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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

職場のトラブルQ&A⑮ 職場環境悪いけど労働組合がない 2人以上いれば労組つくれる

2019-05-30 14:58:14 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑮ 職場環境悪いけど労働組合がない 2人以上いれば労組つくれる
連載の最後に、労働組合に関する相談を取り上げます。憲法は、個人では力の弱い労働者が団結して、使用者と交渉したり、行動したりする権利を保障しています。(憲法28条)

 私の職場では上司のパワハラが横行しており、給料もここ数年上がったことがありません。
職場環境を改善したいのですが、会社には労働組合がありません。何かできるでしょうか。



要求を掲げてデモ行進するメーデー参加者=5月1日、東京都渋谷区

 会社に労働組合がなくても、地域には一人でも加入できる労働組合もあります。組合活動をするのに、使用者(会社など)の承諾を得る必要はありません。役所に届け出る必要もありません。
労働組合に加入すれば、個人ではなく組合として会社側と団体交渉をし、労働条件の改善などを求めることができます。組合の人が同席してくれます。
団体交渉は、労働者が団結の力を背景にして、労働条件について会社と交渉し、取り決める場です。会社と労働組合は対等です。会社は正当な理由がない限り、交渉を拒否できません。(労働組合法7条2号)
団体交渉の結果、双方が合意した中身について、労使の間で「労働協約」を結ぶことが認められています。(労組法14条)
労働協約は、その後の労働条件の基準になります。仮に、就業規則や個別の合意で協約に当てはまらないルールがあっても、それらは無効です。(労組法16条)
労働組合を、自分たちで結成することもできます。有志の間で、パワハラや賃上げの問題について、力を合わせて改善しようということが確認されればいいのです。決して難しくはありません。
労働組合は、労働者が2人以上集まればいつでも自由に結成できます。要件は、①労働者が主体となって組織すること②労働者の自主的な団体であること③主な目的が労働条件の維持改善にあることの3点です。(労組法2条)
労働組合には、要求を実現させるために争議行為(ストライキなど)をする権利が認められています。また、日常的に組合活動をすることも認められています。
労働組合によるストなどの正当な行為は刑事上、処罰されません。また会社は、ストによって損害を受けたなどとして労組や組合員に損害賠償を求めることができません。(労組法1条2項、8条)
労働組合活動を理由として、会社は労働者に解雇その他の不利益な取り扱いをしてもいけません。
もし不利益を受けた場合、不当労働行為として都道府県の労働委員会に申し立てができます。労働委員会には救済命令を出す権限があります。(労組法7条、19条以下)
このように労働組合には法律上、強い権利が認められています。この権利を行使しない手はありません。ぜひとも団結して、労働条件の向上を勝ち取ってください。詳しくは全国労働組合総連合(全労連)などにご相談ください。
今村幸次郎(弁護士)

全労連の労働相談ホットライン
電話:0120-378-060


「しんぶん赤旗」日曜版 2019年5月26日付掲載


「一人でも入れる労働組合」というのは、全労連系、連合系ともありますが…。
そういう組合が身近にない場合は、仲間が2人以上いれば自分たちで労働組合の結成ができる。上部団体がなくってもOK。役所に届ける必要もなし。
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職場のトラブルQ&A⑭ 有期契約11回更新、突然「辞めて」と 意に反する雇い止めできない

2019-05-27 11:21:27 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑭ 有期契約11回更新、突然「辞めて」と 意に反する雇い止めできない
有期労働契約だからといって、会社側が自由に雇い止め(労働契約の更新を断ること)できるわけではないことを知っていますか?一定の要件を満たせば会社は一方的な雇い止めができず、契約が自動更新される場合があります。

 2016年7月から3カ月契約のパート社員として某スーパーに勤めています。すでに11回、契約が更新されました。店長から「次もよろしく」などと言われて契約書を書きかえるだけでした。しかし昨日、店長から突然、「今の契約が終わる6月末で辞めてもらう。次回の更新はない」と言われました。仕事を続けたいのです。どうしたらよいでしょうか。




