地域で高濃度の汚染地域が見つかりました。
生まれたばかりの赤ちゃんをかかえて、「このまま住み続けていいのか」悩んでおられる家庭を連続取材。除染の典型例づくりの取り組みでした。
表の庭、裏庭、1階の部屋、2階の部屋の放射線量を測定して、土の5センチを除去、裏庭は芝生のマットを除去、屋根瓦は高圧水で洗浄、雨どいの土を除去していました。
市役所の職員が8人総がかりで取り組んでいました。
これで、室内の放射線の量が半分になりました。

実際の除染は、これほど手取り足取りで徹底的にはできないでしょうが、本当に取り組むとなると、一つの市や県レベルでは財政的にも人的にも手が回らないと思います。
なんとしても、国や東電の責任で除染をやってもらいたいものです。
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安斎さんと考える 放射能汚染④ 放射性ヨウ素の危険

2011-08-21 19:12:13 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斎さんと考える 放射能汚染④ 放射性ヨウ素の危険

 被ばくには、体の外から放射線を浴びる「外部被ばく」と、体の中に取り込んだ放射性物質が出す放射線による「内部被ばく」があります。
 病院のレントゲン照射や宇宙線といった自然放射線による被ばくは、外部被ばくです。広島・長崎の被爆者が原爆の火の玉から出たガンマ線や中性子線を浴びたのも外部被ばくです。
 原爆の爆発や核実験、原発事故で放出された放射性物質を、呼吸や水、食物の摂取で体内に取り込むと、内部被ばくの原因になります。主として外部被ばくは透過力の強いガンマ線で被ばくし、内部被ばくはそれに加えて透過力がそれほど強くないべータ線やアルファ線も被ばくするという違いがあります。
 原発から放出される人工的な放射性物質の代表として、ヨウ素131やセシウム134、セシウム137などがあります。このうちヨウ素131は半減期が8日と短いので、1986年のチェルノブイリ原発事故でも大量に放出されましたが、今は環境中に残っていません。
 半減期というのは、放射能が半分に減るまでにかかる時間をいいます。その後は半減期の期間だけ経過するごとに半分、そのまた半分…と減っていきます。半減期の長さは、放射性核種(原子核の種類)によって大幅に違います。ヨウ素131のように8日といった短寿命のものから、プルトニウム239のように2万4千年という長寿命のものまで、いろいろです。




甲状腺がんの心配
 今回はヨウ素131に注目します。核分裂反応によって大量に生成され、揮発性があるので環境中に拡散しやすいからです。しかも、人体に取り込まれると甲状腺という臓器に選択的に摂取されやすい性質を持っています。
 甲状腺は、ヨウ素であれば放射性ヨウ素であろうが非放射性ヨウ素であろうが区別なく取り込んでしまいます。その結果、甲状腺が被ばくし、がんの原因になりやすいのです。成長期の子どもがとくに問題になります。
 チェルノブイリ原発事故では甲状腺がんが多発しました。2005年にウィーンで国連機関とロシア、ベラルーシ、ウクライナの政府の専門家チームによる国際会議が開催されました。事故当時18歳未満だった子どもたちにその後約4千例の甲状腺がんが発生し、15人が死亡したと報告されました。死亡例が少ないのは、甲状腺を切除した例が多いからです。06年に欧米諸国の反核NGOが開催した国際会議では、甲状腺がんの発生を1万8千~6万6千人と予測しました。
 4千人から最大6万6千人と、評価には大きな隔たりがあります。放射線の影響についての科学は未成熟で、誰が評価しても同じになる普遍性をまだ持ち得ていません。現時点ではそのくらいのあいまいさを持つ数値だと心得る必要があります。
 福島原発事故で子どもの甲状腺がんを心配する方は多いと思います。
 大半の甲状腺がんは進行が遅く、適切な治療をすれば生存率が非常に高いがんです。まずは、甲状腺の機能異常が発生していないか、健康診断でつかむことが重要です。甲状腺の異常を早く見つけられれば、手だてを打つことができます。




