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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

徹底批判!「戦争立法」① 法案化の枠組み 米戦争に“切れ目なく”参加

2015-03-31 22:54:51 | 平和・憲法・歴史問題について
徹底批判!「戦争立法」① 法案化の枠組み 米戦争に“切れ目なく”参加

安倍内閣が今国会での強行を狙う「戦争立法」。自民、公明両党による法案骨格の合意文書から、自衛隊が米国の戦争に「切れ目なく」参加・支援する危険な本質が浮かび上がります。危険と問題点を徹底批判します。

安倍内閣は圧倒的な国民の反対世論に逆らい昨年7月1日に集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行しましたが、それを具体化する法律をつくって初めて集団的自衛権の行使も可能になります。自民、公明両党の合意に沿って、政府は4月中旬をめどに法案作成作業を始めています。(表参照)



有事から平時まで「切れ目のない」戦争参加・支援立法
「閣議決定」具体化・戦争立法問題点
「自衛の措置」
⇒集団的自衛権行使容認
有事地理的制約なし/地球の裏側まで集団的自衛権の根拠づくり(武力攻撃事態対処法、自衛隊法改定)他国への武力攻撃に反撃参加広い政府の裁量、判断は無限定に・米国の先制攻撃への反撃に対しても「反撃」参加(集団的侵略)
「国際社会の平和と安定に一層の貢献」

⇒戦闘地域での後方支援

⇒国際平和協力(PKO)で任務遂行型武器使用
駆けつけ警護可能
恒久法制定
周辺事態法改定・周辺概念の取り外し
イラク・アフガン型の米国の戦争を支援
「戦闘地域」での活動容認
戦闘現場になっても「一時休止」のみ
「捜索・救助」は戦闘現場でも継続
戦闘になれば武器使用の危険高まる
派兵計画策定は政府に「白紙委任」
平時PKO法改定
PKOでの武器使用拡大
人道支援活動、治安維持活動などを追加し、武器使用権限拡大を検討
紛争地派兵
PKOの変質・妨害排除、警護的任務

「治安維持」名目で対テロ、ゲリラ戦
⇒ISAF型の多国籍軍に参加
「グレーゾ一ン」
⇒米軍の武器を防護
⇒閣議決定の簡略化
⇒邦人救出作戦
自衛隊法95条・武器防護規定の米軍その他軍隊へ転用(自衛隊法改定など)現場指揮官の判断で事実上の集団
的自衛権行使へ(戦争開始)

邦人救出の軍事作戦



「戦闘地域」へ
合意の特徴の第一は、米国が世界のどこで戦争しても、自衛隊が従来の「戦闘地域」までいって軍事支援を行う仕組みをつくることです。
これまでは自衛隊の海外派兵のたびに特別措置法をつくって対応してきました。今度は派兵恒久法を作って、米国などからの要請があれば、いつでも派兵できるようにします。
これまで武力行使に対する「後方支援」には「非戦闘地域」という歯止めを設けていましたが、これを撤廃。従来の「戦闘地域」での自衛隊の活動を可能にする「戦地派兵」となります。この場合、敵から攻撃されれば武器使用して反撃することを、安倍首椙は認めています。
「捜索・救助」については「戦闘現場でも継続」することを、恒久法に盛り込もうとしています。自衛隊をまさに「殺し殺される」現場に置くことになります。
「どこでも」という点では、これまで日本「周辺」有事で米軍を「後方支援」するための法律だった周辺事態法を改定。「周辺事態」という概念をやめ、「どこで」という地理的制約をなくします。恒久法を含め、地球の裏側までいって自衛隊が米軍支援をできるようにします。
さらに国際平和協力(PKO)法の改定では、PKOでの武器使用権限拡大に加え、「国連が統括しない」人道支援や治安維持のための紛争地派兵まで可能にすることが狙われています。そうなればアフガニスタンで約3500人もの死者を出した国際治安支援部隊(ISAF)のような活動にも道を開きます。

