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2023年 第28回

2023年04月01日 | ブログ
正論の誤謬

 世の中には正論を吐いて、正しいと信じておられる方がいる。人生で結構な実績を上げてきた方であれば、なおその正論は世の中の人々に受け入れられるであろうが、常に世界は正論で動いてはいない。正論で動けばロシアのウクライナ侵攻もなく、中共の台湾併合の軍事力による脅迫も起きはしない。

 例えば、日経ビジネス2023.03.27号の「賢人の警鐘」にANAホールディングス相談役の方が「対話が重要なのに、日本と中国でほとんどない、首相がもっと動くべきだ」と述べている。国家間の対話が必要なことは正論だが、日本政府だけの責任では解決しない。

 例えば、安倍総理はロシアのプーチン大統領と、相当回会談を重ねた。安倍総理にすれば、在任中の成果の一つとして北方領土を、たとえ2島に値切られたとしても返還させたかった。結果はロシアの憲法に「領土は返還しない」条項を盛り込んで、大統領権限でさえ返還には応じられなくしただけだった。

 今の中共とて同様だ。例えば、「台湾問題は他国が口を挟むな」と習近平が度々米国向けにさえ言っているが、これは習近平個人の信念だけではなく、中共という国家の国是、絶対正義であって、日本の首相との対話の対象にはならない。相手が習近平でなくとも変わるものではなかろう。安倍総理の北方領土返還交渉と同様無駄な労力である。

 正論とは吐く側の価値観、信条、道徳の円周内に住まう人々の間では有効でも、異なる主義主張を持っている人々に対しては、馬の耳に念仏である。

 大手商社のリーダーとして貢献し、民主党政権では中国大使さえ務めた御仁も、中国贔屓で、日経ビジネス誌上でも度々、先の大戦時のわが国の大陸への侵攻を批判し、中共に阿る発言をされていた。その後、自社の社員が中国で拘束され、3年の実刑を受けるという事件以降、その方の反日、親中の発言は聞かなくなった。

 『日中は一衣帯水の関係にある。歴史的な関係性も深い。欧米諸国とは立場が違うわけで・・・』と親中派の政治家も言いそうな文面が見られるが、近代の歴史をみるに、良く聞く「中国3000年の歴史」とは全く非なるもので、現在の中共は太平洋戦争末期に、地方の共産ゲリラだった毛沢東が、大戦のどさくさに蒋介石を台湾に追いやり、大陸の実権を握っただけのものだ。中国共産党の歴史はせいぜい70数年に過ぎない。そんな中共にわが国が学んだことなどひとつもない。したがって歴史的関係など、ありはしないのだ。

 そんな中共を日本の政財界は支援し続けた。しかし、民主党政権時の東シナ海で中国漁船が、海上保安庁の巡視船に衝突させる事件があり、その後中国の日本の商店などが襲撃される事件が続出した。

 鄧小平に乞われ、中国の民生技術の向上に協力した松下幸之助氏の「パナソニック」のお店も、中国の砂漠化を阻止するため、長年植樹に協力してきた「トヨタ自動車」のお店もお構いなしだった。習近平一人ではなく、中国人そのものの多くが信頼できるものではないことを物語っている。中共の日本との対話は、米国との差を詰める時間稼ぎであり、さらに軍事力を増強し、わが国の領土領海を窺うだけのものだ。



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