経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

非正規の低年金

2012年10月26日 | 社会保障
 やはり、日本も、バッドスタート・バッドフィニッシュか。今日の高山先生と白石さんの経済教室である。なかなか得がたいパネルデータを年金定期便に見出した意義ある研究だ。非正規の年金をどうすべきかは、注目されないが、本当に大きな課題である。高山先生がおしゃるように、年金制度の見直しに限界はあるとしても。

 根本は、日本の成長を再開させ、正規の職を多く作らなければならない。世代間の不公平論に踊らされ、増税や負担増、緊縮や社会保障カットを喜ぶ若い人達の姿を見ると、インフレを恐れる資産家や年寄りではあるまいにと思ってしまう。国が正規への転職を支援したところで、おのずと限界がある。

 それでも、若者を採用した事業主の社会保険料負担分を雇用助成金によって実質的に免除するのは一つの方法だろう。雇用助成金を使うと財源が必要になるが、年金は単純に保険料を免除するのでも構わないのではないか。それでも、単純に年金財政が悪化するとは限らないからだ。

 なぜなら、それが追加的な雇用であれば、当面の保険料は増えるし、将来的に年金財政に貢献できる給与水準へ伸びるかもしれない。もし、そうならないとしても、その分を年金受給者全体で薄く負担しても良いではないか。ある程度の保険機能は認められるはずである。また、正規雇用の増大は、結婚確率を高め、出生率を押し上げて、年金財政を好転させる効果もある。

 もっと巨視的に見れば、追加的雇用によって長期的に経済が良くなるのなら、社会的な厚生を高めることになる。労働力をムダにしない経済運営は、最も効率的なものであり、少なくとも、財政赤字の縮減を経済運営の目標に据えるより遥かに有効である。まあ、予算のムダ使い叩きに血道をあげる殺伐とした世相では、そうした発想も湧きがたいと思うがね。

(今日の日経)
 日本郵政が15年秋にも上場、株売却益7兆円。追加緩和に基金増額10兆円軸。復興予算支出54%どまり。なでしこ銘柄選定へ・経産省・東証。中国・口先だけの1兆元投資。ウィンドウズ8発売。キンドルストア開設。大機・真の中小企業支援・春日。経済教室・非正規の低年金が深刻に・高山憲之・白石浩介。

※中国は景気対策をしないのではなく、できないという説が濃くなってきたね。
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