goo blog サービス終了のお知らせ 

経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

増税後の鉱工業生産の凶兆

2014年07月01日 | 経済
 5月の鉱工業生産は、在庫の季節調整済の指数が前月比2.9%増と、大震災直後以来の急増を示した。これは景気への凶兆であり、「今度の増税では起きない」としていた世間的な見方を裏切る「想定外」の結果だった。鉱工業生産の分析は、あまた出ているので、在庫増の要因だけ指摘しておく。

 まず、消費増税というのは、生産を大きくしようが、小さくしようが、それで生じた所得の一部を着実に吸い上げるものなので、その分だけ必ず売れ残りが生じてしまう。マクロ的には、在庫管理の良し悪しで在庫増を避けられるものではない。筆者としては、当然の現象が起こったように見える。

 そして、マクロ的に在庫調整をしようとすると、所得も減らすことにもなるので、更に需要は弱まり、一層の在庫調整が必要になってくる。前回の消費増税では、企業が在庫管理を誤って在庫を急増させたことが景気後退につながったとされるが、それは企業の対応の拙さだけが理由ではない。

 今回の増税でも、企業は在庫増を警戒していたはずなのに、生産予測をみると、5月の実現率は-2.6%、6月の予測修正率は-1.3%と下方修正になった。もし、これが続くと、それはデフレ・スパイラルとなり、前回の消費増税時の再現である。前回と同様に、耐久財から素材へと在庫調整が波及するかどうかが注目点だ。

 こういうメカニズムが働くから、消費増税というのは怖い。今回の増税は、需要ショックがどのように経済を悪化させていくかを、若い人たちに教えてくれることになるかもしれない。1997年の消費増税の惨状を目にした筆者にとっては、二度と見たくないと思っていたものなのだがね。

(今日の日経)
 国立大1000億円投資。法人減税・すべては総理の意向。賃上げ15年ぶり2%超、増税で実質所得は目減り。5月鉱工業・生産回復一進一退。住宅着工15%減。経済教室・日独自動車は為替で明暗・法木秀雄。

※賃上げが2%超といっても、従来も1.83%くらいはあったことに注意。つまり、例年より0.5%くらいしか高くない。※鉱工業の投資財生産も減っているし、住宅までこれか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アベノミクス・想定内の破綻 | トップ | 7/4の日経 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

経済」カテゴリの最新記事