日々の泡盛(フランス編)

フランス在住、40代サラリーマンのどうってことない日常。

アンダルシアへの道(3)

2012-08-19 23:03:07 | スペイン
通りを歩いていてあまりに暑いので、近くにある
アイスクリームスタンドに入ってコーンに入った
アイスクリームを買ってみる。いろいろなフレーバーが
あるのだが、適当にイチゴとチェリーを指さす。
COPA(カップ)かCONO(コーン)のどちらのタイプが
いいか聞かれたのが、なんとなく理解できたので、コーンを選ぶ。
ああ、アイスなんて食べながら街ぶらぶら歩くなんて
学生時代ぶりだよ。

グアダルキビール川を渡って、セビリヤの対岸の街トリアナに。
前から行こう行こうと思っていた場所だ。昔のジプシーの街。
下町とバルと観光客向けの川沿いのレストランが同居する不思議な空間。

足を踏み入れると、セビリヤの街とは違う、近代化されていない
低層の昔風の建物が道の両脇に並ぶ静かな街が広がっていた。
シエスタの時間は、通りに誰もいない。バルもシャッターを
おろしたまま。店先にcruzcampo(有名なビールメーカー)の
看板だけ出されている。この暑さがなければ、ずっとこのまま
ぶらぶら徘徊していたいような街だ。

アンダルシアへの道(2)

2012-08-18 23:15:42 | スペイン
僕はゆっくりとセビリヤの街を歩き始めたのだが、
5分も経たないうちにその高温と乾燥の世界にくじけそうになってきた。
ヨーロッパは乾燥しているとはよく言われるが、そんな
次元の渇きではない感じ。どんどん水分が体から蒸発する。
ああ、そういえばここはアフリカにもう近いんだもんなあ。

ちなみにセビリヤに来るのは僕の記憶ではたぶん、5年ぶりぐらいで
アルカサルとか、大聖堂とか、闘牛場とか町のつくりとか
道とかだいたい覚えていたので、道に迷うことはなかったのだが、
この猛烈な高温の、熱風の吹くシエスタの時刻のセビリヤにジャブを
食らったような形になり、ちょっと面喰ってしまった。

ちなみにセビリヤに来てからスペイン語が全然聞き取れないと
思っていたのだが、それは一つには僕の凡庸なスペイン語力にも
よるのだが、もうひとつは単語の最後のSを発音しないアンダルシア
方言であることが分かった(分かったのは後日だが)。それは
こんな風だ。

グラシアス→グラシア(ありがとう)
アディオス→アディオ(さよなら)
タパス→タパ(タパスのこと)
ドス→ド(2)

見事に最後のエスを発音しない。間際らわしいことこの上ない。
写真はセビリヤの街歩きを始めた地点。青い空をいとおしむ余裕
なんて全然ない。



アンダルシアへの道(1)

2012-08-17 20:56:48 | スペイン
デンマークから戻ってきて、一人でボーっとしていたのだが、
あわただしいまま、8月も半ばになり休暇の時期となった。
スペインに漠然と行きたいとは考えていたのだが、今まで
何度も行ったし、具体的にどこに行きたいと考えるまもなく
時間が過ぎ、休暇直前になってしまった。仕方なく、半ば
何も考えずにスペインの格安航空会社の往復チケットを予約し、
パリとセビリヤ往復切符を予約する。

セビリヤにとりあえず飛べば、あとはアンダルシア内を
自由に旅行できるだろう、セビリヤを起点に電車もバス路線も
伸びているから。

オルリー空港から約2時間で、セビリヤに到着する。
空港から市内までバスに乗り、バス降り立つともうそこは別世界。
気温40度の、乾燥と高温の街が待ち構えていた。

スペインと僕

2009-07-30 22:58:49 | スペイン
来週大学院の集中講座に会社を休んで出席するというので
重い腰をあげて、HP上で公開されているシラバスを調べたら、
やばい、四日間の集中講義に、読んでおく論文、しかも英語、
10本ぐらいあった。こんなんじゃ間に合わないよ。どうするんだ。

職場の隣の席に座っている同僚が妹と一緒に来週、
スペインに10日間ぐらい旅行に行くらしい。うらやましい。
僕は去年まで、少なくとも一年に一度はスペインに行くぐらいスペイン狂
だったんだが、今年は結局行く予定なし。
これじゃスペイン馬鹿の名がすたるぜ。
仕方ないんで、自宅でひとり、去年のGEO誌のスペイン特集の写真記事
など読みふける。セビリヤの8月のうだるような暑さの中の午後の街角、
バルの中の、天井からぶら下がった生ハム、グラナダの地平線まで続く
沃野(ベガ)などいろいろな情景が写真の中に凝縮されている。
なんかウズウズしてきた。スペインは僕の心の中に棲みついているんだなあ。




