きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

大阪ビル火災 避難路なく大惨事 全国3万棟緊急調査へ 法的義務なくても安全対策必要

2021-12-27 07:07:59 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
大阪ビル火災 避難路なく大惨事 全国3万棟緊急調査へ 法的義務なくても安全対策必要
大阪市北区の雑居ビルで25人が死亡したビル火災を受け金子恭之総務相は19日、雑居ビル約3万棟に緊急の立ち入り調査を実施し、結果を報告するよう全国の消防に要請したことを明らかにしました。
25人が死亡したビル火災は17日午前10時20分ごろ、ビル4階にある心療内科クリニックで発生。男性患者(61)がエレベーターを降りてクリニックに入った直後、持ち込んだ液体入りの紙袋に火をつけたとみられます。男性患者は入院し、重篤な状態だといいます。
火災があったビルは8階建てで、階段が一つしかない雑居ビル。避難経路となる階段付近で出火し、建物内に煙や熱気が充満しました。被害者の多くは、入り口から奥のフロア内で倒れていました。死因が判明した全員が一酸化炭素中毒だったといいます。
建築基準法の施行令では原則として、6階以上のビルには地上につながる階段を二つ以上設置するよう定めています。火災の際に、一つの避難路がふさがれても、もう一方を選択し、安全に避難できるようにするためです。



騒然とする火災現場=12月17日、大阪市北区

この基準は1974年1月以降に着工されたビルが対象で、火災のあったビルは70年建設のため、この基準には該当しないとみられます。法令上の問題がないということと、安全であるということは別の問題。対策が求められます。
調査の対象は、大阪市のビルと同様に階段が1カ所しかなく、不特定多数の人が出入りする施設が3階以上に入居しているビル。避難経路が確保されているかどうかなどを調べます。
今後、有識者による検討会を発足させ、報告を踏まえ対応を議論するとしています。

「しんぶん赤旗」日曜版 2021年12月26日付掲載


建築基準法の施行令では原則として、6階以上のビルには地上につながる階段を二つ以上設置するよう定めています。火災の際に、一つの避難路がふさがれても、もう一方を選択し、安全に避難できるようにするため。
今回火災にあったビルは、1974年1月以前の建築で、この基準には該当していなかった。
しかし、法令上の問題がないということと、安全であるということは別の問題。
調査の対象は、大阪市のビルと同様に階段が1カ所しかなく、不特定多数の人が出入りする施設が3階以上に入居しているビル。避難経路が確保されているかどうかなどを調べます。
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避難所トイレ どうする?衛生管理 快適に使い“エコノミー”防ぐ

2021-03-19 07:28:20 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
避難所トイレ どうする?衛生管理 快適に使い“エコノミー”防ぐ
「水害時のトイレ対応を考える」をテーマに防災トイレフォーラム2020が先月、開かれました(NPO法人日本トイレ研究所主催)。コロナ禍で衛生管理の重要性が見直される中、必要なトイレの備えとは?(手島陽子)

JRAT熊本(熊本県災害リハビリテーション推進協議会)の佐藤亮さんは、「災害時に起こりがちな健康問題として、安心して使える避難所トイレが足りないために水分摂取をがまんし、エコノミークラス症候群となる可能性もあります」といいます。汚れたトイレの使用をためらい、水分を制限することで、血栓ができやすくなるのです。
予防には、水分補給と適度な運動などが必要です。過去の災害の教訓により、避難所では早期からエコノミークラス症候群予防活動が行われるようになりましたが、十分に注意が必要です。



フォーラムの登壇者。左上から(時計回りに)上田さん、上月さん、佐藤さん、日本トイレ研究所の加藤篤さん

●安心できるか
健康のために避難所の生活環境を整備する必要性を強調した佐藤さん。内閣府のガイドラインでは、TBK=トイレ(表)、ベッド、キッチンをなるべく早く整えることを推奨していることを紹介。とくに「トイレで大切なのは、安心できる環境、衛生的かどうか、だれでも使いやすいかどうかです」と強調しました。
学校は段差が多く、高齢者にとっては転倒のリスクが高いため、トイレまでの導線では、段差にスロープを付ける、手すりをつける、トイレは靴のまま入れるようにするなどの注意点を述べました。
さらに、衛生面は最初の清潔さに左右されるため、平時からきれいに掃除することの重要性を指摘。仮設トイレが、大量に届いても使われずに放置された事例を紹介して、トイレの設置場所を決めておくなど、平時からの準備が大きく影響することを強調しました。