先制攻撃でも
第二は、「閣議決定」に対応し、政府の裁量次第で米国のどんな戦争にも参加できるようにすることです。
具体的には、「武力行使の新3要件」を武力攻撃事態対処法などに書き込みますが、どんな事態が該当するかは、「個別的、臭体的に政府が総合判断する」(安倍首相)というだけで、米国の先制攻撃でも該当する場合があることを否定していません。
まさに「切れ目のない」対応を可能にする仕組みです。

新3要件
従来の武力行使の3要件に、海外での武力行使を可能にする違憲の集団的自衛権行使の要件を付け加えたもの。①わが国に対する武力攻撃が発生したこと、又はわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること②これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段のないこと③必要最小限度の実力を行使すること。

(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月28日付掲載


「戦争立法」の危険。
第1、米国の戦争に「戦地」まで行って軍事支援。
第2、「集団的自衛権」の名で、無法な侵略戦争にも参戦。

「しんぶん赤旗」4月号外で分かりやすく説明。
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けいざい四季報2015Ⅰ⑤ 円安・値上げ 中小企業の収益圧迫

2015-03-31 17:51:26 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報2015Ⅰ⑤ 円安・値上げ 中小企業の収益圧迫

ポイント
①安倍政権と日銀の「異次元の金融緩和」による円安で原材料価格が高騰
②円安の影響は中小企業により厳しい。2月の円安関連倒産件数は過去2番目
③原材料などコスト増を理由に続々と食品の値上げ。4月以降も幅広く続く

安倍晋三政権と日銀がすすめる「異次元の金融緩和」によって加速された円安が、よりすすんでいます。10日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル121円台に下落。その後も121円から119円台を推移しています。
日銀の黒田東彦(はるひご)総裁は17日、金融政策決定会合後の記者会見で、「『量的・質的金融緩和』は所期の効果を発揮している」と評価。2%の物価安定目標実現のために「異次元の金融緩和」を継続することを改めて表明しました。

限界達し倒産
円安による原材料費や包装費の高騰が継続。昨年4月の消費税増税も重なり、価格転嫁が難しい中小企業は収益が圧迫されています。
衆議院調査局経済産業調査室の「最近の企業動向等に関する実態調査(速報版)」では、仕入れ価格の上昇や業績悪化、受注減など円安の経営へのマイナスの影響が、大企業に比べてより中小企業に大きく出ていることが明らかになりました。
帝国データバンクが5日発表した第5回「『円安関連倒産』の動向調査」によると、2月の「円安関連倒産」は42件。14年11月と並んで2番目の高水準です。食品や繊維・アパレル関係を中心に、円安の影響が広がり、負債が10億円を超える地場産業の倒産も椙次ぎました。帝国データは、同業者間の厳しい価格競争と円安による輸入仕入れコストの上昇などで、「経営体力が限界に達した企業から倒産に追い込まれている」と指摘。「今後も引き続き『円安関連倒産』は高水準で推移する」とのべています。



円安による利益減で倒産した靴卸会社=都内

価格転嫁不能
全国中小企業団体中央会(全国中央会)が20日発表した2月の「中小企業月次景況調査」によると、企業や業界の景況感を示すDIは、前年同月比で景況や収益状況、売上高などの9指標のうち、8指標がマイナスでした。「依然として円安による原材料費の高騰分を販売価格に転嫁できず、厳しい状況が続いている」(大阪府・建築金物)などの声が組合員企業からあがっています。
全国中央会は原材料費や仕入れ価格の高騰分を販売価格に転嫁できない厳しい現状があることを指摘。「依然として先行きは楽観できない」とのべています。

値上げ相次ぐ
円安による原材料費や包装資材などの経費上昇を理由に、1月以降、即席麺や水産練り製品、家庭用食用油やパスタ、冷凍食品、アイスなどの食品の値上げが相次ぎました。
食品製造会社や外食関連会社はさらに4月以降の値上げも発表。業務用の香辛料や食用油、小麦粉も値上げされます。
(おわり)

4月以降の主な食品の値上げ
日清オイリオ家庭用食用油
雪印メグミルク牛乳類、ヨーグルト、ホイップ用クリーム、バター、チーズ、スキムミルクなど
明治牛乳、ヨーグルト、乳飲料、バター、チーズなど
森永乳業バター、チーズ
カゴメトマトケチャップ、トマトピューレーなど
キッコーマン食品トマトケチャップ、トマトカロ工品
ネスレ日本家庭用コーヒー
エスビー食品カレー、シチューなどの家庭用即席製品や家庭用レトルト製品