ヨウ素剤の活用は
 ヨウ素131から身を守る方法として、ヨウ素剤というのを聞いたことがあると思います。放射能を持たない普通のヨウ素剤を事前に飲んでおけば、放射性ヨウ素があとからやってきても甲状腺に吸収されず、排出されてしまうというわけです。
 今回の福島原発事故でも周辺自治体にヨウ素剤が届きました。副作用もありますので、勝手に飲めばいいというわけではありません。服用するタイミングも重要です。8時間以内に服用すれば40%、24時間以内なら7%程度が排除できるという報告もあります。行政が責任を持って服用のタイミングや量を指示する必要があります。
 放射性ヨウ素で汚染された食品を摂取すると、どれほどの危険があるのでしょうか。
 国が決めている1キログラムあたりの暫定規制値は、牛乳の場合300ベクレル、野菜で2000ベクレルです。仮に2000ベクレルに汚染された牛乳を100ミリリットル飲んだ場合、乳児で0.028ミリシーベルト程度被ばくすることになります。ただし、新たに大量の放出がない限り、半減期が8日のヨウ素の場合は、食品汚染が長期間続くことはありません。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年8月21日付掲載



ヨウ素131でもやはり子どもが問題になるんですね。半減期が8日と言っても、体に取り込まないに越したことはありません。半減期の10倍の80日で1/1000。体の中からほぼなくなったと言えるまで、甲状腺から放射能を内部被ばくとしてまき散らしていきます。
だからこそ、ヨウ素剤の配布と服用のタイミングは大事なんですね。
それにしても、旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故の時は甲状腺を切り取るって荒治療をやっていたんですね。知りませんでした。
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安斎育郎さんと考える 放射能汚染③ 成長期の子ども影響大きい

2011-08-18 20:45:49 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斉さんと考える放射能汚染③
成長期の子ども影響大きい


 原発事故でもっとも心配になるのが放射線の人体への影響です。放射線を浴びた時に起こる障害には、大きくいって二つあります。
 一つは、一度にまとまった量の放射線を浴びた場合に起こる障害です。脱毛や白内障は典型的な症状です。この障害は、かなり高い線量を浴びないと起こりません。ある限界線量を超えると確実に障害が起こるので、「確定的影響」と呼びます。

人体被ばく単位
 今まで断りなしに使ってきましたが、放射線の人体への被ばく線量を表す単位が、「シーベルト」です。浴びる放射線がガンマ線か、べータ線かアルファ線かによって、破壊力が違います。ガンマ線を1としたら、アルファ線は20倍の破壊力を持ちます。放射線ごとの破壊力の違いを評価して、人体への放射線の影響を示す共通の尺度として使っているのがシーベルトです。




 図にあるように、一度に1000ミリシーベルト(1シーベルト)程度浴びると、悪心、嘔吐(おうと)、下痢などの急性放射線症が出ます。4000ミリシーベルトなら半数の人が死亡します。広島・長崎ではこのような急性障害で亡くなった被爆者が多数いました。今回、福島原発で検出された10シーベルト以上という値は、1時間の被ばくで全員が死亡する高い線量です。
 放射線障害には、もう一つのタイプがあります。被ばく量が少なくてもそれなりの確率(割合)で障害が発生する恐れがあるのです。これを「確率的影響」といいます。この障害には、がんや遺伝的影響があげられます。
 ちょっと不謹慎ですが、私は「がん当たりくじ型障害」に例えています。放射線をたくさん浴びることはこのくじを数百枚買わされることに椙当します。放射線を少し浴びることは1、2枚買わされることに相当しますが、どちらも生涯持っていなけれぱならないくじで、結果の発表日は決まっていません。
 例えば、100ミリシーベルト浴びて白血病になった人と、10ミリシーベルト浴びて白血病になった人がいるとします。この場合、症状のひどさは同じです。違いは100ミリシーベルト浴びた人の方が、10ミリシーベルト浴びた人よりも白血病にかかる確率が高いことです。
 100ミリシーベルト以下の被ばくの領域では、人についての直接的証拠はまだ十分ではありません。しかし、がんや遺伝的影響は、線量レベルが低くても起こり得ると考えられています。
 ですから、放射線から体を守る基本は「放射線は浴びないにこしたことはない」ということです。それは自然の放射線であれ、医療上の放射線であれ、原発からの放射線であれ、核兵器の放射線であれ、共通の原則です。