避難所のトイレ環境確認項目
トイレ周辺般備
・災害時に使用するトイレの種類、設置場所
・避難者数とトイレの数
・トイレまでの導線
(距離、段差、誘導灯、屋根等)
・障害者トイレ等の有無
・トイレ内の照明
・トイレ内の物置
(トイレットペーパー、荷物等)
・トイレ内、周囲の衛生
(手洗い場、ハンドソープ、換気扇、ウエットティッシュ、消毒液、脱臭・消臭剤、防虫剤、ごみ箱等)
・防犯・緊急時呼び出し、擬音装置等の有無
・補助便座・簡易洋式便座の有無
運営
・トイレの使用方法やルールの掲示
・掃除方法
・防犯対策
・要配慮者(障害者・女性や妊婦・子ども等)への対応
(内閣府避難所運営ガイドライン・国土交通省ホームページから作成)


●健康管理の核
岡山県倉敷市からは、2018年7月の豪雨災害を経験した小学校教頭の上月寿彦さんが報告。想定200人の小学校に、最大2000人の避難者が押しかけた状況を話しました。
街は一面泥水に浸る中、アルミ工場の爆発も発生。「猛暑があり、水道も停止した」と上月さん。「トイレをはじめ、避難所全体の衛生環境の悪化という問題が出てきて、感染症や食中毒の懸念も高まりました」
トイレの悪臭は消臭剤でも消えず、掃除が重要でした。給水車の水や井戸水を給水袋に入れ、トイレ前のバケツにくみ置きして流しました。
要介護者には①バケツで水を流せない②和式トイレを使えない③階段の昇降が難しい、などの課題がありました。そこで校舎1階の洋式トイレを水洗に。給水車の水を受水槽に入れて校内の給水バルブを調整し、使用するトイレだけに水が行くようにしたのです。
トイレの衛生環境は徐々に改善。ところが、しばらくすると水洗トイレの水の抜けが悪くなりました。学校は市役所に調査を依頼。原因は、浄化センターの被災で、下水処理ができず、汚物が下水管にたまり続けたことです。バキュームカーで汚物回収を行い、解決しました。「行政との連携は欠くことのできない重要ポイントだと感じました」と上月さん。水道復旧後、ボランティアや避難者で「トイレ掃除隊」を結成し、1日2回の掃除が行われました。
上月さんは「トイレの衛生管理を健康管理の核ととらえて、運営スタッフ、ボランティア、避難者などが連携することが大切です。早く体制を整えるために、コーディネーターやマニュアルの整備が欠かせないと痛感しました」と語りました。

●県から補助金
愛媛県からは、県防災危機管理課の担当係長・上田陽一郎さんがコロナ禍の県の取り組みなどを報告。三密が危惧される避難所の衛生環境を整備するため、集会所のトイレ洋式化等に対する補助金の制度を創設したことを話しました。
手指消毒の置き場についての質問に、佐藤さんが答えました。「仮設トイレを設置するときは、トイレの近くに手洗い場があるほうがよい。トイレから遠いと洗わない人が出てくる。さらに消毒液を居住スペースの出入り口に置く。透明のボトルに入れて、日付を書いておくと使用状況が把握できます」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月12日付掲載


地震の時だけでなく、水害の時も断水が発生します。
阪神・淡路大震災の時も地区事務所が断水。飲み水は給水車で手に入りますが、水洗トイレの水は近所の公園の池から水を汲んで運んだものです。
避難所のトイレもしかり。洋式であることはもちろん、清潔、快適であることが求められます。
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東日本大震災・原発事故10年 被災地から⑥ 観光 コロナ禍で支援が必要

2021-03-14 07:27:35 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災・原発事故10年 被災地から⑥ 観光 コロナ禍で支援が必要
岩手・宮古

東日本大震災で被災した三陸沿岸部は、複雑に入り組んだリアス海岸の景観と新鮮な海産物が観光資源になっています。
生業の再建で、観光の復興をめざしている被災地の岩手県宮古市。死者・行方不明者569人、家屋倒壊4000棟以上という大きな被害がありました。




