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品質管理ノート 第10回

2018年11月28日 | ブログ
組織をつくる

 品質に限らないのだけれど、何かを管理するためにはまずその管理体制を構築する必要がある。ISO9000でまず要求されるのが、経営者の責任であり、経営者は品質管理のための責任者を選定しその組織体制をつくることであった。

 間違えるのが、組織やハードを整えればこれで良しとなること。その運用こそが大切で実は難しい。わが国の新幹線技術など、ハード面の技術をいくら中国が模倣しても、その運用の緻密さまでは中々真似できない。

 中国などが海軍力に注力して、航空母艦や潜水艦などハード面を充実させているが、その運用と戦略面では、歴史的に潜水艦や航空母艦での実績経験もないことに加え、ハード技術は盗めても、その運用方法や戦略まで盗むことは難しく、米国の打撃力には今の所到底及ばないのが現状のようだ。

 組織は小さいものであっても、まず大切なのはそのトップは誰かということ。企業でも必ず代表取締役が誰かを明示する。それだけトップの影響力は強く、それだけの責任と権限を有するものなのだ。大企業の中の小さな課や係であっても、誰がその長であるかは重要である。

 リーダーとその部下の関係がフレンドシップなものであるか、主従関係的なものであるか、それは組織に与えられたミッション、その達成段階などによってどちらが良いか変わってくる。いずれにしてもリーダーは部下の能力を最大限に生かす対応を志向すべきであり、単に部下に対してやさしいとか権威的であるとかでリーダーの評価はできない。

 品質管理組織の場合、品質管理責任者は社長や工場長となるが、実務は品質管理に詳しいスタッフが務めることが多い。安全管理などもすべての権限と責任は社長や工場長(以下ライン管理者)にあるが、運用面は専任スタッフが取り仕切ることになる場合が多い。専任者は社長や工場長の権限を通じて実務を遂行する。

 品質管理を効率的に運用するためにまず必要なのが、「品質保証体系図」である。組織を横軸に業務の時系列を縦に実施する業務を記入する。組織の左端には顧客がくるが、次に経営トップ、組織の企画部門、営業部門、生産部門、メンテ部門、検査部門などと続く。

 新製品の試作から体系図に載せる場合など、進捗の過程で必ず躓くこともある。その場合計画変更はどの部署に返るのかを矢印で明確にする。試作の合否の基準を明確にすること。商業生産品に対する不適合品の処理やクレーム対応なども、返りラインで検討部署を明示する。

 製造業においては体系図の中央辺りに「生産」がくるが、この部分についての詳細が「QC工程図」となる。兎角このような書類は建前主義で、やたら詳細で緻密に作っているようで、実は実用的ではない場合が多い。詳細な工程図も必要であろうが、現場で使える、使いたくなるQC工程図を作りたい。作業マニュアルや標準書の類も同様。そこに企業組織の運用が上手くゆくかどうかの鍵が隠されているように思う。




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