 会社側の都合で一方的に雇い止めができないケースには、いくつかの要件があります。
まず、①繰り返し契約が更新され、無期契約と実質的に変わらなくなった場合②労働者が、契約が更新されて働き続けられると期待することについて合理的な理由がある(期待してもおかしくない)場合一です。
そして①か②の労働者が契約期間の終わりまでに更新を申し込むか、または期間が終わってすぐに契約締結を申し込んでいることが必要です。
これらの条件がそろっているとき、会社は、正社員を解雇する時と同じ基準をクリアしないと雇い止めができません。
つまり、会社が行った雇い止めに「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合」、雇い止めは違法です。
この場合、会社は労働者による労働契約の申し込みを承諾したとみなされます(労働契約法19条)。要するに、自動的に更新したとみなされるわけです。
あなたの場合、スーパーでほとんど正社員と変わらない仕事をしています。店長もこれまで、雇用継続を期待させるような発言をしていました。契約の更新も簡単で回数も多くなっています。
あなたは今の労働契約が更新されると期待することについて合理的な理由がある(期待してもおかしくない)と考えられます。契約が終わる6月末までに、会社に有期労働契約の更新を申し込んでください。
後は、会社側の雇い止めに「客観的に合理的な理由や社会通念上の椙当性」があるかどうかです。なければ、あなたの契約は自動更新されたとみなされます。
スーパー側は、雇い止めの理由や事情を何も説明していないようです。ですからこの雇い止めが有効と認められることはまずないと思います。
自動更新された場合の労働条件は、その前の有期労働契約と同じになります。
更新の申し込みをしても会社側が雇い止めに固執する場合は、労働組合や弁護士に相談してみてください。

有期労働契約の更新が繰り返されて通算5年を超える場合には、無期労働契約に転換する権利が発生します(労働契約法18条)。(連載③=2月24日号)今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年5月19日付掲載


有期雇用契約の場合も、突然の解雇は出来ないんですね。5年を超えてなくても、自信をもって主張しましょう。
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職場のトラブルQ&A⑬ 派遣の期間制限=3年を超すとクビ? 派遣元に雇用安定措置の義務

2019-05-14 15:06:04 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑬ 派遣の期間制限=3年を超すとクビ? 派遣元に雇用安定措置の義務
派遣労働者の派遣期間制限をご存じですか?労働者派遣法(派遣法)が2015年に改正され(同年9月30日施行)、同じ会社の同じ部署で3年を超えて働くことができなくなりました。
その場合の派遣労働者の「雇用の安定措置」も法定化されました。ルールを守って、派遣労働者の雇用が不安定にならないようにしていかなければなりません。

 私は35歳で、派遣元(X社)から、某商社(Y社)に派遣されて、総務課で16年10月1日から働いています。
派遣元X社との労働契約は半年契約で、これまで5回更新されました。今の契約は19年4月1日から9月30日までとなっています。このまま同じ部署で働き続けたいのですが、9月30日で3年となります。辞めなければならないのでしょうか。