細胞に傷がつく
 大きな心配は子どもへの影響です。子どもの方がおとなより放射線の影響を受けやすいのには理由があります。
 放射線が体に当たるとがんや遺伝的影響が起こるのは、細胞に微細な傷がついて、いろいろな要因と結びついて障害発生の原因になるからです。
 細胞に関しては、細胞が未分化なもの、細胞分裂が盛んなものほど、放射線の感受性が高いという法則があります。
 人は一つの卵子から、複雑な分化の過程を経て、必要な器官が形成されます。子どもは細胞が未分化な状態にあり、成長期で細胞分裂の頻度も高いため、放射線の影響を受けやすいのです。その点では胎児が最も問題になります。
 もう一つ、子どもの放射線感受性が高いわけは、同じベクレル数のヨウ素131を甲状腺に取り込んだ場合でも、臓器の目方がおとなよりも小さい子どもの方が多く被ばくするからです。甲状腺の目方はおとなで約20グラムですが、出生時の子どもでは約1グラムで、シーベルトに換算した被ばく線量が大きくなります。
 次にお母さん方の大きな心配は、遺伝への影響です。放射線で遺伝的な影響が起こりうることは動物実験ではよく知られた事実です。人間だけ無関係というわけにはいきません。ただし、遺伝的影響は卵巣や精巣などの生殖腺の被ばくによって起こるものです。体細胞が被ばくしても遺伝的影響はありません。
 遺伝的影響が問題になるのは、将来子どもを多くつくる可能性をもった若い世代です。とりわけ子どもが生殖腺に被ばくすることは極力避けなくてはいけません。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年8月14日付掲載



細胞分裂が盛んなほど放射線の影響をうけやすいんですね。生物の細胞の中の分子で一番複雑な構造をしていて遺伝情報をもっているDNAやRNAなどが傷つけば、細胞分裂する際に正常に分裂できない場合があります。
さらに卵子や精子などの生殖細胞の場合は未分化なんですからあらゆる情報が詰まっています。その生殖細胞や受精卵が放射線を浴びて、そのごく一部が傷ついても、受精卵が分化する際に、筋肉や骨格、内臓、神経、血管、脳髄、眼球など正常に構成できないことができるのです。

「放射線から体を守る基本は「放射線は浴びないにこしたことはない」ということです。それは自然の放射線であれ、医療上の放射線であれ、原発からの放射線であれ、核兵器の放射線であれ、共通の原則です」というのは徹する必要がありますね!
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安斎育郎さんと考える 放射能汚染② 85京ベクレルが放出された!

2011-08-17 21:36:49 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斎育郎さんと考える 放射能汚染② 85京ベクレルが放出された!

 原発を運転すると、原子炉内でウランなどの核燃料が核分裂し、強い放射能をもつ大量の「死の灰」(核分裂生成物)がたまります。表で示したのは、100万キロワットの原子炉を1年間運転した場合、炉内にたまる放射性物質の種類と量です。ベクレルの単位ではとても間に合わないので、京(けい。兆の1万倍)ベクレルで示します。
ベクレルは耳慣れない言葉ですが、放射能の強さを測る単位です。1秒に何個の割合で原子が放射線を出して別の原子に変わりつつあるかという数で示します。
 100ベクレルの放射性セシウムを含むホウレンソウがあるとします。この時ホウレンソウの中では、毎秒100個のセシウム137原子が放射線を出してバリウム原子に変わりつつあります。
 このように、放っておくと勝手に放射線を出して別の原子に変わる性質のことを「放射性」、別名「放射能」といいます。放射能とは、放射線を出す能力のことです。


100万キロワットの原発を1年間運転してできる放射性物質(単位・京ベクレル)
放射性核種半減期生成量
クリプトン8510.7年2.2
ストロンチウム9028.8年19
ジルコニウム9564日590
ルテニウム106372日70
ヨウ素1318日310
キセノン1335.24日630
セシウム13730年21
セリウム144285日410
プルトニウム23888年0.37
プルトニウム23924000年0.037