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月28日付掲載


食品会社の値上げも、背に腹をかえられないものでしょう。でも、値上げできるだけましです。中小企業は、光熱費や原材料の値上げを価格に転嫁できず苦しんでいます。
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けいざい四季報2015Ⅰ④ 税制 公正求め国民的な運動

2015-03-30 13:35:33 | 予算・税金・消費税・社会保障など
けいざい四季報2015Ⅰ④ 税制 公正求め国民的な運動

ポイント
①安倍内閣の法人税率引き下げは黒字大企業「ひとり勝ち」の状況をもたらす
②公正な税制を求める市民集会が相次いで開催され、不公正な現状を鋭く批判
③大企業優遇税制の是正が大きな焦点となり、国民的な運動へ一歩を踏み出す

参議院で審議中の2015年度政府予算案は、税・財政のあり方を大きくゆがめる内容です。
14年4月に消費税率が8%に引き上げられたことなどにより、税収は増える見込みです。それなのに、社会保障費の自然増分を大幅に削減。他方で大企業に減税をばらまき、3年連続で軍拡を進めるという「三悪予算」となっています。
法人税率の引き下げは安倍内閣の「成長戦略」の目玉です。
国と地方を合わせた法人税の法定税率は現在34・62%。これを15年度は32・11%へ、16年度は31・33%へ、引き下げようとしています。16年度には1兆6千億円もの減税となります。




「ひとり勝ち」
財源は法人税の課税対象の拡大などでつくるといいながら年2千億円以上も不足し、実質減税となります。また赤字企業への課税(外形標準課税)を強めるため、減税の恩恵を受けるのはもっぱら、大もうけする黒字企業となります。「特定の収益力の高い企業がひとり勝ちのような状況」(経団連幹部)です。
政府が2月に公表した13年度の政策減税(租税特別措置)に関する報告書により、大企業ばかりが恩恵を受ける税制の欠陥も浮かび上がっています。
6240億円にのぼる研究開発減税の92%(5728億円)を、大企業(資本金10億円以上の企業および連結納税グループ)が受けていたのです。
さらに、全体の約2割、最高額(1201億円)の研究開発減税を受けていたのがトヨタ自動車であることも、本紙の試算で判明しました。



シンポジウム「税金を払わない巨大企業」で発言する宇都宮健児・元日弁連会長=2月15日、東京都内

相次いで集会
こうした中、不公平な税制の是正をめざす市民集会が相次いで開かれ、新たな運動への第一歩を刻みました。
2月8日には政府・与党の税制調査会に対抗して税の研究者らが「民間税制調査会」の第1回フォーラムを開きました。
民間税調が特に問題視したのは、「国境を越える資金移動」という手段を利用できる「富裕層や世界規模で活動する巨大企業が、資金を移動させて巨額な規模の租税回避を行っていること」です。多国間条約の推進や金融取引税の導入、国際経済からのタックスヘイブン(租税回避地)締め出しにより、公正な税制を構築する展望を示しました。

法人税「再建」
「公正な税制を求める市民連絡会(仮称)準備会」が2月15日に開いたシンポジウムでは、中央大学の富岡幸雄名誉教授が講演。政策減税の恩恵が巨大企業に集中する現状を批判しました。
「大企業税制の欠陥を是正し、地球的スケールでの税金逃れを防止させ、大企業が『まともに』法人税を払うよう『法人税の再建』に力を注ぎ、健全な企業秩序を確立しなければならない」
日本弁護士連合会の宇都宮健児元会長は、公正な税制を確立して社会保障を充実するために、全国民的な運動を広げる決意を表明しました。
「国民主権というからには、われわれは税金について学習し、声を上げる国民にならなければなりません」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月27日付掲載


税制は、負担能力に応じて課税するのが原則。赤字企業にも課税する外形標準課税などはもってのほかです。
なにも、大企業から税金を「ぼったくる」とは言っていないのです。負担能力に応じて払うべき税金を払いなさいって事です。
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けいざい四季報2015Ⅰ③ 国内経済 消費税増税の影響深刻

