く~にゃん雑記帳

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<中国パワーの源泉と行方> 中国経済「今後20年間比較的高い成長が続く」!

2013年04月25日 | メモ

【劉徳強・京大教授「中国の発展は世界にも恩恵。日中は補間関係」】

 1978年に中国の改革・開放政策が始まって30年余。この間、中国経済は未曾有の急成長を遂げてきた。一方で環境汚染をはじめ様々な問題にも直面する。中国の成長は今後も続くのか、巨大化する中国に日本をはじめ世界はどう向き合っていくべきか。京都大学の春季公開講座(3回)は「アジアにおけるインド・中国のパワー」をテーマに取り上げ、第1弾として劉徳強教授が24日、「中国パワーの源泉と行方」の演題で講演した。隣国中国の動向への関心の高さを示すように、会場の京大百周年記念ホール(500人収容)は熱心な聴講者で埋め尽くされた。

   

 劉教授は東京都立大経済学部卒で同大学教授を経て2008年に京大経済学研究科教授、12年から地球環境学堂教授。開発経済論・中国経済論を主な研究対象としている。講演では①中国経済発展の成果②経済発展をもたらす要因③中国の発展段階④直面する課題⑤中国パワーの行方――について、日米やインドなどと比較した統計を示しながら詳しく解説し、今後を予測した。

 中国の経済規模を改革前後に分けてみると、改革前は26年間で約5倍(年率6.2%)に膨らんだのに対し、改革後は34年間で約24倍(年率9.8%)に達した。これに伴って1985年に米国のわずか14分の1、日本の5分の1だった名目GDP(ドル換算)は、2012年には米国の52%、日本の1.4倍まで上昇した。

 急成長の要因として、「平等」から「豊かさ」追求への発展目標の大転換、労働集約型産業の発展→輸出増加→外貨の増加→生産拡大という好循環、国有企業改革など政府の政策立案・執行能力と〝斬新主義〟と呼ばれる柔軟な姿勢、政治・社会の安定などを挙げる。比較的高い教育水準や工業基盤など計画経済時代の〝遺産〟も発展に貢献した。また所有権制度改革が徹底されていない分、インフラ整備に必要な土地取得が比較的容易だったという側面もある。

 急成長の裏で様々な問題も表面化してきた。豊富な労働力は中国の大きな強みだが、劉教授によると「2003年前後から臨海部だけでなく内陸部でも労働力が不足してきた」。環境問題の深刻化、都市と農村の所得格差、権力の腐敗、治安の悪化なども深刻。中国の発展段階について「経済水準は日本の1960年代の後半頃に相当。社会の発展段階は日本の戦前の1920~30年代、政治は一層遅れている」と指摘する。

 それだけに「中国経済は成長の潜在力が大きい」とみる。「今後20年間は比較的高い成長が可能。先進国からの技術導入と自らの技術革新能力の向上がカギを握る」。政治体制については韓国、台湾などの例から国民1人当たりGDPが一定水準(6000~8000ドル)に達すると、民主的政治体制への転換が行われる傾向があるとし、「中国も政治の季節に入りつつある」とみる。ただし「急激な政治改革は社会混乱をもたらす。早すぎる民主化も遅すぎる民主化も中国にとっていいことではない。経済改革と同じように斬新的に進む方法を模索することが必要だろう。これは共産党の自浄能力にかかっている」。

 周辺国などでは中国の大国化や軍拡への警戒感が強い。だが「中国の人口は日本の10倍、国土は25倍で14カ国と接する。中国の国防費はGDP比率で日本とあまり変わらない。果たして〝軍拡〟といえるのだろうか」と疑問を投げかける。日中関係はいま尖閣諸島の領有権問題などで冷え込むが、「中国がこの30年余り発展を続けられたのも平和あってこそ。中国は平和の最大の受益者といえる。その平和を自ら壊すことはないだろう」。

 劉教授は最後にこう結んだ。「中国の発展は貿易や投資を通じて多くの国・地域に恩恵をもたらす。中国の経済成長は日本にもメリットがあり、一方、中国は環境汚染など国内問題克服のためにも日本の支援や知恵が欠かせない。日本と中国はまさに補完関係にある」。

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