日本裁判官ネットワークブログ

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財団法人法律扶助協会の解散

2007年05月06日 | Weblog
 55年にわたって,資力の乏しい人を援助する民事法律扶助事業を担ってきた財団法人法律扶助協会が,本年3月末日をもって解散しました。昨年10月に設立された法テラスに民事法律扶助事業を移管したためです。したがって,同協会の解散も,司法改革の中での一事象であって,特に驚くことではないといえるかもしれません。
 同協会が編集発行していた「法律扶助だより」の最終号には,小堀会長が,「事業を終えるにあたってー感謝のことばー」と題する文章の中に,「長期的な視点から改めてふりかえると,弁護士によるなかばボランティアとして出発したこの事業は,その活動によってしだいに認められ,国が運営に責任を持つ事業に発展していったことがご理解いただけると思います。」と書いておられます。この言葉には,日本の法律扶助事業の歴史が端的に示されており,法テラスへに移管が発展的なものであることがよくわかります。この事業に関わってこられた方々に,陰ながら拍手を送りたいと思います。
 なお,上記「法律扶助だより」の最終号には,「法律扶助協会の55年」として,設立の経緯(GHQリーガルセクションの示唆,法務府人権擁護局長の要請等),国庫補助の開始,交通事故・サリドマイド事件への各援助,無料法律相談事業の開始,阪神・淡路大震災被災者法律援助など,協会の興味深い歴史がまとめられています。こうした作業は地味ながら,後の時代に生きる重要な作業と思います。(瑞祥)