半減期短くても
 今回の福島原発事故で環境中に放出された放射能は、経済産業省の原子力安全・保安院の6月の評価によると、85京ベクレルです。これは、1986年のチェルノブイリ原発事故で放出されたといわれる520京ベクレルの約6分の1です。ただし、福島原発事故は収束していないので、今後増加する可能性があります。
 このうちキセノン133は放射性のガスです。炉内では630京ベクレル(630万ベクレルの100万倍のそのまた100万倍)と大量に発生します。半減期、つまり放射能が半分に減るまでの期間は5.2日です。
 ヨウ素131も半減期が8日と短いですが、これも310京ベクレルと膨大な量が生成されます。
 「ヨウ素131は半減期が短いので、環境からすぐなくなる」とよくいわれます。ところが事故から3、4カ月たっても下水処理場の汚泥や清掃工場の飛灰などから検出されました。それは、もともとの放出量が多いのでなかなか減らないからです。元が100円なら半分で50円ですが、元が100億円あるなら半分でも50億円です。半減期の10倍の80日間でも1000分の1ですから、減衰してもなお放射能が強いことを心得ておく必要があります。
 さらに忘れてはならないのはセシウム137です。これは半減期が約30年と長く、l00万キロワットの原発を1年運転した場合にできる放射能は21京ベクレルです。その影響は何年、何十年にも及びかねません。
福島原発からは真っ先にキセノン133などの気体が放出されました。次にヨウ素131、さらにセシウム137などが放出され、周辺の放射線量率が高くなる原因になりました。




放射線にも種類
 放射線にも種類があります。原発事故で浴びる放射線には、主としてガンマ(γ)線とべータ(β)線があります。
ガンマ線は一般に透過力が強く、少々の壁などを貫きます。上空を通過する放射性物質を含む雲や、地表に降り積もった放射性物質から被ばくします。セシウム137のような長寿命の放射性物質がチェルノブイリ事故のように高濃度に降り積もれば、長期の立ち入り・居住禁止などの措置を取らざるを得なくなります。
 一方、べータ線はエネルギーの高いものでも空気中で数メートル、せいぜい数十センチメートル程度で止まります。途中に遮蔽(しゃへい)物があれば、割合簡単に食い止めることができます。
 べータ線を出す放射性物質を飲み水や食晶の形で体内に取り込むと、体のなかで放出されたべータ線が周囲の細胞を傷つけます。いわゆる「内部被ばく」の問題です。
 もう一つの放射線・アルファ(α)線も内部被ばくを起こします。アルファ線は紙1枚で食い止めることができます。体内では細胞1個か2個分しか飛びません。
 しかし、短い距離の間にたっぷりとエネルギーを放出するので、局所的に大きな損害を受けます。アルファ線が体内に入るとガンマ線やべータ線より一段と危険性が高いのです。次回は人体への影響について説明します。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年8月7日付掲載



半減期が短いからって軽く見るといけないんですね。ヨウ素131やキセノン133は半減期が短いですけど、原発から生成される量が多いので、いったん外界に放出されるとずっと残るのだそうです。
「元が100円なら半分で50円ですが、元が100億円あるなら半分でも50億円です。半減期の10倍の80日間でも1000分の1ですから、減衰してもなお放射能が強いことを心得ておく必要がある」ってたとえ話しは分かりやすいですね。
半減期8日の10倍の80日間の場合は、2の10乗=2*2*2*2*2*2*2*2*2*2=1024です。約1000分の1でも、元が100億円なら1000万円なので、かなりの影響力を及ぼしているわけです。

放出される放射線の種類にも注目。いわゆる内部被ばくの影響が一番大きいのがα(アルファ)線なんですね。
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安斎育郎さんと考える 放射能汚染① 情報をつかみ判断する力を

2011-08-15 13:38:22 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斎育郎さんと考える 放射能汚染① 情報をつかみ判断する力を

 福島原発事故の影響が広がりを見せています。放射線防護学が専門の安斎育郎立命館大学名誉教授に放射線と放射能について、わかりやすく連載で語ってもらいます。

あんざい・いくろう 1940年東京生まれ。64年東京大学工学部原子力工学科卒。69年、東京大学助手。86年、立命館大学教授。95年、国際平和ミュージアム館長。08年、同名誉館長。2011年、安斎科学・平和事務所開設、同所長。著書に『からだのなかの放射能』『家族で語る食卓の放射能汚染』『福島原発事故』など


