3Cと7S
前回、SWOT分析について述べた。実はSWOT分析の精度を上げるために周辺外部環境分析としての3C分析と、同様に自社の内部資源分析として7S分析がある。
3C分析とは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)及び自社(Company)の3つのCの視点から、事業環境を読みとり、戦略立案につなげてゆく方法である。一方7S(McKinsey 7S framework)分析とは、戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、社内システム(System)、スキル(Skill)、人材(Staff)、スタイル・社風(Style)及び価値観・共有価値(Shared Value)の7つ要素をバランスよく備えることで企業の競争優位を確立しようというものである。
3C分析は、事業環境の全体像を3つの視点からバランスよく診ないと戦略に重大な欠陥を生む懸念があるために必要とされる。競合を意識するあまり、顧客の変化を見逃したり、市場と自社の経営資源だけに囚われると競合が見えなくなる。また自社の体質というものを考えずに新しい事業に乗り出すのも危険なのである。
しかし、ただ「3C」という言葉だけを知って分かったつもりでいても仕方がない。「自社」をどう診るのか。「市場・顧客」は、「競合」をどのように診るのかが問われる。さらに、ただ診ただけでは企業経営にはならない。それに対応する方策が生まれてこその分析なのである。
まず自社を診る。経営資源には、販売力・生産力、その源である設備などの資産もある。加えて技術力・開発力、ブランド力(企業イメージ)、シェアなどの評価がある。そして経営資源はその市場からの調達の難易度によって分けて考える。土地や建物や機械設備などはお金があれば買える。未熟練労働者の雇用も可能であろう。しかし、独自の技術力やノウハウ、熟練技能、顧客ロイヤルティや従業員のやる気やモラル、良好な組織風土はどうか。簡単にお金では手に入らない。これらこそ当該企業の中核能力(コアコンピタンス)であり、SWOTでいう「強み」なのである。
市場を診る目も重要である。品質保証体系図などでは、スタートラインに市場調査がくる。そこから製品や商品開発が始まり、生産・販売につながってゆくのである。市場規模はどの程度で、成長性はあるのか。顧客のニーズ、購買目的などにも目を向けていなければならない。グローバル競争において、新興国などへの売り込みには、その国の歴史・文化・風習なども考慮しながら適応を図らねばならないことを考えれば理解は容易であろう。
競合をどう診るのか。すでにどの程度のシェアを競合が占め、参入障壁はどうか。価格設定はどうなっているか。競合企業の強みや弱みはどうか。競合製品を購入して分解しビス一本まで調べるなどは当然で、インスタントラーメンなどでさえ、徹底した競合製品の身体検査を行うことは知られている。
7Sでは、「組織構造は戦略に従う」(チャンドラー)とか「戦略は組織に従う」(アンゾフ)と聞くように、戦略と組織構造は一体のものと考える。要はその戦略を実行するにその組織は適したものかが問われるのである。社内システムという仕事のやり方進め方も戦略に即したものである必要があろう。ではあるが、戦略を抜きにしても社内システムはシンプルなものが好ましい。「一度御社の業務フローを図にしてみて下さい」とは企業訪問でよく口にする言葉だけれど、「品質保証体系図を作ってください」。ということ。
残り4つの「S」は先の3つの「S」が「ハードのS」であるのに対して「ソフトのS」。戦略を上手く運ぶために、自社の持つスキルのうち何を重視すべきかである。人材は常に最も大切であろうが、折角の人材も使われ方によっては死んでしまう。プロジェクトリーダーなどは、プロジェクトの内容や期間によって相応しい人材は変わってくるであろう。そして、戦略はやはり自社の伝統や企業風土に沿ったものであることが望ましい。
などなど、これらはSWOT分析と共に企業を内部から診る場合も、コンサルタントが外部から診る場合にもその視点のあり方として企業経営の定石と言えるものなのである。
前回、SWOT分析について述べた。実はSWOT分析の精度を上げるために周辺外部環境分析としての3C分析と、同様に自社の内部資源分析として7S分析がある。
3C分析とは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)及び自社(Company)の3つのCの視点から、事業環境を読みとり、戦略立案につなげてゆく方法である。一方7S(McKinsey 7S framework)分析とは、戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、社内システム(System)、スキル(Skill)、人材(Staff)、スタイル・社風(Style)及び価値観・共有価値(Shared Value)の7つ要素をバランスよく備えることで企業の競争優位を確立しようというものである。
3C分析は、事業環境の全体像を3つの視点からバランスよく診ないと戦略に重大な欠陥を生む懸念があるために必要とされる。競合を意識するあまり、顧客の変化を見逃したり、市場と自社の経営資源だけに囚われると競合が見えなくなる。また自社の体質というものを考えずに新しい事業に乗り出すのも危険なのである。
しかし、ただ「3C」という言葉だけを知って分かったつもりでいても仕方がない。「自社」をどう診るのか。「市場・顧客」は、「競合」をどのように診るのかが問われる。さらに、ただ診ただけでは企業経営にはならない。それに対応する方策が生まれてこその分析なのである。
まず自社を診る。経営資源には、販売力・生産力、その源である設備などの資産もある。加えて技術力・開発力、ブランド力(企業イメージ)、シェアなどの評価がある。そして経営資源はその市場からの調達の難易度によって分けて考える。土地や建物や機械設備などはお金があれば買える。未熟練労働者の雇用も可能であろう。しかし、独自の技術力やノウハウ、熟練技能、顧客ロイヤルティや従業員のやる気やモラル、良好な組織風土はどうか。簡単にお金では手に入らない。これらこそ当該企業の中核能力(コアコンピタンス)であり、SWOTでいう「強み」なのである。
市場を診る目も重要である。品質保証体系図などでは、スタートラインに市場調査がくる。そこから製品や商品開発が始まり、生産・販売につながってゆくのである。市場規模はどの程度で、成長性はあるのか。顧客のニーズ、購買目的などにも目を向けていなければならない。グローバル競争において、新興国などへの売り込みには、その国の歴史・文化・風習なども考慮しながら適応を図らねばならないことを考えれば理解は容易であろう。
競合をどう診るのか。すでにどの程度のシェアを競合が占め、参入障壁はどうか。価格設定はどうなっているか。競合企業の強みや弱みはどうか。競合製品を購入して分解しビス一本まで調べるなどは当然で、インスタントラーメンなどでさえ、徹底した競合製品の身体検査を行うことは知られている。
7Sでは、「組織構造は戦略に従う」(チャンドラー)とか「戦略は組織に従う」(アンゾフ)と聞くように、戦略と組織構造は一体のものと考える。要はその戦略を実行するにその組織は適したものかが問われるのである。社内システムという仕事のやり方進め方も戦略に即したものである必要があろう。ではあるが、戦略を抜きにしても社内システムはシンプルなものが好ましい。「一度御社の業務フローを図にしてみて下さい」とは企業訪問でよく口にする言葉だけれど、「品質保証体系図を作ってください」。ということ。
残り4つの「S」は先の3つの「S」が「ハードのS」であるのに対して「ソフトのS」。戦略を上手く運ぶために、自社の持つスキルのうち何を重視すべきかである。人材は常に最も大切であろうが、折角の人材も使われ方によっては死んでしまう。プロジェクトリーダーなどは、プロジェクトの内容や期間によって相応しい人材は変わってくるであろう。そして、戦略はやはり自社の伝統や企業風土に沿ったものであることが望ましい。
などなど、これらはSWOT分析と共に企業を内部から診る場合も、コンサルタントが外部から診る場合にもその視点のあり方として企業経営の定石と言えるものなのである。