西荻のスペイン

2009-03-17 23:59:00 | スペイン
前からずっと行こう行こうと思っていた
西荻のスペイン料理の居酒屋兼バールに今夜ようやく行ってみた。
なんかなじみ客しか入れないような排他的な雰囲気が漂ってたんで
なんとなく入るのに抵抗があったんだけど、勇気を出して今夜は
行ってみたのだ。もう、僕もいい年だし、何事も経験だ。

スペインワイン、1本3000円はちと高いと思ったが。
西荻駅構内にあるFLOで買えば1000円そこらでおいしいリオハワインが
買えるし。とは言うものの、ここはレストランだし、一人で
ワインを飲むにはそのくらいかかるかなあ、と自分で自分を納得させる。
そのあとタパスで、トルティージャやチョリソーなど定番を頼む。
うまい、まるでスペインのバルにいるみたい。
終始、カウンターで満足顔でワインと食事をする僕だった。
スペインワイン、1本飲んでしまったぜ。1時間弱の間に。

しばし日常を忘れて(スペイン語)

2009-01-12 00:46:40 | スペイン
最近、スペインに旅行していないので日常生活で
スペインに触れる機会と言えば、家で飯食いながら読む
スペインのガイドブックか、家の近所の通勤の通り道にある
スペイン料理屋(でも入ったことないのだ)か、もしくは
土曜のスペイン語教室ぐらいだ。

いまだに初心者コースをやっている自分だが、今日は新しい
先生が来た。各人簡単な自己紹介をしろ、というので
知っている乏しい数の文型を使って一生懸命自己紹介していたのだが、
先生から、「歳はいくつか?」と聞かれる。
確かに、「私は~歳です」というのは最初に習う文型なので
言う事自体は簡単なんだが・・・何を躊躇しているのだ、自分!
先生がニヤッと笑って、「トップシークレットなの?」などと茶化すので

tengo quarenta anos(40歳です)

としぶしぶ白状した。したら、スペイン人の先生がおまえそこまで
驚くかよ、というぐらいのリアクションで驚かれた。
そうだろうな、40には見えないよな。

セビリヤの聖人

2008-12-15 23:19:52 | スペイン
ある日、地下鉄の構内を歩いていたら巨大なスペインの
カテドラルのポスターが。近づいてみると講談社の
ムック TRANSITの最新号の広告だった。
スペイン、ポルトガル特集と聞いていてもたってもいられなくなり
翌日、本屋で購入。最初のページから最後のページまで
至福のひと時であった。マドリッドが、ビルバオが、
リスボンが、イベリア半島の空気があちこちの記事からあふれているようだ。
しかもいいところは、客観的な歴史や文化の説明に加えて、
ライターが自分で旅をしたスペインがそこにあるのだ。
実際にいろんな街角で出会った人々の笑顔や、ライター自身の感傷。
いろんな感情が詰まった文章にしばし、ページをめくる手を休めて
ぼーっとしてしまった。

中でもよかったのは東京を抜け出し、セビリヤに30年間住んだ
ヒッピー全盛時代の英文学者、永川玲二の記事。ジプシーの住んでいた
地区としても有名なトリアナ地区に居を構え、さまざまな国籍の
人々が行きかうコミュニティーで自身の思想を他人とぶつけあう人生。

作家の丸谷才一が彼への追悼文として書いて文章が引用されていた。

     *     *     *
わたしたちは生きてゆく途上で、ときどき初心を忘れ、冒険の
意欲が薄れることがあります。さういうときに、まるで神話に
出てくる放浪の王子のやうな彼の行き方、彼の面影を思ひ浮かべる
ことは、自分を励まし奮ひたたせるのに非常に役立つやうな
気がします。

something good イビサ島探訪記(10)

2008-06-02 05:42:25 | スペイン
イビサ島の夜は深夜12時を回っても、まだハイシーズン
になってもいないのに、騒々しくて賑やかで、心が
ウキウキしてしまうようだ。
カフェやレストランはまだしも、薬局や普通の店まで
平気で深夜営業している。パーティー好きな若者が
ヨーロッパ中から集まってくるのが分かる。

通りに面したあちこちのバーから
いろんなビートが流れてくる。

イビサ島探訪記(9)

2008-06-01 00:54:47 | スペイン
夜のイビサの街は、まだハイシーズンじゃないこともあって
シャッターの下りている店もちらほら目につくが、
それでもかなりにぎやかだ。マリナ地区(港のすぐ脇)には
おみやげ物や、シーフードのレストラン、アクセサリーショップ、
バーなんかが軒を連ね、さまざまな国の観光客が結構入っている。

レストランに入ったのは夜の11時過ぎ。それでも結構これから
レストランに入ってくる他の客も後を絶たない。
せっかくスペインに来たので「パエリヤ」なんぞ注文する。
ありえないぐらいの大量のパエリヤが運ばれてくる。
これが一人分かよ!でも貧乏性なんで我慢して全部平らげる。
最後らへん、過剰な満腹感で味覚を失う。って本末転倒かも。

写真は宵の口のイビサの街。

イビサ島探訪記(7)