漁獲落ち込み
三陸沿岸では震災後5年を過ぎたころから水産物の漁獲が落ち込んでいます。サンマ、サケ、スルメイカなどの不漁が続き、漁業と水産加工業が打撃を受けています。漁業の不振は地域経済と観光に大きな影を落としています。
観光客をよぶために、サケなどにかわる新たな特産品づくりも工夫。市の水産課によると、宮古漁業協同組合と協力して、トラウトサーモンやホシガレイの養殖実験をしていると言います。
観光の拠点づくりでは宮古港と田老地区に道の駅を再建。両施設とも三陸道から離れた所にあるため、三陸道の完成によって「車の客が道の駅に寄らずに素通りする」という懸念が生まれています。
田老地区で菓子店を営む田中和七さんは「三陸道の田老インターチェンジの出入り口が片側しかないことで、仙台方面から観光客が道の駅にこられない」といいます。



道の駅たろう(手前)と高台移転した田老地区の住宅団地(奥)=3月7日、岩手県宮古市

宿泊割の制度
「震災後も大変でしたが、一番大変なのはコロナです」というのは、前宮古観光文化交流協会会長でホテル経営をする澤田克司さん。海外客も含めて旅行客をよぼうとしていたときに新型コロナウイルスで自粛せざるを得なくなったと話します。経営が厳しく廃業の危機にある宿泊施設もあるとも。「ホテルでは宿泊が減ったほか、宴会の収入がゼロになって厳しい。持続化給付金も足りていない。引き続き支援が必要です」
同協会事務局長の山口惣一さんは「市独自に、岩手県民限定や東北県民新潟県民限定で、みやこ宿泊割の制度をつくっており、宿泊業者に喜ばれています。3月いっぱいまでですが、コロナで大変なので来年度も続けられないのか」と期待しています。
宮古湾に臨むホテルを営んでいる近江勇さんは「みやこ宿泊割は地域にお金が回るので良いと思う」といいます。震災でホテルが大きな被害を受け、ようやく再建しました。「震災での再建資金を返済していましたがコロナで収入が減りストップしています。雇用調整給付金などの申請が難しく苦労しました。もっと分かりやすく、困っているところにまわる支援が必要です」
(武田祐一)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月9日付掲載


コロナ禍で、観光業が大変な中、宮古市独自の、岩手県民限定や東北県民新潟県民限定で、みやこ宿泊割の制度。宿泊業者に喜ばれている。
支援の継続、分かりやすい制度が求められています。
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東日本大震災・原発事故10年 被災地から⑤ 避難者 戻った住民1割以下

2021-03-13 07:27:48 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災・原発事故10年 被災地から⑤ 避難者 戻った住民1割以下
福島・浪江町

東京電力福島第1原発事故の影響で福島県では10年たった今も、県の発表で県内外合わせて約3万7000人が避難しています。
県沿岸部の10市町村では、まだ帰還困難区域が広がり、避難指示が解除された地域での居住率は31・8%にとどまります。




一部解除後も
一部地域が避難指示解除されて4年の浪江町の場合は―。
JR常磐線浪江駅を降りると、駅前に目立つ、さら地。16軒入れる飲食店街には4軒の看板しかありません。
中心部から離れると、「除染中」のオレンジののぼりと除染廃棄物を入れたフレコンバッグの山。
にぎわいをみせているのは新しくできた道の駅。地元の海産物や野菜も並びます。
同町は農業農村を主体にして、その周りに商工業や漁業がある、そんな姿の町でした。
同町によると、2月末の時点で、住民登録している1万6650人のうち町に戻ったのは、1098人。仕事などで住民登録しないで居住している人を含めても1579人です。1割以下です。
飲食店の女性従業員は、「これでもお店が以前より増えました。だけど、町の人は戻っていません。これからも期待できません」といいます。
4年前に戻ってきた斎藤チヨノさん(86)は畑で作った野菜を道の駅に出しています。避難前に住んでいた自宅をリフォームして暮らしています。
「活気はまだまだ戻っていません。とにかく人が少ないし、来ません。イノシシやハクビシンに手をやいています」と話します。
復興庁が1月に発表した浪江町住民意向調査では、帰還について「戻らないと決めている」とした回答が5割を超えました。
6年前に福島市内に中古住宅を買った54歳の男性は「帰るつもりだったが、除染も進まず、もう帰れないと判断した。東電にはすべてを元にもどしてほしい、といいたい」。