 福島原発事故は人類史上経験したことのない原子力事故です。複数の原子炉が事故を起こし、長期に放射性物質の放出を続け、いまなお収束していません。とくに初期の水素爆発で放射性物質が大量に放出された際に適切な退避措置がとられず、長期間汚染地区にとどまらざるをえなかった住民や、同心円で対応したために必ずしも緊急避難の必要がないのに着の身着のままで避難を余儀なくされた地域もありました。
 人口30万人の県都・福島市では毎時1.2マイクロシーベルトを今でも記録していて、このところほとんど下がっていません。これは3日に2枚の割合で胸のレントゲン写真をとる計算です。
 レントゲンと違い、原発からの放射線を浴びても何のメリットもありません。事故が収束しないなかで、福島市など大都市も含め、体の外から放射線を浴びる外部被ばくが無視できないレベルになっています。できるだけ被ばく線量を減らす方策を実行しなければいけません。

食品汚染
 加えて食品汚染が広がりを見せています。事故後、政府は暫定規制値を決め、官房長官がテレビで「規制値以上のものは流通していないので安心してください」と呼びかけましたが、実際には規制値を超えたホウレンソウや、いま問題のセシウム汚染牛肉が市場に出回ってしまいました。
 宮城県産の稲わらに起因する汚染牛肉は沖縄を除く46都道府県に流通しました。行政当局が安全だと言っていた食品が汚染され、消費者は何を信じていいかわからない深刻な状況です。とくに若いお母さん方は子どもが食べるものですから、本当に心配しています。
 たとえば暫定規制値いっぱいの1キログラムあたり500ベクレルの放射性セシウムが含まれた牛肉を200グラム食べると、0.0016ミリシーベルト被ばくします。【注】


食品衛生法による食品などの暫定規制値
放射性物質の種類1キログラムあたりのベクレル値
放射性ヨウ素飲料水300
牛乳・乳製品 ※乳児用粉ミルクなどは100
野菜類(根菜、イモ類を除く)2000
放射性セシウム飲料水200
牛乳・乳製品
野菜類500
穀類
肉・卵・魚・その他

注・次回以降の連載でより詳しく説明しますが、ベクレルとは放射能の強さを示す単位です。1秒間に1個の割合で原子核が崩壊した時の放射能の強さを1ベクレルと定めています。シーベルトとは人体への被ばくの影響の程度を表わす共通の尺度です。放射線の性質やエネルギー別の危険度をシーベルトの単位で表しています。マイクロ(100万分の1)とミリ(1000分の1)の単位にも注意してください。


 体内に誰でも持っているカリウム40が出す自然放射線の内部被ばくが年間で0.2ミリザシーベルトです。汚染牛肉を1回食べただけではそれをかなり下回るレベルですが、今後、食品全体でどのくらいの汚染があるか分からない以上、できるだけ被ばくをさける対策をとるよう政府に求めていく必要があるでしょう。
 食品検査については、国や自治体による検査はそれなりに厳密ですが、時間もかかります。

簡易検査
 そこで、簡易な測定法として、スーパーなどに、自然放射線の影響を防ぐため、クギを入れた袋などで周りを覆ったシンチレーション式サーベイメーターを備え、食品汚染を簡便にチェックする方法を提案します。怪しいものは専門機関で厳密に測定し、そうでないものは極端な汚染の有無を簡易な方法で調べて安心を確保するのです。放射線関係の研究所や学会、病院などにも測定機があります。これらの協力を得て、ここ何カ月かの間、集中的に食品検査をすることも必要だと思います。
 放射線防護の知識が必要になる世の中になったというのは、非常にやっかいなことでもあります。それでもそういう世の中になってしまった以上、できる限り情報をつかみ、自分で判断する力を持つ必要があります。その参考になるように、放射線や放射能の基礎から、被ばくを減らす方策までわかりやすく解説していくことにします。



ロルフ・マキシミリアン・シーベルト(1896~1966年)
スウェーデンの物理学者。放射線防護学を研究し、国際放射線防護委員会委員長を務め、放射線測定機も開発。シーベルトの単位はこれらの功績を顕彰し名付けられたものです。
アントワーヌ・アンリ・ベクレル(1852~1908年)
フランスの物理学者。放射線の発見により1903年、キュリー夫妻とともにノーベル物理学賞を受賞。放射能の強さを示す単位べクレルはベクレルの名前にちなんでいます。


「しんぶん赤旗」日曜版 2011年7月31日付掲載

放射線の簡易検査ってのもあるんですね。規制値いっぱいの汚染牛を1回食べただけなら、自然放射能の被ばく量よりかなり少ないレベルですが、食事ってのは毎日毎日のことですから・・・。
しっかりと食品の検査をする必要があるでしょうね。
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