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この国の風景Ⅳ第8回

2015年12月22日 | ブログ
消費税

 司馬先生の「この国のかたち」から離れる。今月号の文藝春秋の大型企画「日本を変えた平成51大事件」。なぜ51件なのかは知らない。年間の十大ニュースのように読者からの投票で決めたとかではないようだ。平成元年から年次毎に数件程度に絞って順次掲載しているのだけれど、なぜか平成12年と17年の事件はなく、13年は5件もある。

 確かに時代を画したと思われる事件も多いけれど、単に不幸な事件もある。提供側(出版社)もいろんな読者を想定し、また政治・経済・社会とジャンルを考慮しながら型に嵌らない選考を考慮したものであろう。

 この51の記事のトップが平成元年に始まった「消費税」であり、これは時代を画すものだ。そして今、平成29年4月に行われる消費税10%に向けて、軽減税率の問題が議論され、クローズアップされている。この30年近い年月をかけて3%の消費税は、いよいよ2桁に乗る。

 共産党の、消費税増税分は企業減税にまわっているとの指摘もあながち空論ではない。事実安倍政権でも、消費税増税とセットで法人税減税が実施される見込みだ。成長戦略の一環として、外国からの投資を呼び込む方策として、他国の法人税並みに低くすることは必要かもしれないが、ここ十数年、大企業は投資先を見極められず内部留保を蓄えていた。法人の減税が必要とは思えない。

 海外からの投資は結構だけれど、お隣韓国のサムスン電子は、発行株式の半数以上を外国人が保有しているそうで、実質韓国企業ではないという見方さえできるようだ。国内企業が栄えても、結果自国民は潤わないシステムとなるのは如何なものかとも思う。

 話が逸れた。10%に増税時には食料品を中心に軽減税率を導入すべきとは、公明党の長年の主張で、ここは公明党も譲れないところ。当初麻生さんなどは、兎に角面倒だと拒否の姿勢だったけれど、安倍政権は乗った。そのことを大阪の橋下さんは、「安倍さんは人間が大きい」というような表現で、一方自分など「ひよっこ」だと、体よく政界から身を引く言い訳にさえしていたけれど、橋下さんの言い分は、安倍さんには、ここは公明党を立てて憲法改正実現を確かなものにする思惑があるという。

 確かに安倍首相は、憲法改正に公明党との連立政権は必要条件と考えているであろうが、先立つアベノミクスの成長戦略に消費税はあまり好ましくなく、せめて軽減税率によって、庶民の財布の紐をこれ以上固くはさせたくないのが本音だと思う。

 どこの国の政権も経済の悪化は、その継続を危うくする。米国なども中国との関係において、中国の米中両大国による世界分割統治的な発言を、オバマ大統領は即刻「ノー」と言わねばならなかった。南シナ海がここまでの状況になってからでは遅かったとの批判がある。米国、民主党の支持基盤は航空機などの機械系企業が多い。ぎりぎりまで、経済優先で中国に軍事的には口出ししたくはなかったものであろう。

 米ソ冷戦時代にはなかった両大国の経済交流という前提が、欧米の人権主義を後退させている。そこにわが国の立ち位置の危うさがある。また消費税ひとつでも、政治の思惑、駆け引きとその難しさが滲んでいる。


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