2015-03-29 16:27:17 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報2015Ⅰ③ 国内経済 消費税増税の影響深刻

ポイント
①2014年は、マイナス成長に。消費税増税が影響。実質賃金も連続マイナス
②財界、消費税増税と同時に、社会保障の切り捨てを提言。経済の土台が朽ちる
③「原発ゼロ」の世論踏みにじり、原発2割以上の提言相次ぐ。再生の道閉ざす

国内経済の主な出来事
1/1  「経団連ビジョン」を発表
 14 安倍晋三内閣、2015年度予算案を閣議決定
 20 14年訪日外国人が前年比3割増
 30 政府、電源構成の目標設定の議論開始
2/10 政府開発援助(ODA)大綱に替え「開発協力大綱」決定
 17 14年消費支出、前年比3.2%減
 24 再生可能エネルギーの買い取り価格引き下げ
3/2  米経済誌が世界長者番付発表。日本1位はユニクロの柳井会長
 2  法人企業統計で、企業の経常利益が過去最高を更新
 9  14年の実質GDPがマイナスに
 17 農林水産省が食料自給率目標を45%に引き下げ
 24 経済同友会が原発依存、「20%程度を下限」と提言

内閣府が9日発表した2014年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質が前期比0・4%増、年率換算で1・5%増となりました。速報値(前期比0・6%増、年率2・2%増)から下方修正されました。14年の年間を通じた実質GDPは前年比0・03%減のマイナス成長に転落しました。昨年4月1日からの消費税率8%への増税が響いています。

人件費を抑制
厚生労働省が3日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金指数は前年同月比1・5%減で、19カ月連続のマイナスでした。
消費税増税と物価高が庶民の生活を圧迫しています。賃金が減少しているのは、短期的な要因だけでなく、背景に構造的な問題があります。
賃金減少の背景についてニッセイ基礎研究所リポート「賃金低迷の原因を探る」は、「企業が収益確保の手段として、賞与等の特別給与を削減するとともにパートタイム労働者を増やしたことが挙げられる。景気が緩やかに回復するもとで企業の人手不足への危機感が高まっているが、人件費抑制姿勢は根強いためパートタイム比率の上昇傾向は今後も続くとみられる」と指摘しています。

財界が望む形
経団連(榊原定征会長)は1月1日「経団連ビジョン」を発表し、財界が望む15年後の「国の形」を示しました。消費税率は19%へ引き上げると同時に、社会保障は、「痛みを伴う抜本的な給付の適正化」が必要だと強調。その一方で企業が負担する法人実効税率は、25%への引き下げが「早期に」必要だとしました。
経済同友会(長谷川閑史代表幹事)も提言「財政再建は待ったなし」(1月21日)の中で、毎年5千億円(公費)の社会保障費削減を主張。2月16日には経済同友会の牛尾治朗元代表幹事(ウシオ電機会長)が会長を務める総合研究開発機構(NIRA)は、20年度までに3・4兆~5・5兆円の社会保障費削減案を示しました。毎年5700億~9200億円もの削減となります。小泉純一郎内閣が強行した「毎年2200億円削減」を上回る社会保障費の大幅削減になります。
財界が求める路線では、一握りの多国籍企業の利益は上昇したとしても、国民経済の土台が朽ちてしまいます。



長期工ネルギー需給見通し小委員会の会合=2月13日、経済産業省内

原発で25%超
安倍晋三政権は、将来の電源構成比率について検討しています。1月30日開かれた経済産業省の有識者会議「長期エネルギー需給見通し小委員会」(委員長・坂根正弘小松製作所相談役)初会合。昭和電工会長の高橋恭平氏が「国際競争力の観点で、電気料金の安定が火急の課題。原発を一定レベルでキープするのが現実的だ」と強調しました。
経団連は「ビジョン」の中で、25%超を原発でまかなうことを求めています。経済同友会も「わが国における原発のあり方」との提言で「20%程度を下限とする」ことを求めました。原発依存は、「原発ゼロ」の世論を踏みにじると同時に、再生可能エネルギーの普及を遅らせ、日本経済再生の道を自ら閉ざしてしまうものです。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月26日付掲載


