く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ホトケノザ(仏の座)> 円形の葉の形を仏像の蓮華座に見立てて

2014年03月31日 | 花の四季

【「春の七草」のホトケノザはキク科の別物!】

 道端や田畑の畦道などでよく見かける野草の1つだが、近づいて見ると紅紫色の小花はなかなか愛らしい。シソ科オドリコソウ属の越年草で、北半球に広く分布する。茎を取り巻く半円形の2枚の葉を仏様の蓮華座に見立て「仏の座」の名が付いた。その葉が3~4段になるため「三階草(サンガイグサ)」とも呼ばれる。

 「春の七草」のホトケノザと名前が同じため古くから混同されてきた。七草のホトケノザはキク科の仲間で、正式な和名は「コオニタビラコ」。単に「タビラコ」とも呼ばれる。漢字で書くと「田平子」。冬の間、根出葉がロゼット状に地面にへばり付く様を表しており、その姿を蓮華座にたとえた。花はタンポポのような黄花で、ギザギザの葉の形もタンポポに似る。

 タビラコは正月の七草粥の食材の1つ。貝原益軒は『大和本草』(1709年)で「黄瓜菜(タビラコ)」として「一名黄花菜」「七種ノ菜ノ内佛ノ座是ナリ」「味美シ」と紹介している。一方、このシソ科のホトケノザは苦味を感じる「イリドイド」という成分を含み食用には向かない。牧野富太郎博士も『植物記(野の花)』に「今日のホトケノザはへんな味の草でとても食べられたものではありません」と記す。

 雑草としてあまり見向きもされない存在だが、その生き残り戦略はすごい。カタクリの花と同様に、アリを利用して分布域を広げるのだ。種子には「エライオソーム」という粒子が付いており、アリがそのにおいに誘われて巣まで運び込む。しかし、においは時間がたつと消えるため、アリは無用となった種を巣の外に運ぶ――。進化の末に植物が獲得した知恵にはただ驚くばかり。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする