かるさんのgooブログ <北国たより>

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九回目の「菜の花忌」を迎えて

2005-02-13 21:57:00 | インポート

1996年(平成8年)2月12日午後8時50分、稀代の作家でエッセースト、警世家であった「司馬遼太郎」が逝きました。享年72歳・・・・

以来、氏がこよなく愛した「菜の花」にちなんで名づけられた追悼シンポジュウ―ム、「菜の花忌」も今年で9回目を迎えることになりました。

司馬遼太郎が新聞記者から作家に転進したのは33歳の頃で、昨今の作家デビューの低年齢傾向からすれば、遅咲きといってもよいかもしれません。
その後、数々の長編、短編小説、対談集、旅行記、エッセイ―を残されました。

―――単行本だけで約350冊、現在書店に並んでいる文庫本は約250冊にもなる。よく読まれている作品別に発行部数順位を見ると『竜馬がゆく』―2150万部、『坂の上の雲』―1445万部、『翔ぶが如く』―1100万部、『国盗り物語』―673万部、『項羽と劉邦』―667万部、『播磨灘物語』―421万部、『空海の風景』―170万部、紀行文・エッセーの『街道をゆく』―1009万部、『この国のかたち』―360万部・・・などなど、他に対談など入れると総数は【1億8千万部】を超えるという――――2月12日朝日新聞の特集記事から・・・・・

氏の作品に魅せられるきっかけは、社員の福利厚生の一環として備えられていた、会社の「図書室」で何気なく借りた「竜馬がゆく」でした。
その筋書きの巧みさと文章の卓抜さ、何にしても歴史への洞察の深さに脱帽でした。

以来、単行本が発売になるのを待ちかねて初版本を読みふけったものです。
その後数十年、積まれた蔵書は私のたった一つの宝物として「色あせながら」も大切に保管されています。

数多くの作品の中で、一番好きな作品は何か?と言われると困りますが、あえて挙げるとすれば《故郷忘じがたく候》と《空海の風景》となりますでしょうか。

前者は短編ですが、いまから約410年前ころの、朝鮮の役で秀吉軍によって薩摩へ連れて来られた「朝鮮の陶工」の末裔「14代沈寿官」の波乱に満ちた人生を独特の文章で綴ったものです。

この作品の最後、「14代沈寿官」が昭和40年頃(?)韓国を訪問した折、学生の前で講演した様子が描かれています。この作品のこの部分に私は感動を覚えます。

当時まだ「日韓関係」はかなりギクシャクしていた時代です。学生の間には「反日」の感情が根強く、日本からの客に対して「戦前の日本の圧制・・・」を言及する人が多かったようです。

そんな中で講演の壇上で「沈寿官氏」は言います。以下ママ

・・・・・・
最後に
『あなたがたが三十六年をいうなら』といった。
『私は三百七十年をいわねばならない』
そう結んだとき、聴衆は拍手をしなかった。しかしながら沈氏のいう言葉は、自分たちの本意に一致しているという合図を演壇上の沈氏におくるために歌声を湧きあがらせた。――(略)

現在の日韓間は「冬ソナ」「真実」「美しき日々」など、TVや映画を通して「韓流」などの言葉とともに、あらたな交流が生れつつあります。
それはそれで好ましいこととは思います。
ですが、いまの世の中、ヨン様やイ・ビョンホン、チェ・ジウなどを追っかけるだけの交流では? と思われてなりません。

日韓両国には長い歴史の中で、さまざまなことがあった・・・ことを充分認識しながらの「韓流」であって欲しいと思ったりしています。

9回目の「菜の花忌」を迎えたその夜、故司馬遼太郎を偲びつつフッと思った雑感を書いてみました。

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