消費税の税率アップに、実質賃金の連続マイナス。国内経済が良くなるはずがありません。
一部の大企業の利益を確保するより、労働者の賃金アップ、日本の経済を底辺でささえる中小企業の経営を応援することで、日本経済の立て直しを。
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けいざい四季報2015Ⅰ② 欧州・中国経済 新興国の先行き懸念 影響

2015-03-29 10:44:41 | 国際政治
けいざい四季報2015Ⅰ② 欧州・中国経済 新興国の先行き懸念 影響
ポイント
①ユーロ圏低成長の中、ECBが量的緩和開始。ギリシャ総選挙で反緊縮政権
②中国の昨年の成長率は実質7・4%と24年ぶりの低率。高度成長路線を転換
③中国主導のアジアインフラ投資銀行に英独仏伊が参加表明。G7中4力国に

ユーロ圏の2014年実質域内総生産(GDP)は前年比0・9%増、15年の見通しは1・3%増と、持ち直しつつありますが、低成長が続きます。懸念材料の一つは新興国経済の先行き不透明です。

量的緩和開始
ユーロ圏の消費者物価指数は直近の2月まで3カ月連続して前年同月比マイナスです。欧州中央銀行(ECB)は9日「デフレ」対策として量的緩和政策を開始しました。ユーロ圏各国の国債など毎月600億ユーロ(約7兆8000億円)の金融資産を購入し、大量のお金を市場に供給します。資産購入は16年9月末まで。総購入額は1兆1000億ユーロ(約143兆円)超に上ります。欧州、「量的・質的緩和」を続ける日本と、量的緩和を終了した米国との間で金融政策が逆向きになっています。
債務危機のギリシャでは1月の総選挙で緊縮政策に反対する急進左派連合が政権に就きました。欧州連合(EU)、ECB、国際通貨基金(IMF)が「支援」と引き換えに押し付けた緊縮政策で生活を破壊された国民の審判が下りました。EU側は緊縮継続を求めましたが、交渉の末、2月末に期限が切れる金融支援を当面4カ月延長することで妥協が成立しました。ギリシャはその間に新たな債務返済計画の策定を迫られます。



新政権支持、緊縮政策反対を掲げて国会前に集まったギリシャ国民=2月15日、アテネ(ロイター)



高成長を転換
原油価格の下落は欧州経済の押し上げ要因とみられますが、主要輸出先の新興国経済が減速しています。中国の14年実質GDPは前年比7・4%増にとどまりました。天安門事件の影響を受けた1990年以来、24年ぶりの低い伸びでした。
15年の政府方針を決めた3月の全国人民代表大会(全人代)は今年の成長目標を「7%前後」に設定しました。李克強首相は政府活動報告で、中国経済が安定成長を目指す「新常態」に入ったと述べ、輸出と投資の急拡大に支えられた高度成長から、生活や環境重視への転換を打ち出しました。
また、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は全人代中の記者会見で、年内にも預金金利を自由化する方針を示しました。市場原理の導入を図るためですが、中小銀行の破綻がありうるため、預金者を保護するため預金保険制度の導入を急ぐ考えです。

投資銀出資へ
中国が主導して設立を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)に3月、英国、ドイツ、フランス、イタリアが相次いで出資を表明しました。主要7力国(G7)の過半数が参加を明らかにしたことで、その後も参加表明が続き、出資国は30を超えることになりました。
アジアは世界で最も多くの人口を抱え、道路、鉄道、発電所など膨大なインフラを整備する必要に迫られています。資金不足の途上国に世界銀行やアジア開発銀行(ADB)が融資してきましたが、世銀総裁はアメリカ人、ADB総裁は日本人が一貫して務め、先進国が支配する国際金融機関です。
中国の楼継偉財政相は22日、中尾武彦ADB総裁とのシンポジウムで「西側のルールが最も優れているとは思わない」と述べ、米国などが主導する現体制を批判しました。一方、「ADBとAIIBとは補完関係になる」として、取って代わるものではないとの見方も示しました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月25日付掲載


緊縮財政では、ギリシャも含めて経済再建が出来ないこと。当然です。
成長著しいアジアが世界の経済を引っ張っていくようですね。
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