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今またTQMを考える 第7回

2018年05月20日 | ブログ
日常管理の要点と基本

 例えば、良い提案があって実行に移したとしても、それが日常的に確実に実施されないと効果は薄い。QCストーリーのステップ7:「標準化と管理の定着」(歯止め)が必要である。「標準化」はTQMの原則の5番目にある通り「・・・各人が勝手に行動すると結果にバラツキを生じることは当然である。結果が良くなり効率的なやり方を標準として定め、文書化し、これを遵守することで継続的に良い結果を得る。・・・」

 従って、「標準化」は、日常管理における本来前提でもある。しかし、これを確実に実施し、維持管理することはなかなか難しい。私などもISO9000取得によって、特に1987年版(初版)のISO9000は文書管理が非常に厳しかったことで、マスターリストによる最新版管理、配付先管理そして適宜の見直しによって、今やっている手順・方法と標準書が確実に整合すること、の重要性を認識したのである。

 異民族の多い欧米ではマニュアル(手順書・標準書)が進化したが、日本人はほとんどが同一民族であり、阿吽の呼吸があり、家庭や学校での基礎的教育が行き届いていたため、いちいちマニュアルがなくても、担当者の気づきや裁量で大きな問題にならなかった。

 しかし、組織の管理は性善説に依存しては成り立たない。解釈は誰もが同じにできなくてはならない。大相撲の横綱の品格さえ、低級な評論家はマニュアル化せよと言う時代である。

 大相撲の「手強い相手は潰せ」という何とかチームの暗躍や官僚の黒を白と言う嘘も、水掛け論のうちは逃げおうせるという態度は、遂に大学のアメフトにまで影響し、堂々と危険な反則を繰り返した選手と、それを監督が指示した気配が濃厚だが、「指示しない、言っていない」で選手を切り捨てる。*註)「美しくない日本」になってしまった。

 「標準化」と共に日常管理の要点であり、基本は「5S」である。すなわち「整理・整頓・清掃・清潔・躾(ルールを守る)」。5Sには高度な学問が必要なわけではなく、誰でもできることでもあるが意外と定着していない。軽視しがちな企業もみかけるが、実は非常に日常業務に関わりが深い。企業活動の前提である、「安全」「品質」の基本でもある。

 作業場の整理・整頓は、通路の確保や作業スペースに関連し、どこに何があるかを確実にすることで、モノを探すという無駄な時間を減らせる。工具や事務用品などの無駄な購入も減る。清掃・清潔は、モノづくりの現場では品質に直接影響するし、従業員の健康管理のためにも重要である。ルールを守る習慣がなければ、立派な標準書を作っても日常管理には意味を成さない。

 「標準書」「5S」に加えて「改善」も重要である。経営者主導の少し大きな改善・改革は、「方針管理」の範疇となるが、日常身近な改善を繰り返すことで、職場は段々とより住みやすく働きやすくなる。製品品質にも磨きが掛かる。5S活動や改善活動は大きな費用は掛からず、職場を変え従業員教育にも有効なまさに魔法の方策である。



*註)5月19日になって監督は責任を取って辞任



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