 満3年だからといって、あなたが一方的に雇い止めにされることはありません。
確かに法改正で、派遣元との労働契約が有期契約である派遣労働者(60歳未満)は、派遣先の同じ組織単位(課などにあたる)で、3年を超えて働くことができなくなりました。(同法35条の3、40条の3)
派遣元との労働契約が有期契約であるあなたの場合、一応、この期間制限が適用されることになります。
しかしこうした場合、派遣元は以下のような労働者の「雇用安定措置」をとる義務があります。
①派遣先への直接雇用の依頼②新たな派遣先の提供③派遣元での派遣労働者以外としての無期雇用④その他雇用の安定を図るための措置―です。(同法30条)
①で直接雇用に結びつかなかった場合に、派遣元が改めて②~④の措置をとる必要があります。
あなたは派遣元X社に、「今年の10月1日以降、Y社に自分を直接雇用するよう依頼してほしい」と伝えるとよいと思います。
X社は、あなたが希望する雇用安定措置を講じるよう努めることとされています。依頼してくれるでしょう。
そして派遣先Y社が直接雇用に応じない場合、X社自身があなたを無期契約で雇用するか、新たな派遣先を提供するなどしなければならないことになります。
X社がこの雇用安定措置を講じなかった場合、あなたはX社に対して、不法行為に基づく損害賠償請求ができると考えられます。
また派遣先が、違法状態であることを知りながら労働者を受け入れていた場合は、派遣先がその労働者に直接雇用を申し入れたとみなされる制度もあります。(同法40条の6)
例えば、無許可の事業者から労働者派遣を受け入れたりした場合に、これが適用されます。
疑問な点がある場合は、都道府県労働局(受給調整事業室)、労働組合、弁護士などに相談してください。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年5月12日付掲載


元々有期雇用という不安定な働き方をなくしていく必要がありますね。この人の場合は、某商社の総務で働き続けたいようですね。某商社に直接雇用を求めましょう。
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職場のトラブルQ&A⑫ 注文が殺到し長時間残業、違法では? 上限は100時間 でも過労死水準

2019-05-02 14:01:26 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑫ 注文が殺到し長時間残業、違法では? 上限は100時間 でも過労死水準
今回は、残業に関する相談を取り上げます。昨年成立した働き方改革関連法で、時間外労働の上限規制が導入されましたが、過労死水準を容認するものです。

Q 中小の製造業で働いています。最近、注文が殺到し、長時問の残業が発生しています。先月は、残業時間が100時間になりました。違法ではないのですか。




A 労働基準法は、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることを禁止しています。(同法32条)
一方、同法は条件付きで、使用者(会社など)が法定の労働時間を超えて労働者を働かせることを認めています。(同法36条、いわゆる36協定)
労働者の代表(過半数が加入する労働組合または過半数を代表する労働者)と書面による協定を結び、これを行政に届け出ることが条件です。
この36協定で定める残業時間の上限については、今回、後述の法的規制が導入されましたが、中小企業(資本金3億円以下又は従業員数300人以下など)への適用は、来年4月からとなっています。中小企業については、現在、まだ残業時間の法的な上限規制がない状態です。
したがって、あなたの会社の36協定で、繁忙期などに月100時間の延長を認める旨が規定されている場合、月100時間の残業も違法ではないことになります。
もちろん、36協定なしに、または36協定の定める限度をこえて時間外労働をさせれば罰則の対象となります。(労基法119条)また、36協定に基づき時間外労働を行う場合であっても、時間外割増賃金が支払われるのは当然です。(労基法37条)
深夜(午後10時~午前5時)・休日(週1回の法定休日)以外の時間外労働の割増率は25%以上です。
深夜業は25%以上(時間外労働と重なる場合は50%以上)、休日労働は35%以上(深夜業と重なる場合は60%以上)の割増率となっています。
時間外労働は、月45時間、1年360時間などを限度基準とし、36協定でその基準を超える延長時間を定める場合には、その超える時間について、25%を超える割増率を設定するように努めるべき旨を定めていますが(2009年告示)、法的強制力はありません。
また、労基法37条1項但し書きは、1カ月に60時間を超える時間外労働をさせた場合、その超える部分については残業代の割増率を50%以上とする旨定めています。この規定が23年4月1日から、中小企業にも適用されます。

3月17日号「知ってトクする労働相談⑥」の割増賃金に関する図表に一部不正確な部分がありました。改めてご紹介します。

割増賃金と割増率
種類支払う条件割増率
時間外法定労働時間(1日8時間・週40時間)を越えた時25%以上
時間外労働が1ケ月60時間を超えた時
※2013年4月から中小企業にも適用
50%以上
深夜22時~翌5時までの間に勤務させた時25%以上
休日法定休日(週1日)に勤務させた時35%以上
時間外+深夜50%以上
休日+深夜60%以上


