日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

マラガを目指して(6)

2013-05-26 10:07:35 | スペイン
後ろ髪を引かれるような気持ちでグラナダからマラガに戻る。
次にグラナダにこれるのはいつなんだろうか、などと考えながら
窓の外の景色をじっと見ていた。

翌朝は早起きをし、ピカソ美術館へ。実はピカソ美術館に来るのは
二回目なんだが、せっかくマラガに来たんでまた訪問してみた。
前回来た時に目に付いて離れなかった、「座るジャクリーヌ」の絵も
そのまま展示されていた。
郷愁を帯びたまなざしと、そのポーズの絵は一度見たら忘れられない。

写真は美術館の中庭から見上げた、アンダルシアの空。


マラガを目指して(5)

2013-05-25 09:35:20 | スペイン

今度はアルハンブラ宮殿から反対方向、シェラネバダ山脈の方向を見て、
写真を撮る。
雪をいただく山脈と(本当に雪が積もっている)、肥沃や平野が広がる
風景が眼前に現れる。
アルハンブラの中にはパラドールがあるのだが、あのパラドールに泊まって
こんな風景を見ながら朝目覚めたら、どれだけ気分がいいだろうか、
などと夢想してしまった。

マラガを目指して(4)

2013-05-24 22:05:44 | スペイン
最初にグラナダに来たときは、フランス人の友人らとグループで、
まだ90年代の半ば、フランスで留学していたときだったと思う。
そのあと1998年にも一回一人でスペインに来たことがあったっけ。
それから2000年代後半にも当時の彼女と来たことがあった。
そうすると今回は4回目のグラナダか。

グラナダは町の中心で路面電車の工事をしていたり、ちょっと小奇麗な
遊歩道ができていたりしてちょっとずつ変わっているようだが、でも
やはりあの懐かしい、イスラム王朝の夢がまだ残っているような
アルハンブラ宮殿はそのままだ。アルハンブラから見下ろすアルバイシンも
白い壁の町並みがそのまま残っている。


マラガを目指して(3)

2013-05-22 22:34:33 | スペイン
着いた日の夜は街の中心部の通りに張り出したテラスで
スペイン名物パエリヤなんかを食べる。実はマドリッドでも
食べたんだけど、パエリヤ、どこで食べてもおいしい。
マラガはおそらく5年ぶりぐらいだったんだが、町のあちこちの
通りや街路樹の場所なんか記憶に残っていた。印象にずっと
残っている街だ。

そして翌日はバスに乗ってグラナダに。バスターミナルから
グラナダ目指して、バスはアンダルシアの荒野を走っていく。
窓から見える人も誰もいない景色。ただ、オリーブ畑が地平まで
広がっていたり、禿山が立ちすくむような荒々しい自然。
アンダルシアに、また僕は来たんだなあ。

マラガを目指して(2)

2013-05-20 23:12:02 | スペイン
ソフィア芸術センターでダリ展をほかの入場者にもみくちゃにされならが見て
(というかほんとにすごい人ごみだったのだ)、アトーチャ駅に戻りAVEに
ようやく乗車。午後6時過ぎに電車は静かにアトーチャ駅を出る。

マドリードからアンダルシアまでは何もない。ただ平原がずっと続いているだけだ。
この路線を何度も一人で乗ったことがある。90年代半ばに一人で
スペイン旅行したときも、マドリードからセビリヤまでAVEに乗ったっけ。
アンダルシア州に入る前に小さな町があったのを覚えている。
やはりこのときもその町を通り過ぎた。当たり前の話なのだがなんだか
うれしい気持ちになる。

アンダルシアに入って、コルドバを過ぎ、電車はどんどん地中海へ
近づいていく。21時前にマラガに。21時だけど外は薄暗くなく、
通りも多くの人が行きかっている。気温は28度。汗が出そうなくらい。

マラガを目指して(1)

2013-05-20 10:53:35 | スペイン
5月は今年はフランスも連休が多いことから、どっか近場へ旅行でもしようか、
ということになった。日本からもその時期旧友が来るし。
ということでスペインに行くことにした。

オルリー空港から1時間40分でマドリッドのバラハス空港へ。
本来はそこからマラガ空港に乗り換える予定だったのだが、何週間か前、
いきなりフライトがキャンセルされてしまったので、しかたなく
スペイン版新幹線AVEに乗って鉄路で向かうことに。

まるで空港のようにばかでかいアトーチャ駅まで近郊電車で行き、
そこからAVEの切符を購入。出発までかなり空き時間があったので、
駅近くのソフィア王立芸術センターに行ってみる。ピカソのゲルニカが
展示されていることで有名な美術館だ。近・現代アートが専門で
フランスでいえばポンピドーみたいなもんか。
行ってみるとちょうどダリ展をやっていた。たぶん、去年ポンピドーで
やっていたものと同じものでは。ポンピドーでは結局見にいけなかったので
なんか得した気分だ。

アンダルシアへの道(12)