さら地が目立つ駅前


荒れ果てたままの飲食店が入っていた建物=3月6日、福島県浪江町

進む巨大開発
帰還者が少ない一方、国家プロジェクトとして「福島イノベーション・コースト構想」にもとつく水素製造拠点などの巨大開発が進められています。
「『創造的復興』という看板のもとで、開発志向型、すなわち呼び込み型、本質は惨事便乗型ではないかと私は判断せざるを得ません」というのは日本共産党の馬場績町議です。
「『新たな復興期間に入る』という復興・再生の政策支援というなら、県内はもちろん、避難中の住民も支援の対象にするのが当然です。町民の声を吸い上げ、町民の誇りを呼び戻し、浪江の気候・風土に合った農業をはじめとする産業の復興、きめ細かな支援を優先すべきです」
(栗田敏夫、菅野尚夫)(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月8日付掲載


避難指示が解除された浪江町でも、町に戻ってきたのは1割。
除染も進まず、生活基盤が戻らない。戻りたくても戻れないのが実態。
国家プロジェクトとしての「福島イノベーション・コースト構想」にもとつく水素製造拠点などの巨大開発ではなく、浪江の気候・風土に合った農業をはじめとする産業の復興、きめ細かな支援こそ求められる。
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東日本大震災・原発事故10年 被災地から④ 生業 若者の雇用創出めざす

2021-03-12 07:46:58 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
東日本大震災・原発事故10年 被災地から④ 生業 若者の雇用創出めざす
宮城・石巻雄勝地区

宮城・石巻雄勝地区伝統産業の硯やホタテ養殖が有名な宮城県石巻市の雄勝地区。東日本大震災の津波で町中心部は壊滅的な被害にあいました。震災前4300人いた人口は震災後1100人に。復興はいまだに道半ばです。そんな中でも、あきらめずに「住民主体」の姿勢で復興と生業の再生に向け進み続ける住民がいます。




住民のために
「マスコミは『雄勝の復興は失敗だ』と言う。『県の復興』は失敗かもしれないが、住民の復興が失敗とは言われてたまるかという気持ち」。そう話すのは雄勝で地域の生業の再生に取り組む徳水博志さん(67)です。
震災後、一部住民は「原形復旧の高さ4・1メートルの防潮堤と、集落を囲むかさ上げ道路をセットで作る」復興案を提案。国と宮城県はそれを無視して、高台移転と9・7メートルの防潮堤建設をしました。
高台移転の工事完了までの間、住民は比較的市の中心部近くの仮設住宅で生活。職場にも近く、生活を送るうえでも便利な市中心部で生活の基礎ができた人たちは、工事完了後も雄勝には戻りませんでした。
硯やホタテ養殖も震災と津波で大打撃を受けました。
「安全第一のまちづくりだけじゃなく、生業の再生もセットで取り組まなければ住民のための復興にはならない」と考えた徳水さん。若者が復興に社会参加する際の受け皿にと、一般社団法人「雄勝花物語」を設立しました。
「雄勝花物語」には、▽被災地緑化支援やローズフ・アクトリーガーデンの無料開放などを行う支援部門▽防災教育やボランティアの受け入れなどをする教育部門▽押し花教室などを行う事業部門―があります。



「北限オリーブ」の木の前に立つ徳水博志さん


「おがつ・たなごや」の中にある海産物直売所=宮城県石巻市

道の駅で交流
ガーデンの隣接地に植えた140本の「北限のオリーブ」からオリーブ油を作り小売りまでする6次産業化で若者の雇用創出をめざす事業を進めています。
徳水さんは「町内の他団体ともつながって、一日体験型のプログラムを作りへ交流人口を増やしていきたい。本団体が若者の雇用を生み出すまで見届けたい」と笑顔で語ります。
地域拠点として昨年5月にオープンした石巻市雄勝観光物産交流館「おがつ・たなごや」は4月から道の駅になります。この事業に関わってきた、同市雄勝総合支所地域振興課長の及川剛さん(57)は「これで交流人口がさらに増えます。住むことは先の話、まずはこの地を知ってもらいたい。その手助けになりたい」と話しました。
(津久井佑希)(つづく)


「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年3月7日付掲載

住宅や町並みの再建だけでは暮らしていけない。
生業の復興が必要。「北限のオリーブ」からオリーブ油を作り小売りまでする6次産業化。
地域拠点として昨年5月にオープンした石巻市雄勝観光物産交流館「おがつ・たなごや」は4月から道の駅に。
交流人口を増やし、やがては流入人口へ。
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