く~にゃん雑記帳

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<レンギョウ(連翹)> 枝々に鮮やかな黄色い小花がびっしりと

2014年03月29日 | 花の四季

【中国から平安時代に渡来? 日本の固有種は絶滅危惧種に】

 3月から4月にかけ、葉に先立って黄色の小花を直立または枝垂れた細い枝にびっしり付ける。その花色は遠目にも実に鮮やか。乾燥した果実に解毒や消炎、鎮痛作用があり、中国から薬用植物として平安時代に渡来したといわれる。モクセイ科の落葉低木。ただ中国で「連翹」と呼ばれるのは本来オトギリソウ科の多年草トモエソウなど別の植物を指したそうだ。

 

 枝の髄が中空のため「レンギョウウツギ(連翹空木)」とも呼ばれる。枝垂れた枝が地面に接すると、そこから根を下ろす。中国名は「黄寿丹」、英名は「ゴールデン・ベル」。変種に枝が立ち上がり下向きに花を付ける「シナレンギョウ」、花が濃黄色の朝鮮半島原産の「チョウセンレンギョウ」などがある。レンギョウは大気汚染に強く、病害虫も少ない。このためシナレンギョウを中心に庭木や公園などによく植栽される。

 日本固有種もある。広島や岡山の石灰岩地帯に自生する「ヤマトレンギョウ」と香川県小豆島の寒霞渓などで群落が見られる「ショウドシマレンギョウ」。ヤマトレンギョウはちょうど100年前の1914年に、植物学者牧野富太郎博士が新種として発表した。ただ、いずれも分布域が限られており、ショウドシマレンギョウは環境省の絶滅危惧Ⅱ類に、ヤマトレンギョウも準絶滅危惧種に指定されている。

 詩人・彫刻家の高村光太郎(1883~1956)は花の中で特にレンギョウを好んだ。告別式の棺の上には1枝のレンギョウが飾られていたという。このため命日は「連翹忌」と呼ばれる。今年も4月2日の命日には東京で58回目の連翹忌が営まれる。関西では在原業平ゆかりの不退寺(奈良市)がレンギョウの名所として有名。「連翹のまぶしき春のうれひかな」(久保田万太郎)。

コメント (1)
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