2012-09-16 22:26:14 | スペイン
ヘレスの町を、シエスタの時間帯、強い日差しのなかで
うろうろ動き回った後、電車でカディスに戻ってきた。
19時ごろ戻ったのだが、夕飯にはまだ早い時間なんで
いったんホテルで仮眠。目を覚ますともう21時になっていた。

そのあとホテルから旧市街までぶらぶら歩く。スペインで過ごす日も
もうあとわずかだと考えると、なんだか感傷的な気持ちになってくる。
旧市街に着くころには太陽も大西洋に沈んで、海も空も真っ暗。
旧市街は道路が狭すぎて街灯もろくに設置されていない。暗い歩道を
ふらふらレストランを探してさまよう。

結局、市庁舎前の広場にある、かなり観光ズレしている
テラスつきのカフェに入る。時刻を見るともう23時すぎ。
市庁舎に大きな時計が付いている。
フィノと、白ワインと、タパスをハーフポーションで、とか
いろいろ凝った注文をスペイン語で行う。なんとか通じた。
最初に運ばれてきた、ガンバス・アルヒージョは、要するに
海老のガーリック炒めなんだが、こんなおいしいもの
初めてだった。なんでこんなおいしいのだろうか?

アンダルシアへの道(11)

2012-09-14 23:04:06 | スペイン
翌日、カディス市内観光も一通りついたので、町外れの
バスターミナルまで行き、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラまで
行ってみる。ヘレスは名前のとおり、ヘレス、つまり
シェリー酒の大生産地だ。近郊で取れるサフランから、あの
香ばしいシェリーやフィノを生産している町だ。

バスの窓からアンダルシアの町が見える。広大な湿原であったり、
工業地帯であったり、くたびれたような寂れた街角であったり、
高速道路と乾いた平原だったり、と乗っている間にさまざまな
景色が展開する。生活の豊かさとか物資的な豊かさと、
人生の豊かさはまったく関係がないと思う。そして
その人生の豊かさを感じるための旅行の楽しみというものが
このアンダルシアの空気の中に果てしなく漂っているような気がする、
そんなバス旅行だった。

ヘレスにつくと、シエスタの時間でどこもしまっている。
ようやく開いていた、ホテルに併設のバールに入って、
誰もいないカウンターに一人座ってロシア風サラダ
(つまりポテトサラダだ)を食べて、ビールを飲む。
ゆっくりアンダルシアの時間が流れている。

写真はヘレス中心部近くの街角。

アンダルシアへの道(10)

2012-09-09 16:57:16 | スペイン
カディスの町は、細い路地が入り組んだ、いわゆる昔の
スペインの町をそのまま保存していいるのだが、二つ大きな
ランドスケープがある。ひとつが市庁舎とその前の広場。
そしてもうひとつがカテドラル。

青空を背にした巨大なカテドラルとその前の広場。
人々が思い思いに時間をすごすカフェ。
南国らしい明るさに満ち溢れている。

アンダルシアへの道(9)

2012-09-07 21:08:56 | スペイン
カディスの海岸をブラブラ散歩しただけで、
すぐに顔と首筋が痛くなってきた。昼過ぎに
ホテルに戻ると案の定、首から上が真っ赤に
日焼けしている。こりゃたまらんと思い、とりあえず
体を冷やして昼寝。

また目を覚ますともう夕方過ぎになっていた。
ホテルに閉じこもっていてもしょうがないので、
また町に繰り出し、夕暮れの旧市街へ。
石畳の古いカディスの街は、活気があるのか
ひっそりしているのかいまいちよくわからない。道路が
狭すぎて車がなかなか入ってこれないせいで、
車の騒音からは解放されている。そのせいで、人間の
話し声や笑い声が建物の窓や、バーやレストランの
店先から響いてきて独特な感じだ。

狭い通りを通り抜けて、突如現れる広場と景観。
こんなランドスケープが現れる唐突な町なんだなあ、カディスは。

アンダルシアへの道(8)

2012-09-05 23:16:58 | スペイン
ホテルはカディスの新市街にあった。
新市街は数キロにおよぶビーチ沿いに発展した地域で、
まっすぐな道路、リゾートホテル、リゾートマンションが
延々と立ち並ぶ、まるでマイアミビーチのような地域だった。
マイアミに行ったことはないが。

朝、10時ごろ海岸に下りてみる。もう砂浜の波打ち際を
大勢の人が歩いている。まだそれほど強くない日差しの中、
海風が気持ちよく顔に当たって気持ちいい。
僕もそのまま海沿いを散歩してみた。

アンダルシアへの道(7)

2012-08-26 11:59:40 | スペイン
カディスに着くまで、カディスがどんな街なのか
頭の中ので想像してみたのだが、どうもイメージがわかない。
GEOという雑誌で以前に見たアンダルシア特集では
青い空の広がる、南国の雰囲気にあふれた市庁舎の写真が
掲載されていた。もしくはテレビでみたカディス紹介の
短い番組では、城壁に囲まれた旧市街の、薄暗い歩行者専用道路
の様子が映っていた。

しかし、全体としてはどうなんだろうか。
大西洋に着きだした、大航海時代の新大陸との貿易拠点だった
この街はどんな雰囲気なんだろうか?