昨年成立した働き方改革関連法で、時間外労働の上限は、原則月45時間、年360時閻とされました。臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時問が限度となりました。ただ、単月100時間、月平均80時間の残業というのは、いわゆる過労死基準であり、長時間労働の根絶には不十分なものとなっています。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年4月28日・5月5日付合併号掲載


36協定で労働時の上限を決めれば青天井で働かせ放題だったのが、法律で上限の時間を定められたのは一歩前進。
しかし、その時間が過労死基準の長時間になっている。
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職場のトラブルQ&A⑪ 契約更新たてに男性上司が「付き合え」 「セクハラ防止」は会社の義務

2019-05-01 11:23:47 | 職場のトラブルQ&A
職場のトラブルQ&A⑪ 契約更新たてに男性上司が「付き合え」 「セクハラ防止」は会社の義務
今回は、セクシュアルハラスメント(セクハラ)に関する相談を取り上げます。セクハラは人権問題であり、労働者の働く権利を侵害するものです。男女雇用機会均等法(均等法)は事業主(会社)に、その防止措置を義務付けています。しかし、セクハラ行為を禁止する規定がないことは問題で、禁止規定を明確にした法整備が必要です。

 某メーカーの営業部で契約社員として働いています。最近転勤してきた男性上司(係長)が、「まだ結婚しないの」「彼氏いるの」「スリーサイズは」などとしつこく聞いてきます。昨日は、「契約更新してほしかったら今晩付き合え」と迫ってきました。「今日は都合が悪いので」と言ってとりあえず断りましたが、とても不快で困っています。どうしたらいいでしょうか。




 これは典型的なセクハラですね。係長の発言はいずれも許されるものではありません。直接、本人に「迷惑なのでやめてください」と伝えるか、それが言いにくい場合には上司(課長等)、または社内の相談窓口に早めに相談するのがよいと思います。
均等法上、セクハラとは、①職場で行われる性的な言動に対する労働者の対応により、労働者がその労働条件について不利益を受けること(対価型セクハラ)②その性的な言動により労働者の就業環境が害されること(環境型セクハラ)―と定義されます。事業主には、セクハラを防止するために適切な措置をとることが義務付けられています。(同法11条)
防止措置の具体的な内容は、①事業主の方針の明確化、周知・啓発②相談窓口の設置など、苦情・相談に対応できる必要な体制の整備③事後の迅速かつ適切な対応④相談者等のプライバシー保護、相談や協力をしたことに対する不利益な取り扱いの禁止などです。(2006年厚労省告示615号)
近年、セクハラに対する社会の受け止めや会社の対応も徐々に厳しくなっています。
ある裁判例では、男性上司が女性派遣社員に対して、「もうそんな年になったん、結婚もせんでこんなところで何してんの、親泣くで」などの発言を繰り返したケースがありました。
この上司は出勤停止10日間の懲戒処分と管理職からの降格処分を受け、裁判で「処分は無効だ」と争いました。しかし、いずれの処分も有効と判断されています(最高裁15年2月26日判決)。
ですからセクハラの被害にあったら勇気をもって、上司や相談窓口に相談してください。セクハラ言動が「あったか無かったか」が問題となることもあります。できるだけ、録音、メール、メモなどの証拠を残しておくとよいと思います。
社内での相談などで問題が解決しない場合には、都道府県労働局による紛争解決の援助(事業主に対する指導、勧告など)や調停の制度(均等法17~27条)がありますので、利用できます。
人格権侵害(性的自由の侵害等)や職場環境整備義務違反のケースは、加害者や会社への損害賠償請求も考えられます。その場合は弁護士に相談してください。
今村幸次郎(弁護士)

「しんぶん赤旗」日曜版 2019年4月21日付掲載


セクハラ発言やセクハラ行為は、加害者本人にとってみれば軽い気持ちでやっている場合もあります。しかし、被害者の人格や尊厳を傷つける事だと自覚すべきです。
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