2008-05-29 05:25:43 | スペイン
海岸からホテルに戻ると、フロントに
行方不明になっていたはずの荷物が届けられていた。
不意に安堵感が押し寄せる。よかった、荷物出てきて
航空会社の人が配達してくれたのだ。

隣のスーパーで発泡性ワインや1リットルのビール
など買い、部屋で出てきた荷物に対して
お祝いの酒盛りをする。つーか、何かにかこつけて飲むんだな。
その後酔いつぶれて昼寝。やっぱ、スペイン旅行の醍醐味は
シエスタだろう。などと自分の行動を自己正当化。
街歩きはシエスタ後なのだ。

イビサ島探訪記(6)

2008-05-28 05:58:27 | スペイン
翌朝になる。日差しはホテルの窓から痛いぐらいに照りつける。
これがイビサ島の日差しなんだ。
荷物はいつまでたってもラチがあかないので、早々と
見切りをつけて、そのまま海に出てみる。
昨日着ていたジーンズとポロシャツ。まったくボロボロの
くたびれた格好なんだがまるで気にならない。
やっぱり所有というのは人間をだめにする欲望なんだなあ、
などと一人でなっとく。モノなんかなくたってなんとかなるもんだ。

イビサの街から少し離れた自然の岩場に行ってみる。
砂利の海岸には誰もいない。岩の上に腰掛けて
そのまま瞑想。あっという間に1時間ぐらいたつ。
時間が経つのも忘れてしまうぐらい気持ちがいい。

イビサ島探訪記(5)

2008-05-27 05:22:06 | スペイン
待っても待っても僕の荷物は出てこない。
あきらめてバゲッジ・クレームセンターにクレームを
出しに行く。タグナンバーを見せて、パソコンで
荷物の場所を検索してもらうけれど、なんの情報も
ないらしい。

ほぼ手ぶら。ポケットに入れた財布とパスポートだけで
ホテルに向かう。一応現金は持っていたので
タクシーでイビサの街へ向かってもらう。

タクシーで10分も走るとイビサの街に入る。
低層の建物が道の両側に並ぶ。両側は広い舗道があり、
夜11時にもなろうという時間だけれど、平気で
人が歩いている。たいていはTシャツを着た若者が多い。
タクシーでホテルの前に薬局でおろしてもらう。
実はコンタクトの洗浄液一式がカバンの中に入っており、
こんな手ぶらの状態じゃ、明日までコンタクトレンズも
はずせない状態なのだ。そりゃ、困るよ、やっぱり。

そのあと、ホテルに着くと、どっと疲れが出てそのまま
爆睡。着替え用にも着替えも何もないので、着たままの
ポロシャツで眠るのだった。

イビサ島探訪記(4)

2008-05-24 13:27:34 | スペイン
バルセロナの空港を離陸した飛行機は
みるみるうちに暗くなっていく地中海上空を
旋回しながら南下していく。もう窓からは
海しか見えない。つい居眠りして、ふと
目を覚ますと飛行機は下降を始めている。
時計を見ると午後9時30分。40分ぐらいで
もうイビサについてしまうのだ。

イビサ空港到着。思ったより、小さい、こじんまりした
空港だ。敷地の周りには椰子のような南国ムードあふれる
植物がたくさん植わっている。

暗い中、他の乗客とともに空港到着ゲートに移動。
さて、荷物を取らなければ、と思いベルトコンベアの
前に並ぶ。出てきた、出てきた、スーツケースが。
と思いきや、待っても、待っても自分のリュックが出てこない。
そしてベルトコンベアがとまり、自分以外の誰もいなくなった。
って、荷物運ばれてないやんけ!

イビサ島探訪記(3)

2008-05-24 07:00:58 | スペイン
1時間遅れの飛行機は、予定より1時間30分遅れ
でバルセロナの空港に着く。着陸、してターミナルに
機体が横付けされ、乗客の列を待って機体から
やっと出たときにすでに16時10分。乗り換えの
飛行機の出発時刻は16時10分。ってもうダメじゃん。

「乗り換えの飛行機に間に合わなかったので、
代わりの便を用意しています」
と飛行機会社のバルセロナ空港乗務員がやってきて
英語で説明する。
ほっとしたのもつかの間、
「乗り換えの便の出発時間は20時50分です」
えええ? これからまたバルセロナで5時間近く待つの?
「今日は土曜日でもあるので、どの便も満席で
この便しか空きがないんです」
と納得できない説明を受けつつ、仕方なく空港ロビーに下りる自分。
仕方ないのでそのままバスでバルセロナ市内まで行き、
ぶらぶら観光する。
観光なんて全然予定に入ってないし、そもそもガイドブックも
全部荷物の中に預けたままなんで、道もよく分からないまま
街をぶらぶらする。

通りに人があふれている。
ティーンエイジャーがトーキョーホテルの写真パネルを
片手に通りをデモ行進をしている。なんだよ?
デパートの中にも人があふれている。
たまに大道芸をしているアーチストにも出くわす。
でも、いろいろ見ても心はイビサに行ったままなのだった。