その答えが写真。


アンダルシアへの道(6)

2012-08-22 23:25:33 | スペイン
エストレマドゥーラの、荒野の中にぽつねんと
閉じ込めれたような小さな町で一晩眠った後、また
アンダルシアに進路を取るべく、町はずれのバスターミナルに向かう。
最初RENFE(国鉄)の駅に行ったのだが、どんなに時刻表を見ても
一日6便ぐらいしかなく、それもセビリヤに南下する鉄道が
あるとは思えない。行き先をどんなに見てもセビリヤに止まる
便が見つからないし、どっちにしても一番早い便でも
11時40分発とか。今、まだ9時半なのに。この
スカスカのダイヤはなんだろう。

で、国鉄の駅から5分ぐらいしか離れていないターミナルに向かう。
次の目的地、アンダルシアの大西洋岸の街、カディスへ。
カセレスからカディスまでのバスの直行便がないかな、と
思っていたのだが、電光掲示板を見ても、そんなものありそうにない。
せいぜいセビリヤまで行って、そこからまた乗り換えるような感じ。
仕方なく、セビリヤまでの直行便に乗る。

3時間のエストレマドゥーラの荒野の旅が終わり、大都会セビリヤへ。
バスターミナルから、今度はカディス行きに乗り換えてもいいと
思ったが、ふと思い立ち、国鉄のサンフスタ駅に。
ガイドブックによると、セビリヤとカディ間は1時間に一本の
割合で電車が走っているという。

サンフスタに着くと確かに、カセレスと違って結構な頻度で
あちこちの方向に電車が発車しているのが分かる。カディス行きも
30分もすれば出発。そそくさと切符を買い、それでもちょっと
時間があったので、駅構内のカフェで生ハム入りサンドイッチ
(びっくりするほどおいしい)と生ビールを二杯飲んでから
電車に乗り込む。

セビリヤからの電車の旅は、窓の外には光しか見えない
まぶしい風景が広がっていた。

アンダルシアへの道(5)

2012-08-21 22:39:20 | スペイン
セビリヤからバスに揺られて3時間。バスの窓から見えた
エストレマドゥーラの風景は、本当に荒涼としていた。
地平まで続くオリーブやコルク樫の木と、乾いた土。誰もいない、
家畜さえも見えない不毛な大地の景色がずっと続いていた。

そんな大地の中に忽然と姿を現す古い町がカセレスだ。
エストレマドゥーラの宝石と言われている。とくに中世からの
歴史を刻んだ建築や街並みが残る旧市街はユネスコの世界
文化遺産に指定されている。

ホテルに荷物を置き、到着早々、旧市街をぶらつく。
細い路地や土色の建物の間は何の音もしない。車が入れないので
ここには文明と人間しかいない世界なのだ。

写真は旧市街のすぐそばのマヨール広場。

アンダルシアへの道(4)

2012-08-20 22:41:02 | スペイン
セビリヤで一泊したあと、次の朝、エストレマドゥーラ地方の都市、
カセレスに向かうために、セビリヤのバスステーションに向かう。
今回の旅行で行きたかったのは、乾ききった、スペインとポルトガルの
国境の地方、エストレマドゥーラ地方だ。これまで足を踏み入れたことの
ない未開の地方、そしてガイドブックや本などではたびたび
読んだことのある、他地域のように名所旧跡があふれるわけではないが、
スペインの深層に触れられるような地域。

いつかみた本に、エストレマドゥーラに住むおばあさんの写真が
出ていた。小さな、城砦に囲まれた村に住むおばあさんだ。家の仕事を
して、そして地平線まで続く乾いた荒野を見つめる毎日。
この村から出たことがないのに、人生や世界のすべてを見透かすような
おばあさんのまなざしが記憶に残っている。

セビリヤの街の北側に位置する、中・遠距離バスの駅まで歩いていく。
スペインは窓口がバス会社によって違うのだが、電光掲示板を見ても、
時刻表をみても、エストレマドゥーラのカセレス行きのバスが
どの会社のバスなのかさっぱり分からない。窓口は三つ開いている。
あてずっぽうで端っこの窓口に行って、「カセレスまで」と尋ねる。
窓口のおばさんはとんでもない、といった顔で
「それはここじゃないよ」という。
「どこの窓口で切符が買えるんですか?」と聞くと、
「そんなの分からないわ」
とそっけない。

その隣に行くと、
「そこはうちじゃない」と窓口の中の娘さんが答える。
「どこの窓口ですか?」と聞くと、
「カセレスは一番端っこの窓口」と今度は丁寧に教えてくれる。

端の窓口で、カセレス行きの切符を買い、ようやくエストレマドゥーラ
に迎える自分なのだった。